隣で支えるとまり木〜夢のような日々〜 ※凍結   作:マウス254

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遅れてすみません……正月でだらけにだらけた結果このザマです。反省しています。急いで書き上げているので誤字脱字があるかもしれません。気づいた方は報告お願いします!

すこし短めですが、どうぞ!


3日目-1

  今日は曇り。朝遅刻の危険(と思っていたの)でドタバタした結果、忘れ物をした事が家を出て暫くしてから判明したため少し憂鬱だ。しかも僕が見た時計がずれていたらしく、ゆっくり準備していても大丈夫だったのも痛い。

 

  確かに戻ることも考えたけど、また急いで登校しなければならないことも合わせて考えてみると戻る気になれなかった。

 

  そんな訳で忘れ物を借りなきゃいけない、まあ数学なので最悪借りられなくても、バレないだろうから良いんだけど。

 

「にぃに〜!」

 

  後ろからみゃーが走ってくる。朝からあいつは元気だなあ……じゃなくて。

 

「美也、外出る時は僕のことはそう呼ばないでって……」

 

「それどころじゃないの! ちょっとそこで待ってて!」

 

  そんなに焦ってどうしたのだろうか。待てと言われたので逃げても良かった(?)のだが、あれほど急いで来るのには理由があるのだろうと考え美也を待つ。

 

「ハァハァ……追いついたよお兄ちゃん」

 

「そんなに急いでどうしたの」

 

「えっとね、お兄ちゃんの頭に……プッ」

 

「え?」

 

「アハハハッ!ダメだよ、改めて指摘しようとすると笑っちゃう!」

 

  いきなり人を見て笑い出すとはなんて失礼なやつだ。いくら美也でもこれは許せないぞ。今度貸してやろうとしていた漫画を永遠にこちらで保管しておこうか。

 

  笑いながら僕に渡された手鏡を見て頭を確認するとそこには、

 

「僕はポテトです」

 

 と書かれていた。……うん、有罪。

 

「痛い痛い痛い痛い! 謝るからアイアンクローだけは止めて!」

 

「普通こういうイタズラは、もうちょっと早くネタバレする必要があると思うんだ」

 

「いやほら、にぃに急いでたし! 私だって話しかけようとしたんだよ!」

 

「にぃには止めてね」

 

  涙目で美也は自分の無罪を必死に主張する。確かにそんな様子はあった。僕が急いでるから相手にしている暇は無かったけど。ただ、

 

「話しかけようとしているのは確かに分かってたよ? でもね、それならもう一つ質問があるんだよ」

 

「な、何?」

 

「僕が遅刻しそうだから急いでるのは美也にも説明して出ていったよね」

 

「うん」

 

「それを聞いていたなら何で美也は遅刻する心配が無いことを知ってた筈なのに、教えてくれなかったのかな?」

 

  これが疑問なのだ。僕が遅刻してしまうよ、と声をかけたら一緒に急いで準備はしていたけど、僕が出る時にはまだ着替えていた。

 

  確かに準備することは沢山あったのかもしれないけど、美也はそれらを前日に済ませる子だ。準備が終わるのは確実に美也が先。それでも僕が先に出ていけたという事はそこまで美也は急いでなかったと考えられる。

 

「えーと……ほら、前日にみゃーは準備を終わらせてたから」

 

「美也はそういう理由でゆっくりする人じゃないよね。どちらかと言えばそのまま少し急いで出てゆっくりするのが普通でしょ」

 

「……それでもみゃーは」

 

「認めなさい」

 

「ごめんなさい……その落書きが頭に残ったまま急いでいるお兄ちゃんが面白くて何も言えなかったの」

 

  一瞬シュンとなるが、その時の状況を思い出したのかまた笑い出す。反省していないことは一目瞭然だったので手に込める力を強くする。

 

「謝るから! 謝るから更に強めるの止めて!」

 

「どう見ても反省してなかったでしょ」

 

「もうこんなことしないからー!」

 

「はぁ……」

 

  美也の様子を見て罰は十分に与えたと判断し手を離す。まだ痛むのか美也は頭を抑えながら小さく唸っているが、自業自得だ。

 

「酷いよお兄ちゃんは。妹にこんな事するなんて……」

 

「妹だからこんな事出来るんだよ。僕は基本的に女性に暴力を振るわないから」

 

「妹が女性に入ってないのは何で?」

 

「妹は例外だよ」

 

「何それずるい」

 

  こうして下らない会話を続けながら歩きだす。頭の落書きは今は落とせそうに無いので、というかわざわざ公園とかに行くのが面倒なので、学校で落とすことにしよう。

 

  美也とは学校であまり話さない分、こういう時や家でよく話している。学校で話さないのは妹から頼まれてるからだね。

 

「ただのイタズラなんだからもう少し大目に見てよー」

 

「ただのイタズラにしては僕のダメージが大きいんだけどなあ……」

 

