ToLOVEる - FIRE GENERATION -   作:改造ハムスター

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第8話「vs バルケ星人&PSP版の敵」

キンコンカンコーン

 

「えー、こちら放送室。たった今結城君と九条先輩がヒッタクン星人を撃破しました!何のことかわからない校内の皆さんは、とりあえずその場を動かないで下さい!

 

ザックー!アッシュちゃんは隙を見て理科室に移動したよ!早く行ってあげてね。以上、猿山智子がお送りしました」

 

ブチッ

 

 

 

「……い、言ったよ」

 

クッククッ

 

「これでよ……

 

グッ」

 

ツー ツー ツー

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

猿山の奴、よくあんなハイテンションでいられるな。いや、尊敬の意ですよ。あいつはヤバイ時とか悲しい時ほど明るく振舞いますからね。

 

アッシュは理科室か。でもどうやって跳び箱からバレずに移動出来たんだ?

 

「九条先輩」

「どうした」

「一応放送室確認してもらえます?」

「何?」

「だから、放送室を」

「何だ?もっとはっ、きり……いっ……ズズ」

 

ズーーーーーーーー

 

 

 

ブチッ

 

 

無線が切れた

 

 

…………

 

 

これは罠だ。

 

俺は確信した。きっと、猿山は誰かに喋らされてる。今の無線だって、誰かがジャックしたんだ。

 

畜生、孤立しちまった。

 

 

基本はね。

 

この事件、笑い飛ばせるもんだと思ってるんですよ。

 

暴走した奴らは戻せばいいし。

 

ヒッタクン星人は死んじゃったけど、アイツらにはその覚悟があったはずだし。その上での婚約者候補なんだから。成り行きとはいえ、死ぬ気でアッシュ探してる俺と一緒だし。だから闘いは面白い。

 

ハンとビシャの兄弟喧嘩も大袈裟なことになってるけど、あいつらまだガキんちょだし、未来がある。絶望することじゃない。

 

 

でも

 

なんか1つだけ、

 

 

とんでもなく気味悪いもんがまじってる。

 

 

イノシシに言わせた言葉といい、

 

今の、放送室と無線の同時攻撃といい、

 

人の願いとか、トラウマとかを利用する、

 

 

悪意の塊みたいな奴が、1人。

 

 

靴箱に着いた。

だが出口が歪んで見える。物理的にじゃない。空間が捻じ曲げられている。出れたもんじゃねえ。

 

久々に冷や汗が流れる。俺はどこに行けばいい?理科室か?放送室か?アッシュは本当に理科室にいるのか!?

 

どっちに行っても……

 

「アッシュ、どこだ」

 

俺は思わず、そう叫んだ。

 

 

「へー、あんたやっぱりそっちなんだ」

 

 

背後から声が聞こえる。

 

 

「久しぶりだね、ザク郎」

 

 

くそったれ

 

 

「じゃあザク郎は、アッシュちゃんのことを想いながら『料理』するんだね」

 

 

 

なんでお袋の声がしやがるっ!

 

「ちゃんと上手に焼きなよ。

あの子は、リトとヤミさんの子なんだから」

 

 

恐怖でゲロ吐いてブッ倒れそうだ

 

 

「どんな料理になるのかなぁ……

ゴウカちゃんは」

 

 

「そうだろう?アイツはお前のターゲット。

 

愛せないなら」

 

 

「責任を持って」

 

 

燃やせ

 

 

「ぶらあああああああああああーーーーーっ!」

 

大奇声を上げながら、俺は振り向きざまに包丁をぶん投げた。

 

ドスッ

 

目の前に、

 

額に包丁を刺し、

 

不自然に首を傾ける、ガキの頃のお袋

 

の、形をした……銀色の何か。

 

 

ブゥーゥウウン

 

 

どす黒い炎が、俺と、異形を包み

 

 

ボゥ……

 

 

周囲の空間がゆっくりと燃えてゆく。

 

 

火が消えた時、俺は理科室にいた。

 

 

 

 

「遅かったね、クロウ」

 

 

……こんどはお前か。

 

 

「プリンセスはあっち。待ちくたびれて……おかしくなっちゃった」

 

 

さっきとは違う、俺の忘れられない少女の姿をした奴が、壁を指差す。

 

キシャアアーーッ

 

そこには、床に根を広げ、怒り狂ったように巨大な口を歪ます若木があった。

 

