俺はおかしな夢を見ていた。
どこかの場所で俺は二人の女性と話している夢。
「………みたいなの」
「…………の魔法はおこ……」
「それなら…………がやるしかない」
俺は二人の女性の前で自分の頭に拳を当てた。
そして………
「大丈夫か?ヴェリテ」
目を覚ますとそこは鉄塔の上だった。
「ん、ごめんなさい。少し寝てた」
「いや、大丈夫だよ。ただ……」
ラ・ピュセルは鉄塔に寄りかかった状態で眠るスノーホワイトを見た。
「ここ最近は人助けと警戒で忙しかったから、少しくらい休ませようか」
私がそう言うとラ・ピュセルは思い詰めた顔をしていた。
「………出来ればスノーホワイトには、小雪にはこんな事に巻き込まれずにただ人助けする正義の魔法少女としていて欲しかった」
「………ルーラ達のことが会ってからスノーホワイトは笑ってなかったわね」
3日ほど前、ファヴから連絡でチャットに集まった私達が聞いた話は、ルーラ、ミナエル、ユナエルの3人が例の犯人に殺されたとの報告だった。
そしてルーラの仲間であるスイムスイムとたまはギリギリの所で犯人から逃げることに成功した。
その時、犯人は自分のことを『魔女』と呼ぶように言ったらしい。
ファヴの報告から三日間は今まで以上に魔女への警戒を強めていた。
だけどその間、スノーホワイトはずっと泣いたり、思い詰めたりした顔をしていた。
「一体……魔女の目的は何なんだ?魔法少女を殺してどうするつもりなんだ?」
「分からないわ。私たちは魔女じゃない。魔女がやろうとしていることなんて分かるはずがないわ」
「そうなのかもしれないけど……」
「今は警戒に集中しないといけないわね」
私がそう言い、しばらく沈黙が続いた。
そんな時、ラ・ピュセルがある事を言い出した。
「ヴェリテ。私は少し前にスノーホワイトの前で誓った。私は彼女の剣となり、彼女を守り抜くって……」
「知ってる。二人の邪魔をしちゃいけないって思って、こっそり隠れて見てたから」
ラ・ピュセルは顔を真赤にさせていた。
そんなに聞かれちゃいけないことだったんだ。
「少しは気配を感じるくらい出来ないの?騎士の魔法少女なんだしさ」
「うぅ」
「それでスノーホワイトを守るって誓ったって言いたかったの?」
「いや、そうじゃなくって、もし、もしも……私が殺されるようなことがあったら………」
きっとラ・ピュセルは自分の代わりにスノーホワイトを守ってくれって頼むつもりだったんだろうけど、私はラ・ピュセルの言葉を遮るようにため息を付いた。
「自分が死ぬ心配してるんだったら、誓うな。誓ったなら最後まで死ぬな」
「………ヴェリテ」
「これはヴェリテとしての言葉じゃない。お前の友達の言葉として言ったんだ」
「………すまない。眞琴」
「別にいいよ。そろそろ帰ろう。今日のところは問題ないみたいだしね」
「あぁ」
私とラ・ピュセルはスノーホワイトを起こして、今日は帰ることにするのであった。
自宅に戻ると俺は自分の異変に気がついていた。
「そういえば、記憶が戻ってきてるな………」
何故かねむりんが脱落してから、徐々に記憶が戻ってきていた。
颯太と小雪とは幼馴染で、一緒に遊んでいたことを……
自分の両親は遠い所で働いて、中学性になってから一人暮らししていること
「これってショックで記憶が戻ったってことか。あんまりいいものじゃないよな……」
そう呟くけど、誰も返事をくれなかった。
チャットルームではファヴとクラムベリーが何かを話していた。
『それにしても魔女なんて名乗るなんてポン』
『ふふ、魔法少女なのに魔女か……確かに魔法少女と魔女は同一の存在なのかもしれないけど』
『それでクラムベリーはいつまでじっとしているポン?ファヴは魔法少女が死んでいくのが見れて、損はしてないポン』
『そうですね。このままだと全員殺されてしまいますね』
クラムベリーは立ち上がり、ファヴに言うのであった。
