IS-インフィニット・ストラトス LAST RAVEN 作:レイキャシール
???「男性操縦者か・・・面白い素材だと聞いている」
???「しかしなぜ動かせるんだ?」
???「これからわかるさ。体に聞くこともある」
???「そういうことだ。刺激的にヤろうぜ・・・」
???「歓♂ゲイしよう、盛大にな」
?一同「『ヤラナイカ?』」
レイキャシール「ゲイヴン共は帰れ!!」
~Side third parsons~
レイブンの試合が終わってから十分ほど後。それは、ようやくやって来た。
一時的に席を外していた摩耶が、奥の方から走って戻る。
「お、織斑・・・・・・君・・・・・・!お待たせ・・・・・・しましたっ!」
「先生、落ち着いて!深呼吸!」
「はっ、はいっ! ひっひっふー、ひっひっふー・・・・・・」
「なぜそこでラマーズ法!?」
「漫才をやっている場合か、馬鹿者。山田先生、到着したんですね?」
「はいっ! これが、織斑君のために用意された専用機・・・・・・」
彼女の合図と同時に、ピット奥のシャッターが開く。
そこから、格納形態のISがカートに乗せられた状態で現れた。
「その名も、『白式』です!!」
彼女は『白』と言ってはいるが、一夏にはとても白には見えなかった。
全体的なフォルムは角張っており、色は白と言うよりも鈍色に近い。まさに、工場から出てきたばかりと言った風貌だった。
「時間が無い。織斑、すぐに装着しろ」
「はい・・・・・・!」
「やり方は、両脚を入れて背中を預けるように・・・・・・そうだ。後は機械の方が勝手に合わせてくれる。・・・・・・一夏、気分は悪くなってないな?」
千冬の指示を受け、白式を装着する一夏。思わず名前で呼んでしまう辺り、彼女も心配しているのだろう。
「いや、大丈夫。行ける・・・・・・!」
満を持して、アリーナへと飛び立つ一夏。
空中には、パーツの換装を終えたアルケミストが既にスタンバイしていた。
「もう直ったのか?」
「俺の専用機は部品を替えるだけで色々なことが出来る。今回は腕とチェストを入れ替えただけだ」
そう言うレイブンのIS、アルケミストは一部のパーツ形状が変わっていた。
左右非対称で、曲線的なデザインだったチェストは、左右対称の角張ったものに。
逆に両腕は、非固定部位が丸みを帯びたものになっていた。
「・・・・・・さっきの試合で使ってた奴はあるのか?」
「イクシードオービットの事か?なら安心しろ、コイツには何も付いていない」
「そうか。良かった・・・・・・・・・・・・」
「その代わり、銃は今持ってるのも含めて三丁に増えたがな」
「・・・・・・マジかよ・・・・・・」
「さて、と。用意は良いか?」
「ああ、何時でも良いぜ」
一夏は格納されていた太刀を抜刀して構え、レイブンはアサルトライフルを相手に向ける。
《それでは、試合開始!!》
そして、始まりのブザーと共に一夏は吶喊。レイブンはブースターを噴かして大きく距離を取る。
〔敵ISを確認。識別不能、該当データありません〕
「文字通りの新型か。汎用性重視にして正解だなっと・・・・・・!」
ぼやきながらも、マイクロミサイルと連動ミサイルを放つレイブン。
対する一夏だが、牽制の射撃もせずに突撃するばかりだった。
手に握られている武器も日本刀型のブレードだけ。重火器は影も形も無い。
〔分析完了。敵はブレードを装備、至近距離での戦闘は危険です。間合いに注意した攻撃が有効でしょう〕
「ってことはエヴァンジェやジャウザーみたいなタイプか。相手には悪いが、引き撃ちに徹させてもらうか」
イクシードオービットが無いため、先ほどよりも火力が減ってはいるが、それでも正確な射撃で確実に攻めていくレイブン。一方の一夏はと言うと、なかなか距離を詰められないでいた。
