「くっ」
マンティスアンデッドの振るうカリスアローの刃をレンゲルラウザーで防ぎながら、クウヤはレンゲルの仮面の奥で顔を顰める。
一度は自分の目の前でリモートのカードで開放されたマンティスアンデッドはジョーカーに一撃で封印されたが、十分に『最強のアンデッド』と謡われる程の実力があると確信させる。
…まあ、そんなマンティスアンデッドに勝ったジョーカーに勝利してバトルファイトの最終的な勝利者となったヒューマンアンデッドが、どんな方法でジョーカーに勝ったのか物凄く気になる所だ。
剣本編でもジョーカーに何もせずに封印されて、最後までどんな能力を持っていたのか不明なアンデッドだったし、ヒューマンアンデッドって。
(…確かに違和感は有るけど、似てる!)
当然かもしれないが、そう思えるほどにマンティスアンデッドの攻撃パターンや動きには仮面ライダーカリスと似ているものがある。
寧ろ、カリスの事を考えるとマンティスアンデッドが本家と言うべきかも知れないが、マンティスアンデッドと戦っているとかつての戦いの時にカテゴリーAの意思に操られて戦った時の事を連想させられるのは、
「でも!」
休みなく繰り出されるマンティスアンデッドの攻撃を振り払いレンゲルラウザーの石突の部分を叩きつける。
「…翔さんの分までオレが戦う、お前はオレが絶対に封印する!!!」
別の場所で戦っている先輩の事を考えながらレンゲルは宣言する。翔の心情を考えるとマンティスアンデッドは間違いなく自分の手で封印したかっただろう。だからこそ、今は別の場所で戦っている翔の分まで自分が戦う、そう誓ったのだ。
『RUSH』
レンゲルラウザーによる連撃を浴びせると素早く後ろに下がり距離を取り、ラッシュのカードをスラッシュする。
「はぁぁあ!!!」
『ラッシュ・ライノ』の効果によって強化されたレンゲルラウザーによる突きが、マンティスアンデッドに向かって放たれるがマンティスアンデッドはレンゲルの突きを掻い潜りレンゲルの懐に飛び込むと、
「うわっ!」
そのまま無防備なレンゲルにカリスアローによる斬撃を連続で浴びせる。狙っていたかの様な反撃はダメージ以上にレンゲルに焦りを与える。
(…っ!? 次のカードを)
マンティスアンデッドの攻撃を防ぎながらレンゲルラウザーのトレイ部分を展開させ、次の手となるカードを取り出そうとするが、
(ダメだ)
攻撃を防いでる中で微かに冷えた頭で己の過ちに気付く。先程のカウンターもそうだったが、相手は大技を使った時に出来る隙を狙って攻撃を仕掛けてきている可能性もある。下手な大技は相手からの反撃を受けるだけだ。
「(下手なカードを使ったら負ける…)どうする?」
一方、別の場所では
「ぐっ!」
ブレイドの振り下ろしたブレイラウザーを双剣『ヘルター』と『スケルター』で受け止め、そのまま残った一方で反撃を加える。
使い手の力量によっては攻撃と防御を同時に行える双剣と言う武器の特性を完全に使っている点は、流石はカテゴリーキングと言った所だろうか。
「がぁっ!」
続けて繰り出された連撃を防いだ物の相手の武器は双剣。一方の剣を防いだ所で残った剣によってブレイドの装甲が切り裂かれる。
(…流石は上級アンデッド、しかもカテゴリーキングって所か? どうする…)
思わず自分自身にそう問いかけるが、その答となる一枚絵は浮かんでこない。そもそも、以前の戦いで最後にギラファアンデッドを封印したのはブレイドでは無くギャレン…橘なのだから、過去の戦いの経験を参考にすることも出来ない。
(…こんな状態でこの強さ…。本来のこいつはどれだけ強かったんだ?)
思い浮かんできた疑問を頭の隅に退けて、眼前に居るギラファアンデッドへと意識を向ける。
(…本当のこいつと戦ってみたかった…って、オレは何
余計な事を考えながらもギラファアンデッドから意識を逸らさず、ブレイラウザーを構えながら対抗策を模索する。
(…相手は上級アンデッド…。本来こっちが両手で振るう剣も相手は片手で受け止められる…。逆にこっちは片方の剣を防ぐのが限界。だったら…)
微かに答えが見えた気のしたブレイドはその直感に従って前へと体重をかける。答えは
(攻撃は最大の防御、相手の双剣を避けて勝負を着ける)
地面を蹴って突きの体制でブレイドはギラファアンデッドへと向かう。
(それだけだ!)
