艦これ Short Story改《完結》   作:室賀小史郎

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妙高型重巡洋艦メイン。

少し真面目なシーン、キャラ崩壊、独自設定、独自解釈含みます。


艦これSS改113話

 

 ○○鎮守府、一九〇〇ーー

 

 重巡洋艦寮、妙高型姉妹部屋ーー

 

足柄「さぁ、どんどん食べてね♪ じゃんじゃんバリバリ揚げちゃうんだから♪」

 

 エプロン姿の足柄からの威勢良い言葉にその場に集まった者達は元気に返事をし、足柄特製揚げ物パーティはとても盛り上がっていた。

 

 部屋には妙高型姉妹だけでなく、神風型姉妹も一緒だ。

 そして勿論、

 

提督「さぁ羽黒、どれから食べたいんだ?」ニコニコ

羽黒「えっと……じゃ、じゃあ、そこのササミチーズフライをください♡////」エヘヘ

 

 提督も一緒である。

 

 本日、五月十六日は羽黒にとって特別な日。

 だから提督や姉妹、戦友代表で神風型姉妹が羽黒のためにパーティを開いたのだ。

 

 一九四五年・同日。この日の夜、マラッカ海峡内にあるペナン島沖で日本海軍はイギリス海軍との間で日本海軍最後の水上戦となった『ペナン島沖海戦』が勃発。

 重巡洋艦『羽黒』はこの海戦でイギリス駆逐艦『ヴィジラント』・『ヴィーナス』・『ヴィラーゴ』・『ヴェルラム』・『ソーマレス』からなる駆逐隊の集中砲火により沈没してしまったのだ。

 

 この時の情勢は第二次世界大戦が終結し、ドイツを下したイギリスが太平洋戦争へ戦力を集中しはじめました頃の出来事だった。

 それに備えて兵員を輸送している時、羽黒は既にイギリス潜水艦『ステイツマン』と『サトル』にその動向を察知されていた。

 その場で攻撃はせず、イギリス軍は羽黒を中心とする輸送船団の撃破へ動くことにした。

 

 この時の羽黒は、先の『レイテ沖海戦』での損傷が修復されておらず、燃料も乏しい中、更なる輸送物資の積載重視のために魚雷発射管撤去、弾薬も半分と、最低限の攻撃手段しか持っていないという状態だった。

 そんな中でも羽黒は輸送任務を果たそうと、なんとか監視するイギリス軍を撹乱。共に任務に就いていた駆逐艦『神風』も煙幕を張って羽黒を隠そうとするもレーダーの前では意味をなさなかった。陽動に釣られる気配がないと分かると、羽黒は作戦を中止してシンガポールへ引き返すことを決めた。

 

 しかし辺りが暗くなった時、それを契機として突撃してきたのが、イギリス軍水雷戦隊だった。

 いくら優勢とはいえ相手は重巡、しかし夜ならばと、イギリス軍はここまで攻撃を我慢していたのだ。

 

 羽黒は攻撃しようにも辺りは物資だらけで、砲塔の回転すら苦労する悪条件の中で必死に戦うも、魚雷が遂に命中、更には甲板に出ていたドラム缶の燃料が引火して大炎上してしまった。

 

 しかし羽黒はそれでも攻撃を止めなかった。

 総員退去命令が出されたが、殆どの乗員は命令を無視。二度目の被雷によって遂に電源が停止するも、それでも高角砲を人力で動かし、主砲からは砲弾がひっきりなしに放たれた。

 

 炎に包まれた羽黒は停止してから一時間ものあいだ奮戦するも、四度目の被雷によって徐々に艦首を沈めていった。

 日付が変わった真夜中、退避していた神風が羽黒の生存者達を救助し、羽黒の奮戦ぶりは「阿修羅の如し」と記録された。

 

 羽黒や姉達、そして神風にとって辛い日ではあるものの、羽黒はみんなからの気持ちや提督の心遣いで今日という日も笑顔で過ごすことが出来ている。

 

 すると、

 

神風「あ、あの、羽黒さん……////」モジモジ

 

 可愛らしいハート型の白いエプロン姿の神風が羽黒の元へやってきた。

 

羽黒「どうしたの、神風ちゃん?」

神風「えっと……そのぉ、わ、私も足柄さんに教わって揚げ物を作ったんですけど……食べてくれますか?////」

羽黒「勿論♪ 神風ちゃんの手料理食べたいなぁ」ニコッ

神風「。.:*・'(*°ω°*)'・*:.。」パァ

 

