IS-インフィニット・ストラトス LAST RAVEN 作:レイキャシール
レイブン「この手の任務は、ある種フロムの伝統芸能みたいなものだからな」
レイキャシール「それじゃあ、行ってみよう!」
~Side Raven~
一夏に特訓を着けたその日の夜。
俺の携帯端末に、エマからメールが届いた。
to:レイブン・コードウェル
from:エマ・シアーズ
sub:ミッションの連絡です
―国際IS競技委員会から、依頼が入っています。
ザイル発電所が反ISを掲げるテログループに占拠されました。
昨今の急激なIS市場の拡大によって、他の兵器産業。特に、戦闘車両や航空型MTは大きな打撃を受けています。恐らく、それに不満を持つグループの仕業でしょう。
直ちに現地に向かい、目標の排除をお願いします。
なお、施設内の発電設備への被害は、極力抑えてください。
また、一部の作業員が彼らに同調の動きを見せているとの情報も入っています。慎重に―
表向きは総合商社であるグローバルコーテックスだが、その規模を支えているのが傭兵の斡旋だ。
基本的にはMTや人間の傭兵だが、最近になってISも派遣するようになってきた。
ISの運用を厳しく規定したアラスカ条約もあって、普通は模擬戦などの非戦闘任務に限定されるが、ごく稀にこういう非公式の依頼。すなわち、直接戦闘を行う任務が回ってくることもある。
どうやらこの依頼は、その非公式の任務のようだ。
・・・・・・さて、外泊願いを出しに行くとするか。
――――――
「お待ちしていました、レイブン」
「遅いわよ」
十数分後。指示されていた集合場所、敷地の外れにあるヘリポートには既にエマとシーラの姿があった。
「スマン、思っていたより書く量が多くてな」
「とにかく行きましょう。時間がありません」
エマに促され、駐機されていたクランウェル―ミラージュ製のタンデムローター式大型輸送ヘリ。ISやMT等の機動戦力を主に輸送する―に乗り込むとすぐに飛び立ってゆく。
この独特の揺れ、何だか懐かしいな。最も、以前はACの狭苦しい操縦席の中だが。
「・・・・・・・ふぅ」
移動している最中。
俺はふと、依頼のことを思い返していた。
敵戦力の多くは、恐らく俺と同じ男性達だろう。ISに名誉を、仕事を、立場を奪われ虐げられる。
もしISが生まれなければ、彼らは今でも自らの仕事を誇りに思い、責務を全うしていたのだろうか・・・・・・。
「どうしたのレイブン? 深刻そうな顔しちゃって」
「ん・・・・・・いや、敵の気持ちも考えていたんだがな。向こうにも言い分はあるだろうに」
「確かにね。けど、テロで言い分を通そうとする時点で、負けだと思うわ、『この世界』じゃ」
「それもそうだな。企業が支配しているわけじゃ無し、ちゃんとした法律も、それを支える倫理もある。そういった意味じゃ、平和そのものだな・・・・・・」
《間もなく、作戦領域の上空に到着します。降下の準備をして下さい》
「了解。それじゃあシーラ、オペレートを頼むぜ」
「言われるまでもないわ。失敗したら、スイーツ奢りね」
「じゃあ、せいぜい暴れるとしますか・・・・・・」
パネルを操作して後方のカーゴハッチを開くと、懐から懐中時計を取り出す。これがアルケミストの待機形態だ。
それを左手で握りしめ、ISを纏った俺の姿を思い浮かべる。
目を開いた時には、特訓の時に使った重量逆脚型のAISが既に展開されていた。
《目標地点に到着しました。レイブン、幸運を》
「了解した。帰りもよろしく頼むぜ」
そう言って、ハッチから躍り出る。
考えるのは後だ。今はただ、己の使命を全うするだけだ・・・・・・!
