24回目の投稿です!
最近は忙しく、尚且つネタも浮かばないというスランプに陥っています······
俺達が結ばれた夏祭りの日から数日が経った。
青大と尊はからかってはきたけど、祝福してくれているのがよく分かった。
柚希ちゃんは「やっぱりお似合いだね!」と、月は何とも言えない表情をしていたが「おめでとう」と一言言ってくれた。
懍のことが少し気がかりだったが、杞憂だったみたいで、笑顔で祝福してくれた。
そして、今日は懍が東京に帰る日。
七海ちゃんと尊を抜いたいつものメンバーで見送りにバス停まで来ていた。
「みなさん!どうもお世話になりました!」
懍はきちんとお辞儀をして、俺達と向き合う。
「またいつでもきんさいね!」
「まってるわよ!」
「またな。」
「はい! ありがとうございます!」
各々挨拶を済ませる。
「懍ちゃん。」
「姉さん······」
「来てくれて嬉しかった! 気を付けて帰ってね!」
柚希ちゃんは嬉しそうにそう言った。
「······うん。」
気まずいような、照れくさいような表情で懍は頷く。
「懍。また来なよ。」
懍は一瞬曇った表情を見せた気がしたがすぐに笑顔で応える。
「うん! またね!」
別れの挨拶を済ませた矢先に葵さんから提案、もとい「命令」がでた。
「何言ってるの、律人。駅まで送ってあげなさいよ。」
懍は心から嬉しそうに期待した目で俺を見る。
そんな目をされたら断るわけにはいかないな······
特に予定もなかった俺は承諾した。
バスに揺られ、市内に向かう。
木々に囲まれた峠道を上り、峠の最上まで来たところで街が見える。
庄原と比べるとものすごく都会で、車の通りも人々の数も多い。
「わざわざ、ごめんね······」
懍は申し訳なさそうに俯く。
「別にいいよ。特に予定もなかったから。」
「七海さん······怒らないかな?」
「このくらいで怒ったりしないよ。」
「······七海さん。律人兄ちゃんが思ってるより独占欲強いよ······」
懍は浴衣を見に行ったときのことを思い出す。
────夏祭りの日。懍は月と七海と共に市内に浴衣を見に来ていた。
「はー! やっぱり市内は人多いね!」
「ほんとやね。」
「そうですか? そこまで多くは······」
「懍ちゃんは東京に住んどるからね。」
「律人とも幼馴染みやったんじゃね!」
そう。私はこの人達が律人兄ちゃんに出会う前から律人兄ちゃんを知っている。
この2人は律人兄ちゃんのことが好きなのだろう。
それは見ていて分かる。
人を好きになれば、その人のことを好きな人に気付くようになるって言ってたのってほんとだったんだなぁ。と私は呑気に考えていた。
「ねぇ、懍ちゃん。懍ちゃんから見て律人ってどんな子供だったの?」
月さんがそう聞いてくる。
七海さんも、気になるようで私が話し出すのを待っている。
「律人兄ちゃんは······私にとってはいつもヒーローだったんです。テレビの中のどんなヒーローよりも強くて、かっこよくて、私が困った時はいつも手を差し伸べてくれました。」
「······今も昔も、律人は律人じゃったんやね。」
「そうやね。」
月さんと七海さんはそれぞれ何かを思い出すように物思いに耽っている。
今度は私の方から聞いてみる。
「律人兄ちゃん。こっちに来てからはどうでした?」
「そーやねぇ。ウチは律人の少し後に転校して来たから最初は知らないけど、やっぱり優しい男の子やったよ。」
「うん。誰にでも分け隔てなく優しい人やね。困ってる人は放っておけないし······そんなふうに出来る人って実際にはなかなかおらんからね。」
「そうですか。」
────やっぱり律人兄ちゃんは変わらないな。
出会った時からそうだった。優しくて、暖かくて、大人で。
放っておけばいいのに、私を家までおぶってくれた。
でも、ほんとは寂しくて泣くこともあるし、辛さを見せる時もある。
それを知ってるのはきっと私だけだ。
そんな風に考えると、少しだけこの2人より優位に立っている気がして嬉しくなる。
私の大好きな人。私の初恋の人。
でも、やっぱり律人兄ちゃんは七海さんの事が好きなんだろう。
律人兄ちゃんは七海さんのことを話す時、すごく優しい顔になる。
隠しているつもりなんだろうけど、私にはすぐわかった。
