怪我の処置を終え、アリスと一緒に王結寺に来ていた。
中ではスイムスイムとたまの二人が待っていた。
「お待たせ」
「……そっちは?」
スイムスイムがアリスの事が気になっていた。
「新しい仲間よ。全て話してある」
「……そう」
「ヴェリテちゃん、怪我してますけどどうかしたんですか?」
たまが左腕にまいてある包帯に気が付き、心配そうに声をかけてきた。
「カラミティ・メアリに絡まれてね。惜しい所で逃げられたけど……」
「カラミティ・メアリ……ルーラが物凄く嫌ってた人だよね」
「……私もルーラから聞いてる」
「厄介な魔法を使うから早い所脱落させたかったんだけど……こっちも怪我してるから……」
「病院とかいかなくていいの?」
たまの心配はよく分かるけど、正直病院なんて行く必要はない。
私はまいてある包帯を取り、傷口を見せた。するとたまは驚いていた。
「嘘!?傷が……」
それはスイムスイムもアリスも驚いていた。特にアリスがだ。
「私の魔法の力よ。前に神経を切ったのも治ってきたし……さて次の話だけど……」
私はあるものを3人に見せた。
それはファヴが言っていた魔法のアイテムの薙刀、薬、透明になれるマントだった。
「これは私の寿命で買ったものよ。薙刀はスイムスイム、あなたにあげる。薬は私が持っておくわ。最後の一個だけど……たま、あなたに頼みたいことがあるの」
「頼みたいこと?」
「コレを…………」
私はたまにある頼み事をした。
たまは内容を聞くと少し困った顔をしていた。
「わたしにそんな重要なことできるのかな?私、いつも失敗ばかりで……」
「失敗を恐れていたら何もできなくなるわよ」
「恐れてたら……」
「失敗はダメなことじゃない。チャンスそのもの……失敗して転んだとしても立ち上がれなきゃこの先の人生何もできなくなるわ」
「………ヴェリテちゃん、ありがとう」
たまはアイテムを受取、すぐに指示出した場所へと向かった。
「さてアリスには悪いけど、渡すアイテムが……」
「大丈夫。これがある」
アリスはポケットから兎の足を見せた。これって確かファヴが言っていたアイテムのひとつ……
「お守りみたいなもの……」
「そう、大切にしておきなさい。もしかしたらいつか良いことが起きるかもしれないわね」
アリスの頭をなでながら、そういう私だった。
すると端末に一通のメールが入った。差出人はシスターナナからだった。
「……少し行ってくるわね」
スイムスイムとアリスにそう言い、私は白いドレスの姿に戻り、シスターナナが待っている廃工場へと向かった。
たま
ヴェリテちゃんの頼みを聞いた私は、指定された場所へと向かった。
「このまま真っすぐ行けば……」
「行けば何かあるのですか?」
突然誰かの声が聞こえた瞬間、何かに私は吹き飛ばされた。
「うくっ」
「おやおや、迷子の犬がこんな所で何をしているんですか?」
襲ってきたのは森の音楽家クラムベリーだった。
「なんで……」
「何でと言いますと?あぁ、貴方を見つけたのは本当に偶然です。ただ貴方が何をしようとしているのかは気になっていますが……」
私は受け取ったマントを使い、姿を消しながら、指定の場所へと向かった。
今のままじゃクラムベリーに殺されてしまう。
「透明外套……姿が見えなければ追ってこないと思っているのですか?甘いです!」
クラムベリーは手をかざし、音の塊を放った瞬間、再び私に命中した。
「かはっ」
「悪いですが、私の魔法は音です。姿を消した所で貴方の足音、心音、呼吸、全てが聞こえます」
痛い、痛い、このままだと殺されてしまう。
私にはこんなこと無理なんだ。
諦めかけていた時、ヴェリテちゃんの言葉を思い出した。
『失敗はダメなことじゃない。チャンスそのもの……失敗して転んだとしても立ち上がれなきゃこの先の人生何もできなくなるわ』
そうだった。いつも物覚えが悪く、色んな人に怒られていた。