――――――
〔メインシステム 戦闘モード 起動します〕
接地する直前に軽くブースターを噴かし、しっかりと着地。それと同時にシステムを起動させる。
使われているのが高性能CPUだからか、新鋭CPUのそれと比べると少々しゃべり方が固いが、MT相手なら充分だろう。
《敵戦力、MTのみよ。発電設備への被害に注意して》
「了解だ。さて・・・・・・始めるか」
ブースターで移動し、手近にいたMTに狙いを定めて、右肩のパルスカノンを発砲する。
そのMT、77式―ほっそりとした脚に、角張ったフォルムのボディと四角いカメラアイが特徴のクレスト製逆脚型MT。このモデルから、MTの歴史は始まった―は右脚に命中弾を受け、あっさりと擱座した。
乗っていた人間は、何が起きたかも解らなかっただろう。
《ISか・・・・・・!?》
《来るなら来やがれ、阿婆擦れめ・・・・・・!》
向こうの使っている無線が傍受され、テロリスト達の怨嗟の声が耳に入って来る。
どうやら、女と思い切っているやつもいるみたいだ。
その間にも、俺は敵の撃ってくるミサイルや対装甲ライフル弾を回避していき、お返しにバズーカや左手のハンドガン、左肩の中型ロケットを放つ。
「ったく。こういうのはやり難いな・・・・・・」
一発一発が通常兵器にとっては命取りになりかねない攻撃を、極力『殺さないように』当てなければならないからかなり神経を削る。
何せ、少しでもバズーカやロケットの照準が狂えばMTなどひとたまりもないのだ。ハンドガンでも、コックピットに当たれば中の人間に風穴を空けかねない。
《情報が入ったわ。テロリストが持ち込んでいるMTはオストリッチと85式改―85式を如月の技術で強化改造を施したもの。防御力が大きく向上している―。作業用に発電所に配備されていたのは77式だけだから、すぐに判別が付くはずよ》
「了解だ。これで幾分かはやりやすくなった」
シーラから通信が入り、俺はそれに返事しつつ通路の角を曲がる。
そして、その先にいた77式の脚をハンドガンで撃ち抜いた。このタイプは胴体部分に動力と操縦席があるから、脚を撃っても無害だ。
《ひっ、ひぃっ・・・・・・!》
《クソッタレ・・・・・・!!》
「投降しろ! 命までとるつもりはない!」
擱座した機体に対してはボイスチェンジャーを使って投降を呼びかける。
レイヴンだったころも敵対する相手は全て皆殺しにしていた訳ではないし、何より俺自身『戦い』は好きだが『殺し』は好きじゃない。
相手如何によっては不殺も貫けるISの能力を、俺は気に入っている。
「一つ!!」
だからといって、全く殺さないのでは
バズーカを目の前に現れたオストリッチにポイントし、発砲。
放たれた炸薬弾は相手のミサイルポッドに直撃し、コックピット諸共、胴体を吹き飛ばした。パイロットは肉片すら残らないだろう。
不意に、背中に衝撃が走る。
後ろを見ると、重機用の扉から更に二体のオストリッチがライフルを向けていた。
仲間を殺られた事に逆上して撃ってきたらしく、アルケミストのSEも少しだが減っている。
《死ね・・・・・・! 死ねぇ!!》
《お前らの所為だ・・・・・・! お前らの所為で俺たちは・・・・・・!!》
パイロットが何か言っていた様だったが、最後まで言い切る前に片方はパルスカノンで蜂の巣に。もう片方は蹴り倒し、コックピットにハンドガンを撃ち込んで撃破する。
これらを倒したことで、ハイパーセンサーに投影されている敵残存兵力のパーセンテージが減少した。
《敵の指揮官が残っている筈よ。倒して報酬を上乗せできないかしら?》
「わかった。達成できれば、クレープを奢る」
《あら。じゃあ、期待させてもらおうかしら》
確かに、ここに来るまでに85式改とはまだ遭遇していない
そして、残る反応は発電所のすぐ近く。ここからでも数十秒で到達する距離だ。
ブーストを噴かして高速移動。通路をくぐり抜け、エレベーターの上り下りを繰り返して外へと飛び出す。
レーダーの反応通り、其所に85式改がいた。あれがリーダーで間違いないだろう。だが、様子がおかしい・・・・・・。
《・・・・・・うつもりだ・・・・・・が違うぞ・・・・・・》
手頃な窪地があったので、そこからカメラの望遠倍率と、マイクの集音感度を最大にして様子を覗う。
どうやら、パイロットは誰かと話している様だ。
《ハッ・・・・・・! テメェらの手際が悪すぎんじゃねぇか?》
声色からして、相手は女。それも、かなり荒っぽい口調だ。怒っているのか、それとも元々こんなしゃべり方なのか・・・・・・。
『手際』と言う単語が聞こえたところを見ると、おそらくは仲間。もしくは依頼主だろうか?