(シバリ杉……)

 

 

シバリ杉……オキワナ星(沖縄ではない!要注意)の危険植物。槍のような枝で動物を縛り上げ、養分を吸い尽くすまで決して離さない。名前の由来は捕らわれた人が死の直前に叫んだツッコミから*銀河珍種大百科より

 

 

その触手のような鋭い枝の中に、

 

血塗れのアッシュがいた。

 

「あっ、ザック……」

 

虚ろな目を向け、だらしなく股を開く。そして

 

「私、もう、結婚出来ないや……」

 

出血。

 

 

「クロウが悪いんだよ。私がいるのに、プリンセスと幸せになろうとしたから。

 

言ったよね。

 

私を殺してくれるまで、燃え続けるって」

 

「君の大事なものを傷つけていくよ。それでも、まだプリンセスを」

 

 

聞き終わるより早く、俺は包丁で、その金色の額を斬り裂いた。

 

「うわっ!」

 

少女の形がみるみる崩れ、

 

「な、なぜじゃ、なぜまろの変装を!?」

 

やがて烏帽子を被った少年の姿になる。

 

「血の匂いがしない。それだけだ」

 

さっきのお袋に化けてた奴と違って、こいつからは全く邪悪さを感じない。わがままなガキって感じだ。

 

だが俺は動転していた。

 

背後も気にせず、無惨なアッシュのもとへ走った。

 

そして、小細工に気付けなかった。

 

 

「そっちもまやかしじゃ」

 

 

フシューーゥウ

 

 

アッシュの体が変化して……

 

 

「ゲヘヘヘヘ!これが俺の妃になった未来のアシュラだぜぇ。

結城ザク郎よ」

 

ムキムキのトカゲ人間になった。

 

「き、気持ち悪ぅ!!」

 

「黙れ!

 

ギ・ブリー様が叶えられなかった野望は、俺が叶える!」

 

バルケ星人です。残虐かつ下劣な性格で、今みたいな、詳しく描写したら即R-18になるような胸糞悪い精神攻撃が得意ですが

 

「バルケめ、てめぇなんか一発ぶん殴りゃしまいだ!」

 

こいつらの特技は擬態だけで、肉体的には超非力。ハムスター以下です。

 

俺は偽物を見抜けなかった自分への苛立ちも相まって、踏み込みグーパンチを放った。

 

ガシィッ!

 

俺の体に枝が巻きつき、

 

「キシャアアアアーーッ!」

 

ドガッ

 

天井に叩きつけられる。

 

ああ、忘れてた。

 

後ろの奴はシバリ杉でしたね。

 

ズバッ

 

俺は素早く体に巻き付いた枝を切り、バックステップをしようとした。

 

だが、

 

フワン フワン

 

(あ、足が浮いてる!?)

 

「ふん、お前ごとき、簡単に持ち上げられるわ!」

 

烏帽子のガキが、真下から俺に向かって手を上げている。

 

重力を操る能力か!

 

ビュン!

ビュン!

 

シバリ杉の鋭い枝が襲いかかる。無様に浮いたままじゃろくに攻撃を躱せない。次第に体が切られていく。

 

「チクショー、てめぇ何モンだ!?何でアッシュを狙う!」

 

宙に浮いたまま、俺は烏帽子に向かってまるで敵の雑魚キャラみたいなセリフをぶつけた。

 

「ふん、いいだろう。冥土の土産に名乗ってやる。

 

まろの名はジュン!

 

ジュン・ネルス・アクアン!」

 

 

……いや、マジで誰?

 

 

「お前のせいでアッシュがデビルークを去って、まろがどれほど寂しかったか……その身に思い知れ!」

 

 

アッシュの幼馴染かなんかですかね?アッシュって言ってるし。

 

どうでもいいけど、その喋り方から絶対阿倍野仲麻呂みたいな和風の名前で攻めてくると思ったのに、外人の名前だったwww

 

「ゆけ、メッタクソV!!」

 

ウィイイーン

 

今度は丸っこいメカが出てきた。ジュンがそれに乗り込む。

 

(はん、ガキのおもちゃに何ができる……)

 

ダガガガガガガガン!

 

(!?)

 

実弾撃ってきました。機銃くらいでかそう。

 

ビュン!

 

必死で身をかわす。

 

バァアン!

 

天井が吹き飛ぶ。

 

子どもにこんなおもちゃ渡しちゃだめだろ!

