機動戦士ガンダムSEEDDESTINY〜another destiny〜 作:ガッチャ!
「うっ...」
気がついた俺ーシンの目の前にあったのは白い天上だった
「俺は...確か...」
思い出した!俺は確か戦闘中に気を失って...
「どうなったんだ!?あれから!」
起き上がり辺りを見回す。どうやらここはミネルバの医務室のようだ。ん...ミネルバの医務室?...
「おかしい、普通なら...」
そう、普通ならコロニー内の病院に居るはずだ。心なしか体も軽い...
すると、誰かがドアをノックして入ってきた
「失礼します。あっ!お兄ちゃん!目が覚めたんだ!」
入ってきたのはマユだった。そしていきなり抱きついてきた。
「お兄ちゃん!心配したんだよ?戦闘中に急に意識失っちゃうんだもん。みんな心配したんだから...」
マユは半泣き状態になりながら、俺の体をしっかりと抱きしめてくる。俺もそれに応えてそっとマユの体を抱きしめる
「ごめんな、心配かけて。でも、大丈夫だから。俺は生きてる。マユも生きてる。きっとこれからまた何度も心配かけると思う。でも、俺は帰ってくるから。マユの所に帰ってくるから。だって俺達の居場所はもうここしかないんだから...」
マユは顔を上げて「うん...」と答えてくれた。それからしばらく俺達はお互いの生を確かめあっていた...
それから俺はマユから俺が気を失ってからのことの顛末を聞いた。奪取されたガイア、カオス、アビスは俺が機能停止させたガイアを除く2機がそのまま何者かの手に渡ってしまったらしい。そして、今ミネルバはその追跡任務についてるとの事。つまりここはもう宇宙なのだ。先程からの体の感覚の違和感も納得だ。艦内は完全に無重力状態では無いものの、地上より体は軽くなる。
だが、俺が1番驚いたのは最後の話だった。俺が機能停止させたガイアのパイロット。その正体は女の子で、しかも薬物投与された強化人間という事なのだ。そして、艦長達の話によるとかつての大戦で連合が同じような薬物投与を受けたパイロットを実戦投入していたとの事で、襲撃した組織は連合の息のかかった組織の可能性が高いという。
「連合の奴ら...人をなんだと思ってるんだ!」
俺は心の底から湧き出て来る感情を抑えることが出来なかった。許せない...人の命を、人生を大切にしようとしない奴らなんて!すると『コンコン』とドアをノックする音がした。
「入るぞ」
声と一緒に部屋に入ってきたのはレイだった。レイは部屋にいる俺とマユを交互に見ると
「邪魔だったか?」
なんて言ってきた。
「大丈夫だ」と俺が返すと、マユの隣りの椅子にレイは腰掛けた。そしてレイが口を開く
「無事なようで何よりだ。マユ、シンに彼女がこの艦に乗っているという話はしたのか?」
彼女...誰だ?するとすぐにマユが慌てた様にして口を開く
「そうだ!そうなんだよ!お兄ちゃん!この艦に今乗ってるんだよ!カガリ・ユラ・アスハが!」
その名前を聞いて俺は動転した。現オーブ代表がこの艦に乗っているのだ、無理はない。そんな俺を置いといて、レイが話を続ける
「代表はアーモリーワンに視察に来ていたのだが、今回の事件に巻きこまれた様だ。議長がこの艦にいるということで、彼女もこの艦に身を寄せることになったらしい。問題はこれからだ。」
おいおい、これ以上の問題があるのかよ...
「代表はお前に会いたいと言っているんだ、シン。マユと一緒にな。インパルスのパイロットが意識を失ったという事からお前の名前が出てな、議長がお前とマユの境遇について代表に話をしたところ、彼女から「会いたい」と一言あったそうだ。どうする?シン。」
オーブの代表が俺達に今更何を...
俺達家族を守ってくれなかった国なんて!
「お兄ちゃん。私は話してみたいな。カガリさんと。」
「マユ...」
「確かにオーブはお父さん、お母さんを守ってくれなかった。でも、オーブでの楽しい日々も忘れられないの。お兄ちゃんだってそうでしょう?」
確かにそうだ。あそこでの楽しい思い出はたくさんある。それを忘れたことなんて一度もない。
「分かった、マユ。会おう、カガリ・ユラ・アスハに。レイ、そういうことでいいか?」
するとレイは少し嬉しそうな顔をして、「そうか」と言って部屋を出ていった。普段から無表情の様なやつだから、あんな顔をするなんて珍しい。
しばらくしてノックと共に部屋に見慣れない人物が2人入ってきた。1人は金色の髪の女性。もう一人はサングラスを掛けた男だ。どちらも俺より2〜3つ程度歳上くらいか。そう思考していると女性の方が口を開いた。
「私が現在のオーブ代表、カガリ・ユラ・アスハだ。隣にいるのは護衛のアレックス・ディノだ。今回は突然私の方からすまなかった。」
この人が...。俺と歳だってそう変わらないこの人が今のオーブのトップなのか。
「あ、あの、私はマユ・アスカです。ほら、お兄ちゃんも自己紹介しないと!」
俺もマユに言われて名乗る
「シン・アスカです...」
「君達が元オーブ国民だったという話を議長から聞いて私はここに来た。二年前の連合のオーブ侵攻戦の際に君たちが両親を失い、オーブからプラントに行き、生きるために軍に入ったということもな。」
「人事の用にべらべらと...」
俺はボソッと呟いてしまった。俺達兄妹の事を淡々と彼女が語ったからだ。
「気を悪くしてしまったならすまない。謝って済むような話でないのは分かっているが、わたしは国を代表して君達に謝りたかったんだ、私の力不足で君達が路頭に迷う様なことになってしまった事を。」
「あんたに何言われても!」
俺は怒りに震えて拳を上げようとしたが、その瞬間、隣の声でそれは止まった。
「私は許します。オーブを。だって私、オーブが大好きだったんですから。私達が今こうしてプラントにいるのも、私達を救ってくれたトダカさんっていう軍人さんの気遣いがあったからなんです。だから、私はオーブを恨んだりはしません。でも、忘れないで欲しいんです。二年前の戦争を。あんな事、もう二度と起こしちゃいけないんです。私達みたいな人がもう出るのはたくさんです。世界情勢とか難しいことは私にはよく分かりません。でも、1つだけ約束して欲しいんです。オーブを守ってください。オーブの理念を、人を守ってください。お願いします。」
俺はマユの話を聞いて涙していた。話していたマユも途中から涙目になっていた。だが、この場で誰よりも泣いてる人物がいた。
「ああ、ありがとう... 約束する。オーブは、絶対に守ってみせる。私だけでは力不足かもしれない、けど、皆で力を合わせれば出来るはずだ!」
大泣きしながらもカガリ・ユラ・アスハはそう言った。
「俺からも色々言いたい事ありましたけど、みんなマユが言ってくれました。だから、俺からは一つだけ。もし、オーブがオーブでなくなったのなら、俺は躊躇なくその国を撃ちます。失ったものを取り戻させるために。」
「分かった。覚悟しておく。」
俺からも言いたいことは全部言った。ほとんど喋ったのはマユだが。もう時間も時間だったようなのでその後すぐ代表ら二人はマユに案内されながら用意された部屋に戻ったそうだ。今日はなんか疲れた... そうして俺は再び横になり、眠りについていった...
これから起きる悲劇の始まりも知らずに...
半年に1話のペースな気もしますが、のびのびとやっていきます。