仮面ライダー剣 〜切札と帽子と本の旅人〜   作:龍牙

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参幕

「ご招待どうも。それで…お前は何者で、オレに何の用だ?」

ブレイラウザーを眼前の相手に向けて、翔…仮面ライダーブレイドは『麒麟』の姿のアンデッドを一瞥しながら、そう問い掛ける。

「………。」

『麒麟』のアンデッドはブレイドの問いかけに答えずに後を振り返り、一度だけ『着いて来い』とでも言う様にブレイドへと視線を向けて何処かへと走り去っていく。

「っ!? 待て!」

ブレイドは専用マシンを持たない今のブレイドでも、十分に追跡できる程度の速度で走り去った『麒麟』のアンデッドを追いかけて行く。

 

 

 

 

 

 

 

時は僅かに遡る

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっ、オレ、カスミの方を手伝ってきます。」

「ああ、パーティーの準備も任せたぞ。」

そう言って翔と虎太郎は、JACARANDAへと戻って行くクウヤと別れて警察署へと向かって行く。

さて、その後警察署へと着いた翔達だが…翔は思わず頭痛でも押さえる様に頭を抱えてしまっていた。

「…取り敢えず…オレはお前に対して、『バカ』とでも言って置くべきか…?」

目の前に居る彼よりもニつ程年下のショートカットの少女を、アンデッドと対峙した時に近い程の鋭さを持った視線で睨みつけながらそう呟く。

「え? 奈菜(なな)!?」

己の義妹『伊達 奈菜(なな)』へと向けてそう叫ぶ。

「バカは酷いと思うな、翔。私と翔の仲じゃない。」

「………。どう言う仲だ? 変な誤解を招くような事を言うな。」

彼女との関係は、現義妹であり、元従兄妹と言う関係で、旧姓は『広瀬 奈菜』。BOARDの研究員だった『広瀬 義人』の娘であり、同時にかつて仮面ライダーとして戦ってきた頃の協力者の一人である。

そんな事も有り、翔自身、最初にブレイドになった時は身内の不始末の後始末と言う感覚だった事は否定できない。

さて、彼女は最年少でBOARDの研究員となり、アンデッドサーチャーを作り上げ、BOARDの壊滅後も虎太郎と共に翔をサポートしてくれた自他ともに認める天才らしいのだが…興味に向いた事は何にでも首を突っ込みたがる性格故に時々こうして警察に保護される事も多々有り、その都度に翔が彼女を引取りに行く手間を掛けさせられているのだ。

「いやだなぁ、私と翔は義兄妹であって元従兄妹…どっちにしても、他人じゃ無いのは確かだとは思うけどね。」

翔に向かってそう言うと奈菜は虎太郎に向き直り、

「あ、奈菜ちゃん久しぶり。」

「やあ、虎太郎、久しぶりだね。君の書いた本は読ませてもらったよ。でも、惜しむべきはもう少し、『剣崎 一真』を格好良く書くべきだったね、折角翔をモデルにしたんだから、私がモデルになったヒロインの『広瀬 栞』と…。」

ポカン!

無言で奈菜を殴る翔だった。

「痛いな。なにをするんだ、翔?」

「お前は…他に言うべき事があるんじゃないのか? 大体…あれに関してはオレの希望で別人に変えてもらったんだ。…大体、何を期待した?」

「さあね、君を別の誰かに取られた身の上としては本の中でくらい、君と恋人になりたかったと思っただけだよ。」

「はぁ…。」

こんな風に翔に対して好意を向けて来る彼女なのだが、彼には現在は恋人が居る訳である。ベストセラーとなった『仮面ライダーと言う名の仮面』の執筆中、何度かそんな事をリクエストしていて、彼女は直接顔を合わせた事は無いが何気に虎太郎と接触しているのも彼女である。

どうでも良いが、付け加えるならば、同時に虎太郎の本の中のレンゲルこと『上条 睦月』もクウヤの希望で本の通りの人間になったし、レンゲル用のラウズアブソーバーに関しても存在しない事になっている。

「ああ。虎太郎、天音ちゃんの誕生パーティーには是非私も出席させてもらうよ。」

「…こいつは…。」

己の義妹ながら、彼女のマイペースさには時々頭が痛くなる思いの翔だった。流石に実の父の記憶を持った改造実験体(トライアル)と戦った時はそんな彼女の弱い部分を見たしたのだが…。

