終わりの時は、未だ知らず。   作:氷桜

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<6:竜華>

四月が始まって、新しい年度が始まる。

クラス替えとか、そういったものはこの学校では無い。

だから、また出会うのは去年と同じ顔。

良く言えば、馴染み深い。

悪く言えば、いつもの顔。

だから、何だというわけではないけれど。

ウチは、何となく溜息を吐いてしまう。

 

怜が、未だ戻ってこない。

新入生、京太郎くんが入ってきた。

自分の周囲の変化といえば、そんなもの。

 

前者は、幼い頃からの親友で。

後者は、つい最近出会っただけの後輩。

 

二人が同じに並ぶ、というのは違和感がありそうなものだけど。

妙に、しっくり来ていた。

多分、それは怜も。

 

「(さて、見舞い行かんとなぁ……。)」

 

いつものように、部活――――麻雀部を途中で切り上げての御見舞。

本来、ウチの立場からすれば宜しくは無いんだろうけど。

ウチと怜の関係を良く知っている顧問からは。

特別に、苦笑交じりの許可が出ていた。

 

校門前。

未だ運動部の掛け声が響く中、手早くメールを送りながら足を進める。

送って、すぐに返信。

……出て、直ぐの所。

 

「あ、来た来た。」

 

「ごめんなぁ、京太郎君。」

 

「いえいえ、部活動が有るのは分かってますから。」

 

彼と合流してから、見舞いに行く。

いつしか、そんな流れになっていた。

最初は別行動でも、とは思ったのだけど。

 

「行き帰り考えると、竜華さん一人にするのは、ちょっと。」

 

そんな、心配するような表情をされてしまえば。

いくら大丈夫、と言い張っても良いとは言え。

ウチだって、女だから。

少しくらいは、嬉しくなってしまう。

例え、これが怜の見舞いだと分かっていても。

 

「京太郎くんは部活どうするん?」

 

「多少は良くなったとは言え、運動は出来ませんから。」

 

「となると文化系?」

 

「麻雀も面白そうなんですけど……あんまりやったこと無いんで。」

 

現在は部活体験期間中。

ただ、今年からの男子受け入れがあちこちに波及して。

今月いっぱいは、どの部活も色々考えることになっている。

例えば、ウチの麻雀部なら。

人数が足りないことを加味して、練習だけは混ぜる、とか。

 

「まぁ、三軍まであるしなぁ。」

 

「争い激しそうですよね。」

 

「怜も三軍から上がってきたんやで? 行けるって。」

 

「ですかねえ……。」

 

「なんなら教えてもええけど。 怜と二人で、なら構わんし。」

 

「あー……後で答え出すのでも大丈夫ですか?」

 

勿論、と返した。

時折、京太郎くんは暗い顔をする。

それは、部活の話の時とか。

運動の事とか――――そういう、動く動作の事。

松葉杖はもうすぐ外せるらしいとは聞いているけど。

それでも、二度と運動ができないというのは……どんな気分なのだろう。

 

「早く行かないと怜さん待ちくたびれてそうですね……。」

 

「急げるもんでもないし、気をつけていこ?」

 

「ですね。」

 

そんなことを考えながら。

病院までの、少しの時間。

ウチは――――間違いなく、楽しんでいた。

なんでかは、考えることもなく。

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