艦これ Short Story改《完結》   作:室賀小史郎

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朝潮型駆逐艦、空母メイン。

少し真面目なシーン、キャラ崩壊、独自解釈、独自設定含みます。


艦これSS改44話

 

 ○○鎮守府、一四〇〇ーー

 

 中庭ーー

 

大潮「父上〜♪ 全速全身です〜♪」

提督「お〜、任せなさい」

 

 提督は大潮を肩車して中庭で楽しく過ごしていた。

 

荒潮「うふふ、大潮ちゃんったら相変わらずね〜♪」

朝潮「肩車してもらうためにスパッツまで履く周到性だからね」ニガワライ

満潮「いや、その前になんで大潮は司令官のことを父上なんて呼んでるのよ」

 

 第八駆逐隊はそんな提督と大潮の戯れを眺めている。

 

朝潮「大潮は『提督はパパ倶楽部』の会員だから今は父上呼びなのでは?」

満潮「いやそうじゃなくて、なんであんなに古風なのって話よ」

荒潮「時代劇が好きだからじゃなぁい?」

朝潮「大潮も霰と同じように時代劇大好きだからね」フフフ

満潮「だからってそう呼ぶ、普通?」ニガワライ

  (でも霰は司令官のことはお父さん呼びなのよね……)

 

 どうして大潮が提督を今は父上と呼んでいるのかというと、今日は大潮にとって特別な日だからである。

 

 一九四三年のこの日は駆逐艦『大潮』が沈んでしまった日なのだ。

 大潮は前日二十日の輸送船護衛の最中、アドミラルティ諸島のマヌス島沖に潜んでいたアメリカ潜水艦『アルバコア』の魚雷を受けた。

 その内の一本は大潮の右舷前部機械室付近に命中、そこには十m程の大穴が空き、第三缶室が瞬く間に水浸、それにより航行不能になってしまった。

 その後、大潮は姉妹艦『荒潮』に曳航されてトラック泊地へと避難を開始。しかし二月二十一日の朝、曳航中に大潮の船体は中央部で断裂し、その身を海へ沈めていった。

 あの「バリ島沖海戦」でABDA連合艦隊へ勝利の突破口を切り開き、「ガダルカナル島撤退作戦」で三度の輸送作戦に従事した大潮だったが、この日に艦としての責務を終えたのだ。

 

 そんな大潮に提督は笑顔で過ごしてほしいと思い、こうして仕事の合間を使って大潮と触れ合っている。

 今は遠征任務で席を外しているが、朝潮達以外の他の姉妹達も午前中は大潮と一緒に過ごし、大潮はいつもより笑顔が溢れていた。

 

大潮「あ、父上」ポフポフ

提督「ん、どうした?」

大潮「そろそろお仕事に戻る頃じゃないですか?」

 

 大潮の言葉に提督はポケットから懐中時計を取り出して確認すると、確かにそろそろ戻る時間だった。

 

提督「もうこんな時間か。教えてくれてありがとう、大潮」ニコッ

大潮「いえいえ♪」

提督「では執務室へ行こうか」

大潮「はい♪」

 

朝潮「司令官、朝潮も共に参ります。少しでもお手伝いします」ケイレイ

荒潮「私も一緒に行くわ〜♪」ノシ

満潮「わ、私も暇だから行くわ////」

 

 提督は朝潮達の申し出にお礼を言うと、みんなと共に執務室へ向かって歩き出した。

 

 

 その頃、執務室ではーー

 

鳳翔「ん〜……作戦も終わって、その後の書類仕事も一段落。今日も平和ね」ホッコリ

 

 本日秘書艦任務についている鳳翔が提督達の帰りを待っていた。

 今日は大潮のこともあるので、鳳翔は提督が大潮と触れ合える時間が出来るようにサポートし、今も提督達が帰ってきたらお茶が出せるようにスタンバっている。

 

鳳翔「寒くても日差しはポカポカで過ごしやすいですね……」ウト

 

 しかしどんなに完璧な鳳翔でも、温かい部屋、温かい日差し、静かな空間、ふかふかソファーという好条件が揃うとウトウトしてしまう。更に加えて平和な昼下がりなら尚更。

 

鳳翔(あぁ、睡魔さんが……私の瞼を封じに……来て、い……)

 

 そこで鳳翔の意識は途切れてしまった。

 

 ーー

 

 それからほんの数分後、提督達が執務室に戻ってきた。

 

提督「今戻tーー」

 

 提督や朝潮達は鳳翔が眠っていることに気が付き、すぐに口を閉じ、互いにアイコンタクトを交わして静かに行動を開始。

 

 朝潮と満潮は提督の書類整理を静かに遂行し、大潮と荒潮は鳳翔へ毛布をかける。

 

大潮「…………」

 

 すると大潮は何を思ったか、毛布に入って鳳翔の隣に寄り添うように座ったのだ。

 

荒潮「大潮ちゃん、何してるの?

