ある日のGuardian司令室。
「みんな揃っているな」
僕を含めたGuardianの隊員達が待機していると、シミズ隊長とミズキさんが入ってきた。
ミズキさんはアタッシュケースを持っている。僕はそれに見覚えがあった。
「早速だがミズキ副隊長、始めてくれ」
「はい。では現在行っている、Guardianの装備品更新の説明を始めます」
ミズキさんはシミズ隊長に応えてそう言うと、手にしていたケースを一度置いて指令室のモニターを起動させる。そこには、新しい装備の搭載作業をしている最中のGuardクラウンが映し出された。
「まず陸戦隊から。Guardクラウンの車体上部に、二連装のレーザー砲を搭載。さらに怪獣の攻撃を防御する、バリアシステムも追加しています」
「レーザー砲の部分はダイナのゼレットみたいですね」
「改修案の大部分であるレーザー砲は、そのゼレットを参考にしているからな」
僕の一言にシミズ隊長が答える。
「なるほど……このGuardクラウンもそうですけど、Guardハイパーとかも他の防衛チームの物に参考にしてるのって……」
「簡単に言ってしまえば、作りやすいのよ」
ミズキさんはそう口にして、さらに説明を続けた。
「五年前、ゲルゼが行った予告の段階で準備をしていれば、独自の装備なっていたかもしれないわ。でも、私達はそれをしなかった――出来なかったと言うのが正確だけど……とにかく、今の私達には時間的余裕が無いの」
「故に我々Guardianは元々ある物を使いながらも、怪獣に対抗出来る装備を早急に用意している訳だ。幸いにも、この世界には特撮ドラマとしてではあるが、映像として数々のウルトラマンと防衛チームが戦った記録がある」
「その記録から応用して、短時間で扱える装備を作る。それが現状の強化策よ」
ミズキさんとシミズ隊長はひとしきりの説明を終える。
確かに僕が初めてブレイブとなってベムラーと戦った時も、援護してくれたのは自衛隊の戦闘機や戦車だったのを覚えている。
それにGuardianの中でも、僕が使っているハイパーガンとその強化用のライフルパーツ以外は自衛隊の物と同じ装備だった。
と、ミズキさんは「話を戻します」と言って新装備の説明を進める為に、モニターの映像を切り替える。そこには、航空隊のF-2とミサイルが映し出された。
「これまで航空隊の機体に装備されていた通常のミサイルですが、こちらの弾頭をさらに威力の高い物へと換装しました」
そのまま続けて、ミズキさんはもう一度画面を切り替える。
「また、この新型弾頭のミサイルと同様の威力を有するMk.82通常爆弾を準備しています。現在はまだ一機分しかありませんが、数日の内に十分な数が用意出来ます」
「Mk.82は全てGCS-1装備の物で運用する。これで以前よりも怪獣に対して有効的な攻撃を行えるはずだ」
「あの、GCS-1ってなんですか……?」
「ん? ああ、ユウキ君は知らなかったな」
僕の質問にシミズ隊長は納得したように頷く。
「91式爆弾用誘導装置、その別称がGCS-1よ。無誘導爆弾にこれを取り付ける事で、本来は自由落下する爆弾に攻撃目標への誘導機能を持たせられるようになるわ」
それに続けてミズキさんが説明をしてくれた。
「なるほど、そういう物もあるんですね」
「これで我々だけでも怪獣を倒せますか?」
そう言ったのはイチジョウさんだった。
イチジョウさんはブレイブに――いや、ウルトラマンという存在自体に頼らずに怪獣を倒そうとしている。その理由を知るには、やっぱり直接話を聞くしかないかもしれない……。
「しっかりと怪獣の弱点を突けば可能だろうな」
「ですがこれ一つで倒せるほど、怪獣は弱くはありません。それは分かっていますね?」
「……はい」
