宿
朝、窓から射し込んで来る太陽の光と小鳥の囀りによって起きて来る客に挨拶、同時に今日の朝食の献立を聞かれるので答えておく大概の客は此処で肉料理の名前が出るとちょっと嬉しそうになるがさっき起きてきた耳の長いエルフは少し残念そうだった。昨日は竜退治の成功を祝い盛大な宴があったせいか朝から頭を抑えた人や水を頼んで来る人が多い。
オークの肉から作られたベーコンが厚切りされ熱された鉄製のフライパンに乗せられるジューっという音と脂身から滲み出てパチパチと弾ける脂が肉特有の甘い様な香ばしい様な匂いを放ちそれを心待ちにしているのか食堂にいるお客のパンの減りが早い。
「ハイ、お待ち。」
気前がいいふくよかなシェフ兼店長がこんがりと焼かれた肉を二枚、早朝俺が買ってきた新鮮な野菜を添えた朝食を十人前程完成させせわしなくまた肉を焼き始める。俺はその料理を皿ごと早くきた順に出して行く、こうして朝は慌ただしく始まるのだ。
さて、朝のラッシュを捌ききりテーブルを拭き、食堂周りを掃除する。それが終われば厨房で皿を洗って俺の朝の宿屋での仕事は終わり。住み込みで朝と夜働くだけで一応生きていけるだけの給金を貰えるこの宿屋は結構凄い、まあ、それだけ高待遇なのも色々と訳があるのだがそれはいい、自室に行き給仕用の制服を脱ぎ白色の薄い肌着だけになり自分の体を見て鍛錬不足を感じつつ鎖帷子と革鎧を上下着付け二つポシェットのついたベルトを締めいつも使っている少し厚めの刀身を持った頑丈なロングソードとその鞘を装着。頭には鉢巻のおでこ部分に鉄の板がついた様な物を着ける。ブーツも大部分は革製だが蹴りを放ったりするので鋼鉄の板で補強されている。手甲は左手の方だけ鋼鉄の鎧の物を右手は手首と手の甲それに前腕をガードする様に鉄の板で補強された革製の物をつける。筋力に自信はないので装備品は出来るだけ軽く、しかしそれで死んでもしょうがないので盾の代わりに左腕だけ鋼鉄の鎧の物を使い鎧も急所だけを金属部品で覆ってある。そのため見た目は革のジャケットとズボンに金属部品で装飾した様な感じになっているが値段の割に防御力、軽さ、丈夫さを兼ね備えたベテランの人間でも使う標準的な装備である。まあ、自分の特異なところと言えばやはり肩まである左腕の方の鋼鉄鎧部分だがこれは戦闘スタイルの問題なの特に問題無い。
「では、行ってきます。」
「おーう、死ぬなよ?」
元々流れで魔物退治や薬草採取なんかをする『冒険者』もしくは『便利屋』の一人だった俺はつい三ヶ月前にこの『羊亭』という宿屋に拠点を構え働き始めた。当初は冒険者業は諦めおとなしく宿屋の従業員として働いて欲しいと言われていたが性分なので諦めてもらった。それに最初は朝と夜の給仕と掃除、夜に限ってちょっとしたイザコザの仲裁という雇用条件だったのだがちょっとした事件からやれ「うちの婿になってくれ、うちに住んでくれ、むしろこの宿を継いでくれ」と言われて何とか交渉に交渉を重ねた結果が今なのである、というか折角の一人娘なのだからもっとキチンとした身元や職業の人にもらって貰えば良いと思うのだが?
「あ!ジャックさん!お、お弁当どうぞ!!」
「ありがとう、いつも美味しく食べてるよ。」
「!!!」真っ赤
走り去って行く看板娘の後ろ姿を見て、店の出口を出る。
まあ、あの反応や毎日くれる昼食を見て確実に好いて貰っているのはわかるのだが・・・まあこんなご時世、こんな職業であるためいつ死ぬかわからない上に命を救われることだって多いだろう。それにそろそろ戦争がはじまるという話を知り合いから聞いたそうなれば・・・
「・・・今からこんな感じじゃあ、ダメだな。」
毎日通っているせいか無意識のうちに道を歩きスリやひったくりを躱しながら着いたのは『イーストの街冒険斡旋所』、この街の『
「こんにちは、今日はどんな仕事があるのかな?」
「ふーむ・・・こんなのはどうでしょう?」
木製の扉を開けると中は酒場と食堂と事務所が合体した様な空間があり食堂や酒場に昼から行くほど興味がない俺は一直線に依頼斡旋所のカウンターのベルを鳴らして出てきた職員と今日受ける仕事を選ぶ、此処の職員は基本冒険者上がりか優秀な文官だ冒険者の力量を気配や今までの依頼達成状況、冒険者としてに経歴から割り出し最適な物を勧めてくれる・・・まあ、皆んなが皆んな気が良いわけじゃない自分で選ぶ目利きの力も冒険者の必須能力だ。俺は提示された依頼の中から薬草採取、野兎の捕獲、隠れ狼の討伐を選び受注した。
大きめのロングソード。
刀身が厚めの片手剣として描いているつもり、通常のモノと比べると少し長く、片手剣としては重い印象、通常のモノより厚く作られているため耐久性、防御力は向上している、ただその分重くなってはいるのでよく考えて使うべき。
ポシェットの着いたベルト。
腰に巻かれている、剣とその鞘を付けるため金属部品で穴が開けてある。ポシェットは大きくはないがpspのゲームカセットの入ったプラスチック製の箱を二個重ねた様な大きさのモノが右手側と背中側についている。財布や貴重品よりも砥石や薬品、投げナイフ、採取物の格納に使われる。また大ぶりのナイフが左手側についており獣の解体やちょっとした物を切るときはそれを使う。