この素晴らしい世界にリリカルな魔導師を!   作:ゴマフアザラシ

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アクセルの(男性冒険者にとって)一番長い日【前編】

「奴が来る! こっちへ誘導しろ!」

 

「なんだありゃあ……!? たった一人だぞ!? このままだと戦線が瓦解する!? カズマは……カズマはまだか!」

 

「あ、悪魔……、いや魔王……、ちっ……違うっ!? あれは……大魔王だ……!?」

 

「このままじゃあ……俺達の楽園が……消えてなくなる!?」

 

唯の一人に苦戦どころか、全滅の危機に晒されているアクセルの男性冒険者達であった。しかし、その瞳には『諦め』の二文字はなく、自分達の大切な者を守ろうとする意志に満ち溢れている。

彼らにとって命を懸けるに値する者、それは――

 

 

 

 

 

 

 

女の子の歓迎会も終わり、みんながもうあの娘を怖がることもなくなった。これで一安心と、後はミッドチルダからの迎えを待つばかりとなっていた、とある日。

 

「久々に冒険者ギルドへ行ってみませんか?」

 

めぐみんからの何気ない一言であった。確かにこのところ、冒険者ギルドはご無沙汰になっていた。まあ、カズマも大金が入ってくるので、積極的にクエストをしたがらないといった理由もあったが、クエストだけじゃなくて知り合いに顔を見せに行くのも良いか。……といった、そんな話題になったので、行ってみようとのことで意見が一致したのであった。

なんとなくではあるが、懐かしく感じるギルドの入口のドアを開けると、

 

「おっ! カズマと、とうとう四人目の子供ができたユウじゃねえか。ここに顔見せるのも久しぶりだろ?」

 

「……誰が四人目の子供ができたって? 顔合わせるなり、ご挨拶だな……。ダスト!」

 

ダストの言ってる子供ってのは、エリオ、キャロ、こめっこ、そして、あの娘の事だろう。俺は何か? 子供拾って育ててる人とでも認識されてるのか!?

 

「まあ良いじゃねーか。ところで相談なんだが……」

 

コイツの相談なんざ、大体想像できるっての。

 

「金なら貸さない。お前も冒険者なら自分で稼げ」

 

「貸せとは言わねー! 奢ってくれ!」

 

余計悪いわ! ダストの場合、金が入った傍から全部使っちまうからこうなるんだろうが……!

 

「まあまあ。ここは俺が払うって。幸い、大金も入って来たしな」

 

「カズマ……、いい大人を甘やかすのは良くない」

 

「子供にだだ甘な、お前が言ってもな……」

 

とはいえ、入り口近くで立ち止まっていては他のお客さんの迷惑にもなるのでダストと共に席に着くと、そこにはテイラー達もおり、それこそ久々に食事を楽しむかといったので話が落ち着いたのだった。

 

「王都に、紅魔の里に、アルカンレティアでも、よくもまあトラブルばっかり舞い込むね? なんなのそれ?」

 

「そんなのは俺が聞きたい。本当に必要な時以外は戦いたくないってのに」

 

リーンに近況を伝えていると、こちらの話題に興味を持ったらしいダスト達であった。

 

「それで、魔王の娘ってのはどんなんだ? やっぱり美人だったのか? それともオークみてえな不細工か?」

 

「はっきり言って、かなりの美人だ。しかもスタイルもかなり良い。服の上からでもはっきり分かるくらいの……な」

 

その一言で、めぐみんやリーンが、ちょっとだけ怖い視線をこちらに向けていた様な気がする。しかし、そんなものはどこ吹く風のキースやダストは、

 

「先生、特徴を教えてくれ! 分かる範囲で良い。詳細に!」

 

「ああ……! こいつは良い情報だ! 出来るだけ詳しく教えてくれ!!」

 

何故かは知らないが、魔王の娘さんの特徴について、熱心に聞きたがっていたのであった。

 

「腰まで伸びた茶色の長い髪に、ちょっと吊り目気味。表情は基本的に凛としてるけど、泣いた顔もそれはそれで可愛げがあって――」

 