 

くそ、こんな奴ら、地面に降りさえすれば一撃なのに……

 

「右じゃ」

 

(何ッ!?)

 

ジュンとかいうガキの言う通り、右側にシバリ杉の枝が伸びる。

 

俺は体の自由がきかない中、何とか左に避けた。

 

ビュン!

 

グサッ!

 

壁に穴が空く。

 

「左」

 

(またかっ)

 

右に避ける。

 

ビュッ!

 

ダガガガン!

 

今度は機銃が火を噴いた。

 

「上、左」

 

ビュン!ビュン!

 

ダガガッ

ボゴンッ!

 

「右、下、上、左、下、下、右、上っ」

 

(クッ)

 

ビュビュビュビュッ!

 

ダガガガガン! ダガガガガ

グサッグサッグサッグサッ

 

「はっはっは!なかなかやるのう」

(こいつ、楽しんでやがるッ!!)

 

「右」

 

ボシュッ!

 

なんか音が違う!

 

ミサイルか!?

 

「いや間違えた左じゃ笑」

 

素直に右へ避けるしかねぇっ!

 

パリィン!

 

避けた先には、薬品のビーカーが浮かんでいた。

 

パシャッ

 

「あっつ!」

 

服が破れる!

 

硫酸か?

 

そうかここは理科室……

 

バガァアアン!

「グァバッ!」

 

ミサイルが命中し、俺は柱に激突した。

 

所詮は子どものおもちゃ、ミサイルにそれほど威力はない。

 

だがシバリ杉に傷をつけられ、あらかじめ服を破られていた俺には大ダメージだった。

 

「こんな危ない薬品が学校に無防備で置かれているとは、さすが宇宙一の平和ボケ惑星じゃのお!アッハッハ」

「てめぇみてぇな分別つかねぇガキは日本にいねぇんだよ多分!」

「うるさいうるさい!」

 

パシャアッ!

 

全身に降りかかる液体。この匂い……もしや

 

「傷口に直接アルコールの原液をいれてやったぞ、コックさん。べろんべろんに酔っ払って、もうまともには動けんはずじゃ」

 

「くっそ、てめぇ……」

 

ち、畜生、体がふらついてきた。頭もクラクラする。相当アルコール喰らったみてぇだ。

 

「遊びは終わりじゃ、結城ザク郎。

 

二度と、アッシュと遊べない体にしてやる」

 

ウィィイン

 

メッタクソVの銃口が、俺に向けられる。

 

誰か…………

 

 

ガシャガシャガシャガシャ

 

誰かの足音が近づいてくる。

 

この音は……鎧?

 

アーサーか!?

 

「丁度いい。

バルケ星人!」

 

ジュンがニヤリと笑い、バルケ星人に命じる。

 

フシュゥウ

 

バルケ星人の体が、再びアッシュの姿をとった。

 

「チャームの能力は、肉体的なもの。あの可愛らしいアッシュの完璧な目鼻立ちが生み出す、数値的なものなのじゃ。

 

このバルケ星人の擬態能力は、0コンマ数パーセントも違わずアッシュの顔を再現出来る!つまり……、

 

チャームの能力を再現出来る!」

 

(!!)

 

「お前は耐えられるだろうが……アーサーは大変じゃったなぁ……結城ザク郎よ」

 

「ああっ、はぁっ」

 

一層悩ましい表情を浮かべるバルケ野郎

 

 

やばい……

あれはエロ過ぎるッ!!

 

もしこのアッシュもどきの顔を、アーサーが見てしまったら……。

さっきああは言ったが、正直、暴走は免れないッ!

 

 

ガララッ!

「アシュラ様!ザク郎殿!おられるか!?」

 

(だめだアーサー、目ぇ瞑れっ!)

 

「久しぶりじゃな、天城院アーサー。

アッシュの悶える姿、とくと見よ!そして暴走するがいいっ!」

 

「うう、助けてぇっ……」

 

バルケの奴が、悩ましげな表情でアーサーを見つめる。

 

アーサーの目が見開かれ、

 

 

 

理性が消えていった。

 

 

 

(終わったか)

 

 

 

 

 

「貴様、何のつもりだ」

 

 

(え?)

 

 

アーサーのはっきりした声。

 

暴走じゃない、これは

 

 

ブチ切れてる!!

