Guardianの本部施設。
その医務室にあるベッドで、傷を負ったユウキは眠っていた。
ドラコの鎌によって出来た
「ユウキ君の傷が致命傷にならなかったのは、恐らくブレイブが護ったのだろうな」
そう言葉にするシミズは、普段ユウキが首に下げていたブレイブの結晶に目をやる。
ユウキが医務室に運ばれてから、彼の装備品と共に床頭台へ置かれている
「それでも、やはりこの傷では……」
「そうだな……。今はまだゲルゼやドラコに動きはないようだが……」
ウルトラマンブレイブを倒したドラコは、あの戦いの後から現在に至るまで一切の行動を停止している。
当然、ゲルゼが何かを企んでいる可能性も十分にある為、嵐の前の静けさと言える不気味な状況に二人は警戒を強めていた。
「航空隊と君に負担を強いる事になる」
「それは彼らが無事であったとしても変わらないでしょ?」
「……そうだな。とにかく、今は我々でどうにか切り抜けるしかない」
厳しい戦いになるだろうというのはシミズも重々承知だった。それでもゲルゼから地球を守るためには戦うしかない。
ミズキもかつて誓った想いを胸に、諦めず自身が出来る事を全うしようとしていた。
「――そろそろ指令室に向かうとしよう。みんな待っているだろうからな」
「ええ」
二人は指令室へと向かう。
彼ら――Guardianの隊員たちが目にした、ウルトラマンの正体がユウキであるという事実を伝える為に。
× × ×
指令室に待機していた面々は、それぞれに落ち着かない様子だった。
特に、イチジョウは自分が見た光景をまだ信じられずにいた。
――カガヤ隊員がウルトラマンだった……隊長達はそのことを知っていて彼を入隊させたのか?
ユウキがGuardianに入隊してきた時、イチジョウは何故シミズが彼を採用したのか疑問に思っていた。
一般人である者を、常に危険と隣り合わせの場所に引き入れるのは普通ではないと。それはハセガワやオペレーターの二人も感じていた事だった。
「すまない、待たせたな」
声と共に、シミズとミズキの二人が指令室に入ってくる。
待っていた四人が立ち上がって敬礼をすると、シミズは返礼をして全員に座るように促す。
「あの、ユウキ君の容体は……?」
不安気な様子でニシハラが訪ねる。
「重傷ではあるが命に別状はない。しかし絶対安静だと、医療班からは言われている」
その報告を聞いて、ひとまず四人はホッと安堵の表情を見せた。
ユウキがウルトラマンであった事はもちろん気になるが、彼が無事であるかどうかというのはそれ以上に気がかりであった。
そんな彼らを見たシミズは「君達に話さなければならない事がある」と改めて口にする。
「君達もその目で見て知っているだろうが――ユウキ隊員がウルトラマンブレイブだ」
「やはり隊長は知っていたんですね……」
「ああ。彼を入隊させたのもそれが理由だ」
シミズは堂々と、胸を張ってそう答えた。
そしてユウキが入隊する事になった経緯を説明し始める。
「私も初めてウルトラマンブレイブを見た時は、それは喜んだものだ。これであの侵略者――ゲルゼと戦える、とな」
「隊長は、いつユウキ隊員がウルトラマンだと知ったんですか?」
「ゴメスとの戦いの後だ。あの時、ユウキ君がウルトラマンに変身しているのだと分かった」
その話を聞いたコバヤシは、Guardianが創設されたばかりの頃、シミズとミズキの二人が揃って外出した時の事を思い出していた。
――なるほど、あれはカガヤ隊員のスカウトに行っていたという訳ですか。
それに加えて、彼はある事に気付く。
「確かゴメスが出現した際に、隊長は副隊長に情報収集を命じてましたね。もしかして、その時ですか?」
コバヤシの鋭い指摘にシミズは驚く。
シミズが「そうだ」と答えるのは簡単だ。しかし彼は答えない――答えられない。それはミズキにも関わる事だったからである。
どう答えるべきかを迷っているシミズを尻目に、ミズキが一歩前へ出て口を開く。
「そうよ。私はあの戦いでウルトラマンの情報収集と、可能ならそれに変身する人物の特定が任務として与えられていたわ」