「ああ、それと…こいつ(奈菜)の事は悪かったな。」

そう言って後に居る少女達に振りかえる。

「気にしなくてもいいよ、翔にも用事が有っただろうし。でも、どうしてここに?」

「ああ、知り合いの誕生日パーティーの準備を手伝ってたんだけど、ちょっとここに来る事になってな…。」

膝まで伸びる黒い長髪の少女、『東 葉月』にそう告げると、

「そうだね、葉月義姉さん達も一緒にどう? 天音ちゃんの誕生パーティーもみんなで祝って上げた方が良いだろうからね。」

「ボク達も参加させてもらっても良いのかな?」

「多分大丈夫だろう、オレと奈菜の共通の知り合いだしな。オレから葉月達の事は頼んで見る。」

最後に『ただし、誕生日プレゼントは持ってきてくれ』と付け加えておく。

「うん。」

「あ~、翔久しぶり~!」

そう言って飛びついてくる金色の髪の少女の存在に気付き、翔は近くに居た虎太郎の肩を掴み、身代わりにする。

「え、うわぁー!」

「もう、なんで避けるのよ!」

「飛びかかってこられたら避けるだろう…普通は。」

「姉さん。」

身代わりにされた虎太郎を突き飛ばして不服そうに抗議する少女に呆れた様に溜息を着きながら金色の髪の少女にそう呟く、翔と葉月の二人だった。

「う~、翔も葉月も酷い~。」

翔にだけ記憶が残る旅の仲間…現在はどうやったかは不明だが、現在は葉月の姉を仮の姿として東家の長女として生活している、『リリス』こと『東 沙織(さおり)』は不満気に二人に向かってそう言った。

なお、リリスは幾つものパラレルワールドを『本』として管理している『図書館世界』の管理人らしい。

姉を探し様々な世界を渡る葉月の旅に同行し、そこでリリスとは出会った。

葉月の旅に協力する事になった翔だがそれは無事に連れ戻す事に成功したのだが、幸か不幸か葉月はその旅の記憶を失っていた。だが、旅の中で芽生えた翔への好意だけは残っていた。

(…どうでも言いが…今更ながら、オレ達世界のタイトルが気になる事だな。)

そんな事を考えてしまうが、本当にどうでも良い事である。

「まあ兎も角…沙織さんも初美さんも久しぶりです。」

そう言って最後の一人…『東 初美』も含めてそう挨拶する。彼女、初美も手話で『久しぶり』と返してくれた。彼女が葉月の旅の目的で有った人物であり、本来の名前は『イブ』と言うらしい。

有る事情から葉月と彼女達が一緒に居られる時間は成人までと長くは無いのだが…それでも、葉月はその別れの運命を忘れてしまっているし、翔はその僅かな間に少しでも彼女達に楽しい思い出が残ってくれれば良いと思っている。

「そう言う訳で…虎太郎さん、天音ちゃんの誕生日パーティー、葉月達も参加させてもらっていいですか?」

「うん、姉さんもいいって言ってくれるよ。」

「ありがとうございます。ボク達も参加させてもらいます。」

翔の言葉に虎太郎が答えると、葉月がそう礼を言った。

「わ~なんだか、楽しみ♪」

楽しそうにそう言っているリリスと、嬉しそうに微笑んでいる初美の二人…そんな時、奥の方から罵声が聞こえてきた。

「い、今のは…?」

「もう、何よ、あの子!」

「…そう言わないで上げてくれ…本当はあんな子じゃないはずだ…。」

「「…翔…。」」

警察署を出ながらリリスが不機嫌そうにそう言った。彼女の気持ちも理解できるし、その原因を作り出してしまったのが、自分自身の決断で有る為にそれが翔には余計に辛いのだ。

だから、辛そうな翔は天音を弁護した。…そして、そんな翔の表情を見ながら葉月と奈菜は心配そうに彼の名前を呼ぶ。

天音が捕まった理由は窃盗罪。とある百貨店で万引きを働いたと言う。初犯と言う事も有り、今回は簡単に釈放されたが、天音に反省の色は無かった。それどころか、迎えに来た遥香達に対して刺々しい態度をとっていた。

「大きくなったね、天音ちゃん。」

場の雰囲気を変え様と翔が天音に話しかけたが、

「もう! ウザイんだよ! 放っといて! ……ホント、ウザイ!」

今にも泣き出しそうな声で翔に言い放ったのだ。…リリスが不機嫌なのは翔に対して天音がそんな態度を取ったからなのだろうが。

「そんな訳には行かないよ。心配なんだよ、オレも虎太郎さん達も…。」

「嘘! どうでもいいと思ってるのに!? あんたも虎太郎もお母さんも! …始さんだって…。」

「っ!?」

その名前を聞いた瞬間、翔の表情が暗くなった。

「始さん、私の事守るとか言っといて、突然居なくなって…。」

翔だけじゃない…『始』と言う名前が出た瞬間から奈菜も虎太郎も、始の事を知っている人間は全員表情が沈んでいる。

「翔…始さんって、誰?」

意を決して葉月が翔にそう問い掛けた。

「…オレ達の仲間だ…。」

心から辛そうに翔は葉月の問いにそう答える。

「っ!? 悪い、みんな…先に帰っていてくれ、オレも後からJACARANDAに行く。葉月、悪いけど、オレの変わりに虎太郎さん達を手伝ってやってくれ。」

「あっ、翔!」

そう叫んで翔は走り出し、ビルの影に隠れるとブレイバックルを取り出すとラウズカードを刺し込み、それを腰に装着し、

(…どこに居るかは知らないが…オレだけを狙って殺気を送ってくるなんてな…。オレだけを呼んでいるって言う訳か。)

