終わりの時は、未だ知らず。   作:氷桜

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<5:京太郎>

彼女――――怜さんが目覚めてから、少しばかり経った。

俺が卒業したのが今月の頭。

転校とほぼ同時期で、竜華さんと出会ったのもその頃だ。

……つまり、もうすぐ高校が始まる。

 

「なー、京ー。」

 

「どうかしました?」

 

なのにも関わらず、俺は毎日のように病室にやってくるようになっていた。

準備はとうに済んでいる。

だから、だろうか。

此処に来れば、二人に会える。

そんな打算が無かったとは、思えずに。

 

「そういやな、聞いてなかったんやけど。」

 

「ええ。」

 

「今幾つなん?」

 

「あ、ウチもそれ気になってた。」

 

「え、15になったばかりですよ。 早生まれなんで。」

 

パイプ椅子、ではなく。

それなりにしっかりとした椅子から起き上がって、そう返す。

少しばかり高いであろう、個室を借りている怜さん。

その事実から考えれば、相応に金持ちの家なんだろうとは推測できる。

竜華さんも、着ている私服は金が掛かっていそうなモノ。

出会えたことは――――幸運というべきなのか。

或いは、不幸の幸いと言ってしまうべきなのか。

 

「おろ、一つ下かと思ってたんやけど。」

 

「ウチらが次で高3やからなぁ。」

 

それはいいんですが。

怜さん、なんで膝枕されてるんでしょうか。

起き上がって漸く気付いたことだったけど。

聞いてしまって良いのやら、悪いのやら。

 

「へぇ……因みに、何方の高校なんですか?」

 

「千里山、って分かる?」

 

「あー、わかりますよ。」

 

何しろ、俺が通う高校と同じなのだから。

 

「……実は、俺も其処なんです。」

 

「……え、テストケースの一人?」

 

「受かると思ってなかったんですけどね……。」

 

何しろ、受かった時は三度程見返した程だ。

千里山女子、本来は女子校として名高い高校。

だが、近年の統廃合を受け。

年に10人程度の男子の受け入れを決定。

ただ、模範とするために成績の基準は相当高く。

文字通り、運が良かったからとしか考えられない。

 

「後輩、かぁ。」

 

「せやなぁ。 それも男子の。」

 

「中々考えにくいですよね……女子校だったんですもん。」

 

「と言うより、今実感してる感じやねぇ。」

 

それもそうだ、と苦笑して。

相も変わらず寝転んでいる二人を見る。

嫌がっている、というわけではなく。

むしろ親しみが有るからこその、膝を貸している感じだろうか。

 

「しかし、女の子同士でも膝枕とかするんですね……。」

 

「ウチらは例外よ?」

 

「竜華の太腿がちょうどええからなー。」

 

「は、はぁ……。」

 

良く分からないけど、確かに柔らかそうでは有る。

丁度良い太さというか、肉感というか。

あんまりじっと見るのも悪いので、目を逸らしたけど。

 

「……あんま見んといてな?」

 

当然、気付かれていたらしい。

頭を下げれば、其処までじゃないと逆に遠慮された。

 

「京もやってみれば分かるって。」

 

「いやいやいやいや。 そういう訳にも行きませんよ!?」

 

「怜、恥ずかしいて。」

 

ただ、若干顔を赤くするだけでそれ以上は言わない竜華さん。

……恥ずかしいから、だけ?

ふと、そんな疑問が過ぎって。

考えすぎだ――――と。

自分で自分を戒めながら。

少しばかりの、平穏を楽しんだ。

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