クレヨンしんちゃんif 作:セラフ
透夜ルートやってたら思い付きました。
クレヨンしんちゃんの知識はアニメしか無いので、しんちゃんのキャラが少し変かもしれません。
もし違和感を感じたら、ご指摘お願いします。
雲間から顕われた陽光が、小さな町、春日部の中心にある公園に降りる。
その陽に照らされ、公園の中心でキラリと光るもの1つーーそれは
「ケツだけ星人!ブリブリ〜!」
小さな小さなお尻だった。
小さなお尻は踊りを始める。右に左に縦横無尽。まるで尻自身が意思を持っているかの様だ。
そのお尻の躍動を、薄笑いと共に見つめる4人の子供達がいた。
「おいしんのすけ。見せたいものってまさか」
溜め息を出しながら、青い服を着た男の子、風間君が言った。
「そうだぞ風間君!ケツだけ星人ブリブリ〜!
今日は母ちゃんがバーゲンで買った高級化粧品をお尻に使ってるから輝いてるでしょ〜」
半尻状態のまま立ち止まり、赤い服を着た男の子、野原しんのすけは言った。
「母ちゃんが買ったのは5歳もお肌が若返る化粧品〜。オラが使ったら〜0歳児のお肌〜」
そう言って尻を叩くしんのすけ。その尻は輝いてる。
「しんちゃん!それより例のイケメンは見つかったの!?」
ピンク色の服を着た女の子、ネネちゃんが言った。
「例の生麺……?担々麺?」
しんのすけはキョトンとした表情を浮かべる。
「違うわよ!イケメンよ!」
「ジャンボラーメン?」
「全然違うわ!イ・ケ・メ・ン!今日のかすかべ防衛隊の活動は最近噂になっている青い髪のイケメンを見つける事でしょ!」
「ほうほう、そうでしたな。オラこってり忘れてた」
「それを言うならこってりじゃなくて、すっかりだろ」
「そうとも言う〜」
「「はぁー」」
今日で何度目の溜め息か。いつもと変わらないマイペースなしんのすけに、ネネちゃんと風間君は眉間に皺を寄せる。
「それで、風間君は見つけたの?」
「えっ僕!?僕は……」
風間君は自信なさげに目を伏せる。そして静かに「ごめん」と言った。
ネネちゃんは「まったくもう!」と鼻息を荒げ、次に蚊帳の外となっている大人しい2人に目線を移した。
「で、あんた達は?」
ネネちゃんは緑色の服を着た男の子マサオ君と、黄色い服を着た男の子、ボーちゃんを睨みながら言う。
鋭い視線に射抜かれるマサオ君とボーちゃん。2人はネネちゃんの背後にあの殴られウサギが阿修羅像の様に立っているのが見えた。
マサオ君はボーちゃんの後ろに隠れて、震えながら言った。
「あのぅ……その……ネネちゃん。ご、ごめんなさい。僕、頑張ったんだけど……」
「ふん!見つからなかったのね。まぁ期待はしてなかったわ」
「ひ、ひどいよネネちゃん……」
「ボーちゃんは?」
「ボ……僕も……でも……」
ボーちゃんはポッケから何かを取り出した。
「これ……見つけた……」
ボーちゃんが取り出したのは錆びついたチェーンを付けたペンダントだった。
ペンダントは汚れのついた金色で、蕾の様な膨らみを持ったハートに近い形だ。全体から見れば、それは精巧な作りの芸術品に見える。
しかしそのペンダントの中心には何かが欠けた跡があり、魅力を幾らか失っていた。
だが5人の視線はそのペンダントに一気に注がれた。
最初に口を開いたのはネネちゃんだった。
「これってペンダント?」
「そう……いつもの河原で……拾った」
「変わった形のペンダントだね。はっもしかしてカメオかも?あーカメオってのはね、大理石から作られてるイタリアの……」
さっきまでネネちゃん気圧されていた風間君はどこへやら。風間君は身振り手振りを交えて喋り出す。
「また聞いてもないのに風間君のウンチクが始まったよ……」
さらっと小声で毒づくマサオ君。それに風間君以外は静かに頷く。
風間君は少し顔を赤らめて、咳き込んだ。
「まっまぁ僕が言いたい事は、これはひょっとしたら世紀のお宝かもしれないって事さ」
「お宝!?お宝っておいくら万円!?チョコビ何個買える!?」
お宝、その言葉を聞いてしんのすけは目を輝かせる。
そんなしんのすけをネネちゃんはジト目で見ていた。
「しんちゃん、そんなお宝が河原にあるわけないでしょ」
ネネちゃんはふぅ、と大きな溜め息を吐く、それは5才園児らしからぬものだ。
「はぁ〜お宝じゃなくて、イケメンを見つければ何かが変わりそうなんだけどなぁ」
秋の空を見上げながら、ネネちゃんはそう呟いた。
ネネちゃんはこの所、リアル過ぎて大人も苦笑いのおままごとーーリアルおままごとの台本が書けないスランプになっている。
メインの悲劇の妻役ネネちゃん。出世できない夫役のマサオ君、不倫、偶に夫の浮気役の風間君、子役はしんのすけ、そして様々な役をこなすボーちゃん。
飽きがこない為にしんのすけを不倫役にする場合もあるが、基本はこの構成だ。この構成で、ネネちゃんは様々なリアルおままごとの台本を作ってきた。
だが流石に同じメンバーでやり過ぎた所為か、最近マンネリし始めているのをネネちゃんは感じていた。
新しい何かをーーこの弛緩した空気に張り詰めた緊張感をーー
ネネちゃんはそう思っていた。
