隣で支えるとまり木〜夢のような日々〜 ※凍結 作:マウス254
皆様の来年が幸せなものでありますように!
そして続きをどうぞ〜
「よっ!」
「梅原か」
朝からこいつは元気だ。その元気さに助けられる事もあれば、面倒なことを招いてくることがある。
元気、面倒なことでもう一人僕の友人の中に思い当たる人はいるが、ここでは話すまい。毎回というわけではないが、イタズラを仕掛けてきて反応を楽しむやつだ。
話してたらいつの間にかあいつが背後にいる、なんてことはかなりある。
「いきなり変な顔して、どうしたんだ?」
「なんでもないよ」
「……まあいいか。今日は一時間目なんだっけか?」
「化学。実験だね」
「あーそっか。ならこのペースで早く着いちまった方が良いな」
「連続で遅刻すると今度は授業外にも説教されそうだ」
あの先生は僕達のことをよく見てるから、勉強や生活で悩んでる人とかすぐに見つける。
アドバイスもかなり的確だから助かってる人も多いだろうけど、その分僕達の生活がだらしないと注意しに来るのも早い。
僕もこの前、歩いている姿がだらしないと廊下で怒られた時みんなに見られて恥ずかしかったよ……梅原にもからかわれたし。
「あと、お前はちゃんと決心はついたのか?」
「まあ、ね。一度決心してたつもりなんだけど、弱気になってたよ」
「それなら良いが……」
「心配してくれるのは嬉しいけど、お前にもそこまで余裕があるわけじゃないよね?」
実際、あの人が可愛いとかそういう話ばっかりで、話しかけてみたら……という感じの感想はまだ聞いたことがない。
まあ目標を決めてからまだ1日しか経ってないし、当然と言えば当然か。
そしてその事を指摘されると梅原は焦っている様だ。
「うるせ! お前より間違いなく先には進んでるからな!」
「そうかな〜? そうだとしても、僕がすぐに追い抜いちゃうよ?」
「ハハハハ! ようやくもとの調子が戻ってきたな!」
「お陰様でね」
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「う~ん……」
やばい、今やってた所ににちょっと分からない所があったな……これを積み重ねると厄介そうだな。
期末テストも近いし、図書室に行って昼休み頑張ってみるか。
「わあっ!」
「うわあ!?」
ガラガラガッシャーン!
「あははっ、良いリアクションだね~純一!」
「薫か……」
こいつは同じ2-Aの
朝言ってたのはこいつの事。梅原に近い感じで、基本明るくて接しやすい奴なのだが、人をからかうのが好きな様で、僕がその被害を1番多く受けている。
「何か失礼なこと考えてない?」
「いや何も」
勘が鋭い。表情とかには出してないはずなんだけど……まあ良いや。
「それより、どうかした?」
「どうって?」
「何か用があるからこうしたんじゃないの?」
「何も用はないわよ。ただ純一が何かぼうっとしてたから、からかいたくなっただけよ。」
なんて奴。
「何か言いたそうな顔ね?」
当たり前だよ。相手が取り敢えず暇そうだからイタズラするとか、相手からしてみればたまったものじゃない。
薫も自分のラインは敷いているだろうが、それでももうちょっとそっとしておいて欲しいよ。
「人をからかって、その反応を見て楽しむのは趣味としてどうかと思う」
「そんな事言われてもね……多分授業1コマ分受けたら忘れちゃうわよ」
「幾ら何でも早過ぎない?」
「仕方無いじゃない。今までずっとやってたことをいきなり止めろーとか言われたって簡単には止められないわ」
「中学校の頃から言ってる筈だけど」
「記憶にございません」
「はあ……」
こりゃ駄目だね。うん。中学校の頃から付き合ってたから分かる。多分数日後には僕またからかわれてるよ。
「おっ、棚町と橘じゃねえか」
「梅原じゃん。やっほ〜」
「ああ……」
この2人といると大変なんだけどなあ……どちらも似たタイプだから、話が盛り上がって弄りのレベルもそれに比例して上がるという要らないおまけ付だ。
テンションが高い時なら別にそれで構わないんだがな。今はそうでも無いから止めて欲しい。言っても聞かないだろうから適度に付き合うか。