などなど、俺が思いつく限りの特徴を事細かに教えていったのだが、

 

「それも大事だ……。だが、見立てで良い。スリーサイズを教えてくれ!」

 

スリーサイズ……か。確かに温泉に入って来た時は、バスタオル越しとはいえ、あのスタイルをまざまざと見せつけられてしまったからな……。目測でなら……。

 

「おそらく……、上からきゅうじゅ――」

 

「「おおっ……!」」

 

にやけた顔をしながらカズマまで聞き入っていたのだが、男同士の秘密の話なんてのは女子の前ではしてはいけない。当然……、

 

「ほう……! 慌てて逃げていた割には、よく見ていますね……! それも奥義とやらの一つですか……?」

 

「これだから男ってのは……。一番真面目なのって……、テイラー?」

 

めぐみんとリーンが少し怒ったような、呆れた様な感じだったが男衆はちゃんと分かっていた。テイラーですら聞かない振りして、聞き耳を立てていることを。それを言っちゃいけないのは分かっている。男同士の無言の約束ってやつだ。

 

「ねえねえ。あんなの言ってたら、そのうち魔王の娘に後ろから撃たれるかもしれないわよ」

 

「その時はいい薬だ。わざと庇わずに頭を冷やさせるとするか。私としてはもったいないが」

 

皆さん、できれば今の話題は秘密にしていただけると、大いに助かります。

 

「ユウさん……。もしかして私達のサイズも見当ついてますか……?」

 

ゆんゆんさん。そんなの言ったら、俺の命はここで終わるんじゃないかなあ……。

 

「まったく……、男というのは分かりませんね。近くに美少女がいるというのに、遠くの、しかも敵に興味を持つのですから。あなたはあんな男に引っかかってはいけませんよ?」

 

ギルドに連れて来ていた女の子の頭を撫でながら、めぐみんが俺らにキツイ視線を向けている。

 

「めぐみん、知ってる? アクセルの七不思議の一つに、女性冒険者やギルド職員がちっともモテないってのがあるらしいよ」

 

ほう、それは初耳だ。まあ、ここは駆け出しの街だしな。

 

「それって、初心者が集まる街で、収入が不安定だから彼女作ってる余裕がないってだけじゃないか?」

 

「そうかもね。けど、冒険者だけじゃないみたいよ。例えばルナさんだって、あんなに美人なのに彼氏もいないらしいし」

 

これはちょっと意外。あのくらいの人なら、お付き合いしてる人はいるとばかり思っていた。

 

「ちなみに七不思議の中の二つは、『空を飛ぶおかしな魔法使い』と『ほぼ毎日鳴り響く爆音』らしいよ」

 

それって七不思議どころか、まんま俺とめぐみんだろうが!

 

変な噂の元凶になってたので、少しばかり気落ちしながらも、歓談を続けていた。するとアクアが、

 

「そういえば、さっきの話で思い出したけど、ある悪魔の住む街は出生率が低下する事があるのよ。私としても困ったものだけどね……」

 

「いると出生率が低下するって……、水子を増やす呪いでもばら撒くのか?」

 

「そんな物騒なのじゃないけど、ほら! ユウもやられたでしょ? サキュバスよ!」

 

サキュバス、その名を聞いた瞬間。

 

バリッ!

 

コップがまるで落下して割れた様な音がギルド内に鳴り響いていた。これは落としたのではなく、俺が持っていたコップを握り潰したためである。

 

「だっ、大丈夫ですか!? 怪我をしていたら早く診てもらってください!」

 

「ああ……! 俺は大丈夫だ……。思い出したくないのを思い出しちまったからな……」

 

自室で油断しきっていたとはいえ、完全に後れを取り……その上、アクアに殴られちまった。それを思い返して、殺気立ってしまったのを周りも感じ取ってしまったのだろう。カズマ達も冷や汗をかいていたのであった。

とりあえず、深呼吸して心を落ち着かせアクアへと、

 

