月曜日のたわわ〜幼馴染はとてもたわわです〜   作:とちおとめ

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お久しぶりです。

別に更新再開と言うわけではありません。
ちょっと時間できたのもあったのと、改めてイラストを見て書きたいと思った次第です。


アイちゃんと買い物

 女性の下着売り場、いつ来てもこの場所に慣れることはない……いや、男の俺が慣れちゃいかんだろうと思うのだが正直に言おう。俺、幼馴染のせいでこの感覚に慣れちゃいそうです……。

 事の発端は一昨日、妙に胸元を苦しそうに抑えるアイを見たのが原因だった。いやね、この非常に胸が豊かな幼馴染と過ごしているとあれだ。そういうことに気づけるようになるわけだよ。

 

『……また大きくなったん?』

『たぶん……ちょっと苦しいかな』

 

 なんて会話があり、そこからこうしてアイの新しい下着を買うことが決まったわけだ。

 試着とかサイズ合わせとか、その他諸々のことを俺の与り知る所ではなく、アイは店員さんと共に試着室の中で何やら色々格闘中だ。アイの鞄を肩に背負い、することがないのでスマホを弄る俺は周りの人からどんなふうに見えているのだろうか……うん、あまり考えたくない。

 

「お客さん確かまだ17歳ですよね? それで3桁って……別に太っているわけでもないのに色々卑怯じゃありませんか?」

「……言わないでください。正直肩凝り凄いんですからね?」

「ある人はそう言うんです。ない人は決して言えない言葉なんです」

「えぇ……」

 

 店員さんの呪詛を吐いてそうな声とアイの困惑した声が聞こえる。あぁそう言えばアイのサイズって確か3桁の大台に乗ったんだっけ。バレー部ちゃんとアイのお母さん、妹ちゃんが3桁到達おめでとう会みたいなの先日やってたなぁ。当人のアイの目は死んでたけど。

 

「……これも遺伝か」

 

 あの母にしてこの子ありってやつだと思う。お母さんはアイを上回るし、妹ちゃんは流石にアイに及ばないがそれでも十分大きい。バレー部ちゃんが死んでもいいとさえ思える楽園らしいし……まああいつは少し行き過ぎてるだけだけど。

 っと、そんなことを考えているとやっと試着室からアイが出て来た。

 

「お待たせユー君。店員さんが選んでくれたこの二つ、どっちがいいかな?」

 

 数ヶ月前に来た時は照れながら俺の意見を聞いていたのに、今となっては照れることなく当たり前のように俺に聞くあたり、随分と俺たちの関係も進んだものだなと感慨深いものを感じる。

 アイが両手に持つ下着をそれぞれ見てみる。

 片方は大人しいデザインで、もう片方は少し刺激の強いデザインだ。どっちがいいかと言われると……少し無責任かもしれないがどっちもアイに似合うと思う。だからこそ、俺は特に迷うことなくこう伝えた。

 

「どっちでもアイに似合うと思うけど」

 

 おいこら店員、そこはしっかり言わないとみたいな目はやめろ。ちゃんと理由があるんだ。

 

「そっちのデザインは可愛いアイに似合うし、逆にそっちだとスタイルが良いからこそ更に大人っぽくなって良いいなぁっていう感じなんだけど」

 

 って意見になると思っちゃうんだよなぁ。

 

「……そっか。えへへ、本当はどっちか選んでほしかったけど、そんなユー君のどっちでもいいは嬉しいな」

「いやまああれだ、正直どっちもいいんだよ。どっちもアイに似合うと思ったから……可愛いしエロいし!」

「最後は余計! でもユー君がそう思ってくれるのは本当に嬉しい……だから大好き」

「……………」

 

 ……上目遣いの不意打ちにはいまだに慣れない、てか店員さんも何鼻押さえてんだよ。

 

「やっぱあんな良いスタイルになる秘訣は彼氏か、彼氏なの!? くぅ~~妬ましい! 妬ましい!!」

 

 聞こえてんだけど店員さん……。

 それからアイが手に取っていた下着を両方買うことに決め、レジに行ったのだが……まあ何だ、何で女性の下着ってあんなに高いんだろうか。

 

「お客様のサイズですと些か値が張りますが……」

 

 そう言って見せられた会計は下着……ショーツもセットとかではなくブラの二点なんだけど、諭吉さんが二人に届くか届かないかである。男の下着とどうしてこんなにも違うのか、おそらくは一生掛かっても分からない世界の神秘だろう。

 当然のことながらアイはこれくらい値がするとは思っていたらしく、まあ当然かと言わんばかりの顔だ。先日バイト代もらったばかりって言ってたしそのお金で買うのだろう……うん、ちょっとは日頃のお返しはしておこう。

 

「はい」

「……え?」

 

 アイがお金を出すよりも早く、俺は自分の財布から2万を取り出してレジに置いた。姉さんが結構多めに毎月小遣いをくれるから余るんだよ。もちろんアイとのデートとかでお金は使ってるけど、それでも余るって姉さんがかなりの羽振りの良い会社に勤めているのがよく分かる。当初はもらい過ぎだと言ったのだが、家事とかしてくれるからそのお礼も兼ねているらしい……そんな姉さんの気遣いは本当にこういう所では助かる。

 アイが出そうとしていたバイト代を財布に押し戻し、早々に会計を終えて店を出た。すると当然のことだがアイがこう聞いてきた。

 