ミズキさんの問いに答えたイチジョウさんの表情は渋々、といった感じだった。恐らく心の中では納得していないんだろう。
それでもその答えを聞いたミズキさんは装備の説明を続ける。
「陸戦隊、航空隊の主な装備更新は以上です。最後に、ユウキ隊員が使用しているGuardハイパーも量産化が完了、各隊員分のGuardハイパーが配備されます」
説明をしながらさっき置いていたアタッシュケースを開ける。中にはGuardハイパーと専用のカートリッジが三セット分収められていた。
「今ここにあるのは私と、航空隊のハセガワ、イチジョウ両隊員の分です」
「現場に出ない私やオペレーターのGuardハイパーは別途、出動時に装備する形になる。コバヤシ君とニシハラ君には射撃訓練に参加してもらう事が増えるだろう」
「う゛っ……」
「了解しました」
コバヤシさんが普段と同じ様子で返答しているのに対して、ニシハラさんは「射撃苦手なのにぃ~……」と愚痴をこぼしている。
ミズキさんとGuardハイパーを受け取ったハセガワさん、イチジョウさんは専用のベルトを腰に巻いてGuardハイパーとカートリッジをそれぞれ収めた。
「現状の装備更新は以上です。では隊長、私はGuardクラウンとF-2の換装状況の確認に戻ります」
「分かった。だが後でコーヒー一杯付き合ってくれよ?」
「了解しました」
答えながら優しく笑ったミズキさんは指令室を後にする。
「では各自も自由にしていいぞ」
「それなら早速射撃訓練に行きますよ、ニシハラさん」
「えぇっ!? 嘘でしょぉ!?」
「おう、訓練所にもGuardハイパーはあるからそれを使ってくれ」
「分かりました」
射撃訓練に向かうコバヤシさん。ニシハラさんも文句を言いながらではあるけど、それを追うようにして指令室を出て行った。それからすぐにイチジョウさんも……。
僕はイチジョウさんの後を追う。
「イチジョウさん、少し話があります」
「……」
× × ×
僕とイチジョウさんは誰もいない屋上で話をする事にした。
「それで、話とはなんだ?」
「単刀直入にお聞きします。イチジョウさんは何故、ウルトラマンに頼らずに怪獣を倒そうとするんですか?」
「何を言うかと思えば……」
「何か理由があるんじゃないかって思うんです。もしそうなら、僕はその理由を知りたいんです」
ウルトラマンとしてブレイブと一緒に戦う僕には、イチジョウさんがどうしてそんな戦い方をするのか知ってなきゃいけないと思う。だから……。
イチジョウさんは一つ息を吐く。
「それを知って君はどうする?」
「それは……正直、分かりません。それでも何か力になれるなら……」
「力に、ね……」
そう呟いたイチジョウさんは鉄柵に近付くと、そこに手をついて空を見上げた。
「――君はこのGuardianについてどう思う?」
「どう、と言うのは……」
「ウルトラマンがいるこの地球に、必要な存在だと思うか?」
イチジョウさんのこの質問で僕はある事を思い出す。それは僕がこのGuardianに来る前、組織が結成されたニュースが出た後のネットの書き込みだ。
ウルトラマンがいるから必要ない、出動する機会があるのか、怪獣を倒せる気がしない、そんな感じの書き込みが幾つもあった。
きっとイチジョウさんはそういう事を知っているか、もしくは自分自身でそう思っているんだと思う。だからあんなに必死で戦っていたんだろう……。
「僕は必要だと思っています」
「以前にも聞いたが、もしあのウルトラマンが倒されたら君はどうする?」
それはアーストロンと一度目の戦いで逃がしてしまった後に聞かれた事だ。あの時は答える事が出来なかったけど……。
「その時は……最後まで諦めません」
「何故だ?」