『では、邪魔者が来る前に……』
『いってらっしゃいぽん』
チャットルームからクラムベリーの姿が消えるのであった。
残ったファヴは……
『それにしても魔女は何者ぽん?もしかしたら外部からの?』
魔女の正体を探る中、ある人物から連絡が来た。
それはマジカロイド44からだった。
『どうしたぽん?』
『いえ、お聞きしたいことがありマシて』
『聞きたいことぽん?』
『貴方も知っているとおり、私の魔法は未来の道具を使えるという魔法デスが』
『知っているぽん。皆の魔法はファヴが一番分かっているぽん』
『では、ぶっちゃけ言いマスと、魔女は残っている魔法少女の中にいマス』
『………詳しくぽん』
次の日、二人と待ち合わせ場所に向かう途中のことだった。
黒いドレスの少女が鉄塔の上を見つめていた。
鉄塔の上にはすでに二人が来ている。
そんな二人を見つめる怪しい少女。
おまけに魔女の外見と同じ……
「そこのお前、何をしてるんだ?」
「…………」
少女が私の方を振り向いた。
黒一色の少女。
「お前が魔女か?」
「違う……私はハードゴアアリス」
聞き覚えのない名前だった。
いや、聞いた覚えがある。
前にシスターナナから新しい魔法少女の教育係になったって、その時に名前も聞いていた。
「悪いな。人違いだった」
「魔女のことは聞いてる。教育係の人からも疑われた」
それは仕方ないことだ。
魔女の外見と同じなんだから、誰だって勘違いする。
でも気になるのはどうしてこんな所にいることだ
「スノーホワイトとラ・ピュセルに何か用か?」
「……スノーホワイトにお礼を言いたくって」
「お礼?」
「前に助けてもらったことがあるから……」
お礼をいうためにこんな所で見ていたのか。
それだったらすぐに言えばいいのに……
「一緒に行くか?」
「ううん、きっとスノーホワイトは覚えてない」
ハードゴアアリスはそう言って、どこかへ去っていった。
とりあえず敵ではないみたいだし、あとで報告だけでもしておくか
その後、二人と合流し、いつも通り人助けをしながら魔女への警戒をしていた。
そして時間は0時過ぎ、
「………ヴェリテ」
3人で帰る途中、ラ・ピュセルは険しい顔をしていた。
「何?」
「誰かがこっちをみている」
「お前も感じたか。どうする?逃げるか」
「逃げるのもいい手だけど、スノーホワイトが狙われる可能性がある」
「それじゃ……」
「うん」
どっちかが囮になって、スノーホワイトを逃がすことになる。
それだったら……
「囮は私がやる。ヴェリテは別れた後スノーホワイトを守っていてくれ」
「………」
ラ・ピュセルは覚悟を決めているみたいだ。
そんな奴のジャマをすることは出来ない。
私ただ、分かったと言うのであった。
「それじゃラ・ピュセル、ヴェリテ。送ってくれてありがとう」
「これぐらい騎士の役目だから……」
「それじゃ私もここで……」
「あぁ」
「また明日ね。二人共」
スノーホワイトとヴェリテが帰るのを見届けたラ・ピュセル。
「……出てこい。いるんだろう」
「やはり気が付かれていましたか」
視線の正体は森の音楽家クラムベリーだった。
「今はキャンディー争奪戦をやっていない。だけどお前がこうして付け狙ってきたということは……お前が魔女か?」
「ふふ、魔女ですか。残念ですが違います。私がこうして出てきたのは魔女に殺される前に強敵と戦いたいだけです」
「強敵?」
クラムベリーが魔女ではないというのは本当かどうかわからない。
それに強敵と戦いって理由もわからない。
だけど……
「お前が何をしたいかわからない。だけど、お前みたいなやつを放っておいたら、きっとスノーホワイトの身にも危険が及ぶ。だからこそ……」
ラ・ピュセルは剣を構え、宣言した。
「我が名はラ・ピュセル。森の音楽家クラムベリーよ、相手になろう」
「ありがとうございます…それでは、全力で行かせてもらいましょう」