「そういえば、随分前ではあるけど……、あの時のサキュバスはどこに逃げたんだろうな?」

 

「サキュバス自体は戦う力が強くはないから、どこかに住み家があるとは思うわ。飛べるから、この街の外かもしれないけど」

 

こうなったら、街をしらみつぶしに探してやろうかとも思ったけど、そう簡単にはいかないらしい。

 

「あのさ……。もしだけど……サキュバス見つけたら、どうするつもりだ?」

 

おずおずとカズマが俺を不安そうな表情で見つめながら、質問してきたので、

 

「勿論、即時殲滅するよ?」

 

もう当たり前ですよ、そんなの。あんな恥ずかしい夢見せられて、精気を吸われたらしいしな。カズマだって操られて、散々な目に遭っている。

だというのに、俺のサキュバス殲滅宣言――これは別に大声で言ったわけではなく、普通の会話であったにも関わらず、ギルド内の男性冒険者の視線が一斉にこちらを向いていたのであった。まるで、俺が魔王軍幹部でアクセルを滅ぼしに来たかのような、恐怖に満ちた雰囲気となっていた。

 

「あ、あいつには……絶対に教えるな!」

 

「ああ……! ユウならマジでやる! それこそ、店ごと消し飛ばす!」

 

「先生って悪魔には容赦ないよな……、確か……」

 

カズマ達が小声で何やら相談していたようだが、なんだったんだろう?

 

「アクシズ教徒っぽくなってきたわね! 悪魔殺すべし……! その通りよ!」

 

アクアさん、俺はアクシズ教徒じゃないですよ。あんなおかしな宗教の信者になって、たまるかってんだ。

 

「サキュバスは、まあいいや。俺はこれで失礼する」

 

「……? どこに行くのだ? 今日はクエストに行くわけでもないので、ゆっくりしても良いのでは?」

 

「ちょっとウォルバクさんに用があってな。つっても、この娘絡みだけど」

 

それに不思議そうな顔をする面々。今更何を、といったところだろう。

 

「現状で、この娘の事を一番知ってるのはあの人だからな。何でも良いから、今の状態を解決する糸口が聞ければと思って」

 

流石に手ぶらでとはいかないので、酒場でカエルの唐揚げお持ち帰りセットを購入し、ウィズの店へと向かおうとしたのだが、

 

「……お姉さん達と一緒にいてくれないかなあ? ちょっと込み入った話になるかもしれないし……」

 

「…………」

 

俺がギルドから立ち去ろうと席を発ってすぐ、女の子が俺のズボンの裾を離してくれないのである。相変わらず無言の無表情ではあるが、握られている拳は結構力強い感じだ。

 

「何だったら、そっちの金髪のお兄さんや黒髪で片目を隠してるお兄さんに遊んで貰うといい。そっちのポニーテールのお姉さんに魔法見せてもらうとか……」

 

多分、言葉は通じてるはず。それでも手を離してはくれないらしい。

 

「あの金髪のお兄さんはあれで結構、子供好きだから――」

 

「ちょっと待て! 俺がそんなガキに興味あるわけねーだろ!」

 

「えー? だって、キャロには優しくしてただろ?」

 

文句言っているダストはともかく、やっぱり離れてくれない。もう仕方ないかな……。

 

「じゃあ一緒に行くか? ウォルバクさんは怖くないのかな?」

 

無言ではあるが、付いて行きたいのは何となく分かってしまう。俺と同時に横を歩いていたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「すいませーん! ウォルバクさんはいらっしゃいますかー?」

 

「あら、いらっしゃい。私に用って?」

 

ここはウィズ魔道具店。丁度、ウォルバクさんが店番をしていたらしい。ウィズも何やら奥で仕事をしているようだが、何故かすすり泣く声が聞こえる。……ここは、深く考えないでおこう。

お土産のカエルの唐揚げを渡し、ウォルバクさんに女の子と戦った当時の状況を詳しく聞いていたのだが、

 

「……そうね。確かに攻撃力以外にもおかしい部分はあったわ。例えば、どれだけ魔法を使ってもまるで魔力が枯渇しないのよ。普通なら魔力切れになっても、おかしくはないほどなのに」

 

「それも込みでの改造じゃないですか?」

 

「あれは人間の限界を遥かに超えているわ。いくらなんでもあり得ない。この娘は魔族ではないもの」

 

成程。魔力無限の特典とやらを持っているのなら、話は別だが……。この娘を随時注意深く見てはいるが、周囲の魔力素を根こそぎ吸い上げてるだのは、やってはいない。それなら……?