「人間が諦めずに戦い続けるから、ウルトラマンはその力を貸してくれる。僕はそう信じています。だから僕はこのチームが必要だと思っていますし、きっとウルトラマンも――ブレイブもそんな僕達を信じて戦ってくれると思ってます」
「……」
「それに例え倒れても、彼らは何度も立ち上がって勝ってきましたから」
だから僕も……。
「だがそうして人々を守るのは結局ウルトラマンの役目という訳だ」
どこか諦めたようにイチジョウさんは言う。
確かに怪獣を倒すのはそのほとんどがウルトラマンだ。でもその全てがウルトラマン一人の力だけという訳じゃない。
「ウルトラマンだって、いつも一人で戦っている訳じゃありません。Guardianと同じような防衛チームが怪獣を倒したり、ピンチに陥ったウルトラマンを助けて相手を倒すきっかけを作ったりしています」
「それはテレビの中の話だろ?」
「ウルトラマンは勿論、怪獣や宇宙人が現実の存在なんです。だから、テレビの中の話も本当の事かもしれないと、僕は思っています」
実際ブレイブはメビウスの同期だし、他の宇宙のウルトラマンであるダイナが戦った怪獣だって出てきたんだ。だからこの世界で特撮として知られているウルトラマン達の戦いも現実にあったはずだ。
「それにハセガワさんやイチジョウさんだって、ウルトラマンを助けたじゃないですか」
「俺達が……?」
「これまでに出てきた怪獣との戦いで、お二人の攻撃があったからブレイブは勝てたと思います。エレキングやダイゲルン、それにこの前のアーストロンとケルビムとの戦いだって航空隊の援護があったからチャンスを掴めたんです」
「俺達の攻撃で……」
イチジョウさんがそう呟いた瞬間、基地の警報が鳴り響いた。それと同時に僕とイチジョウさんのGuardマルチシーバーに通信が入る。
『ゲルゼの宇宙船が現れた! ミズキ副隊長、新装備の搭載状況はどうだ?』
『陸戦隊、航空隊共に完了しているのでいつでも行けます。ですが先程も説明した通り、Mk.82は一機分しかありません。どちらに搭載させますか?』
『今回は
『了解です』
『では陸戦隊、及び航空隊は現場に急行! 怪獣の出現に備えろ!』
『『「「了解!」」』』
シミズ隊長の号令に僕は走ろうとする。するとイチジョウさんから声をかけられた。
「カガヤ隊員、話の続きはまた今度だ」
そう言えば、まだイチジョウさんにした質問の答えを聞いていなかった。
でもこう言ってくれるって事は、きっとその理由を話してくれるのだろう。
「はい!」
僕はそう返事をして屋上を後にした。
*
ミズキさんが運転するGuardクラウンでゲルゼの宇宙船が出現した地点へと到着した。上空にはその宇宙船を警戒するように航空隊のF-2が旋回している。
と、それを待っていたかのようにゲルゼの宇宙船から一筋の光が降りてきた。
「来たわね」
「今度はどんな怪獣が……」
その光が地上まで来て怪獣の姿になっていく。
大きな身体にそれと同じぐらい巨大な翼。その体表は特徴的な外骨格が大部分を占めている。
宇宙有翼骨獣ゲランダ。
ティガ&ダイナに出てきた怪獣だ。だけどゲルゼが出現させたゲランダは、本来体表の青いはずの部分が赤くなっている。
「あれも強化されてるのか……?」
『ユウキ、あの怪獣はなんだ?』
そう聞いてきたのはブレイブだ。
そう言えばブレイブはこの怪獣を知らないんだね……。
「宇宙有翼骨獣ゲランダ。ウルトラマンダイナと戦って必殺技のソルジェット光線まで耐えた強敵だ……!」
『必殺光線を耐えた!? そのゲランダは倒されたのか?』
「うん、プロメテウスって言う巨大な戦艦に搭載された強力な武器、ネオマキシマ砲でね……」
でも、この世界にネオマキシマ砲は存在しない。これは僕達でどうにかするしかない……!