 

 

 

 

「アシュラ様に化けるなどぉおおーっ!

 

この私が

 

絶っっ対に許さんッ!!!」

 

 

(アーサー、見抜きやがった!)

 

忠臣の圧倒的な覇気に、ジュンたちがたじろぐ。

 

「アーサー!」

 

その隙に、俺はナイトにイマジンソードを投げた。

 

ガシッ

 

アーサーが剣を掴む。

 

ブゥゥウーンン!!

 

「覚悟ッ!」

 

「ちょっ、まっっ!!」

 

ザシュウッ!!

 

光が振り抜かれ、一瞬、理科室を照らし

 

 

気づけば、バルケ星人も、シバリ杉も、跡形もなく消えていた。

 

「ワーッハッハッハ!思い知ったか愚か者!」

 

ふよよーん

 

だがすぐに、調子に乗ったアーサーが隣に浮いてきた。

 

「ざ、ザク郎殿!?」

 

これさえ無けりゃな……

 

「ふ、ふん!バルケ星人を倒したところで、まろのメッタクソVのようなメカも持たないお前達に何が出来る?降りてくることも出来ないくせに!!」

 

メッタクソVの銃口が、空中の俺とアーサーに向けられる。

 

「蜂の巣になるがいい!」

 

でも、

俺だって、ただ馬鹿みたいに浮いてたわけじゃありません。

 

待ってたんです。

 

ブスン!

 

にわかに、メッタクソVのコクピットから煙が噴出する。

 

「な、どうしたのじゃメッタクソV!?動け、動かんか!」

「妨害電波ヲ受信……システム……停止」

 

シュゥゥゥン

 

メッタクソVの動きが止まった。

 

「ほーう、坊主。俺がメカも持ってないだと?

てめぇ俺が地球人じゃねぇこと忘れたのか?」

 

調理服に隠れたスイッチを押す。

 

ヒィィイイン……

 

「な、なんじゃ。お前、何を言っておる!?」

 

 

「フ○ーザ様でさえ宇宙船で地球に来たのに、お前は俺が○ーパーマンみたいに何万光年も生身で地球まで飛んで来たと思ってんのかよ、えぇ?」

 

「こ、これは……何だ!?お、重い!支えきれん!やめろ、潰れ……」

 

「俺だって

 

 

宇宙船くらい持ってるわ!!!」

 

 

ゴアアアアアン!!

 

 

校舎の壁をぶち壊して登場したのは、俺の自家用小型宇宙船アクセローク号。見た目はタイヤのないトラックに垂直尾翼付けただけです。

 

「行け、アックス!自動射撃!」

 

 

ババババハバッ

 

 

メッタクソとかいうおもちゃは一瞬で黒焦げになりました。

 

 

ドスン!と地に着地する。

 

おもちゃを失ったジュンは、力なく地べたに座り込んだ。

 

「ザク郎どの、子どもですぞ」

 

頭から湯気が出ているであろう俺をアーサーが嗜める。だが俺は無視してジュンのもとへズカズカ歩いていった。

 

「もう……家に帰れん……」

 

ジュンは、まさにメッタクソにされたおもちゃの前で泣き出した。

 

それ宇宙船だったのか。ちょっとかわいそうになってきた。

 

「さ、寂しかったのじゃ。お前が王宮を去ってから、アッシュはお前のことばかり話すし、お前の真似してガラの悪い格好しだすし、挙句には…………まろを置いて、こんな惑星までお前を追いかけていくし……うわあああーん!まろもアッシュと遊びたいのじゃーー」

 

……なんか俺が全面的に悪い気がしてくる不思議w

 

「よしよし、ジュン、悪かったな。アッシュにも伝えておくぜ」

「そ、そうじゃ!全部お前が悪いのじゃー!」

「ああ、俺が悪かったよ」

 

「ザク郎どの、大人だ……」

 

 

「 でも残念だ」

 

「……へ?」

 

 

俺は充血しまくった自分の中指を、ジュンのデコに構えた。

 

 

 

「あいつに化けたのが悪かったな」

 

ふん!

 

バッッッチコーーーーン!!!

