ラ・ピュセルは周りに被害が出ないように、距離を置きながら住宅街から移動していく。
だがクラムベリーはそんなのお構いなしに接近しつつ、ラ・ピュセルに攻撃を仕掛けていく。
剣で防いでいくが、何故か攻撃を受けてしまうラ・ピュセル。
(音楽家って言われてるんだ。奴の魔法は音!迂闊に防御していたらこっちがやられる。それだったら……)
ラ・ピュセルは剣を巨大化させ、思いっきり振り回した。
クラムベリーはそれを避け、呆れたように話しかけた。
「そんな単純な攻撃が喰らうと思っているんですか?」
だけど、突然ラ・ピュセルの持つ剣が消えた。
一瞬戸惑ったクラムベリーの右肩にナイフが突き刺さった。
そのナイフはラ・ピュセルの剣だった。
ラ・ピュセルは振り回している最中に剣の大きさを変え、剣が消えたように見せ、クラムベリーに投げつけたのだった。
クラムベリーはナイフを抜き、ラ・ピュセルに向かって投げ返した。
「ふふ、そうでしたね。貴方の魔法は剣の自由に大きさを変えられるでしたね」
「どうして私の魔法のことを知っているんだ」
「聞いたからですよ。ファヴから……」
「ファヴが……」
クラムベリーとファヴが繋がっている。その言葉を聞いて、ラ・ピュセルはある疑惑が浮かんできた。
「まさか魔法少女が増えすぎたからって始まったキャンディー争奪戦も……」
「えぇ、私とファヴが楽しむためのものですよ。私は強者との戦いを、ファヴは殺し合いを……」
「そんなことのために私たちは魔法少女にしたのか!!」
「本来でしたら、キャンディーでの犠牲から始まり、奪い合い、そして殺し合いに発展させるつもりだったのが、魔女と呼ばれるもののせいでゲームの進行が進んでしまいました」
「ゲーム……人の命を弄び事がか!!」
ラ・ピュセルがクラムベリーに接近し、大きく剣を振りかざした。
「隙きが見えますよ」
剣を振りかざすラ・ピュセルに目掛けて、クラムベリーが音を出そうとした。
だけどその時、横から風圧が襲いかかり、クラムベリーを吹き飛ばした。
危機を救ったのは砂袋をもったヴェリテだった。
「な、ヴェリテ!?」
「ギリギリのところだったな。ラ・ピュセル」
「どうして来たんだ!スノーホワイトは!!」
「スノーホワイトなら大丈夫だ」
少し前、スノーホワイトが家に帰り眠りにつくのを見届けた私。
「何があるかわからないからしばらくここに居たほうがいいよね」
そう思いながら、見張っていると上の方から誰かが声をかけてきた。
「何してんだ?ヴェリテ」
「ん?トップスピード、リップル」
箒に跨るトップスピードとリップルがいた。
トップスピードとリップルの二人が降りてくると、
「何だ?魔法少女が覗きか?」
「違う。ラ・ピュセルに頼まれたんだ。スノーホワイトを守ってくれって……」
「ラ・ピュセルに?その本人は?」
「多分戦ってる」
「魔女とか!?」
「それは分からない。今すぐ行ってあげたいけど……頼まれた以上はここを離れられないし………」
「それだったら俺達が代わりに見ててやるよ。ヴェリテはすぐに行ってやれ」
「いいのか?帰る途中だったし……」
「いいって、なぁリップル」
「ちっ、面倒なことに巻き込まれた」
「リップル。俺達は仲間なんだから協力してやろうぜ」
「………分かった」
「ありがとう。二人共」
スノーホワイトの警護は二人に任せて、私はラ・ピュセルの元へと向かった。
「というわけ、さっさと終わらせよう」
「あぁ」
私は拳を構え、起き上がるクラムベリーを睨みつけた。
「今のが貴方の魔法ですか……確か」
「私の魔法は自分の力を引き上げる事ができる。限界以上まで上げたらあんたは木っ端微塵になる」
「出来るのですか?さっきの風圧が来た時、神経が切れる音が聞こえましたよ」
どんだけ耳が良いんだよ。
助けるために咄嗟に許容範囲以上で魔法を使ったから、右腕が痛い。
だけど泣き言を言ってられない
「数ではこっちが有利だけど、ラ・ピュセルも私も怪我してるし、隙きを突いて逃げよう」
「だけどここでクラムベリーを倒さないと……もっと酷いことになる」
「スノーホワイトを守るんだろう。お前はここで死んじゃダメだ」
「くっ!」
逃げることに納得しないラ・ピュセル。だけど私は右腕の力を限界まで上げ、クラムベリーに向けて、拳を振ると同時に砂袋を蹴った。
拳の風圧と同時に砂袋の砂が巻き上げられ、クラムベリーの視界を奪った。
視界が晴れる前に私たちは逃げ出すのであった。
住宅街から離れた森の中に逃げ込んだ私達。
「とりあえず逃げられたか?」
「悪かった。ヴェリテ、助けてくれて……」
「いいよ。さっきも言ったけどラ・ピュセルには死んでほしくないから……」
「………そうだよな」
安堵したラ・ピュセル。だけどその時茂みから物音が聞こえ、振り向くとそこには黒いドレスの少女がいた。
「お前は魔女!!」
「……………」
魔女はただラ・ピュセルを見つめているだけだった。
(ヴェリテはまだ腕が動かない。何とか隙きを突いて逃げないと……)
「ヴェリテ、逃げられるか?」
ラ・ピュセルがヴェリテの方を見た瞬間、何かがラ・ピュセルの体を貫いた。
「えっ?」
魔女は動いておらず、ラ・ピュセルの身体を貫いたものを見ると誰かの手だった。
「まさか………」
貫いていた手が引き抜かれ、膝をつくラ・ピュセル。
そしてラ・ピュセルを見下ろすのは二人の魔女だった。
「お疲れ様。スイムスイム」
魔女の一人の姿がスイムスイムに変わった。
ラ・ピュセルはすべてを理解した。
魔女の正体を……
「ヴェリテ……お前が魔女だったのか……」
「ラ・ピュセル。ここまで誘導するのは大変だったよ。スイムスイムもお疲れ様、あとはゆっくり帰って休みなさい。後でいいものを上げるわ」
「ありがとう」
スイムスイムを見送るヴェリテ。ラ・ピュセルは剣を握り、ヴェリテを切ろうとした。
だがヴェリテがそっと剣に触れた瞬間、剣が折れた。
「その傷じゃ助からないわね」
「どうして……みんなを殺したんだ!!」
「殺した?人聞きの悪い救ったのよ」
「殺すことが救いなのか!!」
「それだけ喋る元気があるのね。でもねラ・ピュセル。悪いけど貴方にはここで……脱落してもらうわ」
ヴェリテはラ・ピュセルの首を手刀で切りつけた。
「スノーホワイトの事は任せなさい。貴方との約束守るから……」
残り12人
魔女の正体判明。
ラ・ピュセルも脱落でした。