ToLOVEる - FIRE GENERATION -   作:改造ハムスター

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第12話「爆熱少女リターンズ Ⅲ」

ーメモルゼ星 陸軍基地ー

 

「その陣形だ!貴様たちが、その包囲を維持する中で……、

 

この僕が、男らしく登場ッ……」

 

ギャーンギャッギャッギャギャギャーーンン……

 

「誰だ!訓練中にギターを弾いている奴は」

 

「初めまして、ホーレン先輩」

 

「お、お前はデビルークの……」

 

「地球に戦争仕掛けるんすか?」

 

「戦争をするつもりはない。アシュラちゃんの脅威となる地球人を一部排除するだけだ」

 

「なるほど、奇襲か……。でもホーレン先輩、

 

結城ザク郎、逃げちゃったみたい」

 

「な……何ぃ!?」

 

「どうします?奇襲程度の兵力じゃ、みんなが人間と戦ってる間に、アシュラ先輩、ザク郎にとられちゃいますよ」

 

「そ、そんな、そんなことになったら……」

 

「数週間ぶりの再会っすから、

 

盛り上がるでしょうねぇーっ!!」

 

ギャーン!!

 

「ギターを鳴らすなぁ!!」

 

「あっはは!おもしれー、素敵っ」

 

「……ぐすん」

 

「ホーレン先輩」

 

「…………」

 

「漢、見せたいんでしょ?」

 

「……アシュラちゃん、僕はこんなにも君を愛しているのに……」

 

「だったら潰して奪い取るのみっすよ。

地球ごとね」

 

「……許さんぞ結城、許さんぞ地球人ッ……!」

 

「どうします?」

 

「……よし、貴様たち、

 

 

戦争だぁッ!!」

 

 

(こいつ、単純っすね〜)

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ーキラキラ芸能 事務所ー

 

 

どうも、ザックです。

 

あの後、ララ様の発明品で女体化した俺は奇跡的に脱獄に成功しました。

 

今は「夕崎ザラ」という偽名を使って、とりあえずアッシュたちのいるキラキラ芸能のオフィスビルに潜入しています。

 

少なくとも、アッシュがステージに上がることだけは何としても阻止しなければならない。

 

「それでザラちゃん、いつアイドルになろうと思ったの?」

 

事務所のスタッフが目を輝かせて聞いてくる。俺は今、アイドル志望の女子高生という設定です。

 

「はい、えーっと、昨日のTVで、大人気のHollyさんとAshさんを見て、こりゃ私も何とかしなきゃな〜、って思いました」

「へー、何とかって?」

「はい、ひと暴れしようと思って!」

「ははは!元気だな〜。まぁザラちゃんは可愛いから、すぐにあの2人とステージ立てるよ!」

「ありがとうございます!

 

あ、私あの部屋入ってみたい」

 

「今は駄目だよザラちゃん、今は社長がお話し中っ………

 

てえええハイキッk」

 

ドガァッ

 

俺はスタッフの顎にハイキックを叩き込んだ。

 

「悪いな」

 

目を回して伸びているスタッフを横目に、「応接室」と書かれたドアに近づく。

 

俺はあえて、応接室の隣の部屋のドアノブに手をかけた。

 

ジュゥッ

 

ノブの内側を燃やし、ロックを溶かす。

 

部屋に入るなり、なんと2つのベッドが目に飛び込んできた。その隣には、

 

シ、シャワー室だとぉ!?

 

まるで……ホテルです。

 

地球の芸能界には「枕営業」なる文化があるってきいてたが、噂は本当だったのか。

 

(アッシュとホリー、まだ何もされてないだろうな……)

 

 

『それで、AshちゃんとHollyちゃんは用意できたのかヘア〜?』

 

(ん?)

 

隣の応接室から、男の話し声が聞こえる。

 

ジュウッ

 

俺は監視カメラを溶かし、ドアに耳を当てた。二、三人いるみたいだ。

 

『はい、若頭殿。まだ誰も手を付けておりません』

『よしよし、優秀ヘア』

『それで若頭殿、明日のことなのだが、うちのAshの顔出しはもう少し待って頂きたい』

 

『それはどういうことかヘア〜?約束が違うヘア』

 

カチャ……

 

鉄で出来た何かが、机に置かれる音がした。

 

緊迫した空気が、壁を抜けて伝わる。

 

『そ、それはまだ、今はHOLLYをメインに推していきたいというのも当社としてはありますし、それに』

『それに?』

『ASHの顔を出してしまうと……混乱が起きます』

 

『ボスはそれをお望みヘア』

 

(ボスだと?)