だからもう怒られないように失敗を恐れ、何もしないようにした。
だけどルーラは私のことを見捨てなかった。
ヴェリテちゃんからは勇気をくれた。
それに今一番苦しいのは私じゃない。ヴェリテちゃんだ。
私は立ち上がり、もう一度走り出した。
「逃げるだけですか……つまらないですね」
クラムベリーが手をかざし、音の塊を発射しようとしていた。だけどその時、どこからか手裏剣が飛んできた。
「ちっ!」
クラムベリーは手裏剣を音の壁で全て弾いた。
「今のは!?」
無我夢中で走っていると急に身体が浮かんでいた。
「よっ、確かたまだっけ?」
「トップスピード!リップルさんでしたっけ?」
私はトップスピードさんに服を掴まれた状態で、空を飛んでいた。
「何だ?魔女に襲われていたのか?」
「ちがっ……」
「相手は森の音楽家クラムベリーだった」
否定しようとしたらリップルさんが否定してくれた。
「クラムベリーが?なんでまた……」
正直に話すべきか悩んだ。だけどこの二人なら協力してくれるはず。
私は全てを話した。
「………まじか、それが本当だとしたら他の奴らも勘違いしてる」
「勘違い?」
勘違いってどういうことだろう?
するとリップルさんが代わりに話してくれた。
「ファヴが魔女の正体を明かした。ちっ、このままだと……」
「まずいかもしれない。俺達はどうすればいい」
「まずはヴェリテちゃんに指定された場所に向かったほうが……そこなら何か打つ手があるかもしれない」
「行ってみるか。二人共しっかり捕まれよ!」
ヴェリテ
指定された廃工場へ訪れた私。そこにはシスターナナとヴェス・ウィンタープリズンの二人が待っていた。
「それで何か御用かしら?」
「……ファヴから聞きました。貴方が魔女なんですね」
「……………」
「沈黙は肯定と取るぞ」
ウィンタープリズンが身構えながらそう言う。なるほど、もうバレていたか。この調子だとスノーホワイトにもバレてそうだな。
「えぇ、そうよ。私が魔女よ」
「やはり……殺した魔法少女の仇を……」
「待って、ウィンタープリズン」
シスターナナがウィンタープリズンを止め、シスターナナは私に近寄った。
「教えてください。どうして魔法少女を殺したんですか?」
「…………」
私はシスターナナにある事を耳打ちし、胸を貫いた。
「えっ?」
「ナナ!?ヴェリテ、貴様!!」
ウィンタープリズンが地面から壁を作り出そうとした。だけど私はシスターナナをウィンタープリズンに投げつけた。
「くっ、お前は………」
シスターナナを受け止め、こっちを見た瞬間、私はウィンタープリズンの首を切り裂いた。
「な……な」
倒れ込むシスターナナとウィンタープリズンを見下ろす私。
「これで残り9人。あと二人……」
そう呟いた瞬間、どこから物音が聞こえ、振り向くとそこには……
「ヴェリテ……」
スノーホワイトがいた。
「スノーホワイト……」
「そこに倒れてるの……シスターナナとウィンタープリズン?」
「そうだよ」
「貴方が……」
「そうよ。私が……」
お互い近寄ろとしなかった。
スノーホワイトは警戒して、私は怯えさせてしまうのが嫌だから……
「………どうしてみんなを……」
「教えられない。だけど信じてほしい。これは皆を救うために……」
「救うためだけなのに………なんで皆を殺したの!」
「………」
「どうして……答えてよ!」
「………だまりなさい。スノーホワイト」
「!?」
私は冷たくスノーホワイトに言い放つ。
「教えた所で貴方に何が出来るの?もし私が皆を脱落させなければ、きっと誰かが殺し合いをしていた。それでも貴方は怯えるかラ・ピュセルに守られているだけ、何も出来ない貴方はただ全てが終わるまで大人しく震えてなさい」
「…………」
スノーホワイトは言い返すことが出来ず、そのまま逃げ出した。
私はただスノーホワイトの後ろ姿を見ながら、心のなかで『ごめん』と呟くのだった。