艦これ Short Story改《完結》   作:室賀小史郎

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大切な君の特別な日。の談。

少し真面目なシーン、キャラ崩壊、独自解釈、独自設定含みます。


艦これSS改111話

 

 ○○鎮守府、一八〇〇ーー

 

 鎮守府本館、一階フロアーー

 

電「響お姉ちゃん、歩き難いのですぅ」ヨロヨロ

響「ごめん、電。でも今日は……今日だけは電から離れたくないんだ」ギューッ

 

 フロアへ入ってきた暁型姉妹達。その中でも電の左腕をガッチリと抱えて離れようとしない響。

 そんな二人を暁と雷は苦笑いを浮かべて眺めるしか出来ない。

 

電「ここは陸ですし、鎮守府の中だから心配しなくても大丈夫なのです」ニガワライ

響「ごめん、電。今日だけは私のわがままを聞いてほしい」

電「響お姉ちゃんが電の妹になったみたいなのです♪」

響「ならこの日だけは私は電の妹になろう」

 

 響の言葉に電は「響お姉ちゃんは響お姉ちゃんなのですぅ〜!」とアタフタさせられた。

 

 どうして響がこんなにも電から離れようとしないのかというと、今日は電が船団護衛中にセレベス海西部でアメリカ潜水艦の雷撃を受け沈没してしまった日だから。

 

 一九四四年・五月十四日。

 当時の駆逐艦『電』はガダルカナル島やキスカ島、トラック泊地、そして本土との輸送任務に明け暮れ、激務をこなしていた。

 

 そしてこの日も電は姉である『響』と共に『ヒ六一船団』の護衛を遂行していた。

 道中で三隻の輸送船は第一機動部隊への補給のため、電と響がその三隻を護衛し、マニラ湾へと寄港。

 マニラを出港後、電、響と輸送船三隻はバリクパパンへ向かうこととなった。編成は先頭に響、続いて電という並び。

 

 一方、その船団を狙う影があった。

 その影の正体はアメリカ潜水艦『ボーンフィッシュ』。

 ボーンフィッシュはその狙いを三隻目の輸送船へ定め、五本の魚雷を発射。因みに六本目は故障により発射出来なかったと記録が残っている。

 

 その時、電は響と先頭を交代することになり、電、響の並びとなっていた。

 それはボーンフィッシュの魚雷が到達する、わずか三〇分前のことだった。

 

 そして電に突如として激震が走る。

 艦中部と後部に一本ずつの魚雷を受けた電は急速に右舷に傾き、そして二つに分断され、被雷からたった二分後には沈没してしまい、あっという間のことで響もボーンフィッシュを見つけることが出来ず、電の乗組員の半分以上である一六九名が電と運命を共にしたのだった。

 

 それは同日の未明に起こったことで、鎮守府では提督を中心に早朝から埠頭で多くの者が黙祷を捧げた。

 去年も同じように黙祷を捧げ、そして響も去年同様、電にくっついて離れようとしない。

 

 響にとって目の前で沈んでいった妹が心配で、この日だけは電から目を離そうとはしないのだ。

 

暁「響〜、気持ちは分かるけど、司令官の前では手を繋ぐくらいにしてよね?」

雷「そうよ〜? それに電は今日は特に司令官とくっつきたいんだから♪」

 

 雷がそう言って電に「ね〜?♪」と声をかけると、電は顔を真っ赤にしてそっぽを向く。

 

響「それは重々承知してるさ。今日は電の日だからね。司令官だって電と過ごしたいから、こうして夕飯に電と私達も呼んでくれたんだろう?」

暁「電は初期艦だから司令官も今日は特に電に優しいもんね〜。羨ましいわ」ムゥ

雷「拗ねない拗ねない。れでーが聞いて呆れるわよ?」フフリ

暁「暁はレディよ!」プンスカ

響「はいはい、レディレディ〜」

暁「(≧д≦)」ムキーッ

電「まあまあ、暁お姉ちゃん」ドォドォ

 

 そんなこんなで電達は提督が待つ執務室へ向かうのだった。

 

 

 執務室ーー

 

電「失礼します」

暁・響・雷『失礼しま〜す』

 

提督「おぉ、よく来てくれた。誘ったのは私の方なのに迎えへ行けず、来てもらって申し訳ない」

 

 執務室へ入ると、提督が笑顔で電達を迎えた。

 

電「いえ、お心遣いだけでも嬉しいです。司令官さんは今の時期はお忙しいのに……」

提督「何を言う、私と電の仲じゃないか。今この書類が片付くから、そうしたら食堂でも鳳翔のところでも好きなところで私がご馳走するよ」ニッコリ

 

 勿論、暁達にもな。と提督が付け加えると、それだけで暁達は胸がキューンと高鳴る。

 

雷「相変わらず素敵ね♡」ヒソ

響「それが私の司令官さ♡」ヒソヒソ

暁「響のじゃなくて、()()()司令官よ!////

電「なのです!////」コクコク

 

提督「?」

 

 暁達の反応に提督は首を傾げるが、みんな揃って「何でもない」と言った感じに笑ったので、提督はそれ以上きにしないようにして書類に目をやった。

 その間、みんなはソファーに座り、提督が書類を片付けるのを待つことに。

 

提督「あぁ、そうだ、待っている間は暇だろう。これを貸してあげよう」

 

 そう言って提督は引き出しからA4サイズの本を出した。

 透かさず雷がそれを受け取りに行って中を確認すると、

 

雷「わっ! これ司令官が着任した頃のアルバムだわ!」

 

 雷の言葉に他の三人もわっと集まる。

 

暁「ホントだわ! まだ司令官と電だけしかいない!」

響「鎮守府の正門で二人きりで記念撮影とか、羨まし過ぎる」グヌヌ

雷「こっちなんてお姫様抱っこで撮ってる〜!」ズルーイ!

電「はわわ、そんなに見ちゃダメなのです〜!////」

 (妖精さんに撮られてたなんて知らなかったのですぅ////)

 

 姉三人に二人きりのハートフルメモリーを覗かれる電は、思わず提督に「どうしてこんなアルバム出すんですか!////」と怒ったように抗議してしまった。

 

 しかし、

 

提督「何も恥ずべきことはない。これは私と電が歩んだ素敵な思い出の数々なのだからな」

 

 と平然と返されてしまい、それもとても嬉しい言葉だったので電は顔を真っ赤にして、両足をバタバタさせるしか出来なかった。

 

 そして終いには、

 

電「今日は恥ずかしい思いをさせられたので、食堂でフルーツパフェいっぱい食べちゃうのです〜!////」

 

 とそれはそれは可愛いを宣言した。

 この電の天使とも思える抗議に、提督や暁達はほっこりと和み、自然に電の頭を撫でるのだった。

 

 その後はみんなで食堂に向かい、電は大好きな提督や暁達と楽しい食卓を囲み、今日と言う日を笑顔で終えたーー。




今日は本編に書きました通り電ちゃんの特別な日です。
本編に書きました情報はWikipedia、『大日本帝国海軍 所属艦艇』より得ました。

この日に沈んでしまった駆逐艦『電』とその電と運命を共にした多くの英霊の方々に心からお祈りします。

読んで頂き本当にありがとうございました!
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