艦これ Short Story改《完結》   作:室賀小史郎

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最上型航空巡洋艦メイン。

ちょっぴり真面目なシーン、独自設定含みます。


艦これSS改91話

 

 ○○鎮守府、一〇〇〇ーー

 

 執務室ーー

 

提督「………………」カリカリ

時雨「〜♡」ニコニコ

 

 今日も今日とて提督は艦隊のために書類の山を片付けている。

 そしてそんな提督を本日秘書艦任務に就く時雨は幸せそうに眺めながら、自分は自分で書類整理や処理を完璧にこなしていた。

 因みに白露や村雨、夕立は訓練。春雨、五月雨は遠征。海風達、第二十四駆逐隊は水雷戦隊の演習で神通、能代と共に鎮守府を離れている。

 

 するとそんな執務室のドアをノックする者がいた。

 ノックされたドアがガチャリと開くと、鈴谷がそーっと顔を覗かせる。

 

鈴谷「て〜とく〜、いる〜?」

 

 いつもは元気いっぱいに執務室へ入ってくる鈴谷だが、今日は珍しく大人しい上、表情にもいつもの明るさがない。

 

時雨「鈴谷さん? 提督ならいるよ。入りなよ」ニコッ

 

 鈴谷に時雨がそう促すと、奥から提督が透かさず、それも自然な動きで時雨の側へ立った。

 

提督「あぁ、時雨。私はこれから鈴谷と少し話がある。だから少し席を外すが、時雨は書類の整理を続行していてほしい」ナデナデ

時雨「うん、分かった♡」

 

 提督に撫で撫でされて上機嫌となった時雨は、まるで飼い主の命令を忠実に守る愛犬のように書類整理を続けた。

 提督はそんな時雨に笑みを浮かべると、鈴谷と共に執務室をあとにするのだった。

 

 

 本館内、廊下ーー

 

鈴谷「気ぃ使わせちゃってごめんね、提督」ニガワライ

提督「気にするな。鈴谷はしっかり者だからな……ちゃんと答えを出したんだろう?」ニコッ

鈴谷「……面と向かってそう言われると恥ずかしいじゃん////」ポフッポフッ

 

 そう言って鈴谷は照れ隠しなのか、提督の二の腕ら辺を軽く叩いた。

 

提督「鈴谷は褒められて伸びるタイプなのではなかったかな?」ナデナデ

鈴谷「そうだけど違うの〜!//// なんかムズムズするの〜!////」テシテシ

提督「ははは、それも乙女心というものか……難しいな」

鈴谷「むぅ、なんか今の提督は意地悪だよ〜?////」

提督「ふふ、すまんな。でも少しはいつも通りの顔になったじゃないか」ニコッ

鈴谷「提督のせいだし〜!////」ウガー

 

 鈴谷がそう言って両手を振り上げると、提督は愉快だという具合に胸を張って笑って見せる。そんな提督に鈴谷は毒気を抜かれ、先程とは違ったリラックスした状態に戻れた。

 

鈴谷(ったく、こういうさり気ないとこでポイント上げてくんのって質悪いよ♡////)

 

 そう思う鈴谷だったがその表情は恋する乙女そのもので、提督の気遣いに感謝しつつ提督の左腕にピッタリと抱きつくのだった。

 

 

 第一会議室ーー

 

 誰も使っていない会議室に入った提督と鈴谷。

 隣同士の席に向かい合って座ると、提督は鈴谷に微笑み、鈴谷からの言葉を待った。

 

鈴谷「えっとさ、改造の件の話なんだけどさ……」

 

 そこまで言って鈴谷は思わず言葉が途切れてしまう。

 

 鈴谷は少し前に提督から改二、更には軽空母への改装の話を受けた。最上型の中では初の改二実装……更に軽空母までの改装とあって、最上達は鈴谷を祝福した。

 しかし当の鈴谷はあまり良い顔をせず、提督には「少し時間がほしい」と伝えて、この件を保留にしていたのだ。

 それで鈴谷は自分で出した答えを提督に伝えにきたところ……のはずが、この答えでいいのかと鈴谷は思わず口をつぐんでしまった。

 

 しかし目の前の提督は『ゆっくりでいいぞ』と言わんばかりに微笑んでいる。

 鈴谷はそんな提督なら、自分が好いた相手なら……と思い切ることが出来た。

 

鈴谷「私、改二にはなるけど、軽空母にはならない!」

提督「ん、分かった」ニコッ

 

