艦これ Short Story改《完結》   作:室賀小史郎

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陽炎型駆逐艦のみ。

少し真面目なシーン、独自解釈含みます。


艦これSS改106話

 

 ○○鎮守府、二一〇〇ーー

 

 駆逐艦寮、大部屋ーー

 

雪風「今夜は姉妹一緒のお布団で寝れますね〜♪」ギューッ

陽炎「ふふ、そうね♪」ナデナデ

 

時津風「こんな日はみんな一緒の方がいいよね〜♪」ヒシッ

黒潮「あはは、せやな〜♪」ポンポン

 

島風「大きなお布団と大きな枕ってなんかテンション上がる〜♪」ギュッ

親潮「そうだね♪」ムギュッ

 

 本日、寮の大部屋では陽炎型姉妹、そして姉妹同然の島風が一挙に集まって就寝する予定だ。

 どうしてこのようなことになったのかというと、今日は陽炎、黒潮、親潮が輸送作戦中にソロモン諸島クラ湾で触雷。黒潮はその場で沈没し、陽炎と親潮は航行不能となり、アメリカ軍機の攻撃を受けて沈没したという日だから。

 

 一九四三年・五月八日。

 当時の駆逐艦『陽炎』・『黒潮』・『親潮』の三隻は第十五駆逐隊として『コロンバンガラ輸送作戦』に従事し、計六回の作戦中、一回目と三回目に参加し着実に成果をあげていた。

 そして運命の五回目が実施されたこの日。

 行きは何事もなくスムーズに輸送することが出来たが、帰りが問題だった。

 これまで音沙汰なく順調に輸送が出来ていた本作戦だったが、何度も同じ航路を行き来していたため、ついにアメリカ軍の機雷敷設艦によって航路に機雷を設置されてしまったのだ。

 

 この機雷に最初に接触してましったのが親潮で、親潮はこれにより航行不能となってしまった。

 親潮が突如航行不能となったのを見た陽炎と黒潮は敵潜水艦からの魚雷攻撃と勘違いし、揃って爆雷を投下するも次の瞬間に陽炎が接触。これにより陽炎も航行不能となった。

 黒潮は二隻から距離が離れていたが、運が悪く機雷群へ突っ込んでしまったために三つの機雷に接触し、瞬く間に海へその姿を消した。

 

 随伴する艦が次々と沈む中、陽炎と親潮はただ沖を漂うことしか出来なかった。

 そんな二隻にアメリカ軍の戦闘機がとどめを刺しにきた。

 動くことは出来なくとも、二隻は機銃を使って必死に抵抗しその場を切り抜けることが出来、幸いにもその日の天気は悪く第二攻撃はなかった。

 しかしその後、半日以上粘ったもののその願いは叶わず、陽炎がその身を海へ沈めていき、親潮も徐々に海へと沈んでいくこととなった。

 幸い生存者は多かったものの、日本海軍の駆逐艦の完成形であった陽炎型三隻が揃う第十五駆逐隊は一日……半日で全滅するという結果を負うことになってしまったのだ。

 

 今年もそのような日を迎えた陽炎達は昨年同様、姉妹揃って大部屋で過ごすことになった。

 

 そして、

 

提督「遅くなってすまない」ニコッ

 

 提督も一緒に寝ることになっていて、今到着した提督はドアから顔だけをみんなへ見せる。

 

 これは雪風と時津風が提督にお願いしたこと。

 陽炎、黒潮、親潮と三人の大切な日には、やはりみんなが信頼する提督も一緒にというのが雪風達の考えだから。

 

初風「いらっしゃい、提督さん♡」ニッコリ

不知火「大丈夫です♡」キラキラ

浦風「うちらも今落ち着いたとこで♡」ニコニコ

 

 LOVE勢の不知火達がそう提督に声をかける中、

 

磯風「司令の布団は私の隣だ♡」

 

 公平なじゃんけんの結果、提督の隣(提督はいつも窓際の位置)を獲得した磯風が提督が眠る布団をポフポフと叩いた。

 