 

「ごめんなさいね。あまり役には立っていないかも知れないわ」

 

「そんな事はありませんよ。十分です。俺が魔王の娘さんと向き合ってた時も、止めに入ってくれましたし」

 

その後は、他愛もない雑談をしていたのだが、店の奥から出てきたのは、

 

「妻帯しているわけでもなく、子供が四人もできた子沢山よ。随分と暇そうであるな」

 

「なあなあ、そろそろ、その仮面にも飽きて来たんじゃないか? 良かったら、その額の文字を”Ⅲ”とか”Ⅳ”とか、それとも”(50)”にでもしてやろうか?」

 

にこにこ笑いながらも、目の前の仮面野郎に向かって気迫を叩きつけてはいるが、気にもならないといった様子であった。

ここで戦うわけにも行かず退散した方が良いかもといった、その時に店の入り口が開き、

 

「失礼します。バニ――」

 

その場に立っていた人物を見て、固まってしまったのであった。それは少しくせっ毛のショートカットに際どい服装。そして頭にはコウモリの羽の様な物が付いており、しっぽが生えていた少女であった。間違いなく、あの日に俺に淫夢を見せたサキュバスである。

あちらも俺を今にも泣きそうな顔で見つめた後で、一瞬で空へ飛んで逃げてしまった。自分も空に上がって追いかけようとも考えたが、足元には連れて来ていた女の子が佇んでいる。

 

……くっ!? この娘を連れて空を飛ぶのは流石に危険か……。

 

サキュバスの追跡を諦めて、バニルの方を向き直り、

 

「おい。正直に答えろ。さっきのは何だ?」

 

「ふむ。サキュバスであるな。あの者達は地獄においては我が領地の民である故、挨拶にでも来たのであろう」

 

「奴らの根城は?」

 

「知りたければ自分で調べるがいい! おおっと、貴様の様な凡骨警察に出来ればだがな。フハハハハ!」

 

絶対に教える気はねーな、この野郎!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バニルの挑発に何とか耐えながらも、屋敷に戻った俺はウィズ魔道具店での出来事について、みんなに相談していたのであった。

 

「つまり、サキュバスがこの街にいる可能性が極めて高いという事ですか?」

 

「だな。アクアの言う通りなら、あんまりよくない存在だろ? 俺も個人的な借りがあるし、探し回ってみようと思う」

 

あくまで個人的な行動なので、みんなには協力を要請するつもりは無かったのだが、

 

「悪魔退治なら私の出番よ! ドーンと任せておきなさい!」

 

アクアが腕を組み、胸を張りながら協力を申し出てくれた。

 

「エリス教徒としては捨て置けん。私も協力しよう」

 

どうやらダクネスも乗り気のようだ。いつものドMな気配を出さずに、真剣な眼差しであった。

 

「仕方ありませんね。街中で爆裂は無理ですが、聞き込み位なら私もできますよ」

 

「私もその程度なら出来ますし、もしもサキュバスを見つけた場合は、魔法で滅してみせます!」

 

めぐみんとゆんゆんも同行してくれるらしい。そして、後の一人はというと、

 

「お、俺は……遠慮したいな……。ほら、前に操られて、大変な目に遭ったし……」

 

カズマに関しては仕方ないか。もし、捜索中にまた操られたりしたら、それこそ一大事だ。

 

「すまん。用事を思い出した。ちょっと出てくるよ。もしかしたら、今日は帰らないかもしれない」

 

