機動戦士ガンダムSEEDDESTINY〜another destiny〜 作:ガッチャ!
翌日、メディカルチェックの結果が問題なしだったため、俺は艦内の自室に戻る事になった。
「戻るって言っても、まだ1回も入ってないんだけどな。」
荷物はダンボールの中に入ったままなので、これからだ。同室のレイは当然だが、もう私物の整理は出来ているらしい。
「流石だな。俺も整理するか。」
そうして俺は荷物整理を始めた...
ー1時間後ー
「よし!終わった!」
荷物整理を終わらせた俺はお腹が空いたので、そのまま食堂へ行くことにした。
ー食堂にてー
「誰もいないのか?」
まぁ無理もない。宇宙標準時では今はちょうど15時くらいだ。もう皆昼食は済ませているだろう。そう考えていると、端の席に人影を見つけた。
「あの人は...」
確かカガリ・ユラ・アスハ(以後カガリ)の護衛をしていたアレックス・ディノとかいうやつだ。アーモリーワンでの戦闘であの3機と戦っていたザクを操っていたらしい。マユによるとカガリが「アスラン」と呼んでいる所をルナが聞いたらしい...
少し話してみようと、俺は簡単な食事を受け取って、
アレックスの方へ足を向けた。俺が近づいてきたのに気づいたらしく、向こうから声を掛けてきた。
「君はシン・アスカ...だったな。昨日はありがとう。」
そういうと俺に前の席に座るように促してきた。特に断る理由もない。俺は彼の前の席に座った。
「すまないな、いきなり。自己紹介もまだして無いのに。俺はアレックス・ディノだ。よろしく。」
そう自己紹介をすると、彼は俺に手を差し出してきた。
「こういうのは嫌か?」
「いえ、別に...」
俺は彼の手を取った。
「シン・アスカです。アレックス・ディノ、でいいんですか?アスラン・ザラじゃなくて?」
俺は少しからかう様にそういった。するとアレックスは少し躊躇うような仕草をして、自分のサングラスを取った。
「君には...いや、君達兄妹には隠すのは無礼だったな。君達はカガリの恩人だ。俺はアスラン・ザラ、今は訳あってアレックス・ディノと名乗っている。申し訳ないが、人前ではアレックスと呼んでくれ。」
意外にもあっさりと彼=アスラン・ザラは自分の正体を明かしてきた。そして、更に話を続ける。
「昨日君達と話した後、カガリは非常に嬉しそうに泣いていたよ、ずっとな。彼女は君達のような前大戦の犠牲に遇い、身寄りを失い、他の国へ行ってしまった人達の事をとても案じていた。君や妹さんの様にオーブの事を今でも好きでいてくれる人がいる事を知って、とても嬉しかったんだろうな。皆が君達のように未だにオーブの事を思ってなくても、君達のような人がいてくれるだけで大きな心の支えになるだろう。俺も彼女と同じ気持ちなんだ、だから、ありがとう。」
「いえ...別に俺は...」
心の底からの感謝の言葉に俺は何を言えばいいのか分からなかった。
「そう言えば君にはもう1つ感謝しなければな。」
「えっ、」
もう一つ?
「先の戦闘では君に助けられた。君があの時来てくれなければ俺もカガリも今こうして生きていなかったかもしれない。」
そうだ、アスランはあの時ザクに乗ってたんだった!
「いや、それは...命令でしたし、戦ってる友軍機を援護するのは当然、じゃないですかね?」
「それでもさ。君は腕のいいパイロットみたいだな。いや、腕の良すぎるパイロットになるかもしれない...」
「え?」
アスランの言葉が妙に引っかかる。腕の良すぎる?ってなんだ?
「君はあの戦闘の時、妙に感覚がクリアになるのを感じなかったかい?」
そう言えば、確かに...
「はい、確かに感じました。」
するとアスランは一瞬、考え込むような仕草をしてまた口を開く。
「そうか、君もなのか。」
「君もって事はアスランさんも?」
「そうだ。俺も先の大戦中君と同じような感覚を感じることが何度かあった。その状態に入るとまるで機体が自分の体であるかのように動かせたよ。」
そうだったのか...まさかそれがアスランが先の大戦でザフトのスーパーエースと言われた理由なのか?
「だから、あんな功績を残せたんですね。」
俺がそう言うとアスランは少し表情を曇らせた。
「そうだな...。君は戦争を、戦う事をどう思っている?」
突然の質問に俺はどう返事をするか戸惑った。
「俺は...俺は、戦争は、もう二度と起きて欲しくないです。でも、もしまた戦争が起きて戦わなければならなくなったのなら、俺は戦います。大切な人を守るために。」
今の俺が考えられる全てだ。戦争なんて嫌だ。でももし、マユに何か危害が及ぶ様なことになるなら俺は戦う!マユだけは守ってみせる!
「そうだな。今はそれでいい。俺も戦争なんて起きないのが1番だと思う。だが、アーモリーワンの事件だ。これからどうなるかは正直分からない。今この艦も奪取された残りの2機を追っているわけだしな、また戦闘が起こる可能性は高い。」
「確かに...そうですね...」
「その戦闘がまた新たな戦闘を生み、それが段々と大きくなって戦争になるかもしれない。君はもう軍人だ。そして、妹さんもだ。だから、戦うことになるだろう。その時になっても、君にはしっかりと覚えておいて欲しい事があるんだ。」
覚えておいて欲しい事...
「君が戦う相手も同じ人という事をだ。別に戦うなって言ってるわけじゃない。君が大切なものを守るために振るう力が誰かの命を簡単に消してしまうものだと言う事を覚えておいて欲しいんだ。彼らにも家族がいるかもしれない、大切な何かの為に戦っているのかもしれない、もっと別の理由で君の前に立ちはだかるものもいるだろう。」
確かにそうだ...。俺も頭では分かっていたつもりだけど、アスランの言葉は重みが違う...!
「だがな、シン、迷うな。」
「え?」
「君が今守りたいと思っているもの、それはかけがえのないものだ。絶対に守り通すという意思は捨てるな。確かに自分のしている事が正しいのか疑問に思う事もあるかもしれない。だが、戦場での迷いは大切な誰かを、自分を殺す。俺はかつてその迷いの中で大切な戦友を失った。だから、迷うなよ。君が居なくなったら妹さんはどうなる?ひとりぼっちになってしまうんだぞ?だから君も死ぬな。自分も守れ。」
「自分も...」
「そうだ、自分自身もだ。君には恐らくそれを成し得る事が出来るだけの力がある。だが、力はただ力だ。それだけでは何も成しえない。心が大切なんだ。君はその心をこれから育てていくんだ。」
「アスランさん...」
深すぎる。正直半分くらいしか今の俺には理解できない。でも、アスランの気持ちはしっかり伝わってきた。
「長々とすまなかったな。だが、君には生きていてほしいと思ったんだ。だから、忘れないで欲しい。何か相談事でもあれば、また来てくれ。話相手くらいにはなれるだろう。」
そう言い終えるとアスランは食堂から出ていった。
手元を見るとそこには冷めきった食事が残っていた...
「あ、完全に忘れてた...」
ついつい喋らせすぎました...
本当なら今回から話を動かしたかったんですけどね。
しかし、シンにはしっかりとアスランから学んで欲しかったんですよね。原作とは違う未来に向かうために。
次もいつ更新するか分かりませんが、よろしくお願いします。