艦これ Short Story改《完結》   作:室賀小史郎

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未来を見る眼差し。の談。

少し真面目なシーン、キャラ崩壊、独自解釈含みます。


艦これSS改89話

 

 ○○鎮守府、一九〇〇過ぎーー

 

 埠頭ーー

 

提督「………………」

暁「………………」

響「………………」

電「………………」

 

 本日の業務、そして昨日のお花見の後片付けを終え、埠頭に集まった者達はそれぞれ黙祷を捧げていた。

 今日は雷が沈んでしまった日。

 提督や暁型姉妹、そして普段から雷と友好を深めている者達は、駆逐艦『雷』と雷と運命を共にした生永邦雄少佐以下、二三八名の乗組員全員へ心からの感謝と尊敬、そして日頃の報告をした。

 

雷「………………」

 

 一九四四年・四月十三日・一八五九。

 この時、雷はアメリカ潜水艦『バーダー』と九〇〇ヤード(八二二.九六m)にまで距離を縮められていた。

 

 遡ること一九四二年・十一月の「第三次ソロモン海戦」では姉である駆逐艦『暁』が轟沈し、雷も多数の砲弾を浴びて一番、二番砲塔、機銃台などいたるところが破壊されて大破してしまう。

 しかしそれでも全力航行が可能という強運を発揮し、雷は六発の魚雷を発射してから戦場を離脱し、トラック泊地へと避難することになった。

 

 その後、「アッツ島の戦い」を経て雷は船団護衛を活動の主とすることになり、その間に水中聴音儀と逆探を増設、一三mm連装機銃を二五mm連装機銃へと換装した矢先の出来事だった。

 

 増設した聴音儀が成果を発揮することはなく、雷は接近していたハーダーから二度に渡って二本ずつ放たれた計四本の魚雷のうち二本が直撃。

 被雷してすぐに船体は真っ二つに割れて沈没してしまい、上記のように乗組員全員が雷と運命を共にした。

 

 その時の雷は単艦航行だったために目撃者がなく、そして突如音信不通となった雷を捜索するも、海上に浮かぶ油紋を発見することしか出来なかったと記録されている。

 

 なお、この時すでに退艦していた前艦長である工藤俊作は雷が沈没した夜、雷に残った部下達が「艦長! 艦長!」と現れて、彼を中心に輪を作ると静かに消えていく夢を見たと証言しており、飛び起きた工藤前艦長は、雷に何か良くないことが起こったことを察していたという。

 

雷「………………ふぅ」

 

 日頃の報告を終えた雷が瞼を開けると、

 

『………………』

 

 大勢の男達……それも見慣れた顔をした者達が自分に向かって、笑顔で敬礼しているのを目の当たりにした。

 しかしまばたきをした瞬間にその人々の姿は消えており、雷は思わずキョロキョロと辺りを確認してしまう。

 

暁「? 雷、キョロキョロしてどうしたの?」

響「まさか敵か!?」キョロキョロ

電「た、大変なのです!」キョロキョロ

 

 響の言葉にみんなは厳戒態勢をとるが、雷は「違う違う!」と慌てて両手を振って誤解だと教えた。

 

暁「じゃあ、どうしたのよ?」

雷「えっと……その……」

 

 珍しく歯切れの悪い雷を暁を始めとした姉妹や仲間達は揃って小首を傾げる。

 雷が何と説明しようかとあたふたしている中、ふと自身の頭にふんわりとした優しい感触があった。

 

提督「落ち着いて、そのままのことを説明すればいい」ニコッ

雷「司令官……」

 

 それは雷が最も信頼し、敬愛する提督が自分の頭をいつものように優しく撫でてくれていた感触だった。

 更には提督のその笑顔は自分が艦時代に良く見ていたあの人の笑顔と重なっていた。

 

 雷はその笑顔のお陰でいつも通りの調子を取り戻す。

 

雷「えへへ……あのねあのね♪ さっきね、あの日のみんなが今の私に笑顔で敬礼してくれてたの♪」

暁「え」

響「雷……そんなに思い詰めて」ギュッ

電「今夜は一緒のお布団で、姉妹揃って眠るのです!」ギューッ

雷「な、何よ!? 私は本当に見たんだから! それにみんなちゃんと笑顔だったのよ!」プンプン

 

 雷の言葉に暁をはじめとする姉妹、更には仲間達も雷が心配になってしまった。あの雷が幻覚を見るほどになるまで思い詰めているのかと……。

 

雷「司令官! 司令官は信じてくれるわよね!? 私、本当にこの目で見たのよ!? すぐに消えちゃったけど、みんなの顔を私が見間違えることなんてないわ!」

 

 提督の軍服の袖を引っ張り、懸命に訴える雷。

 そんな雷に提督はニッコリと笑みを返し、雷の頭をまた優しく撫でた。

 

