お屋敷潜入なう。
兄は鼻の人と行動を共にしていたから、屋敷には行ったはず。
そう思って見に行ったところ、あまりにも人間がおらず潜入が簡単だったので入ることにした。
てへぺろ(真顔)
さっきから使用人すら見かけない。
…と思ったら、血だまりに執事服着た人間が。
「クラハドール?」
扉を開けて、オジョーサマっぽい人間が入って来た。
うわー最悪、これ完璧私の犯行じゃん。
「メリーーッ!!!!」
カヤさんと思われる人間は、駆け寄って執事を抱き起こした。
「あなたが殺したの!!!?この人殺し!!!!!」
キッと私を睨みつけたカヤさんに、なんと言おうか悩む。
陰口じゃない言葉の暴力は久しぶりだから、どうしたら良いか分からない。
下手に主張しても激昂されるだけだろうし…。
均衡を破ったのは、執事の吐血だった。
「お、お嬢様…ご無事で……。」
「あの人にやられたんでしょ!?メリー…」
息も絶え絶えな執事に、カヤさんの方は今にも泣きそうだ。
「あの、人…?クラハドールがまだ此処に!!?」
「クラハドールですって!?」
いや、誰だよ。
「えぇ……アイツは、海賊です!!」
「じゃ、じゃぁ…ウソップさんが言ってたことは…私、彼になんてことを…。」
彼女はハッと顔を上げた。
「…あなたは何者なの?」
一般市民と言おうとして、自分が侵入中だと気付く。
「えっと、その、強いて言えばそのクララボールさんとは全く関係ない者です。」
「あなたも海賊!?」
「まぁ、一応…。それよりその人、はやく治療しないと死にますよ?」
「っっ、誰か!!!」
そこで人を呼ぼうとするあたり、オジョーサマなんだろうなぁ…。
「無駄です…屋敷の者は全員昨日から休暇をとっています。「じゃ、じゃぁ…」取り乱してはいけません!!」
執事は無理矢理起き上がると、壁へ這って行って寄りかかった。
因みに私は頑張って気配を消しています。いたたまれない。
「まだ事件は起こっていません…あなたが今すべき事をお考えください…。」
医療キット持って来よう。確かそこそこ良いのが奥の部屋にあった。
私はこっそりと部屋を抜け出した。
部屋に戻る時、ちょうどカヤさんが走っていくのが見えた。
すべき事をしに行ったんだろう。
「まだ生きてます??」
声を掛けると、彼はゆるりと顔を上げた。
私は彼に信用してもらう意味も込めてフードを脱ぐ。
「…あなた、女性だったんですか。クラハドールとは関係ないと仰っていましたが…。」
私の持っている道具をみて、彼は言葉を詰まらせた。
「あなたは海賊でしょう?あなたに治療を受けるくらいなら、私は死を選びます。」
何この人、変な頭してるくせにカッコいい…。
よし、何がなんでも生き延びさせてやる。
カヤさんがどこぞへ去ってから大分経過した。
まぁ十中八九、兄と他の海賊団がいる所だけど。
聞けばまともな船はこの屋敷にしかないそうで、兄はここ戻ってくるだろうと思って私は勝手に居座っている。
ぶっちゃけ探すの面倒。動きたくないでござる。
私は治療を終えてからの暇つぶしとして、船に自分の部屋を勝手に作るなら何処かについて考えていた。
……用具入れ、は埃っぽそうだからヤダなぁ…。
「あの、お仲間の元へ行かないので??」
沈黙に絶えかねたのか、執事が声を掛けて来た。
「何処にいるか今一把握していないもので。」
再びの沈黙。
終わったぁああ会話終わったよ!!でも私勢いでこの人の治療しただけで、本来なら会話できたのがキセキだよ!!!
「海賊とおっしゃっていましたが、麦わら帽子の青年とはご兄妹ですか??」
「そうですけど、え、ご存知で??」
一発で分かるほどは似てないと思うんだけれど…流石執事。
「えぇ。お兄さんはウソップさんと一緒においでになりましたよ。」
「うs…あぁ、セラピーの人。」
「セラピー…まぁ、あながち間違いではありませんが。彼はお嬢様と自分と重ねてしまって放っておけなかったんでしょうね。」
「自分と重ねる??」
「はい…」
聞かされたのは彼の過去話。
彼の嘘は、父を乗せた海賊船が村に来て欲しいという思いの現れだとか。
父が居なくなった直後に、母を失うという心境は私にはよく分からない。
しかし、兄と引き離された時を思い出して少し心が痛んだ。
あの事がなかったらって今でも思うけれど、あれがなかったら私は兄について行くことを考えもしなかっただろうからなぁ…。重荷ってレベルじゃあなくなるもの。
そういえば、なんだか引っかかるんだよな…。
鼻…海賊…、うーん。
「その、父親とやらが今何処にいるのかは…。」
「さぁ…死んだという話は聞きませんが、生きているかというと…。」
「…そうですか。」
「貴女は、どうして海へ出たんですか??」
「うーん、兄に依存してってのもあるんですが…」
彼の求めている答えはそういうことではないだろう。
「意趣返しですかね。」
「意趣返し??」
「えぇ…私の祖父はか、海軍で。兄が海賊になりたいというから、せめて私だけでもと思ったのか、色々と…。…あ、私なんかの身の上話を聞いても面白くもなんともありませんよね…すみません。」
「いえ、そんなことありませんよ。」
再び会話が途切れる。今、私は切実にコミュ力が欲しい。