その際の会話はと言うと・・・・・・
「卑怯だぞ! 逃げるなっ!!」
「悪いが、戦いで卑怯は褒め言葉なんでな。近づけるものなら近づいてみろ!!」
「くっそぉー! 今に見ていろよ!!」
先ほどからこれの繰り返しである。
たまに隙を見つけて一夏が斬りかかったと思えば、レイブンにあっさりいなされてブレードを貰う始末。一方的な試合運びだった。
「一夏の奴、遊ばれているのが解らないのか!」
「それにしても、レイブン君も凄いですね。ISの搭乗時間は織斑君とそう変わらないと聞いていましたけど・・・・・・天才って、いるんですね。・・・・・・織斑先生?」
一夏の動きにヤキモキする箒と、レイブンの戦闘機動をみて、やや興奮した面持ちで話す摩耶。
そんな彼女は千冬に話しかけるが、帰ってきたのは生返事だった。
「ああ、すいません。考え事を」
「まあ、弟さんのことも心配なのはわかりますけど・・・・・・って痛い! 何で叩くんですかぁっ!?」
「すまない、魔が差した」
言っては成らないことを言った摩耶を出席簿で小突いた後、再び思考の海へと沈む千冬。
その表情は、いつも以上に険しかった。
〈本当に最近まで、ISと縁の無い生活を送ってきたのか・・・・・・? 白式の武器を見るやいなや、適正な戦術を取っているのがその証左だ。オルコットの試合の時もそうだ。ブルーティアーズの、いや彼女の弱点を僅かな時間で看破し、それに合わせて攻めている。何故だ・・・・・・? アイツの動きは、才能や適正云々の問題では無い。むしろ長い間、それも激しい戦闘に身を置き続けていた歴戦の兵士の様に見える。ベルギー生まれの単なる若造の、どこにそんな・・・・・・・・・・・・?〉
一方で試合の方では、いよいよ佳境にさしかかろうとしていた。
レイブンの回避パターンが読めてきたのか、徐々にではあるが一夏の攻撃が精度を増してきたのだ。まだ命中するに至ってはいないが、それでもレイブン自身、ヒヤリとさせられる場面が増えてきている。
「っとっとっと。リズムが乱れてきたか・・・・・・!」
「段々だが読めてきたぜ、お前のロジックが!」
片手で持った太刀の切っ先を相手に向け、意気揚々と言い放つ一夏。
「お前の動きは相手の死角を常にとり続け、それでいて的確に回避している」
「ほうほう、それで?」
「だが唯一、お前に通じる道が出来た。それは・・・・・・コイツだぁっ!!」
そう言って彼は急上昇したと思うと、一気にレイブン目がけて急降下したのだ。
瞬時に距離が詰まり、振るわれる太刀。だが・・・・・・
「確かに、上から狙われるのは慣れてないが・・・・・・お生憎様。そこは、俺の距離だ!!」
「ぐあっ!!?」
それすらも読まれていた。
レイブンの放った回し蹴りが、一夏の脇腹をしたたかに打ち、彼を地面へと吹き飛ばす。
そして、彼目がけて小型ミサイルが放たれた。
驟雨のように降り注ぐミサイルは次々と一夏へ突き刺さり、爆発する。
「一夏ぁっ!!」
「・・・・・・フン、機体に救われたな、馬鹿が」
だが次の瞬間、爆煙を切り裂いて現れたのは先ほどの『鈍色』ではなく、輝くような『白』。
白式の姿は、先ほどとは打って変わっていた。
無骨だった両脚は、流線型を多用した曲線的なものに。装甲が被されていた翼は、大きく広げられたものに。全体として、ヒロイックなデザインとなったのだ。
「
「へへっ、まあな。何時までも千冬姉の名前に乗っかってる訳にもいかないし、俺自身、守られるだけじゃ無く、守りたいからな」
「・・・・・・上等だな、覚悟は。なら、今から本気で行くぞ!」
「望むところだ! 行くぜぇっ!!」
一次移行が終わったことで、再び吶喊する一夏。対するレイブンだが、今度はライフルを捨て、ブレードをカウンターで刺しに行く構えを見せる。