 

 そんな大潮に荒潮が小声で訊ねると、大潮は「この方が温かいから♪」と返し、鳳翔にヒシッと抱きついく。

 

荒潮「…………♪」ニコッ

 

 すると荒潮も大潮とは反対側に座り、鳳翔にピタッとくっついた。

 

荒潮「鳳翔さん、いつもお疲れ様♪」ギューッ

大潮「今日、父上と遊べるようにしてくれたお礼です♪」ギューッ

 

 二人は鳳翔にそうささやき、鳳翔に寄り添う。

 

提督「微笑ましいな」フフ

朝潮「えぇ、本当に」クスクス

満潮「よくやるわ」ヤレヤレ

 

 そんな二人の行動を提督や朝潮は微笑ましく眺め、満潮は呆れながらも二人を穏やかに眺めるのだった。

 

 

 そして時は流れ、一五三〇過ぎーー

 

鳳翔「ん……あらやだ、私ったらついーー」

 

提督「おぉ、起きたか鳳翔?」

 

鳳翔「え、えぇ!? て、提督!? もしかして私……〜〜っ!!」

 

 鳳翔はようやく状況を理解したのか、言葉にならない声を珍しくあげて立ち上がろうとする。

 

鳳翔「あ、あら?」

 

 しかし鳳翔はすんなり立ち上がることが出来なかった。

 そんな鳳翔を見て、朝潮が「す、すみません」と言って鳳翔に謝る。

 

満潮「自分の下と右を見れば分かるわよ」

 

 満潮の言葉に鳳翔は一先ず下の方を確認すると、

 

大潮「くぅ……くぅ……」Zzz

 

 大潮が鳳翔の膝の上に頭を乗せて、規則正しい寝息を刻んでいた。

 それを見た鳳翔は「あらあら」と言いつつ、今度は自分の右側へ目をやると、

 

荒潮「すぅ……すぅ……」Zzz

 

 荒潮が鳳翔の右腕に抱きついたまま、大潮と同じく規則正しい寝息を刻んでいる。

 

提督「二人共、鳳翔につられて眠ってしまったようだ」

鳳翔「も、申し訳御座いません……私ったら////」

提督「いや、謝る必要はない。寧ろ普段しっかりしている鳳翔の居眠りシーンという貴重な場面を見れたのはラッキーな出来事だ」フフフ

鳳翔「もぉ、そんな意地悪なことを言わないでください……////」カァー

 

 鳳翔はそう言うと空いている左手で熱くなっていく頬を抑えた。

 

満潮「はいはい、夫婦漫才してないで起きたならお茶にしましょ」

 

 満潮はそう言って手を叩き、未だ眠っている大潮と荒潮を起こした。

 二人は起きると、提督達や鳳翔におはよう、などと挨拶してまどろみつつも笑顔を見せる。

 

大潮「鳳翔さんポカポカしてて眠っちゃいました〜」アフ

荒潮「睡魔には勝てなかったわ〜」ノビー

朝潮「ふふ、鳳翔さんと一緒にぐっすりだったものね」

満潮「母娘みたいだったわよ」クスクス

鳳翔「私、子どもなんていません!////」

大潮「司令官が揃えば、父上と母上ですね♪」

鳳翔「大潮ちゃんっ!?////」

提督「はは、私に鳳翔は勿体無い奥さんだな」

鳳翔「提督まで……はぅ〜♡////」

満潮「はいはいはい、そこまで!」ストップ

 

 こうして今日という日を大潮はみんなと笑顔で現在(いま)という大切な時間を過ごすのだったーー。




今日は本編に書きました通り、駆逐艦『大潮』が沈んでしまった日ですが、今回は少しほのぼのとした風景も取り入れました。

駆逐艦『大潮』と英霊の方々に心からお祈りします。

本編中の情報はWikipediaと『大日本帝国海軍 所属艦艇』より得ました。

読んで頂き本当にありがとうございました!
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