IS-インフィニット・ストラトス LAST RAVEN   作:レイキャシール

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レイキャシール「遂に来たぞ、AC史上最もやばい奴筆頭が!!」

???「XA-26483・・・」

???「排除・・・排除・・・排除・・・」

???「誰であろうと、私を超えることはできない」

レイキャシール「お前らじゃねぇ、座ってろ!」(必死)


第七話:粉砕する者、現る

~Side Raven~

 

一瞬何が起きたのか、俺は理解出来なかった。

そのせいで、一夏と鳳が戦っているアリーナに、突如として何かが乱入したことを理解するのが遅れてしまった。だが待てよ・・・・・・。あの青い光、『以前に』見たことがあるような・・・・・・まさか・・・・・・!?

隣にいるシーラの顔を見る。向こうも考えていることは同じみたいだ。

 

「レイブン・・・・・・今のって・・・・・・」

「ああ・・・・・・」

 

篠ノ之の奴も何を思ったのか、走って管制室を後にする。

グダグダ考えるのは後だ。俺達二人も、後を追って管制室を飛び出した。

 

―――――――

 

「おい、篠ノ之!!」

 

管制室からアリーナへと通じる廊下。

非常事態と言うこともあって、入る時に付いていた通常の照明では無く、予備電源で点灯する赤い電球で照らされており、少々薄暗い。

 

「レイブン? それにシーラか。どうしてここに・・・・・・」

「血相変えて飛び出していったのは、どこの誰かしら?」

「そ、それは・・・・・・!」

「とにかく、だ。お前、『覚悟』はあるのか?」

 

俺は篠ノ之の後ろに回り込みつつ、続けて問うた。

今アリーナでは、戦闘が行われている。いくら絶対防御があろうとも、相手はアリーナのシールドに一撃で穴を空ける程の火力の持ち主だ。

手加減なんてして勝てるような相手ではないし、何より手加減してたらこちらが死ぬことになる。

生き残るには、相手を殺すしかない。

 

「ここは俺に任せろ。言い方は悪いが、お前みたいなのが出て行ったところで犬死にがオチだ」

「・・・・・・」

「まあ、大船に乗ったつもりで任せておきましょう。レイブン、後はお願いね」

「了解だ。篠ノ之を頼むぞ」

「任されたわよ」

 

二人と別れ、俺はアリーナへと急ぐ。

道中で待機形態のアルケミストを取り出し、状態を確認する。

 

 

SE・・・100%

EN・・・Full charge completed

 

Parts checking

HEAD:H05-HORNET・・・OK

CHEST:CR-C75U2・・・OK

ARMS:A11-MACAQUE・・・OK

LEGS:LR03-ORYX2・・・OK

BOOSTER:B03-VULTURE2・・・OK

FCS:MF02-VOLUTE・・・OK

INSIDE:Nothing

EXTENSION:Nothing

 

Weapon checking

Back Unit R:WB04M-NYMPHE2・・・OK

Back Unit L:YWB36PU-LUMIA4・・・OK

Arm Unit R:CR-WR81B2・・・OK

Arm Unit L:WL10H-MIST2・・・OK

Hangar Unit R:Nothing

Hangar Unit L:Nothing

 

Condition,All Green

 

 

機体に異常は無し。ISの自己整備能力には、いつも驚かされる。

現にクラス対抗戦のダメージだって、ものの数日で完全に直っていたし、この前の依頼で損傷したパーツにしたって、交換したとは言え直ぐに直っていた。

 

「さて、行くか・・・・・・」

 

今は先を急ごう。もし侵入してきたのが『アレ』だとするならば、『素人』に当たらせるのは危険だ・・・・・・!

 

――――――――

 

「おい・・・・・・誰なんだよ、アンタは!!」

 

数分後。アリーナの中では、一夏と鳳が侵入者と対峙していた。

立ち上っていた土煙が晴れ、現れたその姿に、俺は戦慄を覚える。

全体的な色合いは、ややくすんだ茶色。

下半身はまるでシンデレラのドレスの様に、足下に近づくにつれて幅が広がっている。

それとは対照的なのは上半身だ。

局面主体ではあるが全体的にほっそりとしており、特有のずんぐりとした印象は無い。

昆虫の複眼のような形の部品が付いた頭部は平べったく、胴体は前方に張り出した形。両肩には砲らしきものが付いている。

それらを差し引いても、異様さが際立っていたのは両腕だ。

ガラスで出来た槍のようなブレードが、肘から生えていた。いや、肘から先が全て(・・・・・・・)ブレードになっていたのだ。

俺自身は無神論者だが、今回ばかりは恨むぜ、神様・・・・・・。

 

「なぜお前がここにいる・・・・・・パルヴァライザー・・・・・・!!」

 

考えるのは後だ。

俺はアルケミストを展開すると、パルヴァライザーと二人の間に割り込むようにして着地する。

 

『パルヴァライザーは戦闘を繰り返し、そのデータを蓄積し、永久に成長し続ける兵器だ』

 

前世での俺にとって、最期の戦いとなった依頼、『中枢突入』。その際に、依頼人のジャック・Oはパルヴァライザーの事をそう説明していた。

もしアレが俺の知っている奴と同じだとするならば、一夏を戦わせるのは・・・・・・拙い!