 すると提督がわざとらしく「フッフッフ」と笑う。

 そんな提督にみんなが小首を傾げると、提督がちゃんと大部屋へ入ってきた。

 その瞬間、みんなの表情が一変する。

 

提督「時間が時間だが、このような日くらいはいいだろうと思ってな。間宮さん達に頼んでバケツパフェを作ってもらったんだ」ニコッ

 

 提督が陽炎達のために夜の甘いプレゼントを持ってきたのだ。

 大きなバケツの中には色とりどりのアイス、フルーツ、そして生クリームやチョコレートソースがかかっていて、これにはみんな大興奮。

 

陽炎「サンキュ、司令♪ とっても嬉しいわ♪」

黒潮「おおきに司令はん! めっちゃ嬉しい!」

親潮「ありがとうございます♪ 凄く嬉しいです♪」

 

 三人がそう言って提督に満面の笑みを浮かべると、提督はそれぞれの頭を優しく撫でた。

 それから布団を一時退かし、陽炎達はバケツパフェを食べることに。

 

谷風「ん〜、夜に食べるアイスってお得な感じがするね〜♪」

浜風「ふふふ、その気持ち分かるわ」モキュモキュ

野分「美味しい♪」アムアム

舞風「ウエハースでアイス食べるの好き〜♪」シャクシャク

嵐「俺も俺も〜♪」ガツガツ

萩風「食べたあとはちゃんと歯磨きしなきゃね♪」モグモグ

秋雲「そんなの今はいいっしょ〜♪ 今はパフェだよ、パフェ♪」アムアム

 

 みんな思い思いにパフェを食べる中、LOVE勢である浦風達は提督の側に侍っていた。

 

浦風「流石は提督さんじゃぁね〜♡」

磯風「司令は常に完璧だな♡」

不知火「それが不知火達の司令だからね♡」

初風「完璧って提督さんのためにあるような言葉よね♡」

提督「そう持ち上げないでくれ」ニガワライ

 

島風「天津風は提督のところに行かないの?」

天津風「い、行けるわけないでしょ!?////」

時津風「相変わらず天津風は恥ずかしがり屋だね〜」ニガワライ

雪風「好きなら好きって言うべきですよ〜?」

天津風「無理!////」

時津風「雪風の好きと天津風の好きは違うからね〜」

 

 時津風の言葉に雪風は「?(・ϖ・)?(こんな)」顔を浮かべて首を傾げるので、時津風が詳しく話そうとすると天津風が時津風の口をアイスで塞ぐのだった。

 

 そんないつも通りの姉妹達を見ていた陽炎達。

 

黒潮「なはは♪ なんや今年もえらい賑やかな日になったな〜♪」

 

 黒潮がそう言って笑い出すと、陽炎と親潮も同意するように笑い声をもらす。

 

陽炎「ふふ、全くよ♪ 大人しいのは黙祷の時くらいね♪」アハハ

親潮「でもいつも通りって幸せなことなのだと、そう実感します」クスクス

黒潮「せやな〜……今日があの日なんて嘘みたいやわ」

陽炎「あの日はあの日で忘れない。どんなに時が過ぎても……」

親潮「はい……あの時のことを胸に、艦娘となった今を頑張りましょう」

 

 そう誓い合った三人。そんな三人を提督は見つめ、その思いを叶えられるように努力しようと決意を新たにするのだったーー。




今日は本編に書きました通り、駆逐艦『陽炎』・『黒潮』・『親潮』が沈んでしまった日なので、そのことを取り上げました。

なお、陽炎と黒潮は太平洋戦争において第二水雷戦隊所属期間がどちらも歴代第二位となっています。
因みに一位は長波です。

本編、後書きの情報は『大日本帝国海軍 所属艦艇』より得ました。

この日に沈んでしまった陽炎、黒潮、親潮。そしてその三隻と運命を共にした英霊の方々に心からお祈りします。

読んで頂き本当にありがとうございました!
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