「相変わらず夫婦漫才してんのか」
「夫婦漫才ってどういう事」
「そうなのよ~夫の調子が悪くてね」
「そうか……棚町は大変だよな……」
「良いのよ、私が望んだことだから……」
そうしてしんみりした空気となる。棚町は苦労を顔で語るかの様に沈んだ表情をしてるし、梅原もそれを心配している様な顔だ。演技だけどね、僕達のことをよく知らない人から見たら僕が悲しませたという感じに見えるよこれ。
なんだこの茶番。今までに無かった訳じゃないけど、こういう風な茶番の度に毎度毎度思うのだが、なぜ普通の漫才じゃないのか。夫婦は要らないだろう……
「おお……なんて健気なんだ棚町」
「ええ……健気小町と呼んでくれてもよろしくてよ」
どうしてそうなった。というより棚町は逆。相手を振り回していく方だから、健気な女性とは真逆の方向を突き進んでいるだろ。
なんか、仕方無いけどこの人に付き合っているという様な顔をしているがそれ僕だから。
「薫が健気ならこの世の女性殆どが健気だよ」
「え、そこまで言うの……? 純一ほんと酷い!」
「なんて奴だ。自分の妻をそんな風に言うなんて……」
「何時から妻になったのさ……」
僕のツッコミを自分のボケへと繋げる。前からこんな感じで会話が続いていくんだよ。終わりが見えない。梅原も乗らなくていいのに……
本当に疲れるなこの流れ。毎回ツッコミ役をするのは慣れてるけど、もっとまともな事は言えないのか。
「あ、純一拗ねちゃった。こうなったら面倒ね。梅原宜しく!」
「おう。任された」
薫は向こうへ走っていく。引き止めていつもの文句と一緒に色々言いたいのだがそれをしようとも思えない。疲れたのだ。
それに、梅原が多分妨害してくるだろうからどちらにせよ無理だろう。
「相変わらず仲良いのな」
「あいつに付き合うのは大変だけどね」
「仲のいい女子作る方が大変じゃね?」
「あの性格ならよっぽど酷い奴で無い限り仲良くなれるよ」
棚町はあの明るさで知らない人にも積極的に話しかける奴だ。そのお陰で顔も広く、あいつが一人でいる所など滅多に見かけない。
……トラブルメーカーでもあるから、その被害を受けてるのは僕だけじゃないだろうけど、嫌われにくい性格だから離れていく人も少ないんじゃないかな?
「確かにな……」
「知らない人の集まりに薫突っ込んでそのまま楽しく談笑する所とか数え切れない程見たぞ」
「薫の友達何人いるのか今でも把握してないよな」
「あいつ自身も把握しきれてないと思う。名前を忘れる、と言うことはないだろうけど……」
「多すぎて最後の人まで誰を言ってないか混乱せずに記憶を引っ張り出すのは難しそうだな」
「そういう事」
キーンコーンカーンコーン
「授業か」
「残念だけど、続きはまた後で」
「おう、それじゃ」
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昼休み、昼食を済ませて少し時間が空いた僕は外をぶらぶらしながら、日向ぼっこにちょうどいい所を探していた。
「どこのベンチも埋まってるな……他に座れそうな所は……」
あそこだな。取られる前に急いで向かおう。
校庭を眺めながら目的地まで、早足で向かう。僕の学校は進学校、と言う程勉強に忙しい生活ではないため休み時間や放課後は比較的身体を動かしている人が多い。
……僕は進学校の生徒がどんな生活を送っているのかは全然知らないけどね。多分そういう人たちよりかは自分の好きな事ができる時間は多いと思うな。
校庭でやってるのは……サッカーか。おっ、やっぱ上手い人はするすると相手を抜いていくよね。おっ、シュートだ!あーっ……外しちゃったか……
「ねえ、純一」
相手チームの反撃だ。あ、此方はパスワークが抜群だ。ポンポンボールが味方同士で繋がっているようで、相手はインターセプトを狙ってるけど難しいようだな。
「聞こえてる〜?お~い」
あ、センターバックをワンツーで抜いた!一騎討ちだ。キーパー前に出てくる!あ、それと同時に打っ、おおおお!ナイスシュート!