 

「レイブン!」

「下がっていろ、二人とも。コイツは・・・・・・俺が殺る・・・・・・!」

「!!」

「なっ、ちょっ・・・・・・何言ってんのよ!?」

 

当然と言えば当然なのだが、狼狽える一夏と鳳。

それもそのはず、侵入する瞬間を生で見ているのだから。

 

《レイブン君、織斑君、鳳さん、今すぐ退避して下さい!! 先生方がISで制圧に向かっています!》

《待って下さい、先生! 三人も、これを見て》

 

山田先生が通信で退避を促すが、シーラの出したデータを見たことで、それは無理だと悟る。

アリーナ内のセキュリティマップだろうか、それに書かれている緊急用の隔壁の部分に、全て『Locked』の文字が表示されていたのだ。

 

《レイブンがアリーナに付いた直後からよ。今三年生がクラッキングを試みているけど、時間がかかるわ。オマケに通信も妨害されていて、外部に救援を呼ぶことが出来ない。恐らく、教員部隊も入り口のあたりで足止めを喰らっているはずよ》

「・・・・・・大体わかった。俺達だけでしか、今すぐに対応出来ない、と言う訳か」

《それはそうだけど・・・・・・でも・・・・・・!》

《やれるのか、レイブン?》

《織斑先生!?》

 

不意に、通信に割り込んでくる織斑先生。

この一月ほどですっかり見慣れたポーカーフェイスにも、今は焦りが見て取れる。

 

《もう一度だけ聞くぞ、レイブン。『やれるのか?』》

「・・・・・・少なくとも、負けませんよ、俺は」

《そうか・・・・・・ならば、IS学園の一教師として、貴様に依頼する。正体不明機を撃破し、織斑と鳳の二人を救出してくれ》

 

やや上から目線だが、依頼に間違いは無い。

アライアンスの仲介人だって、概ねこんな感じだった。

 

「了解だ。その依頼、請けたぜ」

《では、頼んだぞ》

「頼まれましたよ」

 

俺は通信を終えると、改めて不明機と対峙する。

どう言う訳かは解らないが、俺と彼女の通信には一切邪魔してこなかった。

 

「それじゃあ、行きますか」

〔メインシステム 戦闘モード 起動します。高エネルギー反応を 確認。識別不能 該当データ無し〕

 

ブースターを噴かしてまずはその場から移動する。

見た感じ武装は前世で見た奴と同じ、武器腕ブレードに両肩のレーザーキャノン。戦法も恐らく同じだろう。

 

「っと!?」

 

だが、火力は段違いに強化されているようだ。ACなら数発は耐えられたが、アレはアリーナ上空の保護シールドを突き破って侵入してきている。

ISの絶対防御でも、保つかどうか分かった物じゃ無い。

だったら・・・・・・!

 

「速攻だ!!」

 

右肩の12連ミサイルランチャーを起動させ、4発分ほどロックして発射。放たれた小型ミサイルは次々とパルヴァライザーに突き刺さっていく。

間髪を入れずにパルスカノンをセレクト、ハンドガンと共に弾幕を展開する。

やはりタンク型だから機動性は低いらしく、面白いように攻撃が当たってくれる。

パルスが胸部装甲を穿ち、銃弾が頭部に命中して相手の照準を狂わせる。

そしてトドメとばかりに、右手のバズーカで相手のブレードの一振りをへし折った。

 

《こちらの攻撃は効いているみたいね。その調子よ》

「このまま一気に畳みかける。シーラ、データ取りの方は?」

《抜かりは無いわ。高画質で録画中よ》

「了解だ。それじゃあそろそろ・・・・・・」

《一夏ぁっ!!》

 

フルバーストを仕掛けようとした、その時だった。

ハウリングを響かせながら、篠ノ之の声が聞こえたのは。

何事かと辺りを見回すと、俺が入ってきたアリーナピットに、マイクを持った彼女の姿が。

 

《何を恐れている!? レイブンに任せてばかりいないで、男子ならば戦えっ!!》

 