足柄「羽黒に食べさせたいんだって、頑張って揚げたのよ?」ニシシ

妙高「心して食べなくてはいけないわね」フフフ

那智「これは下手な世辞も言えないな」フッ

羽黒「しっかりと頂きます!」フンス

神風「そ、そんなにハードル上げないでください!////」

 

 神風がそう声を張り上げると、

 

朝風「神風姉、もしかして自信ないの〜?」ニヤニヤ

松風「いつもの姉貴風はどこにいったやら」フフフ

春風「いつものようにしゃんとなさってください」クスクス

 

 妹達にもヤジを飛ばされてしまった。

 そのせいで神風は「うぅぅぅ〜……////」と俯いてしまったが、

 

神風「っし! 女は度胸よ!」

 

 すぐに気合を入れ直し、羽黒の前に揚げたての揚げ物が乗ったお皿を置いた。

 

神風「肉じゃら……あぅ……肉じゃがコロッケです!//// 食べてください!////」カオマッカ

 

 盛大に言葉を噛んだ神風だが、そのことを誰も笑うことなく羽黒は「頂きます♪」と丁寧に両手を合わせて神風特製「肉じゃがコロッケ」を一口食べる。

 サクッとした衣が小気味よい音を出し、肉じゃがのほんのりと甘い香りが口いっぱいに広がった。

 

羽黒「…………」サクサク

神風「…………////」ドキドキ

羽黒「ごくん……美味しい」

神風「え」

羽黒「美味しい! すっごく美味しいよ、神風ちゃん!」ニッコリ

神風「本当、ですか?」オズオズ

羽黒「うん♪ 肉じゃがの味もちゃんと残ってて、本当に美味しいよ♪」

 

 羽黒は神風にそう言って神風が作ったコロッケをまた口に含んで、美味しそうに顔をほころばせる。

 それを見て、やっと神風は実感が湧いてきた。

 

神風「やった……やった〜♪」ピョンピョン

 

朝風「あはは、良かったわね、神風姉♪」

春風「羽黒さんだけでなく、神風姉様も大喜びですね」フフフ

松風「最初から心配する必要なんてなかったのさ」アハハ

 

妙高「良かったわね、羽黒」ニッコリ

那智「いい光景だな」ウンウン

足柄「今日という日にピッタリの画ね♪」

 

神風「もっと食べますか、羽黒さん?」キラキラ

羽黒「うん、もっと食べたいな」ニッコリ

神風「なら、今持ってきますね!」

 

朝風「神風姉〜、私達の分も〜!」ノシ

松風「慌てて転けるなよ〜!」ノシ

春風「運ぶのお手伝いしますわ」ニコッ

 

提督「…………」フフ

 

 みんなの笑顔あふれる光景を目の当たりにし、提督は思わず微笑んだ。

 そして窓の外へ視線を移すと、月が綺麗に夜空へ浮かんでいた。

 

提督(辛い日であれど、このように過ごせるというのは喜ばしいことだな)

 

神風「司令官! 司令官も私のコロッケ食べて!」ニパー

羽黒「とっても美味しいですよ♪」ニコニコ

提督「あぁ、勿論、頂くよ」アハハ

 

 こうして提督もその笑顔の輪へ加わるのだったーー。




本編に書きました通り、今日は羽黒さんにとって特別な日なのでそのことを書きました。

因みに本編に組み込めなかったのですが、神風の乗員の手記にはこうあります。

「この作戦後、羽黒は浮き砲台になる予定だった。スラバヤ、バタビヤ、ミッドウェー、ソロモン、ブーゲンビル、サイパン、レイテと羽黒は海の勇者とともにあったと思った。単なる鉄の塊でなく、羽黒はしだいに魂を持つようになったと。セレター軍港奥深く着底して、死に体のようになって、朽ち果てることをいさぎよしとしなかったように思われた。生ある者のように、魂ある者のように、青く澄んだ印度洋の海原に躍り出てきたとしか思えなかった。」

妙高型の中でも最も過酷だった重巡洋艦『羽黒』ですが、幸運エピソードも多く、その姿は日本人は勿論、世界にも大きな存在感を示した艦でした。

本編中、後書きの情報はWikipedia「ペナン島沖海戦」ページ、『大日本帝国海軍 所属艦艇』より得ました。

この日に沈んでしまった重巡洋艦『羽黒』と羽黒と運命を共にした英霊の方々に心からのお祈りします。

読んで頂き本当にありがとうございました!
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