仮面ライダー剣 〜切札と帽子と本の旅人〜   作:龍牙

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プロローグ


「全てのアンデットは封印した。…残っているのは、ジョーカー…お前一人だ!」

止む事無く振り続ける雨の中、森の中で彼、『仮面ライダーブレイド』、『伊達 翔』はそう叫んだ。

彼と対峙する相手は最後のアンデッド『ジョーカー』…いや、彼の仲間だった仮面ライダーの一人『仮面ライダーカリス』…『相川 始』。瞬き一つせずに構えるその姿に人間らしい物は感じられない。

「…できれば、あんたと戦いたくなかった。」

「戦うことでしか…俺とお前は語り合えない。」

「言うと思ったよ。」

予想していたとは言え突きつけられたのは明らかな拒絶。翔はそれを平然とした態度で受け止めて一言だけそう返す。

何のカードを通してもいないのに『相川 始』は『仮面ライダーカリス』へと変身する。それに答える様に『ブレイバックル』に『(エース)』のカードを差し込む。既に覚悟は決めていたのだ。迷う必要は無い。

「変身!」

翔は叫び声を上げて『仮面ライダーブレイド』へと変身し、カリスに立ち向かう。

それに対して、カリス…いや、始は…最後のアンデッド『ジョーカー』として、ブレイドを迎え撃つ。

「どうした!? その程度か!? いくらお前が手加減しても、俺は…容赦はしない!」

その言葉通り、ジョーカーは情け容赦無く反撃の暇も与えぬよう、何度もブレイドを殴り飛ばす。

『殴られるべきだったんだろう、自分は。』そんな考えが浮かぶ。ラウズアブソーバーとキングのカードの二つを使った方法は思いついていた。だが、それには決定的に時間が足りない。そんな気持ちがブレイドに反撃と回避の意思を奪っていた。

そして、何度目かに繰り出されたジョーカーの攻撃を避け、ブレイドはカウンターに蹴りを叩き込むみ、一旦距離をとる。そして…ジョーカーへと駆け出した。

ジョーカーもブレイドに呼応する様に距離を詰める為、駆け出す。ブレイドもジョーカーも武器は持っておらず、互いに拳で、蹴りで攻撃をぶつけ合っていた。

そんな中でブレイドが動きを止める。攻撃を加え続けられながらの大きく振りかぶっての右ストレート。ラウズカードを読み込んだ様子も無いのに、その拳には彼の持つカード『スペードの6』…『サンダー』の力が宿っている様にも見えた。

そして、翔はブレイドの最後の切り札を切る。

腕のラウズアブソーバーに『(クィーン)』のカードを差し込み、『(キング)』のカードをカードリーダー部分に通す。

『ABSORB QUEEN』『EVOLUTION KING』

ブレイドのラウズカードが『ギルドラウズカード』へと進化し、全身がアンデットのレリーフが刻まれた黄金の鎧へと進化する。それこそがブレイドの切り札『仮面ライダーブレイド キングフォーム』

「これで…終わりだ。」

キングフォームと成ったブレイドがそう呟き、真上へと手を翳した瞬間に全身のレリーフが輝き、五枚のギルドラウズカードがその手の中に現れた。

『SPADE TWO』『SPADE THREE』『SPADE FOUR』『SPADE FIVE』『SPADE SIX』

次々に金色の大剣『キングラウザー』の中に収められていく五枚のカード…五枚目の『スペードの6』のカードがキングラウザーに納められた瞬間、

『ストレートフラッシュ』

その『役』は完成する。

ブレイドの手の中に現れるのは一振りの剣…愛剣『ブレイラウザー』。そして、5枚のカードに宿る力を二振りの剣『キングラウザー』と『ブレイラウザー』の二刀へと乗せ、『X』を描く様にジョーカーを切りつける。

それはブレイドにとって、『ロイヤルストレートフラッシュ』を除けば最大の破壊力を持つ技…それが、完全にジョーカーへと決まる。

奇しくも彼の取ったその選択肢は初めて…何も知らずに…ジョーカーの事を何も知らずに、ジョーカーと対峙した時と同じ技の選択だった。

手段を模索する中で、何度考えた事だろうか? 『あの時、何も知らずにジョーカーを封印していれば楽だっただろうか?』と、

だが、幾ら考えた所でそんな『if』は存在していない。彼に有るのは目の前の現実のみ。

二刀の一撃を受けたジョーカーはその場に倒れたが、再び立ち上がり、よろよろとブレイドへと向かい前に進む。

「……すまない……。」

一言だけ呟き、ブレイドは『プロパーブランク』を投げつける。そして、そのカードはジョーカーの胸の飾りの部分に突き刺さり、光を放ち始める。それを見つめるブレイドは複雑な心境だった。ジョーカーの封印の瞬間。

今まではただ敵を倒したという感覚だけ、強力な敵を倒した感覚は有っても、そこにこんな気持ちは無かったはずなのだ。

それなのに、最後のアンデットを倒した今は違う……そこに有るのは爽快感ではなく、仲間を犠牲にしてしまったと言う喪失感だけだった。

「……天音ちゃん……。」

ラウズカードの中に完全に封印される前に…確かに、そんな声が聞こえた。それはジョーカーとしての言葉ではなく、『相川 始』としての…『人間』としての言葉でそう言った様に聞こえた。

そして、ブレイドの変身が解け、ブレイバックルとラウズアブソーバーが……そして、彼の持つ13枚のラウズカードが落ちる。翔はそんな事にも気付かない様に一歩一歩、幽鬼の様な足取りで、最後のラウズカード『ジョーカー』へと近付いていく。

それを拾い上げ、膝を突き、

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!!!」

喉の奥から叫び声を上げた。それは泣いている様にも、叫んでいる様にも聞こえた。そして、そのまま水溜りの中に音を立てて倒れこんだ。

…こうして、このバトルファイトは『全てのアンデッドを封印する』と言う結果を持って、終焉を迎えた…。

だが、この終焉は彼にとっては一つの過程でしかないのだ。

仮面ライダーブレイド『伊達 翔』…彼の物語はこの『終焉』の名を持つ『過程』から始まる。

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