 鈴谷の答えに提督は笑ってその一言だけを返す。

 それに対して鈴谷は思わずキョトンとしてしまった。何故なら理由を訊かれると思っていたから。

 

提督「何故そういう答えを出したのかと、理由を訊かないのは流石に不自然だったかな?」

鈴谷「え……まぁ、そんな感じ。提督なら私の考えを尊重してくれるって思ってたけど、訊かれないとは思ってなくって」ニガワライ

提督「訊かなかったのは簡単な理由だ。今朝、最上と三隈から鈴谷の考えを聞いた……ただそれだけの話さ。因みに熊野はそれを鈴谷に悟られないよう、鈴谷と行動していたそうだ」ニコッ

鈴谷「えぇ〜、今朝のってそうだったの!? ってか、二人して私より先に提督に喋っちゃったの〜!?」

 

 驚いて思わず立ち上がってしまう鈴谷。そんな鈴谷に提督は落ち着くようにと手で制す。

 鈴谷がまた椅子に座り直すと、提督は静かに語りだした。

 

提督「我が鎮守府は安定した戦果をあげてはいるが、戦争中はいつ何が起こるか分からない。よって戦力増強はしておくことに越したことはないんだ。それが空母なら余計にな」

鈴谷「」コクリ

提督「だが、うちの空母勢及びその機動部隊は大変優秀だ。更には航空戦艦の扶桑達、そして鈴谷を含めた航空巡洋艦達もいるとなれば、空への備えは今のところ不安材料はないと私は断言出来る」

鈴谷「…………」

提督「軽空母にならない。それもまた選択肢の一つだ。私は鈴谷の気持ち、考えを大切にしたい」ニッコリ

鈴谷「ありがと、提督♡」エヘヘ

 

 鈴谷が満面の笑みで提督にお礼を言うと、提督はしっかりと頷いて鈴谷の頭を優しく撫でた。

 

 軽空母へ改装しない理由……それは鈴谷が軽空母の鈴谷ではなく、これまでと同様、姉妹仲良くお揃いの航空巡洋艦でいたいと願ったから。

 

 最上と三隈は提督にそう説明し、どうか鈴谷の考えを分かってほしいと訴えた。勿論熊野も最上達と同じ意見だ。

 しかし提督は最初から鈴谷がしたいようにさせようと決めていた。これは鈴谷だからではなく、艦隊みんなに言えること……それぞれ自分の意見、自由意志を尊重することである。

これは彼女達、艦娘でも一人ひとりが持つ人権であり、今を人として生きる証なのだ。

 だから提督も鈴谷の気持ちを汲んだ。勿論提督も鈴谷も戦況によってはそうせざる負えなくなることは重々理解している……だが、提督はそうならないように自分が努力しようと誓っていた。

艦娘を心から大切に思う提督らしい心構えである。

 

提督「改二になったら、またうんと褒めてやるからな。だからこれからも頼んだぞ?」ナデナデ

鈴谷「当然じゃん♡ 鈴谷はいつまで経っても褒められて伸びるんだから♡」スリスリ

 

 話を終えた鈴谷は早速工廠へ行き、改二へ改造。

 改造を終え、改二となった鈴谷はブレザーの前が開き、茶色のカーディガンを身に着けていた。

更にはニーソックスが腿のリング状の艤装で固定されるものに変わり、タイも可愛らしいリボンタイへと変更された。

 艤装に関しては、改までは手持ち式だった飛行甲板ユニットが肩紐で吊られるようになったことに加え、腿の主砲がリング状艤装にマウントされるようになったことが大きな変更点だった。

 性能としては火力型重巡として名高い鳥海改二を上回り、重巡や航巡の中ではトップクラスの数値となっていて、搭載数も最上と互角になったことで水上爆撃機による打撃力や、水上戦闘機による制空にも大きく貢献出来るようになったのだ。

 

 そして、

 

鈴谷「提督〜♡ ほらほら〜、改二の鈴谷だよ〜?♡ もっとよく見て褒めてよ〜♡」ギューッ

提督「あぁ、素敵になったよ、鈴谷」ナデナデ

鈴谷「あったり前じゃ〜ん♡」エヘヘ

 

 提督へのスキンシップや好意も改二へと変化したような気がしたーー。




遅くなりましたが、鈴谷改二及び、軽空母へ改造・改装実装ということでこのような回にしました!
軽空母へしなかったのは私個人の考えなので、ご了承お願い致します。

読んで頂き本当にありがとうございました☆
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