慌てて屋敷の外へ向かって行ったので、相当大事な用事だったのだろう。とりあえず、本格的な探索は明日にするという事で、話はまとまったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

屋敷から足早に街へと繰り出したカズマであったが、脇目も振らずに真っ直ぐに冒険者ギルドへと向かい、

 

「た、たた、大変だ! ついにあいつにバレた!!」

 

その一言で、ギルド内の男性冒険者は、全ての事情を察した様であった。

 

「それで、あいつは……どうするって?」

 

「とりあえず、探索は明日からにするらしい。だから、まずはあの店に行って、早く避難するように説明するぞ!」

 

ダストからの質問に即座に答えるカズマであった。その場の数人の冒険者達は、サキュバス達が経営する喫茶店へと向かって行った。そう……彼女達の全滅を防ぐ、そのために。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カズマを抜いた全員が、サキュバス探索に関しての注意事項を話し合っていたのだが、

 

「これって、冒険者ギルドに報告しなくていいのか?」

 

「確かに。それに関しては朝一番で、あちらの耳に入れておいた方が良いだろう。私が説明するので、探索は先に行っていてくれ」

 

こんな時には、ダクネスが頼りになる。今回はもしかしたら、この街に居を構えるダスティネス家としては、放っては置けない事態だろう。

 

「いい? サキュバスを見つけたら、容赦なく殺りなさい! それこそ手加減なしで!」

 

「とは言っても、街中で魔法ぶっぱはな……」

 

「だったら、ゴッドブローよ! そうすれば倒せるわ!」

 

ここはアクアの言う通りにするのが正解だろう。ありったけの魔力を込めた拳での攻撃。街に被害を出さずに討伐を成功させるには、それが一番だ。

 

「しかし、サキュバスは淫夢を見せ、男性にとっては手を出し難い存在とも聞きますが、ユウに倒せますか?」

 

「めぐみん……、確かにあの夢は……、説明は省くが、あれに囚われたら確かに不味いかもな。ただ……」

 

あの時は、はっきり言ってヤバかった。だって、いきなり脱ぎ始めるんですもん。フェイトさん……。

 

「それは、結局は夢だからな。いつかは覚めるし、現実を見なきゃいけないだろ?」

 

「……密かに魔王の娘のスリーサイズを、目測で測ってた人間が言っても説得力がありませんが……」

 

昼間の話題を根に持っていたらしい。ジト目で俺に責めるような視線を送っていたのであった。

 

「あのお姉さんは、現実だからセーフって事で」

 

「最低ですね、この男! 何ですか!? 変態という名の紳士にでも転向する気ですか!?」

 

「いや、ほら……。俺だってさ、あんなの間近で見せられたら……な?」

 

思わず、目を背けてしまったが、この場の男性は俺一人なので、皆さんのこちらを見る目がとても痛く感じます。

 

「あなたは今日は私と一緒に寝ましょう。この男は人畜無害な振りをした、ムッツリらしいですから」

 

注意事項も一通り終わり、めぐみんが女の子の手を引いて自室へと行こうとしていたのだが、

 

「……何で、俺の服まで掴んでるのかな? 今日はそっちで寝ると良いよ?」

 

それでも右手をめぐみんと繋いだまま、左手で掴んだ俺の服を離してくれないのであった。

 

「……今日も三人一緒が良いのですか?」

 

無言ではあるが、めぐみんの予想は正しいらしい。多分、このままだと誰も動けなくなってしまう。

 

「……はあ。仕方ありませんね。この娘に免じて許してあげますから、早く行きましょう」

 

これは何だろう? 俺って最近、この二人に私生活でのペースを握られっぱなしになってる気がする。ってか、いちいち許して貰んなきゃならないんだろうか?

 

そのまま、三人で俺の部屋に行き、またしてもベッドに並んで就寝していたのであった。

 




長くなりそうだったので、一旦ここで区切らせていただきます。
後編も出来るだけ早めに投稿するようにしますので、ご容赦下さい。
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