出てくると同時に端っこ狙って打ったんだな。近付かれてコースが塞がれるのを恐れたのか、ナイス判断だ。
「純一!」
「えっ! はい、何の御用……って、梨穂子か。」
一緒に登校していた時期が結構長いし、1番接しやすい女子をあげるとしたらこいつなんだよね。
今は一緒に登校しないけど、それも梨穂子が合流するのが余りにも遅くて僕まで遅刻するというのを避けるためだ。
今だってたまに勉強会開く位の仲はある。梨穂子は理系科目は駄目、文系科目でも同じくらいの出来だから必然的に僕が勉強を見るんだけどね……
「昔からの幼馴染を無視するなんて酷いな〜私の事忘れちゃった?」
「そんな訳無いよ。ただ、ちょっと校庭でやってたサッカーが久しぶりに上手い人が多い感じだったからさ。ちょっと集中して見てちゃっただけだよ。」
「なら良いけど」
そう言って梨穂子は膨らませていた頬を元に戻し、ほにゃっと笑う。
「純一は何しに来たの?」
「日向ぼっこ。こんな天気のいい日に時間が空いたから、有効利用しないと勿体無いじゃん?」
「私もそう思って校庭に出てたんだよ。ポカポカしてて、気持ちいいよね〜」
梨穂子はずっとこんなのんびりとしたことを考えている。本人は否定しているが、昔から付き合っていた僕には分かる。
「気まぐれな春の到来って所かな」
「そんな感じだよね〜風が吹くと寒いけどさ」
「あ、そうそう。梨穂子も一緒に来てあそこ座ろうよ」
「そうさせてもらうね」
目的地まで近かったので小走りして、2人で座りながらのんびり話す。
「最近そっちではどうなの? また授業中に寝てる?」
「それはお前だろ梨穂子。少なくとも僕はお前よりは寝てない」
「え〜純一も寝る方だと思ってたんだけど。嘘ついていたりしない?」
確かに中学校の最後の方は居眠りが多かった気はする。だが僕も改心したのだ。今はほんのちょっとしかしてない。……ほんのちょっとだから。
「こういう事で嘘はつかないよ」
「そういえば、昔からそうだったね。他の人のために嘘をつくところは見かけたことあったけど」
「え? それって何時の事?」
「沢山あるよ。私が覚えているのは小学4年生の時」
「ああ、あの時ね」
朝や授業の合間と違ってこういうちょっと静かな位が丁度良いんだ。うるさいのが嫌ってわけじゃないんだけどね。
「今は話しているけど、ぼーっとしながら座っちゃうと寝ちゃいそうだよ」
「それも良いよね〜ていうか寝ちゃおう?」
「2人して遅刻しそうだ」
そう言うと梨穂子は驚いた顔をする。寝る程時間があるわけではない事考えてなかったな。
「教室じゃないから予鈴で起きても遅刻だよね。忘れてたよ……」
「全く……」
昔からこういううっかり屋さんな梨穂子は誰かが面倒を見てないと必ずと言っていいほどミスをする。
やらなきゃいけない事があるのに、途中で他に気を取られる内に本来の目的を忘れるのが主な原因。
僕も頼み事を何回か頼んだけど全て失敗し、結局僕がする羽目になっている。
今駄目なところしかあげてなかったが、勿論良いところも存在する。梨穂子は静かにしながら、のんびりとしているのが好きであり、何時もニコニコしている。そのキャラが人気になっているらしい。
梨穂子がいるだけで空気が柔らかくなる。とは誰が言ったことだったか。本人は分かってないが、それ位周りに与える影響は大きい。
ミスばっかりしてても、本人に悪気はないのとそ性格、というかそのキャラのお陰で嫌われていることはないそう。
「あ、飛行機みたいな雲」
「どこにあるの?」
「ほら、あそこだよ」
梨穂子はどこかを指差す。指差している方向を向いてみるがどれも飛行機っぽくない気がする。
「どこにも飛行機なんてないだろ」
「ほら、あそこだよ〜」
「あれ飛行機というより十字に足がついたみたいな感じだろ」
「あれは飛行機だよ!」
「いいや、あれは飛行機じゃないね!」
「「ぐぬぬ……」」
こういう下らない事で言い争うのは面白い。梅原や、棚町の時も少し思ったが彼女を作らなくても、こういう会話があるだけで僕には十分な気がする……
って、それじゃ去年と同じだよね。確かに今のままでも楽しい事はある。でも、彼女を作れたらもっと楽しいことがあるんだろう。
中学校の時は失敗しちゃったけど、今度は成功するといいな……