「そして彼が――カガヤ隊員がウルトラマンに変身すると分かった……。しかし、それはウルトラマンになる瞬間か、変身を解く場面を直接見なければ判断が出来ないのでは?」
――優秀すぎるのも考えものね……。
少し困ったような表情を浮かべたミズキは、ブレイブの情報収集に使用した記録用デバイスを取り出した。
「それは……?」
見慣れぬ機器に一同が目を向ける。
「これはウルトラマンの光エネルギーを計測したり追跡することが可能なデバイス。これを使ってデータの記録と、それに変身していたカガヤ・ユウキを発見したのよ」
「ウルトラマンの光エネルギーの計測や追跡……そんな物を、一体どうやって……?」
「地球人の技術では確かに無理ね」
あっさりとそう言うミズキに、彼女の正体を知っているシミズは驚きを隠せない表情を見せる。だが他の四人は
そんな彼らを前に、ミズキは中央のモニターにサロメ星人のデータを映し出して見せた。
「私は地球人じゃなくて、別の宇宙から来たサロメ星人よ」
「別の宇宙から来た――」
「サロメ星人……ですか……?」
「ちょ、ちょっと待ってくれ……!」
ウルトラマンブレイブの正体がユウキである事実もまだ完全に受け止め切れていない面々は、さらに明かされたミズキの正体に理解が追い付けないでいる。
ミズキは以前ユウキに話したように、自身がここにいる経緯や地球を守る決意を話していく。
「――今度こそ命を救ってみせる。私はその為にここで戦っているのよ」
そう口にしたミズキは拳を強く握った。そんな彼女を見たシミズが「ミズキ君、少し肩の力を抜け」と落ち着かせる。
「その様子だと、隊長は副隊長の事も知っているようですね……」
「ああ……。地球に来た彼女を最初に保護したのは、私なんだ。これも話すと長くなるんだがな……」
「そういう事ですか……」
「色々と黙っていてすまなかった」
頭を下げるシミズ。
「……頭を上げてください。隊長達にも事情があって隠していたというのは分かります」
「まぁウルトラマンの正体とか宇宙人がいる、なんて簡単に言えませんもんねぇ……」
次々と明かされた事実に驚くばかりの彼らだが、それでも隊長としての彼の心情にコバヤシとニシハラは理解を示す。そんな二人に、シミズは「ありがとう」と感謝の言葉を口にする。
続いてハセガワも声を上げた。
「正直、私もまだ色々と驚いているが……今はそれよりも先にやらなければならない事がある。ウルトラマン――カガヤ隊員に傷を負わせた怪獣への対策をどうするか、だ」
彼の言葉にシミズは頷いて、モニターに現在のドラコの様子を表示させる。ドラコは変わらずその動きを止めたままだ。
「現状、ドラコ――いや、ゲルゼに動きはない」
「出現した時もそうでしたが、こうも静かだと逆に不気味ですね……」
「あの怪獣の傷、ほとんど治ってる……」
ニシハラが呟いた言葉が、隊の面々に重く
監視映像に映されているドラコの胸は、まるで何事もなかったかのようにブレイブがツインブレードで斬りつけた傷も、イチジョウのF-2による爆撃で受けたダメージも、カメラを最大まで拡大してようやく小さい傷が見える程度にまで回復していた。
「この再生能力がある限り、通常の戦力で倒すのは難しいな……」
シミズも頭を悩ませる。
Guardianはサロメ星人の技術力を
だが誰も諦めた訳ではない。
「外側がダメなら内側から撃破するだけです」
さも当然の事であるかのようにミズキは言う。
「内側から? 一体どうするんだ?」
「ドラコの胸部に地上と空中から攻撃を一点に集中させて、外殻を破壊。再生を始める前に連続で残りの全火力を叩き込みます」
「それはまた……」
彼女から提案されたものが力技だった事に、他の面々は言葉が出ない。
しかしミズキからすれば、現状のドラコへ対する有効的な攻撃方法はこれしかなかった。それはユウキ――ウルトラマンブレイブが健在であったとしても変わらないことである。
「ウルトラマンブレイブ――ユウキ隊員が以前戦ったゲランダで取った戦法です。また、過去に同種と戦ったウルトラマンパワードも、ドラコの傷付いた箇所から体内へと必殺光線を撃ち込んで撃破しています。ならばこの攻撃方法は、あのドラコに対しても有効であると私は考えます」
