終わりの時は、未だ知らず。   作:氷桜

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<12.想いとは。>

かたん、と足元が揺れる。

大型バス、ゆっくりと止まる中継地点。

全国大会に向けて、乗り込む初日。

実際の大会まではまだ数日を残してはいるけれど。

大凡何日前までには乗り込む、というのはある程度決まっていたものらしい。

 

「ふぃー……。」

 

軽く身体を伸ばす。

長時間の走行で、身体から軽い骨の音が聞こえた。

携帯を見れば、学校全体としてみても僅かな同性からの応援のメール。

まだ大会が始まるには時間が掛かるというのに。

そんな想いで、顔に苦笑が走った。

 

「きょー。」

 

「京太郎くん。」

 

「あ、お二人共。」

 

そんな光景を見ていたのか。

同じバスの中から二人が並んで降りてくる。

いつもの二人。

よく見る光景。

だけど、普段の大阪でない場所で見る二人は何処か新鮮で。

 

「昼食も此処でしたよね。」

 

「私は食えんけどなー。」

 

「うち達が作ったんがあるやろ……。」

 

はぁ、と小さく溜息を漏らしながら。

竜華さんは怜さんが漏らす文句に文句で返す。

仲がいい相手だからこそ言える軽口に近いもの。

見ている此方も微笑ましくなってくる。

 

「たまには何か食いたいんやけど……。」

 

「まぁ、一緒に食堂行きますか?」

 

「ああうん、うち達もそう誘おうと思ってたんや。」

 

奇遇ですね、と返すべきなのか。

普段、学校での付き合いと言うか会話をする機会はそう多くない。

部活動で、が殆ど。

時折、長時間の休み時間に会った時に2言3言話す程度。

そう考えれば、こうして部活動での遠征や合宿での会話時間は貴重にも思える。

そう思っているのは、俺だけなのかもしれないが。

 

「一緒、ですか。」

 

「一緒、やね。」

 

「せやなー。」

 

そう呟いて、三人で顔を見合わせて笑った。

 

実際のところ、こうした休憩地点で食べられる料理は名物になるか。

或いは汎用性の高い食堂のようになるか、のどちらかだとは思う。

この場所では後者、何処にでも有るラーメンとかそういう類。

俺は特に考えること無く丼モノを。

怜さんは持ってきていた弁当を。

竜華さんは魚の定食を。

それぞれ選んで、時間を待って取りに行き。

各々が選んだ食事を取り始める。

 

「んー、竜華のその魚美味しそうやなー。」

 

「何、食べたいん?」

 

「そら食べてみたいけども、危ないやろ?」

 

「単純に焼いた魚やし、まあ夕食から塩分抜けば平気やとは思うけど。」

 

「んー、じゃあ一口ちょーだい。」

 

「全く、ほら。」

 

目の前で広げられる一口だけの分け合い。

小学校からの付き合いだという二人には、慣れっこにもなっているのだろう。

そんな光景を眺めながら、食事を進めていると。

 

「何? 京太郎くんも食べたい?」

 

「え?」

 

「ほら、ずっと見てたやん。」

 

「きょー、遠慮なんかせんでもええんやでー。」

 

いや、その。

何かを言い出す前に一口分を差し出される。

色々と、どうなのか。

ただ――――その。

断るには。

断るのは、勿体無いとも思ってしまって。

 

「……頂きます。」

 

差し出された箸を、口で捕えた。

……味を感じるどころでは、無かったけれど。

甘い気は、した。




宥姉でも書きたい……阿知賀面子好き……。
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