キャラ崩壊、ガムシロップ二個分ほど含みます。
いつもより少し長めです。
○○鎮守府、一八三〇ーー
執務室ーー
提督「すぅ……はぁ〜……」
本日の仕事を終え、提督は窓の側で仕事終わりの一服を嗜んでいた。
日が海の中へと姿を消し、昼間の海とはまた違う執務室からの景色。これから食堂に向かう者、もう食べ終わり寮へ戻る者、酒保で買い物をして寮へ戻る者と様々だ。
提督は今日も全員が生還したことに安堵し、再び肺に溜めた煙を朧月に向かって吐く。
すると執務室のドアがノックされた。ノックされた音は二つで、一つは丁寧、もう一つはどこか豪快だった。
提督「開いているよ。入りなさい」
提督は煙草の火を消しながら声をかけると、開いたドアから時雨と夕立が入ってくる。
時雨「入渠終わったよ、提督♡」ニコッ
夕立「また提督さんのために頑張るっぽい♡」㌰㌰
二人は満面の笑みを浮かべて提督に報告すると、提督は「そうか」とホッと一息吐いた。
この二人は本日の午後の出撃で大破に限りなく近い中破という状態で帰ってきたのだ。
トラック泊地沖に潜む残存勢力を掃討する出撃だったが、時雨や夕立という当鎮守府でもトップクラスの駆逐艦が中破させられるくらいまだまだ安心は出来ない。
提督は傷を負って戻ってくる艦娘達を見る度に、本当ならば共に出撃して守ってやりたかったと、思っている。しかし、出撃だけが提督の仕事ではない。
それはこの鎮守府の運営だ……闘い、傷付いた彼女達の帰るべき場所を維持すること。それが『提督』なのだ。
提督「本当によく戻ってきた……お帰り、時雨、夕立……」ギュッ
提督は二人に歩み寄り、その決して大きくない身体を大切に、そして優しく抱きしめる。
ドックで修復すれば傷や痛みは必ず癒えるとは言え、傷付いた時の痛みや思いは彼女達の記憶に……心にしっかりと残る。
身体は癒えても心までドックでは癒やせない。
この鎮守府にはまだいないが、戦闘のショックから二度と海に立てなくなってしまった艦娘もいる。
だからこそ提督はちゃんと生還し、これまでと何ら変わりない笑顔を見せる二人を抱きしめたのだ。
勿論この二人のことだけでなく、提督はこの鎮守府に所属する全員のことを常に考えている。
夕立「えへへ〜、提督さんにぎゅ〜ってされるの、すっごく幸せ〜♡」アタマグリグリ
時雨「あるべき所に帰ってきたって思える瞬間だね♡」スリスリ
提督「守ってやれなくてすまなかった」
時雨「提督が謝る必要ないよ……そもそも提督は前線に出過ぎなくらいさ」フフフ
夕立「そ〜だよ〜! 提督さんと出撃出来るのは嬉しいけど、やっぱり心配だもん!」
提督「気まで遣わせてすまない」ニガワライ
二人の言葉に提督が再度謝ると、二人は「また謝った」と言って提督をたしなめた。
時雨も夕立も提督に謝ってほしくないのだ。それは提督がどんな気持ちで自分達を思い、戦地に送り出し、母港で迎えてくれているのかを身を持って理解しているから。
そもそも鎮守府を預かる最高司令官が前線に赴くということ自体がかなり異例であり、それは限られた者にしか出来ないこと。
それに加えてここの提督は艦娘達をその身を呈して守ってくれる。
艦娘達を兵器と見ている者も少なからずいる中、こんなにも自分達に愛情を注ぎ、受け止めてくれる者がいるだろうか。
それは探せばいるだろう。現に提督の友人達がそうであるように……。
しかし、二人にとっては……この鎮守府の艦娘達にとっては、これ以上信頼出来る相手はいないし、出てこない。
だから二人は提督に謝ってほしくないのだ。
夕立「提督さんの匂い、好き〜♡」クンクン
提督「はは、煙草臭いの間違いだろう?」
夕立「そんなことないもん!」
提督の言葉に夕立が全力で否定すると、今度は時雨が口を開く。