力強く揺るがない瞳でミズキは告げる。
「……確かにな」
シミズとしても彼女の言う事は
問題はその作戦が上手くいくかどうか、というところであるのだが……。
「有効な作戦が他にない以上、ミズキ副隊長の案で行くしかない」
「しかし外殻を破壊した上で体内を攻撃するとなると、結構な物量が必要になりませんか?」
コバヤシの指摘は、戦力が多いとは言えないGuardianにとって厳しい現実だ。
いくらミズキが新装備を開発しているとは言っても、その配備数は未だ心許ない。Guardクラウンに搭載されているレーザー砲のエネルギーも、航空隊の兵装も無限にある訳はなく、撃ち尽くせば当然ながら補給を受けなければならない。
通常の相手なら現状の戦力でも十分なのだろうが、ドラコは強力な再生能力を持っている。
今後も同様の再生能力を持つ怪獣などが現れる可能性もあり、シミズやミズキとしても早急に解消したい問題であるのだが、すぐさまどうにか出来ることではない。
「……今回は我々だけではなく、自衛隊にも協力を要請するしかないな」
「自衛隊は通常の装備品しかありませんが……」
「ああ……。今の作戦で取れるものとしては、まず我々が先手を取ってドラコの胸部外殻を破壊。それぞれ補給が必要になったタイミングで自衛隊と交代して、波状攻撃でドラコの回復を阻害させる。こちらの補給が完了後、全部隊の火力を奴の体内へ叩き込んで撃滅――というところだろうな」
Guardianの補給中に、対怪獣用の装備がない自衛隊が前線を張るのは、少なくない損害が出るだろうというのはシミズも十分に分かっている。しかしこれしか手がないというのが実情だ。
「――方針が決まったところで、早速準備に取り掛かろう。私は
「では私は装備品のチェックと、補給体制の準備をしてきます」
「頼む。他の者は作戦開始まで待機とする」
シミズは一度一つ息を吐いた後、解散と号令を出して指令室を後にした。
*
各隊員がそれぞれ作戦に向けて動き始めた中で、イチジョウは真っ先にユウキが眠っている医務室へと足を運んでいた。
ベッドに眠るユウキを、彼は複雑な表情で見つめている。
「……君は普通の人間なのか? それともウルトラマンなのか?」
ユウキがウルトラマンであると知った時、イチジョウはもちろん驚愕した。だがそれ以上にカガヤ・ユウキという人物が分からなくなった。
ウルトラマンに頼らない戦力が必要だと訴えたイチジョウへの反応や、基地の屋上で会話した時の表情。特にGuardianは必要かという問いに必要だと答え、例えウルトラマンが倒されても最後まで諦めないと口にした真っ直ぐな眼差し。
あれらの言葉と姿は一体どちらの視点からだったのか。
「君が何者なのか、目が覚めたら答えてもらうぞ」
そう言葉を残して、イチジョウは医務室から立ち去った。
ユウキからの答えを聞くために、まずは目の前の脅威であるドラコを必ず倒すのだと誓って。
× × ×
「ぅ……」
――ここは……?
目を開けると、白い天井が視界に広がる。
――Guardianの基地……? 僕は……ドラコと戦って……それから……。
次第に意識がハッキリとしてきたところで身体に痛みが走った。それと同時に、僕達はドラコに負けたという事を思い出す。
ドラコの鎌で斬られた箇所はかなりの痛みがあるけど、それほど酷くはないように思う。あの一撃を受けて僕が生きてるってことは、皆は無事なのだろうか……。
「――そうだ……ブレイブは……!?」
いつも首に掛けていたブレイブの結晶がなくなっている事に気付いた僕は、痛む身体を無理やりに起こして辺りを見渡す。幸いにもそれはベッドの近くある
僕はブレイブの結晶に手を伸ばして掴み取る。
「ブレイブ……ブレイブ……ッ!」
呼びかけてみても反応はない。
ドラコから受けた傷の影響で、今のブレイブは意思の疎通が出来ないほどに弱っているのかもしれない。そんな考えが頭を
その時、医務室の窓から航空隊のF-2が飛んで行くのが見えた。それもミサイルや爆弾を装備している状態だ。
つまり僕達を倒したドラコは、今もあの場所にいるということだろう。
「今の僕に出来る事は……」
――何もない?
