キーンコーンカーンコーン。
午前中の最後の授業の終業のチャイムがなり、昼休みの時間となった。
今日は委員決めなどのホームルームやその他諸々のプリント配布とそれについての説明などで午前中が終わった。
柚希は予想通り、こっちの学校にもすぐに馴染み、今は七海ちゃんや月と談笑しながらお弁当を開いていた。
「おーい、律人飯食おうや。」
「腹へったわー!」
青大と尊が俺の席にやってくる。
「そんな腹減るほど、午前中の授業ハードじゃなかったじゃん。勉強もしてないしさ。」
「あほう、俺は座って話聞いとるだけが1番腹が空くんじゃ!」
「田植えしたあとより?」
「うっ、いや、さすがに田植えしたあとはなんか食わな死んでしまうわ...」
俺達がいつものやりとりをしていると、青大の視線が七海ちゃんを向いていた。
それに気づいた俺と柚希がアイコンタクトをとる。
そして...
「ねー!青大君たちも私たちと一緒に食べようよ!」
「えっ!なんでじゃ!いきなり!」
「いいじゃん青大、誘ってくれたんだから一緒に食べようよ。」
「え...いや、でも...神咲は迷惑じゃないんか?」
「え?私?全然大丈夫だよ!一緒に食べよう?」
そういって手招きしている。
「青大!そしたらお言葉に甘えて、一緒に食べようや!」
こうして、俺、青大、尊に加えて、七海ちゃん、柚希、月で弁当を食べることになった。
「なー律人!律人はなんの部活入るか決めた?」
「俺は、高校からは正式に野球部に入ろうと思ってるよ。月は?」
「おー!ついに入る気になったんか!ウチはもちろん、テニスじゃね!あ!柚希ちゃんは決めた?」
「私はまだ決めてないかな?」
「そしたら、テニス部に入りんさいよ!」
「うーん...考えてみるね!」
「青大はどうするんじゃ?」
「俺は...調理部...かな?」
あー、七海ちゃんが、中学の時、調理部だったからか。
「青大、俺達と一緒に野球やらない?」
俺は青大を誘ってみる。
「無理じゃて、俺が野球下手くそなの知っとるじゃろ...」
「青大は野球下手じゃもんな!広島県民として考えられんわ!」
「う、うるさいわ!」
やっぱだめか...たしかに、青大は野球はお世辞にも上手いとは言えないからな...
「あっそうだ!七海ちゃんは何に入るの?」
「私は野球部のマネージャーすることになったんよ。お兄ちゃんが強引じゃから...」
七海ちゃんは苦笑いしながら話す。
「元々は調理部志望だったんだけど。」
うわっ青大あからさまに落ち込んでるよ...
「俺が、成海さんに言ってみようか?そんで調理部入りなよ。」
「えっ...大丈夫だよ!それに、今はマネージャー頑張ろうっておもーとるんよ!」
「ほんとにいいの?七海ちゃん、中学の時も調理部だったのに。それに、成海さんは俺を野球部に入れたいから七海ちゃんにマネージャーやらせるような気がするし...」
「大丈夫だよ!もうマネージャー頑張るって決めたんやから!」
七海ちゃんは立ち上がってまで俺にそう言ってきた。
他のみんなもすこし驚いている。
「そ、そっか。七海ちゃんがいいならそれでいいんだけど。」
「あ、なんかごめん。」
沈黙を月が破る。
「あー...まぁマネージャー頑張ってな!律人もしっかりやるんよ!」
「俺も一応野球部なんじゃけど...」
「まー...あんたもテキトーに頑張んなさい。」
「テキトーってなんじゃ!もっと励ませや!」
2人のやりとりに場が和み、昼休みが終了した。
午後からは普通に授業が行われた。
といっても、ほとんどが教科についての説明や1年の流れの話で終わっていた。
(七海ちゃんけっこうマネージャーやる気だったな...青大は落ち込んでたけど、もう仕方ないとしか言えないな。あ、というか、入部届ださなきゃじゃん。)
放課後、入部届けを出しに職員室に向かう。
すると、途中で成海さんに会った。
「おー!律!聞いたぞ!野球部はいってくれるんじゃろ?」
「成海さん!はい、てか、七海ちゃん使って俺を入れようとしたでしょ!」
「ん?七海にはなんにもゆーとらんぞ?マネージャーにはなってもらったけど」
「とぼけないでくださいよ!...わざわざ七海ちゃん巻き込まなくても入ろうとは思ってましたよ。」
「いや、話が見えんのじゃけど...?」
あれ?ほんとに違うのか?