今、アリーナは文字通り戦場となっているなんてことはお構いなしに、檄を飛ばし続ける篠ノ之。

パルヴァライザーがそこにレーザーキャノンの照準を合わせるのと・・・・・・

 

「やべぇっ!!」

 

一夏がその射線に割り込んだのは、ほぼ同時だった。

放たれた青色の閃光を、白式の固有武装―雪片弐型で受け止める彼。

その一撃で限界が来たのか、そのまま地面に落下し、気を失ってしまった様だ。

 

「シーラ、どういうことだ!?」

《ごめんなさい、レイブン。一応は連れ戻したけど、また抜け出されてしまったみたいだわ・・・・・・》

「アイツには後でゆっくり説教してやるとして・・・・・・」

 

とりあえず今は、あのポンコツを潰すのが先だ。

ミサイルを完全ロックし、一斉射。パルスカノンをチャージング手前まで撃ちまくり、バズーカとハンドガンを全弾叩き込んだ。

それによって最後まで残っていたブレードだけでなく、レーザーキャノンも吹き飛び、さらに全身に穴を空けられたパルヴァライザー。そして、そのまま胸の部分から爆炎を吹き出して完全に停止した。

 

〔正体不明機 撃破〕

「終わったか・・・・・・」

《お疲れ様、レイブン。でも、どうしてパルヴァライザーが・・・・・・》

「考えるのは後だ。さすがに学園も調査を始めるだろうよ。シーラ、エマ経由でレインさんに調査を頼んでおいてくれ」

《わかったわ。それにしても、一体誰がこんなことを・・・・・・?》

「あのパルヴァライザーの正体が何にせよ、ISは俺と一夏を除けば、文字通り『女にしか』動かせない。つまりは・・・・・・」

《有人機しか存在しないって事? けど、アレは右腕が吹き飛んでも動いていたわよ》

「当然さ。アレが無人機なら(・・・・・)、な・・・・・・」

〔作戦目標 クリア。システム 通常モードに 移行します〕

 

~Side over~

 

――――――

 

~Side Third persons~

 

一連の騒動が終わってからしばらく後。IS学園の地下にある解析室。

学園の関係者の中でも、ほんの一握りしか入ることが許されないこの部屋に、先ほどレイブンによって撃破された無人機が安置されていた。

その上を、スキャナーのような機械が行ったり来たりしている。どうやら、これで解析しているようだ。

 

「結果が出ました」

 

その機械を操作していた真耶が、傍らで結果を待っていた千冬に告げる。その表情には、困惑の色が見て取れた。

 

「まず下半身ですが、内部には推進器とジェネレーターのみで、人体が収まるスペースが全くありませんでした」

「AISの四脚や逆脚の様に量子格納しているのではないのですか?」

「そうだとしても、ある程度はスペースがある筈なんですけど、腰の辺りが全て機械で埋め尽くされていて、あり得ないんです。腕の部分も、武器腕なら発砲用のトリガーとグリップが中にあるはずですけど、それも無しです」

「と言うことは、無人機か・・・・・・」

「それにしても、一体誰がこんなものを・・・・・・」

「まさか・・・・・・・・・・・・なのか・・・・・・?」

「何か言いましたか?」

「いえ、何も。山田先生、この機体は厳重に封印し、秘匿しましょう」

「ええっ・・・・・・!?」

「これは下手を打てば、世界を揺るがしかねません。常識的に存在するはずの無い無人IS、その残骸一つをとっても」

「・・・・・・わかりました。じゃあ、失礼しますね」

 

真耶が退室した後、無人機の残骸に歩み寄り、破片の一つを手に取る千冬。

 

「こんな事をして・・・・・・お前は、一体何を考え、何をしようとしているんだ・・・・・・」

 

彼女の呟きが、誰もいない解析室に響く。まるで、罪人の嘆きのように・・・・・・。

 

「・・・・・・束・・・・・・」

 

――――――

 

所変わって、IS学園校舎B棟。

広大な敷地面積を誇るIS学園のほぼ中央に位置するこの建物には、職員室の他に生徒会室や、各委員会がミーティングに使用する大小の会議室が存在している。

その内の一つ、とりわけ大きな会議室に、五人の女子生徒がそれぞれの席に着いていた。

一人は、紺色の髪を背中まで伸ばした、物静かな印象を与える少女。長机の上に、自らが担当する部署の書類を広げている。

一人は、アッシュブロンドをサイドポニーでまとめた勝ち気そうな少女。シャープナーを片手に、爪の手入れをしている。

一人は、褐色の肌に赤い瞳、そして金のベリーショートが特徴的な少女。小腹が空いていたのか、菓子パンを頬張っていた。

一人は、黒髪のショートカットと銀縁眼鏡が知的かつ冷たいな印象を与える少女。まるで秘書のように、椅子に座る少女の傍らに立っている。

そして、最後の一人。一番奥の席には、金髪のロールヘアーが特徴的な少女。

座っている場所からしても、彼女がリーダー格で間違いないだろう。

 