ゲランダは周囲を一度見渡して歩き始める。その足元から炎と黒煙が上がった。
『航空隊及び陸戦隊、攻撃開始!』
シミズ隊長の攻撃命令が下りる。
航空隊のF-2が機関砲による射撃を試みるが、当然ゲランダはこれを物ともせずに進む。
僕はGuardクラウンに新たに搭載された二連装レーザー砲の発射準備に入った。砲塔中央に備えられたカメラと車内のGuardマルチパッドを連動させて、ゲランダに狙いを付ける。
「発射!」
撃ちだされた青いビームがゲランダに直撃した。しかし怯みもしない。
なおもゲランダは足を止めず、今度はその手でビルなどの建物を壊し始めた。
「やっぱりあの体表は硬いか……!」
「正面に回るわ。貴方は怪獣の頭部を狙って」
「分かりました!」
ミズキさんはGuardクラウンをゲランダの前方に走らせながら、Guardマルチシーバーで航空隊に通信を入れる。
「ミズキから航空隊へ。攻撃を怪獣の頭部へ集中させます」
『こちら
『
ミズキさんからの通信を受けて、再び航空隊のF-2が攻撃態勢に入る。
まずハセガワさんの機体がミサイルを撃ち、その後イチジョウさんの機体も続けてミサイルを発射する。放たれた二発のミサイルがゲランダの頭を直撃すると、同時に攻撃した二機のF-2はそれぞれ横をすり抜けていく。
僕は航空隊に気が向いているゲランダへGuardクラウンのレーザービームを撃つ。こちらに目を向けたゲランダはジービームと呼ばれる火球を口から放って攻撃してくるが、ミズキさんがGuardクラウンのバリアシステムを起動させた事で直撃は防がれた。
だけど安心して何度も受けきれる訳じゃない。それはミズキさんが一番理解している。
「回避は任せなさい」
冷静に運転をするミズキさんは連続で飛んでくるジービームを避けていく。こちらも反撃にと僕はレーザー砲で攻撃するが、やはりゲランダは平然としている。
次第に、ゲランダはGuardクラウンの進行方向にある建物を狙ってジービームを撃ち始めた。それによって破壊された建物の破片が降り注いでくる。
「くっ!」
「うわっ!?」
ミズキさんはハンドルを切って何とか回避するが――
「ミズキさん……!」
「衝撃に備えて!」
行く手を阻むように降って来る
前からだけではなく左右からも落ちてくる破片の一つに乗り上げ、Guardクラウンは走行不能にまで陥ってしまう。
「やってくれるわね……」
『二人とも、無事か!?』
シミズ隊長の声がGuardマルチシーバーから聞こえてくる。
「ええ、平気です」
「僕も大丈夫です!」
『よし、航空隊が援護している今の内に離れろ!』
幸いにして僕達は怪我をしなかった。しかし動かないGuardクラウンこのままいるのは危険だ。
シミズ隊長が言った通り、航空隊のF-2がゲランダの気を再び引いている間にGuardクラウンから降りる。それと同時に、ミズキさんはGuardライフル用のパーツが入ってるアタッシュケースを取り出していた。
「私がこれで援護するわ。貴方
「……はい!」
両腕にブレイブブレスを出す。
『よし、行くぞッ!』
「ああ! ブレイブ――――ッ!」
× × ×
航空隊のF-2に向けてジービームを放とうとしているゲランダの側頭部に、変身した直後の
その後、倒れているゲランダの前に僕達は姿を見せて構えた。
「さっきも言ったけど、ゲランダは強敵だよ」
『ああ、油断は禁物だな』
起き上がったゲランダはこちらを見て吠える。
僕はゲランダに向かって走り、懐に入ると同時に腹部へ前蹴りを繰り出す。蹴られたゲランダは二歩程度後ろに下がるが、特にダメージはないように見える。
『連続で行くぞ!』
「うん!」
同じ個所に今度は二発のパンチと後ろ回し蹴りで攻撃した。それでもやはり効果が薄いようで、逆にゲランダはその鋭い爪で僕達に一撃を与えようとしてくる。