提督「きっと英霊の方々も艦娘となった雷を見守っているのだと、知らせたくて姿を見せてくれたのだろう」

雷「……みんなが、私を……?」

 

 袖を掴んだまま見上げて首を傾げ訊いてきた雷に提督は「あぁ」と短いながらも、優しい声色で返事をする。

 

提督「雷が過去のことを忘れず、こうしてあの日の方々へ黙祷や現状の報告をしてくれたのが嬉しくて、雷の前だけに現れたのだろう」

雷「忘れるなんてしないわ! 過去を忘れて未来なんて見れないもの!」

提督「そんな雷だからあの方々が雷を見守ってくれているんだよ、きっと……一瞬でも会えて良かったな」ナデナデ

雷「ホントに信じてくれてるの? 子ども扱いしてない?」ジトーッ

提督「そんなことはない。私は雷を信じているよ」ニッコリ

雷(あ……)

 

 雷は提督の笑顔でまた懐かしい顔が浮かんだ。

 すると先程までの不安が、一瞬にして消え去るのを感じる。

 

 雷はその時に確信した。提督が言うように、ちゃんとあの日の英霊の人々や大好きだった艦長も自分のことを見守ってくれているのだと……。

 

暁「なんだか良く分からないけど、今の雷は一人じゃないのよ? ちゃんと私もいるし、響も電もあなたの側にいるんだから♪」ニコッ

響「そうだよ。私達はちゃんと雷のそばにいる……あの時とは違うんだ」ナデナデ

雷「暁姉……響姉……」

電「姉妹も仲間も……頼れる司令官さんも、雷お姉ちゃんのおそばにいるのです♪」ギュッ

雷「電……」

 

 暁達がそう言って雷の側に集まると、他のみんなも雷を中心に輪を作る。

 

雷「みんな……ありがとう!」

 

 みんなの笑顔を見て、雷は満開の笑顔という花を咲かせた。

 その中でも、提督の笑顔を見た雷は大好きな提督の胸に飛びつき、これでもかと提督に頬擦りする。

 

雷「司令官も本当にありがとう♡」

提督「私は何もしていない。雷がこれまで頑張ってきた故の皆の笑顔だ」ナデナデ

 

 提督がそう返すと、

 

雷「何言ってるの? 司令官が私の司令官だから、私は頑張って来れたのよ?」

 

雷「だから明日からも目一杯、私を頼ってね♡」

 (私の大好きな司令官♡)

 

 もういつもの……いや、それ以上の雷が提督に眩しい笑みと言葉を返すのだった。

 

 その後はみんなで食堂へ行き、みんな笑顔のままで穏やかな食卓を囲んだーー。




 おまけーー

 その後、食堂ーー

雷「は〜い、司令官♡ おかわりよそってきてあげたわよ〜♡」つテラ盛りご飯
提督「あ、ありがとう……」ニガワライ

暁(雷、いつにも増してすっごくお世話焼いてるわね……)モグモグ
響(あの司令官もちょっと引いてるとか、雷のポテンシャルはまさに(カミナリ)級みたいだ)ハラショー
電(新婚さんみたいで見てるこっちがドキドキしちゃうのです……////)

雷「沢山食べて明日からも頑張ってね♡ 何なら食べせてあげてもいいわよ?♡」ニコニコ
提督「だ、大丈夫だ。雷は雷でしっかり食べなさい」
雷「もぉ〜、遠慮しちゃダメよ〜。はい、あ〜ん♡」つご飯
提督「しかしーー」
雷「あ〜ん♡」ニッコニコ
提督「…………あ〜、ん」モグモグ

暁・響・電『(司令官(さん)が負けた!?)』

雷「いい食べっぷりね♡ 今度はおかずの唐揚げね、あ〜ん♡」
提督「あ〜……ん」ムグムグ
雷「えへへ、司令官のためなら私何だってしちゃうんだから♡ だからいっぱいいっぱいい〜っぱい頼ってね♡」
提督「あぁ、ありがとうな、雷」ナデナデ
雷「〜♡」キラキラ

 その後も雷は提督にご飯を食べさせ、キラッキラして今日と言う日を終えるのだったーー。

 ーーーーーー

今日は雷ちゃんの特別な日ということで、そのことを踏まえたお話にしました。

そして艦これは何も関係はありませんが、今日は城北に大空襲が遭った日です。
330機のB29が東京を無差別爆撃。死者2459名。明治神宮などが焼失しました。

この日に沈んでしまった、駆逐艦『雷』と全乗組員である英霊の方々、そして空襲で亡くなられた方々に心からお祈りします。

本編内の情報はWikipedia、『大日本帝国海軍 所属艦艇』より得ました。

読んで頂き本当にありがとうございました!
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