「どうしたの純一? いきなり難しい顔になったけど」
「いいや、何でもないよ。心配してくれてありがとう」
「いつものお返しです」
そうやってこの暖かな陽射しのような笑みを浮かべる。これは人気が出るわけだ、と昔から知ってたことを改めて確認することになった。
キーンコーンカーンコーン
「あ、もうこんな時間なんだ」
「そろそろ授業に行かなきゃね。寝ちゃ駄目だぞ?」
「大丈夫だよ〜もお……」
僕が冗談を言うと梨穂子はふてくされる。寝てないならいいんだが、成績はもう少し改善されないものか。
「じゃあね、純一」
「うん、またね」
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今日も一人で下校した。みゃーが用事で帰るのが遅くなるらしく、晩御飯の食材を代わりに買ってきてくれないか、と言われた。
僕は帰宅部であり、学校関係での用事があるわけでも無 かったので頼まれた通り早く帰ることにし、梅原を誘おうとしたら、掃除で残るとのこと。
待てたら良かったのだがタイムセールに間に合わなくなる恐れがあるため、先に帰らせてもらった。
そして今はその買い物も済ませ、家に向かってる途中。本来この時間だと学校で部活のない友達と雑談をしている所だ。
頼まれたものから察するに今日は回鍋肉だな。ああいう料理は何時も取り合いになる。美味しいからいっぱい食べたくなるんだよね……
「あれ、先輩もスーパー来てたんですか?」
突然後ろから声をかけられた。
「誰?って七咲?」
後ろを振り向くと同じスーパーのビニール袋を持った七咲が。昨日初めて話して、しかも悪い印象を与えてしまった七咲と今日も会うとは……
「こんばんは、先輩」
「こんばんは、七咲も買い物か。誰が料理するの?」
「今日は私ですよ。魚料理の予定で、そこにもう一つおかずを加えようかなと思って来てました」
七咲はお使いでなく、普通に自分で材料を買いに来た感じか。偉い子だな……僕もそういう事が出来た方がモテるかな?
「なるほどね……やっぱり料理得意なの?」
「はい。親が作ってくれる事が多いですが、代わりを任されることも多くて……弟は、まだ小さいですし私しかいないんですよ」
「弟いるの?何歳?」
「7歳です。手がかかりますが……基本的には良い子で
す」
そう言って七咲は少し笑う。家族仲は良好な様で少し安心した。暗い話が嫌いだからね。
僕の家族も仲が良い方だろう。僕が迷惑をかけてる事が多いが、それを酷く怒らない、大切な家族だ。
「そっか。僕は妹がいてね。少し生意気な所もあるけど良い子だよ」
「そうなんですか……あっ、ちなみにその妹さんってもしかして……」
「美也のこと知ってたんだ。ご想像通り、橘 美也は僕の妹だよ」
ちょっと意外そうな顔してるな。昨日の出来事が予想以上にでかいか?
「話は聞いてましたが、何かイメージと違いますね」
「どんな人だと思ってた?」
「もう少ししっかりした人だと思ってましたが、先輩はふわふわしてますね」
昨日とは別のところで弄られてるんですけど。
「ふわふわって何さ」
「風で飛んでいってしまいそうな人ですよ」
先輩弄って笑ってるよこの子……
「全く……僕は別に良いけど、他の人にこういう事しないでよ? たまに気性荒いやつがいるからさ」
「こんな事するのは貴方だけですよ」
「つまり僕は弱そうってこと?」
「えーと、その」
そう言って目をそらす。止めなさい、それ結構傷つくんだぞ。
「冗談ですよ、少しからかい過ぎました」
「次からは気をつけるように」
「はい」
何だかんだいってこうやって話しかけてくれるのは僕にとって助かる。僕は関係ない人とあまり話そうとしないから……
「あ、私左行くので」
「じゃあここでお別れだね。またね七咲」
「はい。では、失礼します」
1度礼をして七咲は去る。彼女を作る決意してからこういう風に交流が少しでも出来ているのは嬉しい。
偶然会っただけど、今まで見てきた中でも七咲は可愛いし、正直彼女に出来たら僕は凄い喜んでるだろう。
と、こんな感じで取らぬ狸の皮算用をしてる間に家に着いた。取り敢えず袋をリビングに置いてから……漫画でも読みますか。
感想、アドバイス、誤字脱字報告などよろしくお願いします!
ちょくちょく改稿を重ねると思いますので、よろしくお願いします。