そこまで考えて、頭を振る。
身体にこんな傷を負っていたとしても、僕はここでじっとしてはいられない。
手にしていたブレイブの結晶を首に掛け直す。
「後で凄く怒られそうだけど……」
きっとブレイブから、それにシミズ隊長やミズキさんからも『もっと自分の身体を大事にしろ』って言われるんだろうなと想像して苦笑いを零してしまう。それでも、ただ寝ているだけだなんて僕には出来ない。
僕は痛みをどうにか
「……この格好のまま行くわけにもいかないね」
腕から点滴の針を抜き、まずは制服に着替える為に自分の部屋へと向かう。
――誰にも見つからないようにしないと。
*
ユウキが医務室を抜け出し、部屋へと向かっていた頃――
Guardクラウンのミズキと航空隊のF-2二機は、それぞれドラコを目前に攻撃命令を待っていた。
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「自衛隊の各部隊も配置が完了したようです」
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戦車部隊を始めとした、自衛隊の準備も整った事をミズキが報告する。
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『よし……これより、ドラコ撃滅作戦を開始する!』
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シミズの言葉に各員が攻撃態勢に入った。
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『まずは胸部の一点にのみ攻撃を集中させて外殻を破壊。その後、露出したドラコの体内に――ありったけの火力を食らわせてやれ!』
「「「了解!」」」
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力強い号令と共に攻撃が開始される。
口火を切ったのはGuardian、イチジョウのF-2だった。正確に狙いを定めたミサイルがドラコの胸に直撃する。
続けてハセガワのF-2からミサイル、Guardクラウンのレーザー砲が撃ち放たれる。これらの攻撃もイチジョウの狙いと同じ個所に命中するが、ドラコはまるで効いていないかのように微動だにしない。
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『やはり一筋縄ではいかないか……自衛隊の各部隊も攻撃に参加させる! 手を緩めるな!』
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要請を受けた自衛隊の戦車部隊や航空戦力も攻撃を始める。これによってようやく、ドラコの胸部にダメージを与えられるようになった。
このまま攻撃を続ければ作戦通りに行けるかもしれない――と希望を
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「いやはや、ウルトラマンが倒されたというのに、人間は愚かにも無駄な抵抗を続けるものですねぇ……。ですがそうでなくては、このゲームも面白くありません」
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それを合図に、今まで一切の動きを見せなかったドラコが両腕を広げ、ウルトラマンブレイブを切り裂いたあの鎌を展開させた。
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「さぁ、最後まで私を楽しませてください!」
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そう言い残してゲルゼの宇宙船は再び姿を消した。
だがGuardianを始め、攻撃を続ける部隊はその事に気を向けてはいられない。今まで攻撃を受けるだけだったドラコが動き始めたからだ。
ドラコはGuardianと自衛隊の攻撃を物ともせず、自衛隊の戦車へと右腕の鎌を
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「マズいな……」
「これでは作戦に支障が……!」
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空から状況を見たハセガワとイチジョウは素早く機体を旋回させ、地上部隊の援護にとドラコへ機関砲をそれぞれが撃って気を逸らせる。
二機のF-2が注意を引いている間に、Guardクラウンをはじめ、自衛隊の各部隊が目標を一斉に狙い撃つ。だが外殻を完全に破壊するまでには至らない。
これでは
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『おい、待て……ッ!』
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誰かが叫んだ声が通信機から聞こえた直後、作戦に参加していた攻撃ヘリコプターのAH-1Sが、単機でドラコに急接近していく。
突出したAH-1Sは標的であるドラコの胸部外殻に狙いを定めると、装備されている70mmロケット弾ポッドの全弾を発射した。
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「どうだ!」
「もっと味わわせてやる!」
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AH-1Sの操縦士と射撃手がそれぞれに声を上げては、更なる追撃にと
これだけの火力を叩き込めば、この怪獣に大きなダメージを与えられただろうとAH-1Sの乗員二人は考えていた。しかし爆炎と黒煙が晴れた眼前には――外殻にひび割れを起こしてはいるものの――健在であるドラコが、まるで自身を傷付けた相手を睨みつけるように見ている姿があった。
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「な……ッ!」
『早く後退しろッ!!』
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機体が動くよりも早く、ドラコが鎌を展開させた腕を振り上げる。回避は間に合わない。
ドラコの鎌がAH-1Sを切り裂こうかというその瞬間――
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「シュアッ!」
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突如として現れた、よく知る赤い巨人――ウルトラマンブレイブが空中からの飛び蹴りでドラコを蹴り飛ばした。