この2人もそうだ。
律人兄ちゃんのことを話す時、少しだけ頬を染め、優しく話す。
大切な想い出を大事に包み込むように。
私もそんな顔をしているんだろうな。
そんな事を考えていると目的の店に辿り着く。
「やっぱり、市内は品揃えがええねぇ!」
「あ、これ可愛い。」
2人はすでに浴衣を物色しており、私も好みの浴衣を探す。
色とりどりの布に染色が施されている。
鮮やかなもの、落ち着いたもの、シンプルなもの。
やはり、市内だけあって品揃えはいい。
私は水玉模様の浴衣を手に取る。
そういえば昔、律人兄ちゃんが東京にいる頃。
私のお気に入り水玉のワンピースを可愛いって言ってくれたっけ······
また可愛いねって頭撫でてくれるかな······
そんな単純な考えで私は浴衣を選んだ。
「懍ちゃーん。決まった?」
月さんが私の方へ歩いてくる。
「はい! これにします。」
「可愛い!」
「ありがとうございます。月さんは?」
「ウチはこれかな······」
月さんは水色を基調とした浴衣で純白の牡丹が咲いている。
帯は黒色を選んだみたいだ。
月さんの瞳と同じ色の浴衣。
律人兄ちゃんと似ているけど、少しだけ違う色。
こんなところにも羨ましいと思ってしまう自分に少しだけ呆れて、少しだけ切なくなった。
それを悟られないようにいつも通り振る舞う。
「わー! すごく綺麗ですね。月さんにぴったりです!」
「ありがと! そういえば、七海ちゃんは?」
私たちは辺りを見回すと、ちょうど七海さんがこちらにきた。
「2人とも、もう決まった?」
「うん!七海ちゃんは?」
「これにしたんやけど······」
七海さんが選んだのは黒の浴衣で百合があしらわれたものだった。
「ええやん! じゃあ会計済ませよ!」
「そうやね!」
私たちは会計を済ませ、近くの喫茶店でお昼を食べることにした。
「懍ちゃんは律人のどこを好きになったん?」
オムライスを食べている私にそう聞いてくる月さん。
不意をつかれ詰まってしまい、水で流し込む。
七海さんが心配して背中を摩ってくれた。
「ゴホッ······急になんですか?」
「え? 違ったん? てっきり懍ちゃんも律人のこと好きじゃと思ォたんやけど。」
あれだけくっついとったら流石に気付くわーと月さんは眉を下げて笑う。
「好きですけど······」
「じゃあこの3人は恋敵ってことじゃね。」
「随分余裕なんですね。」
「ああ、違うんよ。ウチは律人が誰を選んでも、あいつが幸せになれればええと思ォとるからね。例えそれがウチじゃなくても。正直、幼馴染みとしてこの先もつるんでいければ、それでええと思ォてきたんよね。その方がずっと側におれると思うんよ。」
「······そうですか。」
そんなわけない。
ほんとに好きなら自分を見て欲しいと思うはずだ。
好きな人が幸せならそれでいいなんて綺麗事だ。
とはいえ、後半の部分には共感してしまう。
恋愛としての望みがないなら、このまま妹のような存在として······
そう思う時もある。
「七海さんもそうなんですか?」
「私も······」
そう言って七海さんは口篭る。
しかし、彼女はそれを否定し話し出す。
「ううん、私は月ちゃんとは逆かな。律くんが他の誰かの隣にいるなんて考えたくないし、そんなことは望めない。それが律くんの幸せだとしても、きっと笑って祝福なんて出来っこないんよ。」
────私は律くんの唯一の存在になりたいんよ。
そう毅然として言い放った七海さんを見て、不覚にもかっこいいと思ってしまった。
律人兄ちゃんに聞いてた話では七海さんは少し引っ込み思案なところがあると言っていたけど、そんなことを感じさせない程、堂々としていた。
きっと、いろんな葛藤や不安と戦いながら律人兄ちゃんに好きになってもらうためにこんなふうに成長したのだろう。
月さんも口には出さないけどそれだけ努力している七海さんだからこそ、自らの身を引くことを匂わせるようなことを言っていたんだろうな。
あーあ、やっぱり今は適いっこなさそうだなぁ。
ぼんやりとそんなふうに考え、私たちは夏祭りに向けて庄原に戻ったのだった。
閲覧ありがとうございます!
二次創作はじめて以来のスランプです······
ネタが浮かばなすぎる(´・ω・`)