 

ヤクザの組長か何かか?

 

『社長さん、うちの組はソルゲムさんと長〜い付き合いヘア。おたくよりもヘア』

 

 

『ソルゲム』

 

 

その組織の名を聞いた瞬間、背筋に緊張が走った。

 

 

絶対に許さねぇ。俺や、あいつの心をズタズタにした組織。

命に代えてでも潰す。そう誓った唯一の敵だ。

 

 

……ってことはこの声は……。

 

あいつか?

 

 

『いいか、ソルゲムさんは、このデビルークが統一した銀河を壊したい思とる。そのために、ぜひデビルークの姫さんの力「チャームの能力」を利用したいゆうわけヘア。

 

ええか、Hollyはおまけや、Ashをメインにせえ。祭は早い方がいいヘア』

 

『しかし、チャームの能力はあまりに危険な』

 

バン!!

 

唐突に、強く机が叩かれる音が響く。

 

『誰のおかげで、ここまで儲けさせてもろとる思うヘアアッ!?』

『はぁっ、す、すみません!』

 

地球人の震え声。

 

『おたくらに宇宙人の可愛い娘ようけ仕込んだった、ソルゲムさんの恩を忘れんなヘアアッ!』

『は、はい……』

『もし、言うこと聞けへんゆうんやったら……』

『…………』

『この事務所のアイドル、全員アフロヘアーにしてやるヘアーーァッ!』

『いやああああーーっ!』

『一生治らんヘアーーッ』

『倒産ーッ!!』

 

ひでぇwww

 

『とにかく、チャームの能力なんか大したことないゆう事をワシが証明したるから、さっさと二人を呼んでくるヘア』

『い、いくらなんでもそれは』

 

カチャ

 

『か、かしこまりました。すぐお呼びいたします』

『シャワー浴びて待ってるヘア〜』

 

 

会話が終わった。

 

 

ドス ドス

 

(!)

 

男が部屋に入って来る。

 

バチチッ!

 

俺はベッドの下に隠れ、ダンジョくんでザク郎に戻った。

 

ガチャ

 

ドアが開き、大男が入ってきた。

 

ベッドの下から、顔を確認する。

 

(やっぱりな)

 

部屋に入ってきたおっさんは、俺の知ってる奴だった。

 

 

モジャック将軍

 

……昔、マジカルキョーコっていう正義の魔法少女と戦った敵です。特徴はアフロ。特技は他人をアフロヘアーにすること。

 

ザーッ

 

ガチャ

 

シャワーを浴びたモジャックが、ベッドに近づく。

 

「さあ!3Pでイかせまくったるヘアーー!」

 

「逝くのはてめぇだ、モジャック将軍」

 

俺はベッドから飛び出し、バスローブ着たおっさんの背中に花瓶を押し付けた。

 

「ウザースが潰れて、ソルゲムのパシリになったとは聞いてたが、まさか日本のヤクザにまぎれ込んでいたとはな」

 

「お、お前はクロウ・キリサキ!?パクられてたんと……」

 

「俺の能力は知ってるな、モジャック」

 

俺の握る花瓶が、炎を宿し、赤く輝く。

 

「フン!お前の炎なんか、この消化器で消したる!」

「笑えるぜ。そりゃ番組の設定か?」

「な……」

 

「燃えろ。この変態が」

 

ボゥンン!!

