四月が始まって、新しい年度が始まる。
クラス替えとか、そういったものはこの学校では無い。
だから、また出会うのは去年と同じ顔。
良く言えば、馴染み深い。
悪く言えば、いつもの顔。
だから、何だというわけではないけれど。
ウチは、何となく溜息を吐いてしまう。
怜が、未だ戻ってこない。
新入生、京太郎くんが入ってきた。
自分の周囲の変化といえば、そんなもの。
前者は、幼い頃からの親友で。
後者は、つい最近出会っただけの後輩。
二人が同じに並ぶ、というのは違和感がありそうなものだけど。
妙に、しっくり来ていた。
多分、それは怜も。
「(さて、見舞い行かんとなぁ……。)」
いつものように、部活――――麻雀部を途中で切り上げての御見舞。
本来、ウチの立場からすれば宜しくは無いんだろうけど。
ウチと怜の関係を良く知っている顧問からは。
特別に、苦笑交じりの許可が出ていた。
校門前。
未だ運動部の掛け声が響く中、手早くメールを送りながら足を進める。
送って、すぐに返信。
……出て、直ぐの所。
「あ、来た来た。」
「ごめんなぁ、京太郎君。」
「いえいえ、部活動が有るのは分かってますから。」
彼と合流してから、見舞いに行く。
いつしか、そんな流れになっていた。
最初は別行動でも、とは思ったのだけど。
「行き帰り考えると、竜華さん一人にするのは、ちょっと。」
そんな、心配するような表情をされてしまえば。
いくら大丈夫、と言い張っても良いとは言え。
ウチだって、女だから。
少しくらいは、嬉しくなってしまう。
例え、これが怜の見舞いだと分かっていても。
「京太郎くんは部活どうするん?」
「多少は良くなったとは言え、運動は出来ませんから。」
「となると文化系?」
「麻雀も面白そうなんですけど……あんまりやったこと無いんで。」
現在は部活体験期間中。
ただ、今年からの男子受け入れがあちこちに波及して。
今月いっぱいは、どの部活も色々考えることになっている。
例えば、ウチの麻雀部なら。
人数が足りないことを加味して、練習だけは混ぜる、とか。
「まぁ、三軍まであるしなぁ。」
「争い激しそうですよね。」
「怜も三軍から上がってきたんやで? 行けるって。」
「ですかねえ……。」
「なんなら教えてもええけど。 怜と二人で、なら構わんし。」
「あー……後で答え出すのでも大丈夫ですか?」
勿論、と返した。
時折、京太郎くんは暗い顔をする。
それは、部活の話の時とか。
運動の事とか――――そういう、動く動作の事。
松葉杖はもうすぐ外せるらしいとは聞いているけど。
それでも、二度と運動ができないというのは……どんな気分なのだろう。
「早く行かないと怜さん待ちくたびれてそうですね……。」
「急げるもんでもないし、気をつけていこ?」
「ですね。」
そんなことを考えながら。
病院までの、少しの時間。
ウチは――――間違いなく、楽しんでいた。
なんでかは、考えることもなく。