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「ウルトラマン……ッ!」
「ユウキ隊員なのか!?」
「どうしてここに……」
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その姿にGuardianの面々が驚きを隠せない。指令室でモニターしていたシミズやコバヤシ、ニシハラも同様だった。
傷を負ったカガヤ・ユウキは医務室で眠っているはず。そんな彼が何故ここにいるのか。
少し時間を
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× × ×
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身体の痛みを堪えながら着替えを済ませた僕は、誰にも見つからないように基地の屋上まで出ることが出来た。ここなら誰にも見られることはないはずだ。
だけど、いくつかの問題があった。
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「ブレイブ……」
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制服に着替えをしている間、どうやってドラコがいる場所へ行くか考えていた。
普段ならミズキさんが運転するGuardクラウンに乗って現場へと向かう。
だけど皆はもう既にドラコと戦っているはずだ。つまり足がない状況である。
かと言って歩いて向かおうにも、今の僕の身体では辿り着く前に倒れてしまうかもしれない。そんな体力はドラコとの戦いに取っておきたかった。
残る方法は、ここでブレイブに変身することだ。しかしこれにも問題がある。
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「……」
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まだブレイブの声は聞こえない。
正直なところ、この状態で変身できるか分からないのである。
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「……でも、やるしかない」
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どの道、ここでブレイブになれなかったらドラコと戦うことも不可能だ。
出来るかは分からないけど、僕は一度大きく深呼吸をして、ブレイブブレスが出現するのを願いを込めながら構える。
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「――ッ!」
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粒子のような小さな光の束が、僕の両腕でブレイブブレスの形になる。しかしそれは一瞬で弾けて消えてしまった。
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――やっぱりダメなのか……?
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そんな考えが一瞬頭を
何があっても僕は希望を捨てない。諦めなければ必ず奇跡は起こると、数々のウルトラマンが教えてくれたのだから。
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「もう一度……皆を守れる――皆と一緒に戦うための力を貸して、ブレイブ!!」
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叫ぶと同時にさっきと同じ構えを取る。
再び集まった光の粒子が、今度は弾けることなくブレイブブレスへと変化し、僕の両腕でその輝きを放つ。
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『――また、君の勇気に助けられたな』
「ブレイブ!」
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ハッキリと聞こえたブレイブの声に、僕は思わず嬉しさが込み上げてきた。
だけど今は喜んでいるだけの時間じゃない。
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「大丈夫なの?」
『万全とは言い難いがな……。ユウキ、本来なら君の方こそ無理は――』
「分かってるよ。でも、皆が戦ってるのに何もしないなんて、僕には出来ない」
『――そうだな、私も君の気持ちはよく分かる。だが無茶はするなよ?』
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ブレイブの言葉に頷いて、僕はブレイブブレスに光を溜める。
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「行くよ、ブレイブ!」
『ああッ!』
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こうして再び戦う力を取り戻した僕達は光となって基地から飛び立ち、ドラコと戦っている皆の元へと急いだ。
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*
《/transparent》 《/transparent》
自衛隊のヘリが攻撃されそうになっているのを認識した僕は、考えるよりも先にドラコを蹴り飛ばしていた。
ヘリが後退するのを確認して立ち上がろうとした瞬間、脚にいつもの力が入らなかった。それと同時にカラータイマーが既に点滅しているのに気が付く。
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「なんで……!」
『私は元より、今は君も既に体力の限界だからな……』
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ブレイブの言葉に、僕は改めてここで負ければ次はないかもしれないと感じる。
倒れていたドラコが先に起き上がる。
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「――今度は負けない!」
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絶対に今ここで踏ん張らなければいけない。僕は気合を入れ直してしっかりと立つ。
ドラコが両腕の鎌を展開してゆっくりと向かってくる。
