終わりの時は、未だ知らず。   作:氷桜

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<10:だから二人は。>

地方大会も終わった、7月の頭。

打っていた相手が普通以上に強かったからか。

或いは、運が良かっただけなのか。

俺は、個人戦2位という記録を残して全国への切符を手にしていた。

 

そして、怜さんと竜華さん。

いや、正確に言うなら千里山高校としての団体戦。

彼女たちも当然のように優勝、全国へ出場を決めて。

それを経ての、合宿中。

 

「ほい、京。 この場合は何を切る?」

 

「そうですね……ぶっちゃけ俺ならベタオリしますのでこれを。」

 

「んー……まあ間違ってるとも言えんからなぁ。」

 

顧問の愛宕先生。

彼女の娘さん達も団体として来たらしい。

つまり、当たる可能性があるけれど。

それはお互い様、何方も死力を尽くして戦うだけだ、と笑っていた。

 

「ま、攻める場面なら?」

 

「萬子系が臭い……かな?」

 

「ん、正解。 じゃ、先に休んどき。」

 

暫くの間打ちっぱなしだったというのもあって。

大分腕と、頭に疲労が溜まっている。

食事時というのもあって。

離席する旨を伝えて、対局場から一度出た。

 

たん、たん、たん。

やや古ぼけた、学校が保有する合宿場。

とは言っても、運動部や全国に出場する部活など。

地味に利用する部活は多いと聞く。

だから、なのか。

メンテナンス自体はしっかりとされていて、過ごしやすい。

 

「(――――あれ?)」

 

視線の先。

曲がり角の先、そう言えば見なかった姿が2つ。

 

怜さんと竜華さん。

怜さんの体調管理に関しては、医師から指示が出ている。

それを踏まえた上で、現団体メンバーが料理とかを作る手筈だったはず。

無論、俺も手伝えるところは手伝っているのだけど。

 

でも。

見えている二人は、何処か。

普段の二人ではなかった。

 

「――――。」

 

「――――。」

 

何かを話しているのはわかる。

いつもの、竜華さんの膝枕。

其処に怜さんが頭をもたれ掛かるようにする格好。

それで、何かを相談しているような。

――――或いは、争っているような。

 

「………………よ。」

 

「………………も。」

 

静かな筈なのに。

ただ、普段通りに見えるのに。

何故、違って見えるのか。

ちらり、と。

この間の、雨の日の出来事を思い出して。

頭を振った。

 

思い上がりだ。

ただ、確認したかっただけだ。

俺が、あの二人に好意を持たれているなんて。

 

――――何故、確認しようと思ったのか。

 

それに、気付いてしまえば。

それを、理解してしまえば。

多分、俺達の関係は完全に変わってしまう。

だから。

今は。

そう、今だけは。

気付かなかったフリをして。

その場を、離れた。

 

今、逃げても。

必ず、結果は追いかけてくる。

それを理解していながらも。

……居心地のいい関係を、崩したくはなかったのだ。

 




お久しぶりでございます。
今年もよろしくお願いします。
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