 

「ギャアーーーッ!」

 

 

モジャックは黒焦げになり、壁までぶっ飛んだ。

 

「テメェの奥さんと子どもを地球に逃がしてやった、俺の恩を忘れたか?」

 

床に伸びたおっさんに近づく。

 

「わ、悪かったヘア。何でもするから、命だけは勘弁ヘア」

 

そう言って、モジャックは俺に片手を突き出した。

 

 

 

(……チッ)

 

……まぁこいつもどうしようもない奴だが、屑じゃない。ソルゲムの一員といったって、ただの小間使いだ。おっさんなら性欲に負けることもあるだろう。今回は未遂だったしな……。

 

しゃあねぇ、許してやるか。

 

 

「よし、よく聞け」

「な、何だヘア?」

 

俺は許してやる代わりに、こいつを利用することにした。

 

「お前が今話してたイベントの日な。

メモルゼ軍が攻めてくる」

「メモルゼ!?な、何でヘア?」

 

あ、こいつももちろん宇宙人です。

 

「俺が脱獄したのが知られたらしい。ホーレン王子はアッシュとの結婚と、俺の首を狙ってる。この機会に地球ごと潰しにくる気だ。良くて占領、悪けりゃ殲滅か」

 

「それで、どうするつもりヘア?」

 

「迎え撃つには兵隊がいる。

あんたヤクザの幹部なんだろ?組の連中を貸してくれ」

 

「そ、そんなもの……

お前だけで戦えばいいヘア!お前が原因ヘア!!」

 

「残念だが、俺も命が惜しくてな。

正面からは戦わねぇ」

 

「絶対見つかるヘア!」

 

「絶対見つからねぇよ」

 

 

俺は腰からころころダンジョくんを引き抜き、

 

 

バチィッ!!

 

 

自分のこめかみに、ダンジョくんをぶっ放した。

 

 

シュウウゥゥ……

 

「……お前……キョー、コ?」

 

女の俺の姿に、モジャックが慄く。俺はビビリまくるおっさんを睨んだ。

 

 

「それにもし、地球が無くなったら、

 

ヤバい奴が来る。お前もわかるだろ」

 

「ヤ、ヤバい奴……?」

 

「……金色業火」

 

その名を聞いた途端、モジャックは我に帰り、首を振った。

 

 

「早く行け。それとも、俺と寝るか?若頭」

「え、遠慮しとくヘア」

 

「二度と従業員に手出すんじゃねぇぞ」

 

ガタン

 

モジャックは出て行った。

 

…………

 

(ヤクザと手を組むなんてな)

 

俺も外道になったもんだ。

 

いや、昔に戻ったのかな。

 

……

 

(兵器は、変わらない、か)

 

 

トントン

「はぁい」

 

ノックに、反射的に返事をしてしまう。

 

バァン!!

 

ドアが開くなり、ピンクと黄緑の頭が……

 

「ベトベトランチャーくん!!」

「痴漢撃退爆弾!!」

 

ドガァン!!

 

「ぐわぁっ」

 

 

アッシュとホリーの攻撃に、俺は爆煙と共にふっとばされた。

 

 

「来いよアフロ、ぶっ殺してやる!!」

「私の体は、ザッくんだけのものなんだからぁっ!」

 

 

なんか心配して損したよ。

 

 

いや、そんな場合じゃない。いくら女の姿とはいえ見つかったら面倒だ。特にアッシュには気付かれる可能性が非常に高いッ!

 

窓から逃げよう!

 

(おりゃあっ!)

 

ダダッ

 

煙の中、覚悟を決めて窓へ突っ走る。その時、窓際に立て掛けられた箒(ほうき)を見つけた。

 

(これだっ)

 

箒をひっ掴み、窓を飛び降り様に箒へ跨る。

 

ボシュゥッ!

 

箒の掃く部分から炎を出し、俺はその推進力で空を飛び上がった。

 

 

彩南の上空から、アーサーの住んでるアパートを探す。

「あったあった」

俺はアーサーの部屋に向けて下降した。

 

……何か話し声が聞こえる。

 

「天条院、お前はもう本当にデビルークとは関係ないんだな」

「はい、九条殿。私はアシュラ様をお護りするため、ザク郎殿と共に戦います」

「……わかった」

 

「九条先輩?」

 

俺はアーサーの部屋に窓から飛び込んだ。

 

「ザク郎殿、玄関からお入り下さい!」

「お前が言うか!」

 

「結城……なるほど、そうやって脱獄して来たわけか」

 

女の俺を見ながら、九条先輩が立ち上がる。

 

「ヤクザと共闘するらしいな」

「……ああ」

「結城ザク郎。お前は、霧崎玄凰と呼ばれるのを嫌っていたが、今のお前は……」

 

「ええ、わかってます」

 

九条先輩が、口から煙草を離し、火を揉み消す。

 

「お前にも事情があるだろうが、俺は警察だ。反社会勢力と組んだ以上、お前には一切協力出来ない

 

これが最後だ」

 

ダン!

