クラムベリーを再起不能した私は、そのまま膝をついた。
「流石に殴られすぎたかしら?」
「自業自得だろ。ヴェリテ」
ラ・ピュセルが手を差し伸べ、何とか立ち上がった私は、リップルに声をかけた。
「リップルもお疲れ様。中々の演技だったわよ」
「ちっ、最初は話を聞いた上でトップスピードに魔法をかけた思って、怒ったまでだ。後々になって、あのトップスピードがマネキンだったなんて……」
トップスピードにはちょっとした事情があって、流石に精神的にくる私の魔法を使ったら、大変なことになるため、あの時はマネキンで誤魔化した。
「それじゃアジトに戻ろうかしら?たま、貴方が開けた穴とつながってるかしら」
「う、うん、今連絡したら繋げてもらったよ。でも、スイムちゃんが……」
ふっと、薙刀を杖代わりにしながらなんとか立ち上がろうとするスイム。
でもダメージが大きいためか、立っているだけで限界みたいだった。
私はそんなスイムにお姫様抱っこした。
「さぁ、これで行きましょうか?スイム」
「…………」
怒っているのかよく分からなかったけど、何故か顔を真赤にさせていた。
「どうしたの?顔を真赤にさせて?」
「……なんでもない」
とりあえずたまが開けた穴に入る私達であった。
穴へ入るとそこは白い廊下へ出た。
「あれ?今穴に入っただけなのに……」
「……別の場所に繋がった?」
突然のことで驚くスノーホワイトとアリスの二人。スイムもまた声に出てはいないけど、驚いている様子だった。
「私の仲間の一人の魔法よ。色んな所繋げられる。今回はたまが開けた穴をここと繋げたのよ」
「とはいえ、私もまだ慣れませんわ」
ルーラもまだ慣れてないみたいだった。
確かに一瞬で別の場所に移動してるし、慣れないのは仕方ないことか。
するとスノーホワイトがあることを聞いてきた。
「ヴェリテ、ここってどこなの?」
「このアジトは繁華街の中にあるビルの地下よ。一応ビルの所有者は私の仲間であるから、いうなれば秘密基地みたいなものかしら?」
通路を歩いていくとある部屋にたどり着き、中に入る私達。
そこには金髪と銀髪の二人の少女がいた。
「おかえり、ヴェリテ」
「任務ご苦労様。とりあえずクラムベリーは魔法の国が刑務所にぶち込んでくれるみたいよ」
「上の方もこれで納得したでしょうね」
「とりあえずはね」
「他の子達はあの話をして、帰らせたよ。とりあえずは一週間後に返事を聞かせてもらえるように頼んだから」
「助かるわ」
私はスイムを金髪の少女が用意してくれたベッドに寝かせた。スノーホワイト、ラ・ピュセル、ルーラ、アリス、リップル、たまも椅子に座ると私は話を切り出した。
「まずは紹介するわね。こっちの金髪はミル。銀髪はリーエ。ミルは予知夢を見ることが出来る魔法を持ち、リーエは色んな所を繋げる魔法を使える」
「ミルです。ごめんね。早めに事情を説明すれば、皆悲しい思いをしなかったのに」
「仕方ないよ。ヴェリテが話すなって言ってたんだから、まぁ、結果的にその怪我だよね」
リーエが私の怪我を見ながらそう言った。
「みんなを騙した罰みたいなものよ。それでこうして皆にアジトに来てもらったのは………」
「ちょっと待ってくれないか?」
ある話をしようとしたら、ラ・ピュセルが遮った。
「何かしら?」
「聞きたいことがある。皆は知らないけど、私とスノーホワイト、ヴェリテは元々幼馴染だったはずだけど、私達の関係もヴェリテの魔法で思い込ませているのか?」
「確かに……ヴェリテは魔法の国の魔法少女だよね。それじゃ私達とは……」
ラ・ピュセルの言葉を聞いて、スノーホワイトも気がついたみたいだった。
私達の関係は偽りのものじゃないのかと……
でも私は笑顔で答えた。
「私達の関係は変わらないわ。私はスノーホワイトとラ・ピュセルとは幼馴染。春休みの頃、私は別の場所で魔法少女になった。これは真実よ」
「……そうか。すまない。疑ったりして……」
「多分気になるだろうと思ってたからいいわよ。それで本題に移るけど、他の魔法少女にもした話をするわ」
「話?」
「今回の件で分かったように、魔法少女は人々を助けるための存在だったのが、魔法少女同士で殺し合うようなことになる。今回は私達が助けたけど、今後殺し合いが起きないとは限らない。だからここにいる皆に選んでほしいの。このまま魔法少女で居続けるか?それとも魔法少女としての記憶を失って元の生活に戻るか。どうするか……」
これは皆に選んでほしい選択。
スノーホワイトたちはすぐに答えを出そうとしなかった。
私は一週間程時間を与え、そのままスノーホワイトたちは帰るのであったが………
メルとリーエの二人が皆を送っていく中、ラ・ピュセルだけは残っていた。
「帰らないの?」
「……ヴェリテ。一週間ゆっくり考えてほしいって言ったけど、私は君にここに連れてこられてから考えていたんだ」
「何を?」
「私はスノーホワイトを守る。守り続けるって決めたんだ」
「もしもスノーホワイトが魔法少女をやめても守り続けるの?」
「あぁ、彼女が魔法少女をやめたとしても、私は彼女を守る剣で居続ける。だからこそ……私は魔法少女をやめない」
「………それが貴方が選んだ答えね。流石は私の魔法を打ち破るほどの思いを持っているだけでもあるわね」
「…………ん?それって」
「ラ・ピュセルが私の魔法に抵抗できたのって、どんなにボロボロになっても、大好きなスノーホワイトを守るっていう思いが強かったからよ」
「だ、大好きって……私は別に……」
「誤魔化さなくってもいいから、因みに私は言うつもりもないし……」
「嘘は?」
「約束は守るわ」
ラ・ピュセルと別れた後、治療を受けているスイムのところに行くと、スイムは魔法少女の姿ではなく、元の姿に戻っていた。
スイムの元の姿はまだ小学生くらいの女の子だった。
「驚いたわ。まだ小学生くらいだったなんて……」
「ヴェリテの友達の人が治療をするなら、元の姿の方がいいって……」
「そっか、でもこれだと不公平よね」
私は元の眞琴に戻った。
「これが俺の元の姿。男の子だっていうのに幻滅したか?」
「………びっくりした。でも、男の子で良かった」
「どういうこと?」
「お姫様には王子様が必要だから……」
理由聞いてもよく分からない。
とりあえずまだ小学生だからお姫様に憧れるのはよくわかった。
「それでスイム……そっちの姿でスイムじゃおかしいか。名前教えてくれない」
「坂凪綾名……」
「俺は斎条眞琴。あやなちゃんでいいか?」
「………いいよ」
「俺は眞琴でいいよ」
「眞琴さん」
「それでもいいか。あやなちゃんは魔法少女は続けるのか?」
「……続ける。まだお姫様になってないから……」
「もしかしたら死ぬかもしれない。それでもいいの?」
「お姫様を守ってくれる王子様がいるから……」
「王子様か……その王子様は俺なのか?」
「うん」
俺があやなちゃんの王子様か……でも魔法少女になったら王子様じゃなくなるんだけど……そういうのは言わないほうがいいかもしれないな。
とりあえずはスイムは続けるということか
次回からはそれぞれの選択についてやります。