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『奴の間合いに気を付けろよ?』
「ああ、またあの一撃は受けたくないからね……ッ!」
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振り下ろされる鎌をなんとか避けながら、ドラコにパンチを繰り出していく。だけどやはりと言うべきか、全くダメージを与えられている気がしない。
一度ドラコから距離を取って、どうするべきかと考える。その時、Guardマルチシーバーからノイズ交じりで声が聞こえてきた。ミズキさんの声だ。
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『ウキ――こ……聞こえる?』
「ミズキさん? どうして……」
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今まで僕がブレイブとして戦ってる間、ミズキさんが通信を送ってくることはなかった。それが今このタイミングで通信をしてくることに困惑してしまう。
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『ちゃんと聞こえているようね。ならこちらの作戦を伝えるわ』
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僕の反応は気にせずミズキさんは言葉を続ける。
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『Guardianと自衛隊の標的はドラコの胸部。ここの外殻を破壊した後、攻撃を集中させて対象を体内から撃破するのが狙いよ』
「それってパワードがやった方法ですよね?」
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僕達が前にゲランダと戦った時にもこの戦法を取った。今度もそれをやるつもりのようだ。
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『そうよ。だから可能ならドラコの胸部を狙って攻撃して』
「分かりました! ブレイブ、聞こえてたよね?」
『ああ。だがどうする? 並みの攻撃では、奴に傷一つ与えられないぞ』
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ブレイブの言う通りだ。
かと言って、僕達の今の状態ではツインブレードを使うことが出来ない。それでも通用する手は何かあるはずだ。
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「普通の攻撃が効かないなら……!」
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一気にエネルギーを身体に溜め、そのエネルギーを拳に乗せてドラコの胸を右ストレートで殴りつける。命中した箇所で電撃パンチによる火花が散った。
ドラコは攻撃の衝撃でわずかに後退するが、当然、この一撃で体内を露出させることは出来ていない。
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『これで少しでも削れれば――右!』
「くッ!」
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後ろに下がってドラコの鎌をギリギリで避ける。
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「ハァッ!」
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回避すると同時に、今度は左脚の飛び蹴りによる電撃キックを、さっきのパンチと同じ箇所にヒットさせた。この蹴りでさらに距離が空いたタイミングで、Guardianの皆と自衛隊がドラコを攻撃する。
これらの連続攻撃で、ようやくドラコの胸の堅い体表が剥がれ落ちているのが見えた。
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「これならいける!」
『待て、ユウキ。奴の様子が……?』
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ブレイブに言われ、僕もドラコを慎重に見る。
さっきまで通常のドラコと同じだった黒い体表が次第に赤みがかり、よりパワードドラコに近い見た目になった。
ドラコの変化はこれだけでは終わらない。両腕の鎌が収納されたかと思った瞬間、不意に振るわれた右腕から細い鞭のような触手が僕達に襲い掛かる。
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「ッ――うわっ!?」
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反射的に避ける動作を取ったことで一度は触手の攻撃を回避するが、連続で繰り出された攻撃に対応しきれず触手の一撃を受けて倒れてしまった。
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『大丈夫かユウキ!?』
「な、なんとかね……」
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流石に今の身体の状態では、この一撃だけでもかなりのダメージがある。どうにか立ち上がりはするものの、ドラコが大人しく見ているだけでいるはずもない。
再び触手が襲い来る。
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「しまった……!」
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わずかに反応が遅れてしまった僕達の首に、ドラコの触手が巻き付く。引き剥がそうとするが簡単に外れない。
そんな僕達を前にしたドラコがさらに動きを見せる。
僕達を確実に仕留めるつもりなのか、左腕から収納した鎌ではなく鋭い短剣のような武器を出しては、
すぐに拘束を解いて脱出したいけど、この細い触手からは想像できない力で絞めつけられ、次第にドラコとの距離が縮まっていく。
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『なんて力だ……ッ!』
「このままじゃ……――」
《/transparent》 《/transparent》
マズい、と思ったその時、ドラコとブレイブの中間辺りに放たれたレーザービームが触手を撃ち抜いた。Guardクラウンのレーザー砲の一撃だった。