  仲良くしてるけど、その生活の中で色々この様なイタズラをされることも多い。そしてそれらを怒ってる途中に、僕が被害受けたのにいつの間にか妹に文句を言われてるという状況が作られる。どうしてこうなる。

 

  そんな目を細めて貴方が悪いんですよ感出しても他人から見たら悪いのお前だから。僕に朝から恥をかかせておいて……

 

「あれ、美也ちゃん?」

 

「あ、紗江ちゃんだ! おはよー!」

 

  後ろから寄ってくる女子。美也の事を知っていて声をかけるという事はクラスメイトなのだろうか。美也も楽しそうに声をかけているから仲は良さそうだな。

 

「おはよう。えっと、そちらの方は……?」

 

「そっか、紗江ちゃんはまだ会ったことは無かったね。この人は私のお兄ちゃん! 説明しておいてる通り、ちょっと変態さんだから距離取ったほうが良いよ」

 

「知らない所で罵倒されてるんですけど」

 

  僕勝手に変態扱いされてる。いやまあ、確かに人並みにエッチな事は考えるけどその紹介の仕方はどうなの。

 

  ほら、その子も少し戸惑ってるよ。これ美也のせいだからね。人をいきなり変態さんって言うからだからね。

 

「でも根はいい人だから、話しかけてあげてね! お兄ちゃんも可愛いからって紗江ちゃんの事襲っちゃダメだよ!」

 

「そんな獣みたいなことするわけ無いよ……」

 

「……えっと、中多(なかた)紗江(さえ)と申します。よろしくお願いしますね、先輩」

 

「僕は橘純一って言うんだ。妹の美也共々、よろしくね。」

 

  戸惑いながらも自己紹介をしてくれる辺り、中多さんは良い人だと思う。雰囲気は僕の周りでは梨穂子に似ている気がするな。

 

  こういう柔らかい雰囲気の人が周りに少ないんだよね。ほとんどの友達は騒ぐのが好きで明るい。お陰で生活はつまらなくないが、変なテンションのところに巻き込まれるとろくな事が無い。

 

「お兄ちゃんがまともに挨拶してる……?」

 

「アイアンクローの事を根に持ってる?」

 

「美也の事を大切に扱わないからだよ」

 

  そうやって頬を膨らませても僕は悪くないからね?睨んでも無駄無駄。美也が反省するべきなので僕はあの時アイアンクローをしたことを間違ったとは思わない。

 

  中多さんは話についていけてないようで、僕達二人をちょっと離れた位置から見てる。

 

「紗江ちゃん酷いよねー! お兄ちゃんみゃーに朝からアイアンクローやったんだよ!」

 

「えっ?」

 

「その言い方だと僕が悪く聞こえるけど、先に仕掛けてきたのは美也だからね? 顔に落書きするなんて酷い妹だ」

 

「みゃーだって家で教えてあげようと思ったんだよ! そしてお兄ちゃんを見たらおかしくて笑っちゃうんだもん。言えなくても仕方ないと思う!」

 

「そもそも落書きを書かないでよ。というか、いつ書いたの?」

 

「朝。お兄ちゃんがぐっすり寝ていたのでつい」

 

「ついやった結果がこれだよ。学校行ったら絶対ポテトって呼ばれるよこれ」

 

「くすくす」

 

「ん? どうしたの紗江ちゃん」

 

「ううん、何でもないよ。ただ、二人は仲いいんだな、って思っただけ」

 

  今の様子で仲良く見えるものだろうか、喧嘩してるところを見て仲が良いとはこれいかに。

 

  美也もよく分かっていないのだろう。同じように首を傾げている。

 

「でもまあ、こんなところを朝から見せるのは悪いし、今はこの話をやめよう」

 

「そうだね。たまには良い事言うねお兄ちゃん!」

 

「……もう反応しないからね」

 

「本当に仲が良いですよね」

 

  そうやって僕達3人はゆっくりと話しながら登校した。主な話の内容は僕と中多さんのこと。美也についても話してたけど、大体が僕の愚痴。当然突っ込まれた。

 

  そして登校していて思ったんだけど、この子はちょっとドジをする。何もない所でコケそうになる辺り、どっかの幼馴染を思い出す……

 

  雰囲気が柔らかい事と関係しているのかな。ドジっ子だから雰囲気が柔らかくなるのか、雰囲気が柔らかくて少し抜けてるからドジっ子なのか……

 

  ともかく今日も新しく話せる子が増えた。どこまで顔を広げられるかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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  よし、今日は調子が良いかも。体育のサッカーで中々良いプレーが出来た。

 

  僕のアシストでゴールが1点決まったし、それなりにしかできない僕にしては上出来だろう。

 

  さてと、ボールも片付け終わったし着替えに……

 

「先輩じゃないですか」

 

「ん? ああ、七咲か」

 

  1年はこれから別の場所で体育か。美也から聞いた話が確かなら女子は外でハンドボールだったかな。

 

