帰りたい、でもゾロが方向音痴だから帰れない…。
悶々としながら喧噪の起きている方へ歩いて行けば、今にも後ろから切り捨てられそうな女性を発見。
ゾロが助けに行った。剣の腹を利用して投げ飛ばす。
「ゾロォ!!!!」
聞き覚えのある声にそちらを見れば、兄in鉄の檻。
…何やってんの。
「オイ、今ゾロって言わなかったか?」
「間違いねェ、海賊狩りだ…。」
ゾロは有名だったらしい。みんなが気をとられている。
今の内にと私は急いで兄の檻に向かった。
うーん、壊そうと思えば壊せるけど、こっちに気付かれたら不味いよね…。
「レ「(静かに!!)」」
「(もっとこっち寄って。)」
ナイフで縄を切る。
バラバラの人が切られたのを横目で見ながら、鍵穴を確認。
歯が二つしかない。これなら開けられる。でも、今はそれどころじゃない。
戦闘の方は、案の定バラバラの人の体がくっ付いた。言っといて良かった。
ってか服もくっつくってどういうこと!!?
「あいつバケモンかっ!!」
「それ、お兄ちゃんが言っちゃうの…?」
しかし…なんというか、顔がうるさいなあの人間。あの鼻どうなっているんだろう、激しい動きをすると自重で付け根が痛んだりしないのかな。歳とったらたれてきて口に当たりそう。
剣を持った手が縦横無尽に飛んでいる。
今のところ弾いているけど、これは歩が悪いなぁ…。
あ、あの大砲良さげ。
「お兄ちゃん、あれって弾入ってる?」
「入ってるぞ。」
よし。マッチは持ってる。
「私が合図したら、ゾロを呼んでね。」
私は大砲を持ち、ひっくり返した。こんなの猛獣に比べたらそこまで重くない。
大砲の影に隠れて、兄にGOサインを送った。
「ゾロォーーーーー!!!」
「うわっ!!?大砲が!!!!」
「いつの間に!!?」
呼びかけに応じてゾロがこちらに転がり込んできたのを確認し、点火する。
ちゃっかり例の女性が他の海賊を盾にしているのが見えた。
「あれにはまだ、特製バギー玉が入ったままだぞ!!!よせ!!!」
え、どんだけ好きなの自分の鼻。
私達は爆発に乗じて逃げ出した。
「この辺で良いか…。」
さっきの場所から大分離れたので一旦止まる。二人でとはいえ、檻を持ったまま移動するのはかさ張るし面倒だ。
私は細い金属を鍵穴に差し込んだ。
「そうだレネー!さっき航海士に誘おうと思ってる海賊嫌いな奴に会ってな、ちゃんとピースメインだって言ったけど分からなかったぞ?」
「え、浸透してないのかなぁ…。てか海賊嫌いな人にどうして海賊だって言っちゃったの!?しかも誘ったの!!??」
「だって俺海賊だし。」
まぁ、お兄ちゃんってそーいう人だよね…よし、開いた。
「ありがとな!!…つーかゾロ、お前ソレ大丈夫か?」
兄の言葉に振り返れば、ゾロは太ももから血を流していた。
服が黒くて目立たないし、兄のことで手一杯だったとはいえ気付かず走らせてしまった。
私は慌てて駆け寄った。
「ゾロ、ごめん気付かなくて!!!そのケガいつ負ったの!!?」
「さっきそっちに飛び込んだ時にやられた。…大したことねェよ。」
あの時か!!飛んでる剣を無視してこっちに飛び込んだんだ、私の所為だ…。
「ごめん!!!」
「お前の所為じゃねェよ。」
「で、でも…「ワン!!」えっ!?」
え、何でこんな所に犬が…。もしかしてこの辺もう町の人間がいるの??
一度吠えたきり動かない犬。よく見ればところどころ傷を負っている。
とりあえず逃げよう。
「どこ行くんだよっ!!?」
「この犬は飼い犬っぽい=この辺人間いそう、OK?」
「いやOKじゃねぇし!!」
「ゾロは絶対お兄ちゃんととはぐれないでね。」
返事を聞く前に屋根の上に逃げた。人間いなさそうなら消毒液とか色々取って来よう。
「あんた達、こんな道端で何やってんの。バギーに見つかっちゃうわよ?」
危機一発。さっきの女性だ。私は屋根の上で身を伏せた。
「よォ航海士。お前こそ何でここに?」
「誰が航海士よ!!!…一応お礼をしにきただけ、必要なかったみたいだけどね。」
そう言って女性は鍵を投げ捨てた。あの人が航海士になるのはもう確定なのだろうか…?
どんな人なんだろう。
「盗ってきてくれたのか。お前やっぱ良いヤツだな!!」
女性は嘆息した。普通良い人と言われてため息はつかないと思うんだけど…。
「アンタね…、私が言えた話じゃないけど、騙された相手に良い奴って言う??」
え、お兄ちゃんのこと騙したの?まぁお兄ちゃん騙され易そうだけど。
三人はそのままそこで会話を始めた。ここじゃ見つかるって言ってたのあの人だよね…?
話を聞く限り、あの女性ーー航海士候補の人が兄が檻に入っていた原因らしい。既に好感度がマイナスだ。
しかも話し方がめっちゃキツい、暫く話しかけるのは無理だろうな…。
あ、犬が鍵を飲み込んだ。…あれ喉につっかかったりしないのかしら。
もう一人、服装が派手なおじさんが近づいてきている。
そろそろ行こ。
道具を色々と盗んでいたら、さっき兄がいた辺りから煙が上がっているのが見えた。
町民の暴動?じゃないか。お兄ちゃん達と鼻の人の海賊団が遭遇したのかな。
…ものすごく行くの面倒臭い。
でも行かないとなぁ。行かなきゃ駄目かなぁ。
もうケガとか大丈夫だよきっと、ゾロ普通に歩いてたし。例の大砲もお兄ちゃんなら跳ね返せるし。
…そうだ!!!今殆どの船員ってあっちにいるだろうから、何か盗って来よう!!!それでチャラ!!!
そして、再び町の人間にお礼を言われて旅立つお兄ちゃんでした。