 

そう言って、机に資料を叩きつけた。あれは、メモルゼ軍の戦力データか!

 

「……すいませんッ」

 

九条先輩の背中に頭を下げる。無意味なことだが、それでも謝らずにはいられなかった。

 

「死ぬんじゃねぇぞ」

 

そう言い残し、九条先輩は、窓から出て行った。

 

 

「……だから玄関から出て行けt」

 

「アーサー」

「はい!」

「地球守るぞ」

「わかっております」

 

「クロウ・キリサキ!

 

兵隊連れてきたヘア〜!」

 

モジャックと共に、窓から大量のヤクザなだれ込んできた!

 

「ああっ、わ、私の、私の描きかけの原稿がぁっ!」

 

アーサーがデスクから溢れた原稿をかき集める。

 

そうか、こいつは漫画家目指してたんだっけ。

 

(どんな漫画描いてんだろ)

 

俺は床に散らばった原稿から1枚を拾い、ひっくり返した。

 

 

…………

 

女になった俺が、5人くらいのおっさんに犯されてる。

 

 

「ザク郎殿。「金色業火」の存在を配慮して、穏便に済ませるとのことでしたが、これはもう無理ではありませんか」

 

俺にエロ漫画を見られたとも知らず、アーサーが真剣な表情で聞いてきた。こいつ……後でぶん殴ってやるからな。

 

「……ちゃっちゃと終わらせるしかねぇ」

 

俺はそう言って、アーサーのデスクからエロ漫画を一掃し、九条先輩が置いてった敵の戦力データを叩きつけた。

 

 

●侵略軍

 

兵力 メモルゼ兵 約4000人

 

戦艦 1隻

 

突入艦 2隻

・戦闘艇 8隻

・攻撃艇 6隻

・輸送艇 12隻

・上陸艇 2隻

・戦車 4両

・自走砲 6両

・装甲車 16両

・運搬車 40両

「こちらが、現在地球に侵攻している戦力です」

「なるほど、こんなもんか」

「宇宙空間で待機する戦艦には2000人が乗りますので、実際に地球に侵略してくるのは半数ほどでしょう」

「そのうち歩兵が、輸送艇から降ってくる100人、上陸艇からあがってくる400人くらい、後はみんな乗り物に乗ってると」

「その通りです」

 

アーサーが分かりやすく説明する。さすが元親衛隊隊長。俺も運び屋だったから、兵器にはちょっと詳しい。

 

「その宇宙の乗り物について詳しく教えてくれますかい、お二方」

 

ヤクザの1人が質問する。

 

「この突入艦というのは、大気圏に突入出来る船という意味です。今回侵略軍はこの二隻に乗ってきます。ここから、以下の小さな乗り物が飛び出して、本格的に日本国土を進攻するわけです」

「艇ってのはまぁ、ヘリコプター見たいなもんだ」

 

「装備について、地球と同じレベルで考えないことです」

 

ヤクザたちがざわつき始める。

 

「こ、これはわしらにはどうにもならんやろ」

「自衛隊は動かんのか!?」

 

「動かないよ」

 

ヤクザの中で、1人、白衣を着た奴が答えた。

 

「このメモルゼ軍の侵攻は、日本の首相が同意しているからね。下手すりゃ、叩かれるのは俺たちだ」

 

へぇ、そりゃ知らなかったな。

 

やけに裏側の事情に詳しい。あいつ何者だ?

 

「そ、それで、お前はなんでそんなに余裕でいられるヘア?」

 

モジャック将軍が不安げな表情を浮かべる。

 

「……勝算があるんだよ」

 

俺はガキの頃ゴウカにもらった、続・銀河珍種大図鑑を見ながら言った。

 

「モジャック将軍、とりあえず、こっちの戦力も見せてくれ」

 

 

○地球連合(仮)

 

兵力 ・三代目ウザース会(東京支部)構成員 約400名

・ゴクショー・プリューマ(ロシア)、

ガチ・ムーチョ・カルテル(メキシコ) 計100名

装備 ・攻撃ヘリ 数機

・対空砲 数十門

・防弾車両 数十台

・各種銃火器 多数

 