攻撃によって切断されたことで、首の触手から絞めつけていた力が抜ける。
すぐに触手を投げ捨て反撃をしようとした瞬間、触手を撃たれたドラコがGuardクラウンに短剣を投擲するのが目に映った。
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「ミズキさん!!」
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ミズキさんは
そこへドラコが迫り、右腕を振り上げる。切断されたはずの触手が延び、まるで何事もなかったかのように先程と同じ長さに戻っていた。
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「――ッ!」
《/transparent》 《/transparent》
僕はミズキさんを守る体勢で間に飛び込んだ。その背中にドラコの触手が打ちつけられる。
攻撃に耐えながらGuardクラウンを確認する。
どうやら車が動かなくなっただけではなく、ミズキさんは衝撃で気絶してしまった様子だった。
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「ミズキさん! ミズキさん!!」
『クッ……これではこちらも
《/transparent》 《/transparent》
Guardクラウンを安全な場所へ移そうにも、ドラコの攻撃が続く状況ではミズキさんにも危険が及ぶ可能性がある。しかしこのままじゃ、僕達も限界が来てしまう。
Guardianや自衛隊から援護の攻撃がくるが、ドラコの攻撃が止まる様子はない。
どうするかを考えていたその時、地面に刺さっている短剣が目に入る。
《/transparent》 《/transparent》
――これだ!
《/transparent》 《/transparent》
僕は短剣を引き抜くと同時に振り返り、振り下ろされた触手を切り裂いた。
触手を斬られたドラコは驚いたかのような声を上げる。
《/transparent》 《/transparent》
「絶対に守る……!」
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正直、体力はかなり限界に近い。
それでも最後まで諦めるつもりは当然ない。今度こそドラコを倒して、皆を守る。
その決意改めた瞬間、両腕のブレイブブレスが光り輝いた。
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「これは!?」
『――まさか!』
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ブレイブブレスの輝きが強くなると、そこから出た光がブレイブの全身に広がる。その光景をGuardianや自衛隊の人々どころか、ドラコでさえも不思議そうに見ていた。
眩しいほどの輝きが次第に収まっていく。
光の中から露わになったブレイブは黄金の鎧を身に
《/transparent》 《/transparent》
「これって夢で見た……?」
『ああ。ブレイブブレスの本来の姿の一つ、ブレイブアーマーだ』
「ブレイブアーマー……」
《/transparent》 《/transparent》
全身の鎧――ブレイブアーマーに目を奪われていたところを、ドラコの吠える声が聞こえたことで意識をそっちに戻す。
再びドラコが触手で攻撃してくる。慌てて左腕のアーマー部分で受け止めると、なんと驚いたことに全くダメージがなかった。
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「凄い……ッ!」
『これならば、もう奴の触手は脅威ではないが、油断は禁物だぞ?』
「分かってるよ」
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ブレイブアーマーで防御力は大きく上がったけど、エネルギーや体力が回復した訳ではない。
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「それでも、これでなら!」
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短剣を構える。
ドラコは自身の攻撃が効いていないと見るや、触手を腕の中に戻して両手を鎌に戻した。
この鎧であれば、あの鎌にも耐えられる。そう考えて懐に飛び込むと、ドラコが右腕の鎌で攻撃してきた。
僕は左腕のアーマーで受け止める。触手よりも衝撃はわずかにあるものの、やはりダメージにはなっていないようだ。
《/transparent》 《/transparent》
「お返しだ!」
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短剣の切れ味ならドラコに通用するはずだと、まだ体表が完全に再生しきれていない胸へと思い切り振り下ろす。
胸を斬られたドラコは悲鳴に近い声を上げる。
その隙を逃さず、エネルギーを右脚に溜めた電撃キックによる後ろ回し蹴りの一撃を放つ。火花が散るとともに後退するドラコに、Guardianと自衛隊による攻撃が入った。
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『残弾は気にするな! 全火力でウルトラマンブレイブを援護しろ!!』
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そう叫ぶシミズ隊長の声がGuardマルチシーバーから聞こえてきた。それに応えるような集中砲火で、ドラコの胸の傷がさらに広がっていく。
好機は今しかないと見る。
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「ブレイブッ!」
『ああッ!!』
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エネルギーを付与した短剣をドラコの傷口へと勢いよく投げる。反応が遅れたドラコは避けることも防ぐことも出来ず、その胸に短剣が深々と突き刺さった。
その威力にドラコは倒れるが、それでもまだ完全な絶命には至っていない。
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『ユウキ、またゲルゼに回収される前にトドメを刺しておこう』
「そうだね」
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僕はブレイブに同意して、ブレイブシュートを――エネルギーチャージを省略して――ドラコの胸にある短剣を狙って撃つ。
