【完結】ムシブギョー 十二ノ刀   作:一ノ原曲利

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 ついにいよいよここまでキマシタァ…!
 まさかの次回で最終話!
 いままで生きてて一度たりとも物語を完結できなかったのに遂に…遂に……!

 ではいよいよ物語は大詰め、明かされる九散の存在…そしてこの世界の真実を、どうぞ!

 (注意:8月終わりまでタイムリミットなので感想返信と誤字訂正は後回しとさせていただきます、ご容赦ください)




二十九太刀目

 

 

【推奨雅楽:神心清明】

 

 

 江戸から遠く離れた小さな島、八丈島。

 蟲奉行の救出、九散と剣牙虎の衝突という主にこの二つの出来事が起こった舞台であり、今現在は常人ならば入り込めぬ不可侵領域となっている。件の原因は九散の父・錆 灰徒によるものである。

 人という域を超越した存在同士の衝突――特に覇を持つ者同士――は■の落下へと繋がりその時点で世界に風穴を開け、有象無象の全てを飲み込む。その時点で誰かがこの世界の■に居座ってしまう可能性があり、同時に九散自身が己の使命と己が持つ力の全てを把握し切れなかったが故に、灰徒は八丈島を中心に結界を築き覇の流出と世界の崩壊を抑えた。それは同時に二人を永遠に閉じ込める檻の形成と夢幻の闘争を繰り返す戦場(いくさば)に成り果ててしまったのである。だがそれはむしろ灰徒には都合がよく、■に値する神格を持つ者同士の闘争は年単位で続けられる為に結界の内と外との時間の流れに違いがあり、それによって外での■に辿り着きかねない存在の覚醒に間に合わせるべく九散の修行場として大成した。

 

「るるるるるーるるるるるー、るるーるるーるるるるるるー」

 

 その不可侵領域に、現在三人の存在が確認されている。

 一人、何百日も九散の『理解』に付き合わされ何度も何度も生と死を行き来した英雄の残滓、真庭 剣牙虎。彼はこの世界でも最も()(じゅん)に近しい存在でありながら英雄という器であったために()(じゅん)の狂信的自己愛に犯されること無く次元違いの力を有していた。存在が確認されているといっても彼は瀕死の重傷であり今は海にぷかぷか浮き目を剥いて気絶している。

 もう一人――と、加えて最後の一人。先ほどから崩れ果てた八丈島の中心で鼻歌を歌う女性。黄土色の髪を地に垂らして空を見上げる彼女こそ――此度の『西征』の全作戦を創案した九散の母、鑢 八穂。そして八穂と共に横たわり、編み笠を顔に被せて横たわる男――九散の父、錆 灰徒だ。

 

「…()()漸く逢えたねぇ、私達」

「………」

 

 思い出すように言う言葉に、灰徒は答えない。

 

「……私が■につく前に別れて、それっきり。あれからどれくらいの歳月が過ぎたのかなぁ……一万と二千年だったら一瞬、って思えてる辺り…相当長いよね」

「………」

「そう、永遠に近い歳月。万でも億でも兆でも京でもない…まさに那由多の果てだよね、きっと」

「………」

「普通だったら相手の顔なんて忘れてるよね? ■の人が変わるたびにあなたの因子を宿す人に度々会ってきたけど…やっぱり、本人じゃなきゃ駄目だわ。あーあ、私って思ってる以上にぞっこんね、もしかしてあなた以上かも? それは無いか」

「………」

「え…そんな愚かしいから愛してるとか今更言われても反応に困るな……まぁ、お互い駄目駄目なんだよねきっと。でも…ここまで本当に長かったよね。何を血迷ったのか大戦争引き起こして、たくさんの人を殺して、結局争いの果てに救いを求めて、そんな私を馬鹿にして大笑いしたのがあなた。でもそんなあなたが、私が生み出し初代の■に就いた(しん)()と一体になって支えてくれたのよね」

 

 遠い世界の、今居る次元よりも遥かに発達した文明に居たことを思い出しながら、八穂は言った。灰徒は編み笠の鍔を弄ることで返答する。

 