徐々に彼我の距離が縮まっていく両者。互いに得物から光の刃が迸り、それを相手にぶつけようとしたその時だった。
《そこまで! 勝者、レイブン・コードウェル!!》
「「・・・・・・・・・・・・へ?」」
試合終了のブザーがアリーナに鳴り響き、告げられた勝者はレイブン。
あっけにとられた二人は、そろいもそろって間の抜けた声を出していた・・・・・・。
――――――
「全く・・・・・・武器の特性を把握していないから、そんな結果になるんだ」
「お前は調子に乗るとすぐこれだ。我が弟ながら、恥ずかしいぞ」
「・・・・・・はい、面目ないです・・・・・・・・・・・・」
試合終了後。箒と千冬からお小言をもらい、がっくりと項垂れる一夏。
その様に、レイブンとシーラも呆れていた。
「・・・・・・やれやれね」
「同感だ。エネルギーを適宜管理しないと、到底使いこなせないぞ」
「わかっているっての・・・・・・」
「でも、不思議な事もあるんですね」
とここで、真耶が感嘆の声を上げる。
「モンド・グロッソの時に織斑先生が使っていた“暮桜”もそうですけど、この白式も使える武器は剣一本だけ。何かの縁でもあるんでしょうね」
「・・・・・・いや、単なる偶然でしょう。・・・・・・さて、織斑。お前の白式だが、極端な話欠陥機だ」
「欠陥って・・・・・・何で!?」
驚愕する一夏を手で制し、千冬は続けた。
「言い方が悪かったな。IS自体が未だ発展途上だから、欠陥もへったくれもない。その中でも飛び抜けて悪いところが目立つ、と言う意味だ。白式に搭載されている“零落白夜”だが、自分のシールドエネルギーと引き替えに、相手のそれを無視した絶大なダメージを与えることができる。シールドが無くなる、あるいは無効化されたら、ISはどうなる?」
「絶対防御が発動して・・・・・・そうか! だからそんなに強いのか!」
「まあ、早い話が諸刃の剣だ。それと山田先生、例のものを」
「わかりました」
そう言って、二冊の分厚い本を彼に手渡す摩耶。一冊は、一夏が誤って処分してしまった事前学習用の参考書。そしてもう一冊は、専用機保持者に渡されるルールブックだった。
そのルールブックだが、同じく専用機を持つレイブンにも手渡される。
「原則として、学園内ではアリーナ以外での無許可のIS展開は禁止となっています。このことも含めて、専用機保持者として、責任ある行動を取ってくださいね」
「・・・・・・はい」
「了解です」
―――――――――
所変わって、学園の敷地内にある部室棟。ここには各種部活動の部室が置かれており、主に文化部に所属する生徒達のたまり場となっている。
その部室棟の端っこにある部屋の一つ。その中で、一人の女子生徒が紅茶を飲みつつ、タブレットの画面を見つめていた。
中が薄暗い上に逆光のため、彼女の表情はよく分からない。だが、月光の様に輝く銀髪とスラリとした肢体は、“可愛らしい”というよりは、むしろ“美しい”印象を与える。
「入るぞ」
すると、ドアが開いて別の女子が入ってきた。
こちらは、シニヨンにした黒髪に、浅黒い肌と水色の双眸が特徴的な、今話しかけた女子生徒とはまた違ったタイプの美形だ。
「
「で、何を企んでおる?」
「“白のナイト”は未だ殻に閉じこもっている。現段階での判断は難しい。だが・・・・・・」
彼女が端末を操作すると、今度は別の動画が表示される。
戦っているのは、黒いIS。レイブンの『アルケミスト』だ。
「“黒のビショップ”は、中々に有望だ。間違いなく、大成するだろう」
「全く、主という者はどうも掴めん。もう一度聞く、何を企んでおる?」
「何・・・・・・心配する必要は無い」