「え?じゃあほんとに七海ちゃんには何も行ってないんですか?」
「じゃけぇ、ゆーとらんて!七海になんて言われたんじゃ?」
「無理やりマネージャーやらされて、心細いから入ってほしい的なこと言われて、俺と同じ部活に入りたいって言われたんで、てっきり成海さんが言わせたのかと...」
成海さんは話を聞くなりため息をつく。
「律はほんとに鈍感じゃな...それよりも七海にしてはなかなか積極的やないか。」
「?たしかに成海さんが言わせたんじゃないなら、そこまで俺に野球やってほしかったんですかね?」
やれやれというジェスチャーをしながら成海さんは歩いていく。
「一緒の部活に入りたいゆーたんは本心ってこと分かったなら、考えられる理由は1つじゃろ。入部届け、しっかり出しとけよ。鈍感律。」
一緒の部活に入りたい理由...マネージャーを楽しくやれそうだから...友達だから?
うん、きっとそうだ。友達だからだ。
俺は納得し担当の先生に入部届けを提出し、そのまま帰ろうと下駄箱に向かう。
「いたー!律人くーん!」
柚希が走ってきた。
「どうしたの?」
「放課後、時間ある?」
「んー...うん。あるよ。」
「良かったぁ!だったら青大くんと七海ちゃんと銭湯に行かない?七海ちゃんはもう誘ってて、あとは青大くんと律人くん誘おうと思って!」
「今日は部活もないし、大丈夫だよ!」
「じゃあ校門のところに七海ちゃん待たせてるから先に行って合流してて!」
そういって、柚希は教室の方へ走っていった。
じゃあ、校門のとこまで行くか。
銭湯に到着し、男湯と女湯に分かれる。
もちろん俺と青大は男湯だ。
「律人と銭湯なんか久しぶりじゃな。」
「そうだね。わざわざ近くの銭湯に入りにくることないから、修学旅行ぶりくらい?」
俺達は服を脱ぎ、身体を流し湯船につかる。
「久しぶりくると、銭湯もええもんじゃな。」
「うん...そういえば、七海ちゃんのこと、残念だったな。同じ部活になれなくて」
「ほんとじゃ...神咲先輩のせいじゃ...」
「まぁ、あの人も悪気があった訳じゃないし許してあげなよ。」
「はー俺も律人くらい、野球できたらはいるんじゃけど...」
「練習嫌いの青大じゃ出来ても、すぐやめちゃうでしょ。あ、七海ちゃんのためなら頑張るって?」
「なっ///からかうな!」
「ごめんごめん、じゃ、俺はもう上がるけど、青人は?」
「俺はもう少し浸かってから出るわ。」
「じゃあ先に上がってるよ。」
「おぉ。」
そういって、俺は先にあがり、扇風機にあたる。
ふぅー涼しい。風呂上がりの銭湯は暑いからなー。
扇風機にむかってあー。と声を出してみる。
すると後ろからクスクスと笑い声が聞こえる。
振り返ると、七海ちゃんが立っていた。
「律くんもそーいうことするんやね。」
「うわっ、見られてた...七海ちゃんもやってみなよ。俺だけ見られて不公平だ。」
七海ちゃんも隣に座り、あー。と、声を出す。
「ほんとにやるんだ...」
「律くんがやれってゆうたやん!でも、人がやるのみたらやりたくなるんよね。」
「なんとなく、わかるかも...あ、そういえば青大が残念がってたよ。七海ちゃんと調理部入れなくて。」
「そーなんや...」
「マネージャーなんて、ほかの人に頼んじゃえば良かったのに」
「ねー、律くん。」
「ん?どした?」
「私ね...好きな人、ちゃんとおるから...だから、青大くんのこと推さんでええよ...」
え?好きな人いんの?しかも、その言い方だと青大はない。
「あ、好きな人いるんだ、てか、気づいてたんだ...青大を推してること」
「あんだけおすすめされたら分かるよー」
「そっか...」
青大には言えないな...というか、好きな人って誰だろ。
青大なら、まだ応援出来るとしても、他のやつと七海ちゃんが付き合うのは、なんか...嫌だな...
「...聞かないの?誰が好きか。」
「うん...聞かないよ。」
「そっか...」
その後、青大と柚希も銭湯からあがり家へと帰ることになった。
家に着いて、七海ちゃんの言葉を思い出す。
好きな人...か。
そりゃいるよな、もう高校生だし。
青大も残念だな。
といっても、あいつは最近柚希と仲良くやってるみたいだし、柚希も青大のこと気に入ってるみたいだから大丈夫かもな...
なんだろ、この気持ち...なんかモヤモヤする。
そんなことを考えながら、眠りについた。
今日は七海ちゃんの誕生日ですね!
七海ちゃんおめでとう!
そして、みなさんメリークリスマス!