「1人で何してるんです? ぼっちなんですか?」

 

「失礼だなお前。ボールの後片付けだよ。あと、ぼっち言うなら今のお前もでしょ」

 

「私はさっきまで友達といました。しかし、ひとりぼっちの先輩を見かけたので可哀想だなと思い、わざわざ来てあげたんです。感謝してください」

 

「はいはい、ありがとうございますー」

 

「はい、は1回で十分だと言われませんでした?」

 

  本当に何しに来たのこの子。僕をいじめに来たとしか思えないよ。……後輩にいじめられる先輩ってかっこ悪いなあ。

 

「そういえば、先輩はなんで一人でボールの片付けをしてたんです? 他に人はいなかったんですか?」

 

「さっきまではいたんだけどね。皆が皆誰か片付けるだろうと考えたらしくて……結果幾つかボールが残ってたからそれを僕が片付けてたんだよ」

 

「誰かに声をかけて手伝って貰えば良かったじゃないですか」

 

「確かにその通りなんだけどね。……そこまで数が少なかったし一人でいいかなって思ってね」

 

  散らばっていたわけでもないし、時間にも余裕はあったし。僕一人でも問題なかった。

 

「先輩ってお人好しなんですね」

 

「そこまででもないと思うけど……」

 

「先輩も他の人に任せようと考えなかったんですか?」

 

 確かに普通の人ならそうするんだろうけどね。ただ、それじゃ駄目。

 

「全員他人任せじゃ、社会が上手く回らないのは当然だよね? 誰かが自主的に動く必要がある。その誰かは決まってないけれど、毎回最低1人は出てくる」

 

「本当にそうですかね? 皆サボろうと考えていたら皆そのままサボると思いますけど」

 

「七咲はパレートの法則って知ってるかい?」

 

「何です? それ」

 

「働き蟻の法則の方が聞いたことあるのかな。説明としては、ある集団において一部が全体の大部分をカバーしている、みたいな感じかな」

 

  ヴィルブレド・パレートが発見したパレートの法則。長谷川英祐が発見した働き蟻の法則。どちらにも共通しているのは今言った通り。

 

  無論全てが全てこの法則に当てはまるとは言わない。けど、普通は様々な人が集まっているのに誰もがサボり魔というのは有り得ないよね。

 

  『仕事をやらなきゃいけないのに誰もやらない、でもまあ俺はやらなくていっか』と考える人しかいない集団はいずれ勝手に崩壊する。それを避けるために動く人がいないとは考えにくい。

 

「成程。確かに、誰かが働かなければならない時に誰も怒られるまで動きませんでした、というのは数えられるくらい少ないですね」

 

「だろ?ま、確かに当人にとっては貧乏くじを引いたってストレスになるかもしれないが、その人のお陰で上手く回るなら良い事さ」

 

「……そういうものですか。それでも、先輩がぼっちなのは変わりませんけど」

 

「まだそのネタ引っ張るのか」

 

  話を逸らせたと思ったんだけどな、この子は僕の事をいじるのが好きなようだ。いじる時だけいつも笑顔だもの。

 

「そして先輩がお人好しなのは確定ですね」

 

「え? なんでだ?」

 

「理屈を並べてこれは仕方ないんだ、みたいに言ってますけど、結局そうして人の為に働くのが嫌いなわけじゃないですよね?」

 

「普通なら人の為に働く事に嫌な感情は抱かないだろう」

 

「ふふっ、自分の利益になる事が何も無いとしてもですかね?」

 

「そうなると……」

 

「少なくとも出来るだけ回避しようと思いますよね。でも先輩はそうせず、その厄介事を引き受ける。これをお人好しと呼ばずに何と呼べと?」

 

「僕のこれはただの自己満足なんだけどなあ」

 

「立派な事だと思いますよ。先輩はもっとそういう所は誇って良いんじゃないですか? あまり関わってない私が言うのもなんですが」

 

「……いや、その言葉はありがたく受け取っておくよ。ありがとう、七咲。」

 

「どういたしまして」

 

  綺麗な笑顔だ。僕が今まで見てきた女子の笑顔でも確実に5指に入るね。国語が普通な僕には上手く表現することはできないけどその笑顔は……

 

  ひっそりと輝く月のように静かだけど、なぜか暖かい、そんな感じだった。

 

「それじゃ、僕は行くよ。またね七咲」

 

「はい。それでは失礼します」

 

  あんな笑顔をされるとはね。何時も悪巧みばかり考えていそうな黒い笑みばっかり見てたからすごい新鮮だったよ。

 

  取り敢えず僕も着替えに行きますかね……




区切り的にここら辺がいいかなと思ったので3日目-2に続く。

ちょっと今までのを見返していると絢辻さんの名前までちゃんと紹介していなかった。今度紹介しようかな…

次回から遅れないよう頑張りますのでこれからもよろしくお願いします。
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