「そこから二代目のオジサンが入ってくるなり「お前は間違ってる!」って論破されたり、三代目の細っちょろい色白男に間を取って納得させられて、四代目には劇的びふぉあーあふたーされて■がでっかくなっちゃうし……ああでもそこから死んだ後のことを考えるようになったんだよね」

「………」

「あんな変態に関心すべきじゃない? あなただって負けず劣らず変態な癖に。おまけに四代目より面倒臭くて理屈っぽくてウザい。でも…そのあと四代目の自滅因子、五代目、五代目の守護者って来て……()(じゅん)なんて頭可笑しい奴が六代目になって大変だったわぁ、私なんて投げ飛ばされたのよ? こけしみたいに。三代目と四代目の間くらい溝が在り過ぎて本当に困ったよ」

 

 とてもそんな簡単に済ませられるようではない話。だが、彼と彼女だからこそ成立する話であり理解できる話でもある。

 

「……まぁ、そんなこんなでいろいろ大変だったけど…結果的にいい方向に■も進んだから結果おーらいだよね。まったく…なのに、そんな中に■も知らない存在が乱用し始めちゃって……でも、そのお陰で私達は巡り合わせられたんだよね」

 

 那由多の時が流れて――もう一生擦れ違い、振り向くことなんて在り得る筈がなかった存在同士が再び出逢う。

 そんなまさか。

 ありえない。

 でも、本物だ―――そう、意気投合した二人は結ばれ、そして愛しい子を産んだ。

 

「……■の統治者、管理者かぁ…私達の子供だから普通じゃないっては思ってたけど、ここまでくるともう運命だよね運命。でぃすてぃにー。これが終わればまた、違う世界に旅立つんだろうなぁ。これもぜーんぶあなたが考えたんでしょ」

 

 哀愁を漂わせる表情。特に何を考えるまでも無く見上げた空は、東の方角から次第に天の星が輝きだしていた。ここまできて漸く編み笠を取った灰徒はゆっくりと八穂の手に手を伸ばす。いきなり掴まれて驚いたが、今更になって触れてくる理由を理解し、ああ、と嘆息しながら微笑んだ。

 腕が、徐々に消えていた。

 

「そっか。もうすぐ終わるんだね、九散」

「………」

「行くなって…そりゃ無理だよ。呼ばれているんだから行かなくちゃ。え…最後にもっといちゃらぶしたい? まぁいいじゃない」

 

 ぽん、と灰徒の頭に残っている手を載せ、八穂はにんまりと笑いながら言った。

 

「今度は恒河沙の果て辺りで会えるといいね、ナラカ」

 

 そう言って、八穂は灰徒の目の前から姿を消した。灰徒は残滓も残さず消えていった、しかし彼には見える彼女がいた証をしかと握り締めて――彼もまた、空間に溶けるように消えていった。

 

 もうすぐ、この世界に蔓延る一つの歴史が終わりを告げる。

 

 

 

 

 

 ▼ ▼ ▼

 

 

 

【推奨雅楽:此之命刻刹那】

 

 

 

 決戦の舞台・大阪城。巨大な繭が胎動を始め、孵化間近であるその時――この世界でも異端分子である黄金の獣と同等の資質を持つことを許された男・真田 幸村の前に錆 九散が姿を現した。

 幸村が心から待ち望んでいた王の復活を前に現れた九散の真意は幸村には読み取れない。だが少なくとも味方ではないということ、己とほぼ同等の力を有していることは分かっていた。

 その二つが分かれば、十分だった。

 

「我の邪魔立てをするならば――死ぬるがよい」

 

 羽を薙ぐ。

 背中から生えた羽の羽ばたき一つで繰り出される烈風は巨大な瓦礫をいとも簡単に吹き飛ばし、天の気流を乱す。王が眠りし繭から離れさせるように放たれた烈風は効果的らしくまるで破られた障子紙の如く九散は宙を舞った。

 

不捕(とらわれず)――捕らわれぬこと『針(はり)』の如し」

 

 否、いまの九散はまさしく障子紙だ。

 嵐の中でもただ流されるだけでその身にひとつの傷さえ残すことの無い柳のような身のこなし。まさしく、九散が扱う十二使刀流に他ならない。だが『針』の体現は防御力の無さに繋がる。