《そんな筈は無い! 治安機関はそちらで抑えると言う手筈になっていたはず。だというのに、連中はISを使ってきたぞ!》
《おおかた、どっかに依頼したんじゃねぇか? それも・・・・・・抜け目の無い奴に、な・・・・・・!》
気付かれたか・・・・・・!?
だが、彼我の距離はかなりある上に今の時間は深夜。月明かりくらいしか周囲に明かりは無く、こうして向こうが見えるのも、機体に搭載されたハイパーセンサーの賜物だ。考えられる可能性は一つしか無い・・・・・・!
《ったく、間抜けなテロリストもいたもんだぜ。仕方がねぇ、消えな》
《何を言っ・・・・・・!?》
リーダーが何か言おうとしていた次の瞬間だった。
85式改の胸に、銀色の刃が突き立てられる。
コックピットが独立して存在している77式やオストリッチ等とは異なり、85式はパワードスーツの様に着込むタイプ。言わば、ISの原型となったMTだ。恐らく、パイロットは今ので絶命しただろう。
《さて、と。これで邪魔は入らねぇ。出てこいよ》
どうやら、完全に気付かれていたようだ。
俺は身を潜めていた窪地から跳躍して、女の前に降り立つ。
「・・・・・・そこの男と、何を話していた・・・・・・?」
ボイスチェンジャーを使って、女に問いかける。
ただでさえ、これは非公式の任務なのだ。こちらの素性が割れれば、コーテックスにも学園にも迷惑を掛けてしまう。
「てめぇ、誰だ?」
「人に物を尋ねるときには、まず自分から名乗るのが礼儀という物じゃ無いのか?」
「ハッ・・・・・・! 言ってくれるじゃねぇか。良いぜ、なら名乗ってやるよ・・・・・・」
近くまで来たお陰で、女の容姿がある程度見て取れる。
浅黒い肌に黒髪、青い目。おそらくはプエルトリコか、それ以外のラテンアメリカあたりの血を引いているのだろう。
顔立ちもラテン『らしさ』を感じさせるもので、町を歩けば十分美人として通じるレベルだ。
だが、つり上がった目尻と、薄ら笑いを浮かべる口が、その者の持つ心の醜悪さを映し出していた。
「泣く子も殺す『ファントムタスク』の
不意に、女の体が光に包まれる。それが収まった直後には、彼女の体は機械の鎧に包まれていた。
流線型を多用したボディに、両肩の大型シールドからおそらくラファールタイプの改造機だろう。
「ISだと・・・・・・!?」
「名乗った以上、テメェもここで死んでもらうぜぇ!!」
そう言って、相手は右手にライフルを展開。こちらに向けて発砲してくる。
だが、こちらも当たってやるわけにも行かない。
すぐさまブースターを噴かして平行移動、敵の攻撃を回避する。
〔敵 ISを 確認〕
「・・・・・・チッ。遅いんだよ、ポンコツが・・・・・・!」
今更になって報告をしてくるCPUに舌打ちしつつ、背中のパルスカノンを起動し応戦する。
だが、相手はパルスの弾幕を潜り抜けてさらにライフルで攻撃してきた。
どうやら、ただのテロリストでは無いようだ・・・・・・。
「オラァッ!!」
「っ!?」
次の瞬間。相手の姿が不意にブレたかと思うと、一瞬の内に懐へ入られる。
それが『
咄嗟に身を引かなければ、今ので倒されていただろう。
「・・・・・・良い腕だ」
「おいおい、それで終わりかよ? こっちはまだウォームアップも済んでないぜ?」
俺は使い物にならなくなったバズーカを捨て、
「まさか。気を引き締めていただけさ」
「何だと・・・・・・?」
「さて、オータムとか言ったか。『遊び』は、終わりだ・・・・・・!」
「何を言ってやが・・・・・・っ!?」
相手の台詞が言い終わらない内に、こちらも瞬間加速を発動。至近距離まで近づいて相手を蹴りつける。
AISは通常のISと比べてエネルギー効率に劣っているため、瞬間加速の際の負担も大きい。だが、『ここぞと言うときに』使えばそんなことは関係ない。
さらに俺は、蹴りの反動を利用して後方へと跳び退り、パルスライフルとハンドガンを一斉射。相手のSEを削り取っていく。だが、まだこれだけじゃ終わらない、終わらせない。
弾が切れたハンドガンをパージし、拡張領域からある武器を取り出す。
