私達の危機を救ってくれたのはラ・ピュセルだった。
私は立ち上がり、ラ・ピュセルの隣に立った。
「タイミングバッチリね。ラ・ピュセル」
「ヴェリテ、その怪我……」
「スノーホワイトに殴られてね。でもこの怪我は私の贖罪。あの子を怒らないであげて」
「わかってる」
「ラ・ピュセル……生きてたの?」
「スノーホワイト。もっと早く君に生きていることを伝えたかったけど、ヴェリテに止められてたんだ」
「でも、ファヴが魔女に……ヴェリテに殺されたって……」
『その通りぽん。魔法少女の生死はファヴが常に確認しているはずぽん。なのにこれはどういう事ぽん』
「気がついていなかったみたいね。私は一言も魔法少女たちを殺したとか言ってないのよ。言ったとしたら脱落としかね」
『確かに……殺したとか言ってなかったぽん。でも、ファヴのことを偽ることなんて……ヴェリテ、君は一体何者ぽん?』
「そうね。いい加減名乗らせてもらおうかしら。私はこのN市の15番目の魔法少女ヴェリテではなく、魔法の国、特命機関所属のヴェリテよ」
『特命機関……魔法の国の幹部たちがもっとも重要視している組織ぽん。そんな組織がどうやってファヴたちの計画を知ったぽん!』
「特命機関の中には予知夢を見ることが出来る魔法少女がいるの。彼女の魔法のおかげで貴方達が動き出す前にこの街に来られたのよ」
『だけど特命機関でもファヴを騙すことなんて……』
やれやれ、何だか色々と質問が出てくるな……でも、スノーホワイトも知りたそうな顔してるから言ったほうがいいわよね。
「スノーホワイトも気になってるから先に私の本当の魔法教えてあげる。私の魔法は体の力を上限まであげられるというものだったけど、本当は触れたものを偽造することが出来る魔法よ」
触れたものを偽造できる魔法。
例えるならば石を紙に変えたり、水を炎に変えることだって出来るけど、偽造はある条件ですぐに元の物に変わる。
「今回のゲームの前に私は自分の記憶を偽造した。魔法もそう思い込ませた。そしてファヴ、貴方を一番最初に偽造させた」
『偽造……』
「マスター端末じゃなくっても、私達の持つ端末に貴方が出てくるだけで、偽造させられる」
『ということはファヴは最初から騙されていたことぽん?』
「電脳妖精でも私の魔法にかかっちゃうなんて………作り変えてもらったら?」
笑みを浮かべながら、ファヴにそう言った。
そして今度はクラムベリーの方を見た。
「さて、上手くこの街の魔法少女の中に潜り込んだ私は貴方達が行動を起こすまでの間、ただひたすらに人助けをした。そして始まったゲーム」
その時に私は仲間の一人にメールを受け取っていた。それは最初の脱落者についてだった。
私はねむりんとコンタクトを取り、外におびき寄せ、他の魔法少女たちは殺したと思っていたけど、実際は気絶させただけだった。
「ねむりんには私の任務について話して、予知夢を更に分かりやすく出来るように協力してもらったわ」
ねむりんの魔法は人の夢の中に入ることが出来る。
その魔法で予知夢を事細かく見てもらい、どんな未来になるのか教えてもらった。
「予知ではスイムスイムが暴走するっていうのがわかったから、彼女を説得して協力者にしたわ」
スイムの事を見ると、スイムは黙ったまま頷いていた。
「そして次々と魔法少女を気絶させ、貴方達を騙し続けて、クラムベリー、貴方が動き出すのを待っていたのよ」
「………全ては貴方の嘘だったとは思いもよりませんでした。ですが!!」
クラムベリーは手をかざし、音の塊を放とうとした。
だけど、
「なっ、身体が……」
「戦いや話を聞くのに夢中になりすぎたわね。ラ・ピュセルだけじゃなく、もう一人助っ人を呼んでいるのよ」
私がそう言った瞬間、クラムベリーの後ろに突然ルーラが姿を現した。
「ルーラの名の下に命ずる。魔法の使用を禁じ、動くな!」
「なっ……いつの間に……まさか!?」
ルーラの後ろに隠れていたのは、透明外套を持ったたまだった。
「貴方は彼女のことを襲ったみたいだけど、最後まで追いかけなかったわね。おかげでこの状況を作れたわ」
「くっ」
私はゆっくりクラムベリーに近寄った。
「いいこと教えてあげる。私の偽造は相手に思い込ませることが重要なの。他の魔法少女は胸を貫かれた=死んだと思い込んだけど、思いが強ければそれだけじゃ私の魔法は効かない。ラ・ピュセルなんて胸を貫いても、首を切っても、右腕を引きちぎっても、全然効かなかったから、諦めて事情を話したけどね」
クラムベリーの目の前に立ち、拳を構えた。
「私の魔法の防ぐ方法は思いの強さと遠距離からの攻撃。解除方法は条件をクリアすること。私の記憶の偽造は、脱落してしまう魔法少女が誰なのか知ることで徐々に解除される。さて、貴方に使う魔法の解除に必要な条件は………教えてあげない」
クラムベリーの顔面を思いっきり殴り、クラムベリーは地面に倒れ込んだ。
「うっ、うが、うがああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
「魔法によって貴方は覚めない幻覚を見続けなさい。因みに魔法を解除できても、私の魔法って精神的ダメージが強いから、元に戻っても廃人ね。そしてファヴ」
私は落ちていた薙刀を拾い上げ、ファヴがいるマスター端末目掛けて薙刀を投げ、端末を破壊した。
「貴方は一瞬で壊してあげたわ。最後に聞こえないだろうけど、クラムベリー、私の呼び名を教えてあげる。私は嘘つきヴェリテ」
はい、全員生存していました。
ヴェリテの魔法について、簡単に説明します。
触れたものを偽造できる
というより思い込ませることが出来る。自分の魔法が身体の上限を上げるというというものもヴェリテ自身、そう思い込んでいたからこその魔法でした。
弱点としては思いの強さと遠距離からの攻撃。
あとは条件さえわかれば解除もできる。
ラ・ピュセルに効かなかったのは、ある思いが強かったからです。
その思いについては次回です