 

「空中戦で蟲人である我に勝てると思っているのか?」

 

 当然、その隙を逃す蟲人ではない。再び羽を広げて羽ばたかせては一気に急上昇し九散へと迫る。己が引き起こした風よりも速く、空気を裂くようにして飛んだ幸村は貫手を九散へと繰り出す。

 だが、九散はただ風に煽られていただけではない。

 

不斬(きらず)――斬らぬこと『(じゅう)』の如し――超過駆動」

 

 なんと宙に見えない足場があるとでも言うように、九散は風に乗っていた状態から静止して宙に佇んでいた。羽も無しに空中で停滞してみせるとはまさに妙技。だが九散が人外であると確信している幸村にとってその程度で驚きはしない。

 九散の両手が馬上筒のように親指を火縄ばさみに、人差し指を銃身に、中指を台木に見立てて構える。従来ならば指先に籠めた法力を銃弾のように放つ技であるが、今回は違った。

 

 超過駆動。

 

 人外にして規格外。怨嗟の如き渇望の末路に顕現されたそれは世の理を捻じ曲げる邪法。極地に到達した魂を燃料に世界を己が決めた法則で塗りつぶす力。()への到達に至らない『銃』の刀ではあれど、九散の指先から収束していくそれが神格の領域に達していることを告げる。

 

 

 ――欲しいのは温もりではなく、炎。私を焦がす輝きに、永劫焼かれたいだけだ。

 

 

 幸村は九散の右側に女性の幻影を捉えた。黒髪か赤毛か、明確な色の筈なのに判断がつかないのは何故だろうか。葉巻を咥えた彼女は嘲るように全てを見下し、しかしやれやれ仕方ないと言う様に九散の腕に手を添え着火する。

 

 それは紅蓮の焔。

 紅と漆黒に輝く炎球は、今はまだ小さな球でしかないが想像を絶する熱量が偏り無く収束されていることから九散の技量が読み取れる。第七地獄・大焼炙の獄炎を宿した炎は九散の両手の指先に収束し、その砲口は幸村へ向けられていた。

 

 

 ――真面目に生きていない奴のことを、オレは絶対認めねぇ。

 

 

 女性とまるで鏡合わせの如く、九散の左側に男の幻影が姿を現す。蜜柑のような橙色の髪。半面に鬼の面を下げた傾奇者の姿をした彼は、快楽と愉悦に顔を歪ませ幸村を指しては嗤いながら九散の背中をとんと叩いた。

 

 増えたのは腕と、その手が持つ銃。

 二本の腕から四本に、そしてまたその腕が増え六本になった手にはそれぞれ馬上筒がしっかりと握られている。これにより砲口は二つから六つに増え――別に数が増えたと言ってもどうということは無いのだろうが、問題は紅蓮の炎球に籠められたもう一つの理だった。

 それは神の奇跡さえも打ち消す魔弾。

 姿形、外見こそ奇矯なれど誰よりも真面目に人の世を歩き続けた彼の、唯一にして絶対の渇望だった。神になんか縋らないし祈らない。ご都合主義なんて信じるに値しない、人生なんて自力で生きてナンボのモンだろ。

 

『しっかり狙えよ、小娘』

『外すなよ、一直線だぜ』

 

 九散だけに聞こえる彼らの小言が耳に響いた。己の中で生き続ける彼らの変わらない態度に肩を揺らしながら、九散は引き金を引く。

 

 それはまさに地獄。放たれた六つの炎弾は大阪一面を覆い尽くす炎海の波となって幸村へ押し寄せる。高さ五百由旬、横幅二百由旬を超えんとする炎はまるで生き物のように躍動しては蛇の如く炎の鱗を晒し、幸村の眼前を炎で染め上げた。これは受け止めきれないと悟った幸村は己が引き出せる全速力で羽を羽ばたかせて獄炎の魔弾から逃れる。