角張った本体に円い銃身が特徴的な腕武器、CR-WL95G―クレスト製グレネードライフル。そこそこの威力と軽さが売りの、グレネードカノンの腕武器版―だ。
俺は95Gの銃口をオータムに向け、発砲。放たれた榴弾は、彼女のISに命中し派手な爆発を起こす。
それによって一瞬だけ、怯む相手。だが、俺にとっては『一瞬』で十分だ。
そして・・・・・・
「もらった!」
「!?」
左腕を一気に振り抜いた。
橙色の光刃がラファールの装甲に食らいつき、真一文字に切り裂いていく。
それによってSEが大きく削られたため、オータムは大きく後退せざるを得なかった。
その隙に高速切換で再びグレネードを展開。今度は弾倉に込められた榴弾を全て、叩き込んだ。
それによって、さらに絶対防御が発動したのか、その場に崩れ落ちるオータム。
勝負はあった。
〔敵 IS 撃破〕
「ふう・・・・・・終わったか」
《それにしても何者なのかしら、彼女?》
「『ファントムタスク』、か・・・・・・まあ良い、体に聞くこともある」
《念のため、歩兵部隊を呼ぶわ。それまで見張ってて》
「了解。それにしても、やけに静かだ・・・・・・」
《止してよ、気味が悪いわ。・・・・・・? 熱源反応・・・・・・!? 気をつけて、何かが来るわ!》
シーラが叫ぶのと、俺の足下にレーザーが着弾したのは、ほぼ同時だった。
咄嗟に機体を平行移動させ、二射目三射目を回避する。
「シーラ、敵の位置は!?」
《今探してるわ・・・・・・出た。距離700、なおも接近中!》
「くそっ、やるしか無いか・・・・・・!」
《もうすぐ、コーテックスから援軍が来るわ。それまで持ち堪えて!》
「了解!」
シーラとの通信を終え、俺はブースターを全開にして飛び立つ。
逆脚は空中戦が本領だ、やってやるさ!
〔敵 ISを 確認〕
赤外線で見たところ、手に持っているのはスナイパーライフル。どうやら、先ほどの狙撃は奴さんの仕業か。
「恨みは無いが、銃を向けた以上は覚悟してもらおうか・・・・・・!」
サイトを敵に合わせ、ロックオン。
右手のパルスライフルと左手のグレネードライフルの一斉射で相手を攻め立てる。
しかし、向こうもただ黙っているわけでは無いようだ。
銃撃に即座に反応し、回避運動を取る。それと同時に、スナイパーライフルで反撃してきた。
オータムと同様に、ファントムタスクの構成員か、はたまた雇われただけの傭兵か。とにかく、手練れであることは間違い無いようだ。
「もらったっ!」
ロケットで牽制し、回避した瞬間を狙ってグレネードを撃ち込むが、瞬間加速を織り交ぜた機動で回避され、むなしく空を切る。
閉所戦闘用にと持ってきた、ロケットとパルスカノンが完全に仇になっていた。
どうする・・・・・・この状況を打開するには・・・・・・? どうすれば・・・・・・!
まてよ・・・・・・? シーラは『援軍がもうすぐ来る』と言っていた。となれば、試す価値はある。
早速、
「シーラ、援軍は誰だ?」
《プリ・リッサよ。後五分ほどで到着するわ。それがどうかした?》
「すぐに彼女に繋いでくれ」
《・・・・・・なるほどね、わかったわ。ちょっと待ってて》
十数秒後、鈴の音の様な声が通信に入ってくる。
オカッパ=ヘアーと切れ長の瞳が理知的な雰囲気を感じさせるその女性の名は、『プリ・リッサ』。
俺と同じ、コーテックス所属のISを駆る傭兵だ。
《サヴァ、レイブン。どうしたのかしら?》
「現在不明機体と交戦中、少々押されている。リッサの力を借りたい」
《ウィ? どういうこと?》
《
《ウィ、ウィ、了解よ。フフッ、楽しみだわ》
通信終了。戦闘に集中し直す。
瞬間加速をもって距離を詰めようとしたその時だった。
相手のISからフィンのようなものが切り離されたと思うと、意思を持っているかのように何基かが突撃してきたのだ。
それらはまるで・・・・・・
「ブルー・・・・・・ティアーズ・・・・・・? オルコットなのか!?」
咄嗟に問いかけるが、相手からの応答は無い。
周波が違うのか? それとも意図的に無視しているのか?