ブレイブシュートが短剣を伝ってドラコを内側から破壊していき、遂には断末魔を上げてドラコは爆散した。
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「……勝った」
『どうにかな……』
「おっとと……」
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ドラコを倒せたことで気が緩んだ僕は、脚の力が抜けてしまいそうになるが、倒れないようなんとか踏ん張る。
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『大丈夫か? ここで倒れたら格好がつかないぞ?』
「ブレイブだって限界のくせに」
『なんのことだかサッパリ分からないな。私はともかく、ユウキはもう休んだ方がいいだろう?』
「全く……」
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僕とブレイブは互いに笑みを零す。だけどブレイブの言う通りでもある。
身体はとっくに限界だし、何よりシミズ隊長とミズキさん以外の皆は、僕が医務室で眠っていると思っているはずだ。
さっきの戦いで気絶したミズキさんの様子も気になるけど、僕達は飛び立って先に基地に戻ることにした。
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「シュワッ!」
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*
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医務室のベッドで身体を休めていたところ、ドアが開いてミズキさんが入って来た。
頭に包帯などはなく、怪我をした様子は見られない。
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「ミズキさん、大丈夫なんですか?」
「私は少し気を失っていただけよ。傷なら
「それはそうですけど……」
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ミズキさんがふふっと軽く笑う。しかし何かを思い出したかのように真剣な表情になる。
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「――ああ、それと。先に謝っておくわね。ごめんなさい」
「何がですか?」
「貴方達の……ウルトラマンブレイブの正体が隊の皆にバレたわ」
「え……?」
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一瞬、何を言われたのか分からなかった。聞き間違いを疑ったほどだ。
冗談かとも思ったけど、ミズキさんがそんな冗談を言うとは考えられない。
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「一度ドラコにやられた時、倒れてウルトラマンから貴方の姿になったのを全員が目撃したのよ。それで隊長から皆に話したの」
「そう、だったんですね……」
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僕の反応を見たミズキさんは「大丈夫よ」と口にする。
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「最初は皆も戸惑っていたけど、受け入れてくれたわ。私のこともね」
「ミズキさんのことも……?」
「私も自分がサロメ星人だというのを皆に話したわ」
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あっさりとミズキさんは言う。またしても僕は言葉が出なかった。
それでも――いや、だからこそ受け入れてくれたという言葉が実感として伝わる。
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「ニシハラ隊員からは質問攻めにされるでしょうけどね」
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そうミズキさんは再び笑うと「今はしっかり休みなさい」と言って医務室を後にするのだった。
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『……ユウキはこれからも大変だな』
「ブレイブもだからね?」
『私もかっ!?』
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僕が変身しているとは言え、ブレイブが本人なんだから質問攻めの対象としては同じか、それ以上だと思うんだけど……。
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× × ×
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月の裏側。
ゲルゼは新しい力――ブレイブアーマーを装着したウルトラマンブレイブの姿をモニターから眺めていた。
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「まさかあんな力まで持っていたとは……これは少々困りましたねぇ……」
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彼の計画では、ブレイブは使役するドラコに敗北し、二度と立ち上がることはないはずであった。
しかし一度は倒れたはずのブレイブが再び立ち上がり、さらには戦いの
ゲルゼはブレイブを映すモニターに、次に使役するつもりの怪獣のデータを出す。
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「こちらの準備はまだ終わっていませんか……」
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残念がる彼はモニターの映像を消して席を立つ。
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「急ぎたいところですが仕方ありませんね。ですが、次は必ずウルトラマンブレイブを倒し、私がこのゲームの勝者となります!」
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不敵に笑うゲルゼは次の準備に取り掛かる。さらなる
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