「……なんだか悪いよユー君。お金返す――」

「だからいいってば。ただでさえ使う予定のないお金だったし、アイの為に使うなら俺自身満足だよ」

「でも……」

「……あぁじゃああれだ。普段弁当とか朝早く起きて作ってくれるし、最近は夜もよく作りに来てくれるじゃん? そのお礼も兼ねてってことで納得してくれ」

 

 それでも納得しないアイだったが、暫くすると溜息を吐いてようやく分かってくれた。

 

「う~ん、なんかモヤモヤする~~!」

「じゃあそれ着たら一番最初に俺に見せてくれ」

「……もう。でも分かった。ユー君に一番に見せるね……まあ、ユー君しか見せる相手なんていないけど」

 

 そんなやり取りを経て、夕飯の買い出しを終えてアイと一緒に少し暗くなった帰り道を歩く。

 アイはがっしりと俺の腕に抱き着くようにしているため、必然とアイの成長した胸の感触がダイレクトに伝わってくる。周りに人が居るといつまで経っても少し恥ずかしいものだが、アイの幸せそうな表情を見ると離れてくれなんて言えるわけもなく……というかこの感触を手放したくなくて人が居ようが居まいが決して言うことはないだろうってのが本音である。

 

「そう言えばユー君、もうすぐ修学旅行だね」

「言われてみれば確かに。高校生なんだから外国くらい行きたかったなぁ」

「あはは、まあそれは仕方ないよ。京都でもいい所はたくさんあるってきっと」

 

 そりゃ普段行くことのない場所だから新鮮な物はたくさんあると思う。何だかんだ、楽しみにしている自分がいるわけで。

 

「いっぱい思い出作ろうね?」

「そうだな」

 

 アイとならどこでも楽しい思い出が作れるだろう。今から本当に楽しみである。

 

「部屋に遊びに来てよ」

「……いや、流石にそれはマズいのでは」

「隠れれば大丈夫だから!」

「どこに!?」

「……えっと……そう! 私の布団の中! もしくは襖!」

「よくラノベとかで見る光景だな! 現実ではダメだろ!」

「……うぅ~。やっぱりダメかぁ。ユー君とイチャイチャしたいのに」

「イチャイチャするだけなら今からでもできるだろうに」

「も……もうユー君ったら!」

 

 何を想像したのか顔を赤くしてポカポカと叩いてくるアイ。

 そんな中、スマホがメッセージの着信を知らせたので見てみると、案の定姉さんから遅くなるからご飯は食べて帰ると言うものだった。

 

「あ、お姉さん遅くなるんだ」

「みたいだな」

「ふ~んそっかぁ。ユー君は夜どうするの?」

「まあ簡単に作って食べ……?」

「……(ソワソワ)」

「……お邪魔していい?」

「うん!! どうぞどうぞ!!」

 

 ……姉さんの帰りが遅くなる時、アイの家に行くか逆にアイが家に来るか、結局このどちらかになるのはもうこれからずっと変わらない日常の一幕なんだと思う。

 これからもずっと大切にしたいと俺は改めて思うのだった。

 

 

 

 

 

 

 ところで、どうやらアイの家には肩もみ序列なるものがあるみたいだ。簡単に言うとアイの家系は非常に胸が大きい遺伝子があるせいか、そのせいで肩が凝るのも頻繁なのである。だから家族そろって列になり肩を揉む、それが肩もみ序列なのだ。

 俺の目の前で先頭にアイのお母さん、次いでアイ、最後に妹ちゃんの順で肩もみの列が出来ているが……まあこの順番だと不満が出るのは当然なわけで。

 

「うがああああああっ! 私だけ損してるじゃん! 二人ともズルい!!」

 

 ……まあ当然だよね。

 なので仕方なく、俺は妹ちゃんの後ろに座って肩に手を置き優しくモミモミするのだ。

 

「あ……ふぁ……ユーさん、凄く気持ちいい」

 

 姉さんも良く肩が凝るからな。どこが良く効くかは分かっているつもりである。そんな風に妹ちゃんの肩を揉んでいると、アイから恨めしそうな視線が飛んでくるわけで。

 

「……羨ましい」

「へへ~ん。お姉ちゃんは私が揉んであげるから大人しくしてね?」

「……うぅ~っ!!」

「あらあら」

 

 妹ちゃんがドヤ顔して、アイが悔しそうにして、お母さんが楽しそうに笑っている。傍から見てても楽しい光景だ。……誰もいらないことを言わなければな。

 

「本当に気持ちいいです。ねえユーさん。これからも私の揉んでくれませんか?」

「……ちゃんと肩を付けような。誤解されそうだから」

「ふふ、何を誤解されちゃうんでしょうか」

 

 妹ちゃん、完全にアイをからかう気満載である。そして案の定アイは釣られて自爆するのだ。

 

「肩もおっぱいも、ユー君が揉んでいいのは私だけなんだからね!」

「……お姉ちゃん、そこまで言うんだ」

「……はう!?」

「うふふ。若いっていいわねぇ~♪」

 

 今のアイの声大分大きかったけどお隣に聞こえてないよね? 俺またお隣さんに微笑ましい目で見られるのは恥ずかしいぞ……。

 そんなこんなで、またまた賑やかな夜が過ぎて行くのであった。

 


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