謎であることに変わりは無いが、一つだけ確かなことは変わらない。
「とにかく、向こうはやる気、こっちは手を抜けばやられる・・・・・・!」
パルスライフルとグレネードライフルの残弾も心許ない。
となれば、取る手は一つだ・・・・・・!
俺はパルスカノンをパージし、更になけなしのロケットも全弾撃ち捨ててこちらもパージする。
少しでも重量を軽くすれば、僅かでも踏み込みの速度は上がる。それに賭けるしか無い・・・・・・!
「貰ったぁっ!!」
「!?」
瞬間加速で一気に距離を詰め、ブレードを振り抜く。
直撃コース、避けられる距離では無い。そう思ったその時だった。
何かの板のようなものが進路に割り込んできたと思うと、ブレードが止められたのだ。
「何だとっ!?」
「!!」
その板が、相手の特殊武装だと気付いたときには、既に遅すぎた。
相手の左手にマシンガンが現れたと思うと、銃弾の嵐で盛大に迎えられる。
一発一発は大したことは無いが、距離が近すぎた所為でゴリゴリとSEが削られていく。
〔チェスト 損傷。頭部 損傷。SE10% 危険です〕
〈くそっ・・・・・・! ここまでか・・・・・・!〉
シーラの顔がちらつき始めたその時だった。
どこからともなく飛んできたレーザーが、相手の射撃を妨害したのだ。
やっと来てくれたか・・・・・・。
《グローバルコーテックス、プリ・リッサよ。ごめんなさいね、レイブン。遅くなったわ》
「いや、良いタイミングだ・・・・・・!」
リッサが合流したことで、戦況は俺たちに傾き始める。
対する相手は不利を悟ったのか、地上に降り立つと、気絶したオータムを抱えて離脱しようとする。
《逃がすかっ!!》
彼女の専用機であるフロート型AIS、メリ・リッサの機動性に物を言わせて追従するリッサだが、結局振り切られてしまったらしく、すごすごと戻ってきた。
任務が終わったので、頭部パーツを部分格納しており、彼女の藍色の髪が露わになっていた。
金色の瞳に、ややつり上がった目尻。整った目鼻立ちと、なかなかの美人だ。
「駄目ね。ECMとフラッシュロケットの抱き合わせで逃げられたわ」
「いや、とりあえず任務自体は成功したんだ。ありがとう」
「礼を言われる筋合いは無いわ。それじゃあ、アデュー」
「ああ、また会おう」
しばし談笑の後、迎えのクランウェルにのってリッサは帰って行った。
このあたりでまた任務があったときには、今度話を付けてみるとするか。
《それにしても何者なのかしら、『ファントムタスク』って・・・・・・?》
「わからん。だが、ISを運用できるだけの規模と人員があることは、間違いなさそうだ」
《とりあえず、調査はエマに頼んでおくわ。帰還して》
「了解だ」
〔作戦目標 クリア。システム 通常モードに 移行します〕
今は考えるのは止めよう。
俺は傭兵、下手に詮索すれば、身を滅ぼしかねないのだから・・・・・・。
―――――――
結局、俺達二人が学園に戻って来られたのは午前三時頃。日の出前の時間だった。
急いで自室に戻って仮眠を取り、まだ残っている眠気はコーヒーと共にご退場願う。
シャワーを浴びて、制服に着替えて、朝食代わりのレーションを摂取してなんとか間に合った。
これがコーテックスに所属する俺の、もう一つの日常。
『レイブン』としてではなく、
とにかく今は、本業に戻るとしよう。今の俺は、学生なのだから・・・・・・。
~Side Over~
セシリア「…………」
鈴音「何じゃこりゃぁ・・・」
レイキャシール「蝶よ花よと持てはやされる裏では、反ISのテロも起きる。それがこの世界だ。わかったか、お嬢様がた?」
セシリア「『ファントムタスク』・・・まさか、お母様達を殺したのも・・・!」
レイキャシール「そこまでだな。今はその憎しみを解き放つべきではない。
次回、『IS-インフィニット・ストラトス LAST RAVEN』、第六話『龍と狐と対抗戦』。
誰もが、生きるために戦っている・・・」
ジャック「私達の機体がいよいよお披露目になる」
烏大姐「楽しみにしておくがよい!」