その攻撃を一度バックステップで離れて回避し、僕達は再びファイティングポーズを取ってゲランダの様子を
『防御力とパワーに優れている分、スピードはそこまで速くないのか?』
「油断しちゃダメだって、さっき自分でも言ってたでしょ! ゲランダには背中に大きな翼もあるんだから!」
『つまり奴が空を飛んだらそのスピードも補えるという訳か……』
「そういう事!」
ブレイブと話している最中に突進してくるゲランダの頭上を飛び越える。僕達が振り向くと同時にゲランダもこちらに向き直った。そこへ航空隊がゲランダへ再度ミサイル攻撃を行う。
それに合わせて、飛び掛かりながらゲランダを殴りつける。勢いが乗ったのもあり、さっきよりも大きく後退させる事が出来た。
対するゲランダはジービームを吐いて攻撃してくる。
「ハァッ!」
それをブレイブバリアで受け止めて防ぐ。しかし続けて放たれる何発ものジービームで押され、遂にはバリアを破られる形でダメージを受けてしまった。
『ユウキ、大丈夫か!?』
「大丈夫!」
『よし、今度は私達の番――むっ!?』
僕達が反撃をしようとした瞬間、ゲランダへ向けてレーザービームが発射された。レーザーはゲランダの右目に直撃してその視界を奪う。
レーザーが発射された場所に目を向けると、Guardライフルを構えているミズキさんの姿が見えた。
「ミズキさん!」
『彼女の援護か……よし、一気に行くぞッ!』
「うんッ!」
突然目を撃たれてダメージを受けたゲランダに飛び蹴りを食らわせる。一発目が命中した後、さらに高く飛んでゲランダの頭部にほぼ真上から飛び蹴りを当てた。
連続で飛び蹴りを受けて倒れるゲランダ。
「今なら……!」
それを見て僕達はバク転して距離を取り、ゲランダが倒れている間にブレイブシュートのチャージを始める。
「シュアッ!」
ゲランダが起き上がったのと同時にブレイブシュートを放つ。避ける事が出来ないタイミングだった為、そのままブレイブシュートがゲランダに直撃する。
しかしやはりと言うべきか、ブレイブシュートが完璧に命中しているにもかかわらず、ゲランダはほとんど無傷の状態で光線を弾き飛ばした。
『やはりダメなのか……!?』
「諦めないよ!」
『――そうだな!』
ブレイブシュートを弾いたゲランダは翼を広げると、そのまま空を飛びながら突進してくる。
「っ……!」
『ぐっ……!』
僕達がそれを正面から受け止めると勢いを削がれたゲランダが足を地面に着けた。
そのおかげで組み合う形になっているが、ゲランダは目の前にいるブレイブに噛み付こうとその牙を見せる。僕達はそれを抑えながら膝蹴りで抵抗する。
次第にゲランダのパワーに抑え込まれ始め、それと同時にブレイブのカラータイマーも点滅を始めた。
『時間が……!』
これ以上押されるのはマズいと思った瞬間、ゲランダの失われた右目の傷を再びミズキさんがGuardライフルのレーザーで狙撃した。
傷口を攻撃されたゲランダはのけ反るように怯んだ。その隙にゲランダの腹部を蹴って離れる。
「――ハッ、そうか! あれだ!」
『どうしたんだ、ユウキ?』
「今のミズキさんの攻撃だよ! 幾ら強固な外殻で守られていても――」
『内側ならばダメージを与えられる、という訳だな!』
「ああ!」
攻撃の方針が決まったところで右腕のブレスからブレイブブレードを出す。
その時、ブレイブの能力でミズキさんの声と通信のやり取りが聞こえた。
「G1、聞こえますか?」
『こちらG1、どうぞ』
「今からウルトラマンが光の剣で攻撃をします。それと同じ目標へMk.82での爆撃を行ってください」
『了解』
どうやら僕達の攻撃にタイミングを合わせてくれるようだ。もしかしたらミズキさんには僕とブレイブの会話が聞こえていたのかもしれない。
「――なら僕達はそれを信じて戦うだけだ!」