「す、すいません! 遅れました!」

 

不意にドアが開くと、そこから六人目の女子生徒が現れる。

眼鏡と黒髪は、リーダー格の横に立つ少女と共通しているが、冷たさは感じられず、むしろ親しみやすさを感じさせる。髪型は三つ編み、よくある「委員長タイプ」の人間だ。

 

「遅かったですね、モリ。また先生に呼び出されていたのですか?」

「はい。また仕事を押し付けられそうになって・・・・・・」

「それで何とか逃げてきたのね。なら、納得だわ。さ、メンバーも揃ったところで今日の定例会議を始めましょう。まずは、第一班から。カレン、報告してちょうだい」

「わかりました」

 

カレンと呼ばれた少女は、席から立ち上がって書類を読み上げる。

 

「まず、空手部と柔道部の対立事案ですが、部員同士の個人的な事情でしたので、双方の顧問に委任しました。これ以外には、特にありません」

「今年の一年は大分温和しめの様ですわね。では次、シャーリー」

「こっちも、特にこれと言ったことは無いわね。ただまあ、話題の男二人がいる以上、いつ何が起きるか分からないから、警戒した方が良いわね」

「イチカ・オリムラと、レイブン・コードウェルね。前言を撤回するわ、彼らの周りを除けば、今年の一年は温和しいと思いたいわね・・・・・・。では次、モリ」

「は、はい」

 

続いて、シャーリーと呼ばれた女子生徒も、報告を終える。

カレンと同様に、特に懸案事項は無いようだ。

だが、モリの報告を聞いた瞬間、リーダーの目の色が変わった。

 

「確証を得るのに時間がかかってしまいましたが、これまでで二件ほど、学生寮で備品の損壊および、ISの無断展開が確認されています。何れも、織斑一夏関連の生徒が起こしていたことが、判明しています」

「ふむ・・・・・・早速やらかしてくれましたわね」

「委員長、ここは本人も含めて注意勧告するべきではないでしょうか?」

「それもそうね・・・・・・。けどトロット、まだその時では無いわ。じっくり調べ上げて、少しでも問題を。そうねぇ・・・・・・他の女子生徒との不純異性交遊あたりでも発覚した後でも遅くは無いはずよ。そうでしょう、皆?」

 

リーダーは立ち上がると、室内にいるメンバーを見回し、同意を求める。

 

「そうですね・・・・・・。まだ六月ですし、早計かと」

「私も同じ意見よ、委員長」

「まあ、オレも異存はないぜ」

「私も、それで良いと思います」

「委員長、今日もいつも通りです」

「そうね。愚問と言う奴だったわ。では、対象及びその周辺は要観察とし、問題を起こした者はいつものように処置。これで良いわね?」

 

そして、肯く五人。これが、彼女たちの「普通」なのだ。

IS学園風紀取締委員会。事実上の治外法権であるIS学園において、無くてはならない組織だ。

主要メンバーは全部で六人。

第一班班長の、カレン・ジャウザー。

第二班班長の、シャーリー・プリンシバル。

第三班班長の、モリ・カドル。

副委員長のトロット・S・スパーとゴールディア・ゴードン。

そして、彼女たちをまとめる委員長、エヴァンジェ・B・L・レイヤード。

彼女たちは今日も、学園の秩序と風紀のために活動している。

それ故に、親しみや反発など、様々な感情を込めてこう呼ばれている。

“アライアンス”、と・・・・・・。

 




ジャック・O「また随分と懐かしい名前が出てきたものだな」

レイブン「それはともかく・・・・・・」

エヴァンジェ「何かしら?」

レイブン「変わったな、エヴァンジェ。性別含めて」

エヴァンジェ「まあ、この『世界』では、こちらの方が好都合ですもの。
・・・・・・本質的な部分は変わっていないつもりだ」

レイブン「なるほど、要は猫を被っているのか。
次回、『IS-インフィニット・ストラトス LAST RAVEN』、第八話、『貴公子と兎』。
誰もが、生きるために戦っている・・・・・・」

???「いよいよ出番か・・・。緊張するなぁ・・・」

???「ふ、ふん、私は既に万全だ」(震え声)

レイブン「そんな声じゃ説得力無いぞ」
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