気がついたら、どこかの部屋だった。
何にもない殺風景の部屋。
畳の上には布団が置かれているだけ。
箪笥の中には通帳が入っていた。
通帳に書かれていた金額は一生暮らしていけるくらいのお金が入っている。
あとは壁にかかっているのはどこかの制服だった。
俺はまだ学生だったんだ。
でも、どうして何も思い出せないんだ?
いや、覚えていることはある。
自分が斎条眞琴だっていうことと自分には何かやるべきことがあるということだ。
だけどやることって何だろうか?
そんなことを考えていると……
「さっきからどうしたポン?」
振り向くと端末から白黒の球体が出ていた。
「お前は?」
「その質問の意味がよく分からないポン。僕はファヴ。魔法少女育成計画のマスコットキャラだポン」
「魔法少女育成計画?」
「君がさっきまでやっていたゲームの名前ポン」
「悪いけど、何も覚えてないんだ。俺はそのゲームをやっていたのか?」
「覚えてないポン?もしかしたら記憶喪失かもしれないポン。ファヴが出てきた瞬間、頭を机の角にぶつけてたポン」
机の角に頭をぶつけた?
だからさっきから頭がいたいんだな。
「それでマスコットさんが出てきた何の用だ?」
「君は魔法少女に選ばれたポン」
どうしよう。意味がわからない。
「何?このゲームやっていたら魔法少女になれるのか?」
「そうポン。君はこのN市で15人目の魔法少女として選ばれたポン」
というか15人もいるのかよ。いくら何でも多すぎだろ
でも、もしかしたら記憶を取り戻す魔法の道具とかもらえたりしないかな?
それだったらなってもいいか
「じゃあ、なるよ」
「分かったポン。君はこれから魔法少女ヴェリテポン」
こうして俺は魔法少女ヴェリテとなったのだった。
次の日、日曜日だったから学校はなく、暇を持て余していた。
「そういえば人助けとかすればマジカルキャンディーとか手に入るんだっけ?それだったら」
早速端末に浮かび上がった魔法陣をタッチすると、俺の姿が白いドレスに白く長い髪の少女に変わった。
「………流石に性別も変わるよな。男の姿のままでこの格好だったら恥ずかしい」
ため息をつきつつ、早速外へパトロールに出かけた。
魔法少女になったら身体能力も上がるから、ビルを飛び越えられたりする
「そういえばファヴ?」
「何ポン?」
「俺の……この姿だと私か。私の魔法とか何?」
「そういえば言ってなかったポン。能力は身体能力を限界まで上げられることポン」
あんまり魔法っぽくないような……
まぁ別にいいか。
すると近くにあったコンビニから刃物を持った人が出てくるのを見つけた。
「強盗か……試しに魔法を使ってみるか」
とりあえずは脚力を上げて……
地面を思いっきり蹴ると、強盗の前まで一瞬で着くことが出来た。
だけど、上げすぎたからか地面が思いっきりめり込んだ。
強盗は私が目の前に現れたことに対して、怯えていた。
「な、何だよ。お前は……」
「魔法少女だよ。奪った金を置いて警察に捕まるか……」
私は近くにあった木を思いっきり殴った。
木は簡単に折れた。
「これと同じようになりたいか?」
私がそう言った瞬間、強盗はすぐに土下座して謝り続けた。
警察がすぐそこまで来たのを見て、私はすぐにその場から離れた。
家に帰り、キャンディーの数を確認した。
キャンディーの獲得数は100か。
「充分だな」
こうして俺の最初の活動は終わったのだった。