 

俺の怒りを込めたデコピンが炸裂する。

 

ジュンとかいうクソ坊主は、泡吹いてぶっ倒れた。当然です。こいつは先輩に頼んで、家に送ってもらいましょう。

 

ザーッ

 

丁度、先輩との無線が復活した。

 

「結城ザク郎、無事か!」

「はい、アーサーもいます」

「そうか、よかった。こちらも無事だ。猿山は精神的に弱っているが、怪我はない」

「そうですか」

「プリンセスはまだ跳び箱に隠れている。早く行け」

「了解」

 

無線を切る。

 

「宇宙船があるなら、何故もっと早く使わないのです」

 

色々裏切られたような目で、アーサーが俺を見てくる。

 

「お前のホームプラネットに目つけられるだろ?

あ、もう追放されたのか 笑」

 

「それはお互い様でしょう……」

 

アーサーを茶化してはみたが、正直、恥ずかしくて顔向けできない。こいつはチャームの能力を克服したばかりか、あの状況でアッシュが偽物だと瞬時に見抜いた。かっこいいとこ見せやがって。さすがは元親衛隊隊長というべきか。

 

かたや俺は……

 

 

屁でイノシシ殺すわ、お姫さまの力でタコ倒すわ、ひったくりに身ぐるみ剥がされるわ子どもに遊ばれるわで…………

 

最低だ。今回カッコ悪過ぎる。え、いつも?ほっといてください。

 

 

俺はふらつきながらアクセローク号に乗り込んだ。

 

「ザク郎どの、どこへ?」

 

 

「ちょっと体育倉庫に突っ込んでくる」

「はぁ!!?」

 

ドン引きするアーサーを横目に、アックスのコクピットに向き合う。

 

「目標、南南東H66地点。彩南高校体育倉庫」

 

「Yes, commander.」

 

セクシーな姉ちゃんの声でAIが答える。ジャンク屋で拾った割には、結構高性能な宇宙船です。

 

あれ、なんかボーっとする……。

 

やべ、アルコール回ってたんだった

 

 

どこの世界に、酒気帯び運転しながらトラックで体育倉庫に突っ込む主人公がいるでしょうか。

 

 

「もう……

 

どうにでも、なっちゃえ」

 

 

ヒィィイイン

 

ゴウッ!!!!!

 

俺は宇宙船を発進させた。

 

 

0.00秒

 

0.57秒

 

 

ドガアアアン!

 

「ギャーッ!」

 

到着しました。薄暗い体育倉庫、だったのは数秒前までのことで、今ではただの穴ですwww

 

風圧で飛ばされた男子生徒たちが転がっている。物理的には当ててませんよ、流石にね。

 

宇宙船を降り、早急に自宅の車庫までワープさせる。こんなとこ九条先輩に見つかったら大変です。これ以上デビルークに目つけられるのもあれですしね。

 

 

ごろん

 

跳び箱がひっくり返り、

 

ネクタイ、ワイシャツ、パ、パンティー姿の……

 

 

「ザック……ピョンピョンワープくん改だと思ったのに、間違えて初期の使っちゃって……行き先指定出来なかった」

 

(いや、問題はそこじゃねーだろ)

 

アッシュの悩ましい姿をチラ見しながら心で突っ込む。

 

「ど、どこに指定するつもりだったんすか?」

 

「……

 

おまえのとこに決まってんじゃん」

 

上目遣い。光る生脚。はだけたワイシャツから僅かに覗く、ピンクの……

 

もう酔いなんて大気圏外まで吹っ飛びました。

 

やばい。もしこんな状況じゃなかったら……

 

もしここが薄暗くて、じめじめしてて、狭くて誰もいないあの体育倉庫のままだったら……

 

俺は耐えられないだろう。他に忘れられない人がいながら、このプリンセスに手を出してしまうかもしれない。俺には親父みたいな鋼の精神力ありません。

 

でも俺はついさっき、偽物とはいえお袋とアイツの顔見てきたばかりってのもあって踏み止まれた。不本意ですが、助かりましたよ。

 

 

校庭から、西連寺や古手川たちの怒号が聞こえる。

 

 

「アッシュ、これを」

 

俺はアッシュに、万一の為にアクセルに積んどいた簡易ペケバッジを渡した。

 

「あ、ペケバッジ……ありがとう」

 

アッシュの体が輝き、気合いの入った白いジャージに変わる。そのファッション、俺の影響だったのかよ……だいぶおかしな方向にかぶれたな。

 

「さっさと終わらせてしまいましょう。

 

2人でね」

 

「うん!」

 

俺たちは、は振り返りもせずに校庭へ突っ走った。

 

to be continud

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