「て、適当ですね……」

 

「人員もうちょっとよこせねぇのか」

「これが限界ヘア。これ以上はボスが怖いヘア」

 

「ソルゲムの協力は……」

「ある。でも戦闘には参加しないヘア。かわりに……彼を派遣してくれたヘア」

 

さっきの白衣の奴が立ち、頭を下げる。

 

 

……やっぱり、ソルゲムの奴か。

 

それもモジャックなんか比じゃない、相当上の幹部だろう。眼を見りゃわかる。人間の眼じゃねぇ。

 

 

俺は再び、地球側の、データとも言えないずさんな資料に目を落とした。

 

「……しかたねぇ、これでいくか」

 

2000対500、ってことは、だいたい 1人で4人倒せばいいわけだな。

 

「ザク郎殿、先程の勝算というのは」

「ああ、みんな聞いてくれ。

 

メモルゼ星人の特徴を知ってるな」

「男女変換能力や」

「そうだ。そして何と地球では、奴らは自分のくしゃみで入れ替わっちまう。本人の意思とは関係なしにな。俺の知り合いもその母親もそうだったから、間違いねぇ」

「……それがどうしたヘア?」

「これは王宮の歴史の先生から聞いたんだが……

 

メモルゼ軍は、宗教上の理由で、女性が戦っちゃいけないらしい」

「なに!本当かヘア?」

「確かに、聞いたことがあります」

「メモルゼ星人は、成人前の第三次成長を経て、男女が分離する」

「ほうほう」

「だがメモルゼ星には、成人前の兵役がある。敵の大将、ホーレン王子も、軍に入隊した時はまだ男女分離していなかった。

 

つまり……

 

侵略軍は全員男だが、まだ分離前の奴が少なくないはず」

 

「なるほど、それなら」

「コショウかなんかぶっかけて、無理やりくしゃみさせれば、奴らは女になる」

 

「そうなると奴らは戦えないのか!」

「戦意が相当下がるな」

「それだけで敵の兵力を削れるヘア」

「それが出来れば、全然違うぞ」

 

「では、すでに分離している兵については……」

 

「これがあるじゃねぇか」

 

俺はアーサーに、ころころダンジョくんをチラつかせた。

「こいつで強制的に女体化させてやればいい」

 

 

「それは名案だね」

 

不意に、白衣の奴が口を開く。

 

「分離済みの兵士は女体化して士気を落とす。それに……

 

その銃で撃たれた相手が、仮にまだ分離前であった場合」

 

「分離前であった場合……?」

 

 

「対象は 崩 壊 する」

 

 

残忍な笑みとともに、白衣が言い放った。

 

「分離直後のメモルゼ星人にとっては、ただでさえ精神的にも不安定な時期だ。今まですぐ隣にいた人格がなくなるんだからね。

 

そんな状態で、外部から勝手に性を操られて、制御不能に陥るストレスは……わかるだろう?」

 

 

その場にいるいかつい野郎共全員が、この白衣に気圧されている。

 

 

「その銃が沢山あれば、君たちなら1人の犠牲も出さずに勝利出来るかもしれない。

 

ねえ結城君、その銃をサンプルとして、俺たち「ソルゲム」に貸してくれないか。そうしてくれれば、明日の朝までに500丁製造するよ」

 

…………

 

「そ、それはいいヘア、クロウ・キリサキ。それを彼に渡すヘア」

 

俺は白衣の、眼鏡の不敵な眼を睨んだ。

 

「いや、それについては、ちょっと後で話す……。まずこれは、銃じゃねえ。アッシュが作ったおもちゃだからな。俺がどうこう出来るもんじゃねえ」

 

「……ザク郎殿?」

急に態度が変わった俺に、アーサーがそっと声をかける。

 

「……とにかく、侵略軍はこれでなんとかなる。ホーレン王子はまだ新米だ。予想外に苦戦させられれば、それだけで気を削げるだろう。向こうから撤退してくれるなら、それに越したことはないからな」

 

俺の発言に、白衣の眼が鈍く光った。

 

「それより、一番怖いのは……

 

 

デビルークの援軍だ」

 

「ないとも限りませんからね。ザク郎殿の脱獄をホーレン王子に密告したのも、おそらく」

 

「タナだ」

 