時雨「煙の臭いなんて全部鼻にツンとくるものさ。それは硝煙もボイラーで出る煙も……全部同じ。でも僕はこの匂いの方が落ち着く……「僕の提督だ」って「帰ってきたんだ」って実感出来るから」ニッコリ
提督「そうか……ありがとうな、二人共」ナデナデ
提督はそう言って二人の髪を梳くように優しく撫でると、二人は嬉しそうに頬を緩める。心なしか二人のピョコンと跳ねている髪がピコピコと震えているようにも見えた。
提督「さて、入渠報告もきっちりと確認した。時間も時間だから二人は寮へ戻りなさい。白露達も二人が帰るのを待っているだろう」ニコッ
そう言って二人に戻るよう促した提督だったが、夕立は「もうちょっとこのまま〜♡」と言って提督から離れようとしない。
更には普段聞き分けの良い時雨も「なら僕も♡」と、提督にピッタリと抱きついて離れなかった。
提督はそんな二人を見て「もう少しだけだぞ?」と言って、二人に抱きつかれたままソファーへ移る。このままよりは座って甘やかした方が二人共疲れないだろうと判断してのことだ。
提督がソファーへ腰を下ろすと、時雨を右の太もも、夕立は左とそれぞれ自分の太ももを提供し、二人は頭を預ける。
夕立「えへへ〜、提督さんの膝枕〜♡」スリスリ
時雨「流石僕の提督だね、期待以上だよ♡」ゴマンエツ
提督「それは何よりだ」ナデナデ
夕立「ぽい〜……このまま寝ちゃいそ〜♡」
提督「夕飯はどうするんだ?」
時雨「食べ損ねちゃうよ? インスタント食品でいいなら止めないけど」クスッ
夕立「寝てられないっぽい!」フンス
時雨「あはは、なら今は提督の撫で撫でを満喫しよう♪」
夕立「!」コクコク
時雨の言葉に夕立は一生懸命頷きを返す。そんな二人を提督は微笑ましく見つめ、そのまま優しく二人の頭を撫でてやった。
提督「時雨の髪は相変わらず綺麗な髪をしているな。撫でているこちらも心地いい」ナデナデ
時雨「提督がそうやって褒めてくれるから、髪の手入れは欠かさずしてるんだよ♡」
提督「私が褒めなくても手入れはしっかりやりなさい。こんなに綺麗な髪なのだからな」ニコッ
時雨「うん♡ また今度櫛で梳いてね♡」ニコニコ
夕立「むぅ〜、提督さん、夕立のは〜? 夕立の髪も褒めてほしいっぽ〜い!」プンプン
提督「はは、勿論夕立の髪も変わらず綺麗だぞ」
夕立「なんか時雨のおまけっぽい〜!」ジトーッ
提督「そんなことはない。夕立の亜麻色の髪はとても美しいと思っているぞ?」ナデナデ
夕立「なら信じるっぽい♡」㌰㌰
このように二人を甘やかしていると、
ガチャーー
白露「提督〜、時雨と夕立来てーー」
村雨「るわね〜」ニコニコ
同室の白露と村雨が戻りの遅い二人を心配して、提督の元へとやってきた。
二人は提督に膝枕されている時雨と夕立を見ると、どことなくドス黒いオーラをまとって提督達の元へ近付いていく。
白露「時雨〜、どうして提督から膝枕されてるのかな〜?」ニコニコ
時雨「提督がしてくれたんだよ♪」
村雨「夕立もよ〜。提督の迷惑でしょう?」ニコニコ
夕立「提督さんからしてくれてるから、迷惑かけてないっぽい♪」
各姉の威圧にも負けず、二人は平然と返す。何せ提督に膝枕されている自分達の方が白露達より優勢だから。
提督「…………不平等なのはよくないな。白露達も時雨達と同じことしてあげよう」ニガワライ
不穏な空気を回避するために提督はそう提案した。すると白露と村雨は表情をパァッと明るくさせ、存分に撫で撫でしてもらった時雨や夕立は仕方なく二人に膝枕を譲ることに……。
その後、春雨と五月雨、海風と山風、江風と涼風の順で戻らぬ姉達を探しに執務室に来ては、提督の膝枕&撫で撫で状態を目撃し、自分達もそれを望み、結局提督は白露型姉妹全員を甘やかすことになった。
因みにその日の夕飯は姉妹仲良くインスタント食品だったとかーー。
今回は時雨ちゃん、夕立ちゃんをメインにしたお砂糖回にしました!
読んで頂き本当にありがとうございました!