端末とカップを置いて、椅子から立ち上がる少女。
そして、カーテンを閉めると、入ってきた女子生徒の方を振り返って答える。
「全ては、私のシナリオの内。と言うことだ」
「やれやれ、結局それか。まあ良い、儂等は主の手足じゃ。必要なら使い潰してくれて構わぬぞ・・・・・・『ジャック』」
「簡単に言ってくれるな。だが、頼りにしてるぞ、
『彼ら』の与り知らぬところで、ある女の計画が動き出そうとしていた・・・・・・。
~Side over~
~Side Cecilia~
「・・・・・・・・・・・・」
シャワーを浴びながら、私は今日の試合を振り返っていました。
これまでの模擬戦では、私の弱点は有って無いようなもの。大抵は見破られる前に決着を付けるか、見破られても対処してきましたわ。
けど・・・・・・『彼』は違った。
見破っただけで無く、即座にそれを突く戦術を編み出し、この私に土を着けた・・・・・・。
そんなことが出来たのは、『あの人』意外にはいなかった。
―機体ばっかりに注力していないからさ。部品単位なら、俺のISは誰にも負けない自信がある―
悔しいですが、その通りですわ。
あの時の彼の目は、凜とした美しさを備えていた。機体性能を『頼る』のではなく、『信じる』事が出来る者の眼。
かく言う私はどうなんでしょうか?
機体の性能に慢心し、それによって完全に油断していた。
これでは、いつまで経っても次のステップに進めない・・・・・・・・・・・・。
「レイブン・コードウェル・・・・・・貴方はどうして・・・・・・そんなに強いんですの・・・・・・?」
知りたい。確かめたい。『彼』の強さを。『彼』の事を・・・・・・・・・・・・。
―――――――
「えー、では。一年一組の代表は、織斑一夏君に決定です!あ、『一』繋がりで良い感じですね」
次の日のSHRにて。山田先生が告げた一言は、教室を震撼させました。
「え・・・・・・俺が!?」
主に、織斑さんの驚愕の一言で。
「ちょっと待ってください!まだ俺とオルコットさんの試合をやってないです!それに成績的にも、レイブンに決まったようなものじゃ・・・・・・!」
「元々乗り気じゃなかったからな。蹴った」
「私は改めて、織斑さんを支持することにします。例え今は弱くとも、鍛えれば良いだけのこと。先日の試合を見た限りでも、伸び代は充分ですわ」
「・・・・・・・・・・・・」
事が急すぎて呆然となってしまう織斑さん。さすがに、ちょっとあんまりだったかしら・・・・・・?
「代わりと言っては何ですが、よろしければレイブンさん共々、訓練にお付き合いしますわ。専用機同士、得るものがあるはず」
「いや、それとこれとは・・・・・・」
「とにかく決まった以上全うしろ。良いな?」
「・・・・・・ハイ・・・・・・」
それでもまだ渋る織斑さんでしたが、先生の一言で了承したようで、何よりですわ。
実を言うと、本当の目的はレイブンさん。貴方にありましてよ。
貴方の持つ『強さ』、織斑さんの訓練ついでにしっかり調べ、そして学ばせていただきます・・・!
レイキャシール「かくして、クラス代表になってしまった一夏。その先に待ち受ける運命やいかに!? そして彼は、この先生きのこることができるのか!?」
レイブン「それにしても、懐かしい名前が出てきたな」
ジャック「まさかお前が転生しているとはな。例の老人に誘われた口か?」
レイブン「ってことは・・・・・・」
ジャック「恐らく、『あの二人』もいることだろう。
伏線撒きはこのくらいにして、次回。『IS-インフィニット・ストラトス LAST RAVEN』、第四話。『その娘、中国産につき』。
誰もが、生きるために戦っている・・・・・・」
レイキャシール「次は番外編として、解説回の予定。お楽しみに!」