 だがそこで幸村は己の愚かさを恥じた。なぜならば、己の背後には幸村が信慕してやまない復活を待ちわびていた王の繭があったからだ。

 はじめから、九散は繭を狙っていた。ただその直線状にいたのが幸村であり、まさに偶然と言わんばかりに幸村はその事実に気付くまで己を狙っているのだと勘違いしていた。

 

「貴っ様ぁあああああああああああああああああああああ!!!!!!」

 

 大口開けて怒りを叫んだところでもう遅い。炎が幸村の喉を焼き焦がすよりも速く、六つの紅蓮の魔弾は大阪城を寝床にしている巨大な繭に的中した。

 

 

 

 

 

 ▼ ▼ ▼

 

 

 

 

 大阪の大地は、激痛を生み出す炎の海に埋め尽くされた。どこを見ても炎、炎、炎。未だ大阪への侵攻を果たしていない『西征軍』には九散の炎による被害を受けていない。しかしきっちり大阪全土のみを大焦熱地獄に染め上げたせいで誰一人近付くことは叶わず、ただこの炎を生み出したであろう九散にすべての運命を委ね、『西征軍』はひたすら大阪の紅蓮の空を見続けた。

 

 

 

 

 ▼ ▼ ▼

 

 

 

 九散が放った獄炎の魔弾は大地を焼き焦がし空気を塵に変え、ありとあらゆるものを焔の燃料と化して永遠に燃え続ける。それは狙いであった大阪城も例外ではなくかつての面影どころか欠片一つ残らず焼失していた。

 だが、神格級の獄炎の中で、大阪城を寝床にしていた繭は辛うじてその形を保っていた。驚異的な硬度が繭の蒸発を防いでいる――と、それが真実であればよかったが、繭の中で覚醒したそれを感じた九散は身構えた。

 同時に、必中と謳われた獄炎から逃れて見せた幸村は首を絞め殺さん勢いで九散に掴みかかる。

 

「卿よ、我に殺される覚悟は出来ているか」

「あらあら、もう少し落ち着きなさい。一応申し開きを聞いてもらってもよろしくて?」

「聞く価値も無い。いまこの場で――卿を屠ってみせよう」

「私の話は貴方にとっても無益ではないはずよ」

「ほう、ならば申せ」

「貴方が展開したこの世界の理に従って復活させたい貴方の王――それは誰?」

 

 貴方が展開した理、という言葉に疑問が浮かぶがそれはひとまず置く。

 

「無論、我が生前に忠誠を誓った王である豊臣 秀頼の娘――常世の蟲、天秀尼(てんしゅうに)様だ」

「そうよ、ええそうよねぇ。でもね、あの繭に居る存在はそんな存在ではなくなってしまったわ」

「…何だと」

 

 幸村が疑問を投げかけたその時、バキリと繭がある方で罅割れる音が響いた。空中にいた二人は一斉に振り向き繭を凝視する。

 次に聞こえてきたのは――咀嚼音。繭の中の本体が肉体の急激な肥大化と共に何かを喰う音がする。それが、幸村が復活を(こいねが)っていた常世の蟲の成れの果てであることに気付くのはそう掛からなかった。魂と血肉を喰らうごとに、次第に膨れ上がる肥溜め。糞と尿と蛆と蠅と、ありとあらゆる汚物の集合体――否、最早究極体に達した存在。

 それがいま、この世界に生れ堕ちた。

 

 ――塵が

 

   塵が塵が

 

   塵が塵が塵が

 

   塵が塵が塵が塵が

 

   塵が塵が塵が塵が塵が

 

   塵が塵が塵が塵が塵が塵が

 

   塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が

 

   塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が塵が―――

 

 極悪にして極大の殺意と嫌悪以外に抱くことの無い罵倒。そしてそれに乗せられた吐き気を催ほどのす自己愛。

 王の復活へと捧げられた市政百姓凡夫――この百年間でざっと億万にも達する数の魂は、突如として生まれ堕ちた全次元上史上最悪の破片を宿した邪神によって喰い散らされた。

 否、これは決められた定めだ。

 剣牙虎との闘争と死の果てに得たもの――そも、その争いが引き起こされたという過去が今日びの邪神の降臨を確実なものにしていた。そう遠くない未来でかつて()に君臨した史上最悪の邪神が現界するという避けられない未来が、九散という存在をこの世界へ導き、そして限りなく()(じゅん)に近い素質を持つ剣牙虎を引き合わせることで『肩慣らし』として九散の己の使命を見出させた。