ブレイドの考えを詠んでいたかの様にギラファアンデッドはブレイドを迎え撃とうと双剣ヘルター・スケルターを構える。だが、
「なーんてな」
『TIME』
走りながらトレイを展開し一枚のカード、♠10『タイム・スカラベ』のラウズカードの効果が発動し、ブレイド以外全員の動きが止まる。ブレイドの仮面の奥で翔は悪戯が成功した子供の様な笑みを浮かべる。
スカラベアンデッドには上級アンデッドさえ持っていない時を操る能力を持つ。それは上級アンデッド…カテゴリーキングでさえ脅威・または高く評価している。当然、その強力な効果はラウズカードにも受け継がれている。
そもそも、マッハのカードの加速が通用しなかったとしても、タイムのカードによる時間停止下なら簡単に相手に近づける。当然ながら弱点も有るが…。
(3、2、1…今だ!)
ギラファアンデッドの背後に回ったブレイドが走り出すと同時に時は動き出す。相手を見失ったギラファアンデッドに一瞬だけ同様が浮かぶが、足音で背後から近づいてくるブレイドの存在に気付き振り向こうとする。だが、
「っ!?」
「遅い!!!」
ギラファアンデッドが振り向いた瞬間、ブレイドの振り上げたブレイラウザーがギラファアンデッドの体を切り裂く。
「ッ!!!」
『KICK』『THUNDER』
『ライトニングブラスト』
ギラファアンデッドが後退した瞬間、出し惜しみは無しとばかりに素早くサンダーとキックのラウズカードをスラッシュし二つのカードによるコンボ、ブレイドの必殺技の一つ『ライトニングブラスト』を発動させる。
実際、強敵であるカテゴリーキングを相手に、確実にこの場で封印するためにも、全力を出さない理由などない。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!」
ブレイドのライトニングブラストがギラファアンデッドに直撃したと思った時、ギラファアンデッドの前に出現したバリアがブレイドのライトニングブラストの直撃を阻む。
「なに!?」
折角の必殺技を防がれてしまった事に思わずそう叫んでしまったブレイドにギラファアンデッドの双剣による斬撃が叩きつけられる。
「うわぁぁぁああ!!!」
追撃とばかりにギラファアンデッドは腰にあるクワガタ状の飾りを投げつけてくる。慌ててブレイドが切り払うと地面に落ちた瞬間、それが爆発する。
(…キングフォーム無しだと通常とジャックフォームじゃ勝ち目は薄い…か。一か八か…賭けてみるか)
そう思いながら取り出すのは『
開放されたアンデッドとしての姿は見ていないが、間違いなくそれは上級アンデッドだろう。ならばこのラウズカードの使い道は一つ。
ラウズアブソーバーに♠Q『アブソーブ・カプリコーン』をセットし、カテゴリーナイト『ユナイト・フェニックス』をセットする。
そして、
「試させて貰う!」
『エラー』
気合を込めてラウズアブソーバーにスラッシュした瞬間響いた気の抜ける様な電子音に……敵味方関係なく動きが止まってしまう。この状況に相応しい言葉は一言
『しかし、何も起こらなかった』
だろう。
「あれ?」
『エラー』
何かの間違いかと思ってもう一度使ってみたが、二度目も同じ結果だった。
「ど、どうなってんだ?」
はっきり言ってAPがチャージされた様子も無ければ、消費した様子も無い。本物である事は間違いなく、ブレイラウザーにスラッシュした時はちゃんとAPがチャージされたので本物である事は間違いないが…。
(…一体、何が、どうなってる…!?)