アーサーの言葉に答える。黒咲汰奈、あいつだけはマジで何考えてるのかわからん。

 

「アーサー。勿論お前にも戦ってもらうが、その前にやってほしいことがある。

 

これがホーレン王子の勝手な侵略行為であることを、なんとかして日本の首相に納得させてくれ。万一の時は、自衛隊が出動出来るようにな」

 

「わかりました。やってみます」

 

……まとめるか。

 

「まず、アッシュが彩南ステージに現れるのは午前10:00。どのタイミングで顔を出すのかは知らないが、メモルゼ軍はこの時間に現れる」

「言い切れるのかヘア?」

「絶対だ。あいつ……ホーレンは昔から、アッシュに「男らしい」ところを見せたいっつー単純な思考だけで動いてるからな。アッシュの目の前で観客を殲滅しなきゃ、あいつにとって意味ないんだよ」

「それまでに、アッシュの顔はなんとしても隠さないかんな」

「動画にあげられれば終わりますからね」

「そうだ。観客やステージが混乱してる間に、俺がステージに潜入してアッシュを保護する。

そしたら、後はドンパチやるだけだ」

「周囲のビルやタワーに狙撃兵を配置しましょう。狙撃が出来る者は?」

「ロシア人は全員スナイパーヘア」

「では、彼らにそう伝えて頂きたい」

「装甲車は至近から運転席を狙うしかねぇ。ドライブバイの腕を磨いとけ」

「了解ヘア」

 

「とりあえずこれで作戦会議は終わりだ。演習なんてしようがないからな。明日、ぶっつけ本番で行く。よろしく、暴れましょう」

 

オォッ!!

 

箒をひっ掴み、ドアに向かう。

 

「クロウ・キリサキ。わしらの組に入らんかヘア?」

 

「……人身売買やめたら考えてやるよ。クソ野郎」

 

俺はアーサーの部屋を後にした。

 

 

箒で飛んで帰っても良かったんだが、なんか無性に階段を降りたくなって、俺は非常階段の踊り場に向かった。

 

「結城君」

 

振り返ると、さっきの白衣がいた。

 

「そのおもちゃ、ころころダンジョくんだっけ、渡してくれるかな」

 

「お断りだ」

 

俺は即答した。

 

「どうせこのコピーを、メモルゼ星の敵対勢力に売り捌くんだろ?」

 

「関係ないだろう?」

 

「お前、名前はなんだ」

 

「聞いたら後悔するよ」

 

「……何の後悔だ」

 

 

「この宇宙に生まれてきたことさ」

 

 

俺は殺気を込めて白衣を睨んだ。

 

 

「おい白衣、俺はな、今回、アッシュを助けるためにテメェらを利用してるだけだ。テメェらには一切協力しないし、テメェらが他で何をしようが、批難するつもりもない。俺だって屑だからな。

 

でもな、何の罪もない女の子をさらって、勝手に兵器にしやがったテメェらソルゲムを、俺は絶対に許さねぇ。蘇ったんなら何度でも潰してやる。

 

もう二度と、ゴウカみたいなガキは作らせねぇ」

 

「ククッ」

 

「何がおかしいッ!!!」

 

 

「何の罪もない、だって……」

 

 

怒り狂う俺の前で、白衣が眼鏡を外す。

 

 

そして、

 

「それは

俺も同じだ」

 

憎悪を込めた眼光を放った。

 

「もう二度と同胞を殺させない。

クロウ・キリサキ。

 

俺は、お前の親父を許さない」

 

白衣が翻る。

 

 

「その親父の息子もな」

 

 

俺は振り向きもせずに、階段を降りた。

 

 

「俺の名前を聞いてたな、クロウ」

 

俺の背中に、白衣の声が突き刺さる。

 

「俺は、ドクター・スメラギだ。

 

次に会った時、

 

お前を殺す」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ガチャ

 

玄関の鍵を開け、自宅に入る。

 

シャワーを浴びてベッドに倒れ込んだ。

 

……そういや最近、ちゃんと飯作ってねぇな。

 

作るか?

 

いや、もう面倒くさい。寝よう。

 

さて、

 

明日は暴れるか。

 

…………

 

……

 

俺は、女の体のままオナッて寝た。

 

 

吐きそうになった。

 

to be continued

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