そう思いながら翔は不適な笑みを浮かべる。

「良いだろう…その招待…受けてやろう。変身!」

『Turn Up』

仮面ライダーブレイドへと変身し走り出すし…物語の冒頭へと繋がる訳である。

麒麟に似たアンデッドを追いかけていたブレイドは何時の間にか廃工場へと辿り着いていた。

「どこに…? っ!?」

周囲の気配を探ろうとしたブレイドは何かに気が付き後に跳ぶと、今まで彼が立っていた床に数枚のカードが突き刺さった。

「ラウズカード!?」

『…使え…仮面ライダー。』

優しげだが何処か強制力がある声が響くと、そこから一体のアンデッド…ブレイドが追い掛けていた『麒麟』のアンデッドがその姿を現した。

「…アンデッド…しかも、上級!?」

上級アンデッド…書くスートにJ~Kまでの三体…合計12体存在し、人間としての姿を持ち、人語を操るだけでなく近い知能を持ち、通常の2~10までのアンデッドよりも高い戦闘力を持つアンデッド。特にライダーの変身に重要なカテゴリー(エース)は強大な力を持つカテゴリー(キング)に対抗する為に生み出されたと言う説まで存在する。それほど強力なアンデッドを指す。………………極一部を除いて(『フォー!!!# byスペードのQ』)

謎のアンデッドに注意を払いながら、ブレイドは床に突き刺さっているカードを引きぬくとそのカードを見て驚愕を覚えた。

(♠のカードの…6と9…。)

『サンダー』と『マッハ』のカードがそこにあった。

「これもだ。」

そう言って新たに投げ渡したカードを受け止めると…

「スペードスートのカード!? それも…キング以外…全部…。」

キングを除く全てのスペードのカードがそこにはあった。

「キングフォームとやらは付かないだろうが、これで全力は出せるだろう…仮面ライダー。」

「どう言うつもりだ?」

「…お前の全力を確かめたい…それだけだ。我が名は『麒麟』の祖となりし、『チーリンアンデッド』。」

刀を取り出しそれを構えると麒麟のアンデッド『チーリンアンデッド』は己の名を名乗る。

「仮面ライダーブレイド…伊達翔…受けて立とう。だけど…戦う前にこれだけは答えてもらおうか?」

「なんだ?」

翔の中の疑問は多くある。『麒麟』のアンデッドが存在するのか? 何故12体だけしか存在しないはずの上級アンデッドが他に存在しているのか? しかも、ライダーでもジョーカーでもないのにどうやってアンデッドを封印したのか? …だが…これだけは最初に確かめておきたかった。

「何が目的だ? 何故オレにカードを渡した? オレの力を確かめたいと言うのはどう言う意味だ?」

封印されているアンデッドの中にはカテゴリーKは無いとは言え、JとQの上級アンデッドも含まれていた。…戦ったからカテゴリー(ジャック)のイーグルアンデッドが強敵なのは自分が一番理解している。

だからこそ、自分の手持ちとキングを除くスペードスートの全てのアンデッドを倒した程のアンデッドが何の目的で自分の前に現われたのか…何故、自分の実力を確かめたいと言うのか、それが疑問だった?

「……簡単な話だ……。カードを渡したのはそれらも含めての全力を見たい。そして、お前の実力を確かめたいのは…嶋と同朋カテゴリーナイトの一人が認めたお前の力を私自身で確かめたい。」

チーリンアンデッドはそこまで言うと己の武器である刀を構えながら、ブレイドへと視線を向け、ゆっくりと距離を詰める。

「………………。」

ブレイドも無言のままチーリンアンデッドの動きの全てを見逃さない様に全力で注意を払いながらも、その言葉を聞き逃さないように注意を払う。

「そして…お前に託すだけの価値があるか確かめるだけだ…。我のカテゴリーペイジの力と、この世界の生命(いのち)の全てを!!!」

「カテゴリーペイジにナイト…? (烏丸所長が送ってきてくれたカードの事か?)」

チーリンアンデッドから語られる聞き覚えのない単語を呟く。

「もう質問はないようだな…? では…行くぞ!!!」

「来い!!!」

それぞれの得物を構え、ブレイドとチーリンアンデッドの姿が交差する。

 

 

 

 

 

 

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