 それは、闘争を終え終息した神座(しんざ)の機構から零れ出た欠片――それらが無数にある確率の内のたった一つに宿ってしまった、いまとなってはその次元の歴史に停滞を掛ける要因となる腫瘍になった存在の殲滅。それが第一天と座の間に生まれた、人格化した座の機構そのもの――錆 九散の使命である。

 

「ああ……」

 

 血を啜り、肉片を貪り、魂を喰い散らかした第六天波旬の因子をその身に宿す名も無き神は、繭から身を乗り出して九散と幸村を見つめた。

 

「塵が」

 

 息を吐くように言う。たったそれだけで宇宙を砕きかねない呪詛となるそれは空を引き裂き空間の断崖を作り出した。

 

「塵が塵が塵が塵塵塵塵塵。この塵屑どもが。消えろ、消え失せろよ。宇宙(ここ)には俺だけ在ればいい、俺を一人にしろや」

 

 誰がいてくれと頼んだ? 誰が近寄れと頼んだ? 誰が触れてくれと頼んだ?

 いらない。俺以外の存在なんざいらない。この世界は俺だけであればいいんだ。

 だから―――

 

 

 

 

 

 

                「  滅 尽 滅 相  」

 

 

 

 

 

 

 だから塵共は、消えてくれ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それは了承しかねるな」

 

 この場に神格は三人居る。

 その内の一人、第四天の自滅因子である黄金の獣の理を身に宿した蟲人・真田 幸村は名も無き神の願いに反した。死すれば後悔を背負った魂は蟲として転生する理を、黙する死者の魂を己のものとする理――修羅道至高天をこの世界に敷いた張本人である幸村も同様に九散の殲滅対象である。

 

 

 

「我はすべてを愛している」

 

 

 

 黄金の獣の因子、その欠片を身に宿す幸村は宣言した。

 

「敵であろうが味方であろうが、ましてや蟲・人関係なく我はこの世界の全てを愛している。故に我はその全てを壊す――卿が糞だの塵だのと断じた存在も、我にとってはすべて愛しき存在でしかない。それは卿も例外ではない――故に、まず卿らを壊そう」

 

 黄金に光り輝く瞳が名も無き神と九散を捉える。卿『ら』ということは九散も含まれていることに他ならない。分かってはいたがままならぬ、しかし完全に予想通りの展開へとことが運んでしまった状況に思わず笑みが浮かぶ。

 

 

 

 

 

 

「貴様等は存在してはならない」

 

 

 

 神座の創始者である第一天とその(つが)いから生み出された断罪者。零れ落ちた理を乱用する存在を排除すべく人格を持って生まれた座の統括者は、宣誓した。

 

「貴様等はこの世界の歯車を止める無知なる稚児だ。己が持つ理の、その力も理解せず思うが侭に振るう――それは座を束ね、管理する私への侮蔑と受け取った。故に滅びよ、ありのままの歴史を紡ぐべく消え去るがいい」

 

 額に開く三つ目の瞼を開いた三眼六手の神は言った。三つの合掌を捧げて神気を放つ。

 

 

 

 名も無き邪神は己以外の塵を殺す。

 

 黄金の獣の因子は愛を証明するために壊す。

 

 神座の統括者は歴史を紡ぐべく異端分子を断罪する。

 

 

 

 三神三様。

 

 己が持つ目的のために、降臨した三つの神は三つ巴となりて激突する。

 

 

 今ここに、三柱によって繰り出される神域の闘争が幕を開けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





 やっと…書けたぁ!
 書きたかったところが書けたぁ! これこそ二次創作の醍醐味ですよね! 自分が考えてあっと驚かせるようなのを書くというのが!

 最後のシーンはDiesの三神三つ巴シーンを思い出していただければ幸いです♪
 まぁラインハルトさんは定位置、今回はニートと練炭の代わりに波洵と九散ですがwww


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