そんな刺激を求めていたネネちゃんは、先日とある噂を母伝いに聞いた。それが今探している謎の青い髪のイケメンだ。
その噂の内容はーーイケメンは春日部の中心にいる。格好はフードの様なものを被っていて、西洋のローブを思わせる。顔はハッキリと見えないけれど、チラッと見えるその顔は容姿端麗で、気付かない内に平伏してしまう。まるで神様みたいーーらしい
この噂を聞き、ネネちゃんはスランプの解決方法を思い付いた。
「マンネリ化したメンバーじゃなくて、青い髪のイケメンをリアルおままごとに入れれば、きっとスランプ脱出になるはず!」
ネネちゃんはそう思い付き、青い髪のイケメンを探していた。
本当はイケメンを見てみたい気持ちの方が強いのだが、スランプを脱出したい気持ちが重なり、ネネちゃんは都合良く「イケメンを見つける=スランプ脱出」と思っていた。
「青い髪のイケメン、何処にいるのかしら……」
「ね、ネネちゃん。街中探したけど、青い髪のイケメンなんてやっぱりいないよ。それってやっぱり都市伝説なんじゃない?」
首を傾げて、風間君が言った。
「そんな事はないわ!青い髪のイケメンは絶対にいるわ!」
「でも見つからなかったぞ。あっ美人のおねいさんは沢山いたけど〜」
ニヤニヤと独特の笑い方をするしんのすけ。
「ねぇネネちゃん。明日にしない?もしかしたら今日は春日部にいないのかもしれないし」
「マサオ君の言う通り……それに、今日は天気良くない……雨が降るかも」
遠くに見える黒雲を指差しながら、ボーちゃんは言った。
2人の意見に、ネネちゃんは「そっか」と仕方のなく返す。
「分かったわ、じゃあ今日のかすかべ防衛隊の活動はお終い。
でも!明日は絶対にイケメンを見つけるわよ!いい!?」
「「「はーい」」」」
「りょーかいカイカイ、ちんちんカイカイ〜」
こうして、春日部の愛と平和を守るかすかべ防衛隊の任務は終わった。
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「いや〜今日も疲れましたな〜」
「そう、だね」
かすかべ防衛隊の任務を終えて、しんのすけとボーちゃんは一緒に帰っていた。お互いに口数は少ないが、2人の間に流れる空気は穏やかなものだ。
両側に家が並べられた小道の半分に来た頃、しんのすけが「おっ」と声を出した。
「ボーちゃん、ポッケからペンダントのチェーンが出ているぞ」
「ボ……ありがとう」
ボーちゃんがチェーンに触れる。だが、誤ったのかペンダントがポロっと落ちた。
球形でもないのにペンダントは地面を転がり、そしてしんのすけの足下で止まった。
しんのすけはペンダントを手に取って、ペンダントを見つめた。
「ほうほう、こうして近くで見ると変な形をしていますな。でもこの形、どこかで……そうだ!」
ボーちゃんは「ボ?」と短く言った。
「アクション仮面の顔の形に似ているぞ!ワハハハハハ!」
アクション仮面はしんのすけが憧れる正義のヒーローだ。ペンダントの形はそのアクション仮面の顔の形に少しだけ似ていた。
喜んでいるしんのすけを見て、ボーちゃんは少しだけ笑う。
「しんちゃん……それ……いる?」
「えっくれるのボーちゃん?」
「うん……そのペンダント、しんちゃんにあげる」
「おー!!ボーちゃんふともも〜!!」
「ボ…」
その後、2人は幼稚園であった可笑しな出来事を話しながら帰った。
しばらくして、2人は狭い十字路に辿り着いた。
「バイバイボーちゃん!また明日」
「バイバイしんちゃん……」
お互いに手を振った後別れ、しんのすけとボーちゃんはそれぞれの家へと帰っていった。
2人が去った後の十字路には静けさが残る。ここは元々裏道であり窮屈なので、子供が使う事はよくあるが、大人の往来は殆ど無い。
その十字路の壁に、大きな影が現れたのはしんのすけとボーちゃんが別れてから五分程の頃だった。
「あの子か……あの子の、力が、あれば……」
影の持ち主はゆっくりと言った。そして、しんのすけが歩いて行った方向を見つめる。
「野原しんのすけ
あの子が、夜を終わらせてくれる……」
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(そういえば……)
ボーちゃんは帰りながら、ある事を思い出した。
(しんちゃんが、あのペンダントを触った時、ペンダントの真ん中が光ってた……)
ボーちゃんは思い出す。しんのすけがペンダントを拾い上げた時、ペンダントの真ん中が一瞬青く光ったのだ。
その光は宝石や金属の放つ光とは違っていた。川の流れの様なキラメキで、統一性のないものだった。
(何だったんだろう……)
あの光の正体、石好きのボーちゃんとしては気になるものだ。
立ち止まって、ボーちゃんは考え始める。しかしその時、雨粒が地面に降りてきた。
(雨か…)
頭上には黒雲が広がっていた。雨が降ると予想したのは正解だった。
ポツポツと雨粒の音が増えていく。
大降りになりそうだーーボーちゃんは急いで走り出す。
あの光の正体は何だったのか、それを考える事はすっかり忘れていた。
ありがとうございました。