ボクの旅路に幸あれ!……無理か。   作:隔離場

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SCPが主体の話は「○○/○○」で表すことにします。


検証/トマト

 冒険者登録が終わったから、樹ちゃんと一緒にボクが最初にカエルと戦った場所。平原に到着したよ。理由は樹ちゃんの持つ本……『災厄の塊(パンドラボックス)』の検証だね。

 

 この本、樹ちゃんが持っているだけど、実は樹ちゃんの冒険者カードにスキルとして表示されてるんだよね。名称は【Secure(確保)Contain(収容)Protect(保護)】。樹ちゃんが特典としてお願いした『隔離、収容、保護』とは少し違うけど、本人はあんまり気にしてないみたい。

 

「さて、じゃあまずは樹ちゃんが貰った手紙の内容を教えて?」

 

「は、はい。えっと……私の『所持金』、『地図の存在』、『特典の取り扱い方』です。最後の手紙の文はなんていうか、威圧的な文章でした」

 

「だろうね」

 

 当たり前じゃん。「世界を救ってくださいお願いします」って言われてるのに『自立行動して何度でも爆発する核爆弾』を複数個要求するんだもん。結果的に魔王は倒されるけど、魔王と同等かそれ以上の力を持ってそうな奴らが蔓延ってる世界に成りかねないんだもん。

 

「……女神様によるとこの本はSCP財団の本部・支部の確認しているほぼ全てのSCPのコピー品が収容されており、Safeは青色、Euclidは紫色、Keterは赤色、Neutralizedと使用中、収容不可は黒色。Explainedが鉛色でThaumielが黄色で表示されているそうです」

 

「『全てのSCPのコピー品』…って割には随分と薄いね。資料が両面印刷だとしても2500ページは優に超えるでしょ?それだけのページ量があるとなると……『SCP』と『SCP-JP』だけで25センチはあるはずだよ?」

 

「あ、そのことなんですが、ページ一面ごとに大量のSCPが番号順にリストアップされているようで、タブレットみたいな使い方ができるそうです」

 

 そう言って本を地面に置き、表紙を開いて見せてきた。確かに何行かに分けてSCPの名前がびっちりと書かれていた。

 

「でもこれ、どうやって呼び出すんだろ?詳細とかも分からないし……」

 

「確かそれについても書かれてましたね。えっと…呼び出したい場合は文字をなぞって本の外に向かって払う。詳細情報が確認したい場合はそのSCPの名前のところに触れる。だそうです」

 

「……まぁ、言おうとしていることは分かる。じゃあ現時点で安全なので実験しようか」

 

「一番番号が若いのはSCP-005(【合い鍵】)でしょうか。鍵穴に差し込まなければ特異性は発揮されませんし」

 

 【合い鍵】……?あっ、『どんな鍵でも開けるヤツ』だね。うん。いいと思うよ。

 

 樹ちゃんは安全性に全く問題ないと判断して[SCP-005-合い鍵]の文字をなぞって本の外にゆっくりと払う。ボクも念のため警戒しとこうか。

 

 文字がページの淵に当たると、当たったところが一瞬光って、光ったところからチープな形の金色のカギが出てきた。で、ポトンと地面に落ちた。

 

「……これかな?」

 

「……これでしょうね」

 

 なんか、チョイスしたのが地味な物だったから登場も地味でワクワク感が消し飛んだ。

 

「というか、特異性も一応確認しないとこれがSCPかどうか確認できないじゃん!」

 

「あっ……そ、それもそうですね。失念してました」

 

 それでも一応本の確認はしとこうか。……うん。鍵のところが黒くなってる。ってか、今気づいたけどこの本の文字日本語じゃん。あれかな?未知の技術を使う人物として認識してもらうためかな?

 樹ちゃんが鍵を本に押し付けると、鍵は本に吸い込まれるようにして無くなり、本の中の文字も元に戻っていた。

 

「それじゃ、どうしましょう?私、SCPの特異性が発揮できそうなもの持ってませんよ?」

 

「うーん。……樹ちゃん。今お腹空いてる?」

 

「え?……い、いえそこまでは……。……SCP-458(【はてしないピザボックス】)ですか?」

 

「うん。そうだけど…よく分かったね?」

 

「……まぁ、暇な時に読み耽ってましたから」

 

「ボクも人のことは言えないからいいけど……。あ、SCP-504(【批判的なトマト】)は?」

 

「……危ないですよ?」

 

「いけるいける。…でも一応SCP-500(【万能薬】)、用意しといて?」

 

「…いいですけど……」

 

 そう言いながら本を使って二つのSCPを取り出す。一つは真っ赤な錠剤。生きてさえいればどんな怪我、病気でも治せる文字通り万能薬なんだけど、数に限りがあるからあんまり使いたくないね。

 もう一つはトマト。これはダジャレが面白いかどうかを判断して、面白くなかったら顔面に物凄い速度で飛んでくるトマトだよ。…ダジャレの長さとかも関係するみたいだから、めっちゃ短くしていってみようかな。

 

「【亜空間】……。と、トマトは止まっとれぇぇぇぇえ!?」

 

 【亜空間】で身体能力を底上げしながらダジャレを言ったけど、トマトが突き破っちゃいけない物を突き破った甲高い音をあげながら飛んできた。12個。

 

 各モンスターの身体能力の底上げスキルとかを使いながら素手で4つ撃墜、火炎放射で5つ焼失させたけど、残った3つがボクに直撃する………直前に【氷の盾】に防がれた。3つ目が当たったときに壁が壊れたから、4つ目があったら危なかったね。あ、焦ったー!

 ……何はともあれ……

 

「【批判的なトマト】、完封ッ!!」

 

 ボクは高らかと天に腕を突き上げ、勝利を宣言した。

 

 

◇◆◇

 

「とにかく、トマトの特異性は判明したね」

 

「本当にもうやめてくださいね……?」

 

「あのトマト、何か音を置き去りにしてなかった?」

 

「聞いてない……。えっと、ジェット機なんかが音速を越える速度を出したときに出る現象じゃないでしょうか?流石にジェット機の知識はないので分かりませんが」

 

「そんなのボクもないよ……」

 

 ボクたちは結局あの後の検証を中断。ゆっくりと帰路についていた。

 

「…とりあえず本のことは分かったね」

 

「そうですね。……なんでこんなの選んだのか、今更後悔してます」

 

「遅い……と言いたいところだけど、本気で疲れたら癒し系SCPの力を借りようか」

 

SCP-999(【くすぐりお化け】)とかですか?」

 

「そうそう」

 

「……私は遠慮したいですね」

 

「えっなんで?楽しいと思うけどなぁ……」

 

「だって私くすぐり系のいたずらは無理なんです。こう、少し触れられただけでもぞわっと悪寒が来ちゃうので……」

 

「へー……?」

 

「ちょっ、止めてくださいよ!?」

 

 




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Sefe → 故意に活性化させなければ収容可能。
Euclid → 性質が十分に解明されていない。本質的に予測不能である異常存在。
Keter → 放っておくと人類滅亡。
Neutralized → 破壊、無力化済み。使用不能。
Explained → 科学的に性質が解明された物。収容できないほど公に広まったもの。
Thaumiel → 財団に利用されているSCP。
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