心の中で絶叫しながら、慌てて今度は♠J『フュージョン・イーグル』のカードを取り出してそれをスラッシュする。
『アブソーブ・クィーン』『フュージョン・ジャック』
響き渡る二つの電子音、それと同時に♠と鷲が一つになったエンブレムがブレイドに重なり、彼の姿を『仮面ライダーブレイド・ジャックフォーム』へと変える。
「っ!?」
背中に現れた翼を広げてブレイドJFは空中を舞いながらギラファアンデッドの放つ衝撃波を避けながらギラファアンデッドへと再度必殺技を放つ体制に入る。
《KICK》《THUNDER》《MACH》
《LIGHTNING SONIC》
上空に舞い上がりながら、『キック・ローカスト』『サンダー・ディアー』『マッハ・ジャガー』の三枚のカードを連続でスラッシュ、蝗、ヘラジカ、ジャガーのエンブレムが上空でブレイドJFと重なると、上空からギラファアンデッドへと向かって急降下での落下速度の加速を加えた『ライトニングソニック』を放つ。
だが、ギラファアンデッドはブレイドJFへとバリアを展開させ、双剣ヘルター・スケルターを十字に構えて防御体制を取る。
「行っけぇえ!!!」
「っ!!!」
バリアは突破できない物の僅かにギラファアンデッドの体が後ろに後退する。
ジャックフォームでの加速を加えた三枚のカードでのコンボ、メタルのカードこそ加えていないが変身に使う三枚のカードにコンボの三枚のカードを加えた六体のアンデッドのパワーをぶつけた一撃。全スートの半数近くのアンデッドの力を加えたコンボはカテゴリーキング相手とは言え、間違いなく効いている。
(…このまま…バリアを貫ければ…)
ブレイドJFの意思に押し負ける様にバリアに罅が入っていく。このまま押し切れるかと思った瞬間、
「な!? うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああ!!!」
バリアが砕けるよりも先にギラファアンデッドは双剣を振るい、内部からバリアを砕きブレイドJFを吹飛ばす。
「くそ…」
強化ブレイラウザーを杖代わりに立ち上がったブレイドJFの元から一枚のカードが落ちる。それは、『ユナイト・フェニックス』のカード。地面に落ちたはずのそのカードはまるで、『オレを使え』とでも言う様にブレイドJFの手の中に戻る。
「?」
その状況に思わず首を傾げてしまうが…。
(まさか、このカードは…)
先程と今の違いはダメージを除けばジャックフォームであるか否かと言う一点。
(ジャックフォームに変身した上で使うカードって事か?)
直感的にそう判断するとラウズアブソーバーのカードリーダー部分にそのラウズカードをスラッシュする。
《ユナイト・フェニックス》
その考えが正しいと言う様に先程違う正常な電子音が響き、翼を広げた不死鳥と♠が重なったオリハルコンエレメントがブレイドJFと重なると背中の翼がフェニックスを思わせる光の翼に変わり、銀色の装甲がパールホワイトに染まり、青色の装甲の縁を彩る様に金色に染まる。
最後に胸の部分にある♠Jの紋章が不死鳥の物に変わり、強化ブレイラウザーにカードリーダーとトレイ部分を包み込む持ち手を保護するパーツが加わる。
『聖獣』の力を持った仮面ライダーブレイド・ジャックフォームの強化形態、それこそが聖騎士の名を持つ新たな姿、『仮面ライダーブレイド・パラディンフォーム』。
「なるほど、カテゴリーナイトはジャックフォームに変身してから使って、初めて真価を発揮するカードって事か」
ブレイドPFが地面を蹴ってギラファアンデッドへと向かった瞬間、折り畳まれていた背中の翼が広がり強化ブレイラウザーの追加パーツに『マッハ・ジャガー』と『ボア・タックル』の絵が浮かび上がる。
『マッハ』『タックル』
今までとは違う電子音が響き、同時にブレイドPFにマッハとタックルのカードの効果を与える。
(…能力の強化だけじゃない、こっちの使いたいカードを自動で使ってくれるか。キングフォーム並みに便利だな)
マッハの加速とタックルの突進力を加えたブレイドはそのままギラファアンデッドにタックルを叩きつける。
「はぁぁぁぁぁぁあ!!!」
『キック』
『キック・ローカスト』の効果で強化されたキックを叩きつけて背中の翼を広げ上空へと舞い上がる。
横凪に構えた強化ブレイラウザーに浮かび上がるのは五枚のカード。
《スラッシュ》《サンダー》《マッハ》《タックル》《ユナイト》
電子音と共に浮かび上がるトカゲ、ヘラジカ、ジャガー、イノシシの四種類の動物達の絵がブレイドPFと強化ブレイラウザーの中へと消えていく。
四種類のカードの力をカテゴリーナイトの力が一つに束ね挙げて新たな力へと昇華する。
《テンペストスラッシュ》
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!!!」
帯電する刃を急降下と共にギラファアンデッドに向かって振り下ろす。それがパラディンフォームによる新たなるコンボ、『テンペストスラッシュ』。
テンペストスラッシュを受けたまま立ち尽くしているギラファアンデッドのバックルが開き、そこにブレイドPFがブローバーブランクのラウズカードを投げつけるとギラファアンデッド吸い込まれるように封印される。
「良し、カテゴリーキング封印か完了(…あとは三箇所目に向かうだけか…。間に合ってくれよ)」
少なくとも、これで自分が奪われない限りはもう一体のジョーカーの目的は果たされない。そう安堵しながら背中の光の翼を広げてブレイドPFは空中を駆ける。