「えっと、何?SCP?」
「そう。SCP」
樹ちゃんとSCPの特異性を調査した次の日、ボクは樹ちゃんを連れてカズマ君のところに相談に来ていた。アクアたちにはそこらへんで遊んでるように言ったら、素直に端のほうに歩いていった。
さて、相談の内容は「樹ちゃんをパーティーに入れて貰えないか?」と言ったもの。この子、放っておいたら孤独死しそうだし。あ、もちろん特典のことについても話してるよ?その人の欠点を知っておくのは大切だと思うしね。
自分の欠点とかは樹ちゃん本人に言わせたよ。まずは人間の友達を作ることから始めないと、いつまでたってもハエトリソウが友達のままだよ?って言って。
じゃなかった。カズマ君はSCPのことに詳しくないみたいで、今はSCPの簡潔な説明をしてるよ。
「あー、えっと、つまりSCPってのは特異な能力を持つ物体、空間、生物、概念のこと。……でいいのか?」
「は、はい。それで大体あってます」
「……そうは言われてもな…そう、例えばどんなのがあるんだ?例とか挙げてもらえれば想像しやすいかもしれないんだが」
「触れた物全てを腐食させるお爺ちゃんとか…?」
「顔を見ただけで何が何でも殺しに来る男とか」
「常に視界に入れてないと首を折りに来る彫刻とか……」
「首にかけたネックレスから精神を乗っ取りにかかる博士とか?」
「OK,分かった。もういい。SCPが酷い奴ばっかりなのは分かった」
「一応言っておくと、さっき言ったのは危険性のあるものであって、安全なSCPもいるからね?」
ほんとにほんの一部なのに、カズマ君結構疲れた顔してるなぁ……。
「で、どうだろう。この子はキミのパーティーに入って活躍できると思う?」
「…………正直言って、あそこで騒いでるやつらよりは活躍できると思う。こっちとしても常識人が増えるのは嬉しい。ただ……その、特典の暴走とかってないのか?」
「あ、そこは大丈夫。樹ちゃんに限っては全くないと思うし、万が一あってもある程度のSCPであればボクが腕一本犠牲にすれば抑え込めると思うから」
「……だめだ、頭痛くなってきた」
え、あ、そうか。カズマ君一般人だった。ボクらの常識は民衆の非常識。普通の人は腕一本失うこともダメだったね。
「まあ、大丈夫だろ。なんかあればチズルに対応求めるから、よろしく」
「りょーかい!」
って、また樹ちゃん喋んなかったね?
◇◆◇
「あの、カズマさんってどんな方なんですか?」
カズマ君が買い物に行くといってアクアを引っ張って行って数分後、樹ちゃんがそんな質問をしてきた。
……カズマ君かぁ…
「一言で表すなら……ツンデレ?」
「ツンデレ……?」
「そう。口では仲間に罵詈雑言を浴びせることもあるけど、仲間がピンチの時はしっかり助けに行くんだ」
「見た感じ、普通の好青年って感じでしたけど……」
「ふふっ、ただし、あの子本気で
「はあ……そうなんですか?」
「勘だけどね」
おっ、帰ってきた。あー、いいね!前のジャージだとファンタジー感ぶち壊しだったけど、装備を整えたら立派な魔法戦士みたいに見えるよ!
「……ほう、見間違えたではないか」
「おおー。カズマが、ようやくちゃんとした冒険者みたいに見えるのです」
「今まで何に見えてたのさ……」
「全くだ……」
カズマ君は腕をぐるぐると回し、掲示板のほうに歩いていく。
「さて、装備も整えてスキルも覚えたし、樹の実力を確かめるのも兼ねてクエストにでも行くか」
「ふむ。ではジャイアントトードが繁殖期に入っていて街の近場まで出没しているから、それを……」
「「カエルはやめよう!」」
ダクネスさんがカエルの討伐を提案したけど、アクアとめぐみんちゃんが強く反対する。樹ちゃんは来たばっかりでカエルのことを知らないから反対意見を出そうにも出せない……多数決なら行くことになるんだろうけどなぁ。
「……なぜだ?カエルは刃物が通りやすく倒しやすいし、攻撃方法も舌による捕食しかしてこない。倒したカエルも食用として売れるから稼ぎもいいぞ?」
「あー……。この二人はカエルに食われかけたことがあるから、トラウマになってるんだ。頭からパックリいかれて粘液まみれにされたからな。……しょうがないから他のを狙おう」
「というかカエル相手に物理で突き通そうとするからそうなるんでしょ」
「……?」
「あ、樹ちゃんが追い付いてきてない。ちょっと説明しとくから、クエスト選んどいて?」
「カエルを知らないとは……もしかして、イツキはどこぞのお嬢様なのか?」
ダクネスさんはそんなことを聞いてくるけど、そんなことはないとだけ答えて樹ちゃんへこの世界で言うカエルの説明を簡単にしてみる。
でかい、やわい、うまい。
説明終了。
え?短い?これで大体理解するのが樹ちゃんのすごいところなんだよ?
そういえば、ダクネスさんとめぐみんちゃんはクエストを選びに掲示板のほうに行ったけど、カズマ君とアクアはどうしてるんだろ?
「―――あのな?本来なら俺は、お前から強力な装備か装備を貰って、ここでも生活には困らないはずだった訳だ。そりゃ、俺だって無償で神様から特典を貰える身で、ケチなんかつけたくないぞ?それにその場の勢いとはいえ、能力よりお前を希望したのは俺なんだし!でも、俺はその能力や装備の代わりにお前を貰ったわけなんだが、今のところ、特殊能力や強力な装備並みにお前は役に立っているのかと問いたい。正直なところ、爆裂魔法一発で倒れるめぐみんよりも役に立ってないぞお前。その辺どうなんだ?最初はずいぶん偉そうで自身たっぷりだった割に、ちっとも役に立たない自称元なんとかさん?」
「うう………。も、元じゃなく、その……。い、今も一応女神です……」
「女神!!女神ってあれだろ!?勇者を導いてみたり、魔王とかと戦って、勇者が一人前になるまで魔王を封印して時間稼いだりする!今回のキャベツ狩りクエストで、お前がしたことってなんだ!?最終的には何とか沢山捕まえてたみたいだが、基本はキャベツに翻弄されて、転んで泣いてただけだろ?お前、野菜に泣かされといて本当にそれでいいのか?そんなんで女神名乗っていいのか!?この、カエルに食われるしか脳がない、宴会芸しか取り柄がない穀潰しがぁ!!」
「わ、わあああーっ!」
……忙しそうだね。そっとしておこう。
この後から、心なしか樹ちゃんがカズマ君と距離を取ってるように見えるんだよね。……所長で慣れっこでしょ?
出してほしいSCPがあったらアンケートのほうへお願いします。