僕はそう言ってブレイブブレードを構えて走る。ゲランダはそれを見てジービームを放ってきたが、僕達はこれを潜るように回避してゲランダの懐へ飛び込み、そのまま逆袈裟斬りで一撃。胴体に斬撃の痕が入ったのを確認して、僕達はすぐにゲランダから離れた。
僕達と入れ違いで、今度はハセガワさんのF-2がブレイブブレードで切り裂いた箇所を爆撃する。誘導装置が装備されているおかげでわずかな誤差もなく命中し、ゲランダの胴体の傷を広げる事が出来た。
『「今だ!」』
再びブレスにエネルギーを溜めてブレイブシュートを撃ち放つ。狙いは勿論、今出来た傷口の中だ。
一点に集中した光線がゲランダの体内へと入っていく。しばらくしてゲランダは最後の咆哮と共に爆発を起こして消えた。
「やった……」
『みんなのおかげだな』
「うん、そうだね」
ブレイブとそう交わしてハセガワさんの機体にサムズアップをして見せる。それにハセガワさんも返してくれているのが見えた。
それから少ししてゲルゼの宇宙船へ目を向けると彼は何も言わず、宇宙船もそのまま姿を消した。
『どうやら帰ったようだな……』
「僕達も帰ろう」
『ああ』
戦いを終えた僕達は空へ飛んで変身を解除した。
*
「シュワッ!」
ウルトラマンブレイブが飛び去って行くのを目にしていたイチジョウ・ハルトは、出撃する前にしたカガヤ・ユウキとの会話を思い返す。
――ハセガワさんやイチジョウさんだって、ウルトラマンを助けたじゃないですか。
――俺達が……?
――これまでに出てきた怪獣との戦いで、お二人の攻撃があったからブレイブは勝てたと思います。エレキングやダイゲルン、それにこの前のアーストロンとケルビムとの戦いだって航空隊の援護があったからチャンスを掴めたんです。
――俺達の攻撃で……。
ユウキにそう言われた時、イチジョウは確かにその過去の戦いでGuardianがウルトラマンブレイブを助けていた事を思い出していた。それが自分であってもなくても。
そして、それは先程までの戦いもそうだった。ミズキとハセガワの援護射撃がきっかけとなってゲランダを倒す事が出来た。
だがそれでもイチジョウには、やはりウルトラマンに頼らない力が必要なのではないか、という考えは簡単に捨てきれなかった。
「力だけを求めるのが危険なのも分かってる……」
――それでも、今の俺には……。
『航空隊、帰投します』
ハセガワの声にイチジョウは考えを中断して彼のF-2に続く。
× × ×
月の裏側まで宇宙船をワープさせたゲルゼは、ウルトラマンブレイブとゲランダの戦闘記録からブレイブのデータを次に使役する予定の怪獣へ吸収させていた。
改造を施されたその怪獣は超獣ほどではないが、対ウルトラマン用として調整されており、そこに今までの戦闘データを合わせた事で並みのウルトラマンでは太刀打ち出来ない程の戦闘力を得ていた。
「フフ……これであのウルトラマンブレイブはこのゲームから退場。そして私は残っている地球の戦力を余裕をもって殲滅、ゲームの勝者となる……」
これから先の展開を思い描くゲルゼは不敵に笑う。しかし彼はすぐに別の心配事へと気が向いていた。
「――ですが、そろそろゲームの勝敗に関係なく、この宇宙を離れなければならない可能性も視野に入れておかなくてはなりませんねぇ。恐らく“彼”もいい加減に、私の居場所を探り当てているかもしれません」
そう口にしたゲルゼは、ブレイブが映し出されているモニターとは別のモニターにもう一つの映像を出す。そこには、ゲルゼが使役する怪獣を他の宇宙から連れ去っていた時に、宇宙船を追跡してきていた“とあるウルトラマン”が映っていた。
「ゲームの最中に“彼”までがこの宇宙に来ると非常に厄介なのですがねぇ……」
――やはりウルトラマンブレイブには、次の戦いで退場していただきましょう。
こうしてゲルゼは次のゲームの為の準備を進めていくのであった。