かたん、と足元が揺れる。
大型バス、ゆっくりと止まる中継地点。
全国大会に向けて、乗り込む初日。
実際の大会まではまだ数日を残してはいるけれど。
大凡何日前までには乗り込む、というのはある程度決まっていたものらしい。
「ふぃー……。」
軽く身体を伸ばす。
長時間の走行で、身体から軽い骨の音が聞こえた。
携帯を見れば、学校全体としてみても僅かな同性からの応援のメール。
まだ大会が始まるには時間が掛かるというのに。
そんな想いで、顔に苦笑が走った。
「きょー。」
「京太郎くん。」
「あ、お二人共。」
そんな光景を見ていたのか。
同じバスの中から二人が並んで降りてくる。
いつもの二人。
よく見る光景。
だけど、普段の大阪でない場所で見る二人は何処か新鮮で。
「昼食も此処でしたよね。」
「私は食えんけどなー。」
「うち達が作ったんがあるやろ……。」
はぁ、と小さく溜息を漏らしながら。
竜華さんは怜さんが漏らす文句に文句で返す。
仲がいい相手だからこそ言える軽口に近いもの。
見ている此方も微笑ましくなってくる。
「たまには何か食いたいんやけど……。」
「まぁ、一緒に食堂行きますか?」
「ああうん、うち達もそう誘おうと思ってたんや。」
奇遇ですね、と返すべきなのか。
普段、学校での付き合いと言うか会話をする機会はそう多くない。
部活動で、が殆ど。
時折、長時間の休み時間に会った時に2言3言話す程度。
そう考えれば、こうして部活動での遠征や合宿での会話時間は貴重にも思える。
そう思っているのは、俺だけなのかもしれないが。
「一緒、ですか。」
「一緒、やね。」
「せやなー。」
そう呟いて、三人で顔を見合わせて笑った。
実際のところ、こうした休憩地点で食べられる料理は名物になるか。
或いは汎用性の高い食堂のようになるか、のどちらかだとは思う。
この場所では後者、何処にでも有るラーメンとかそういう類。
俺は特に考えること無く丼モノを。
怜さんは持ってきていた弁当を。
竜華さんは魚の定食を。
それぞれ選んで、時間を待って取りに行き。
各々が選んだ食事を取り始める。
「んー、竜華のその魚美味しそうやなー。」
「何、食べたいん?」
「そら食べてみたいけども、危ないやろ?」
「単純に焼いた魚やし、まあ夕食から塩分抜けば平気やとは思うけど。」
「んー、じゃあ一口ちょーだい。」
「全く、ほら。」
目の前で広げられる一口だけの分け合い。
小学校からの付き合いだという二人には、慣れっこにもなっているのだろう。
そんな光景を眺めながら、食事を進めていると。
「何? 京太郎くんも食べたい?」
「え?」
「ほら、ずっと見てたやん。」
「きょー、遠慮なんかせんでもええんやでー。」
いや、その。
何かを言い出す前に一口分を差し出される。
色々と、どうなのか。
ただ――――その。
断るには。
断るのは、勿体無いとも思ってしまって。
「……頂きます。」
差し出された箸を、口で捕えた。
……味を感じるどころでは、無かったけれど。
甘い気は、した。
宥姉でも書きたい……阿知賀面子好き……。