食戟のソーマ 創作伝   作:幸村 聖臥

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ついに最終戦が決着。勝利を手にするのは司か創真か?


結末と道

司会「さあ、審査員の判定は?」

 

黒木場「うそだろ」

 

アリス「こんなことって」

 

電工掲示板には5対0の数字が・・・

 

司会「判定の結果、幸平創真選手の勝利。よってトータル3勝2敗で旧遠月軍の勝利」

 

【スタンド】

 

久我「や、やりやがったぜ創真ちん」

 

水戸「よっしゃー」

 

吉野「勝った。幸平たちが買ったよリョーコ」

 

榊「うん、奇跡みたい」

 

アルディー二「あいつ、やりやがった」

 

一色「信念を貫き、最後まであきらめなかった創真くんを勝利の女神は見放さなかった。いや、勝利の女神が見守っていたからこそ頑張れたと言ったほうが正解かな」

 

【中枢美食機関ベンチ】

 

叡山「うそだろ?」

 

紀ノ国「司先輩が負けた」

 

斎藤「しかも」

 

茜ケ久保「1票も取れないなんて」

 

薊「そ、そんなバカな」

 

【旧遠月軍】

 

城一朗「勝負あったな中村」

 

城一朗は、その場で勝利の余韻に浸る創真を眺めた。

 

城一朗(また、一回り大きくなったな創真)

 

創真「勝った! 俺が勝ったのか?」

 

そんな創真がぼさっとしている隙に誰かが駆け寄り飛びついてきた。

 

創真「うわ、わわわ」

 

ドスーン!

 

彼に飛びついてきたのは、もちろん薙切えりなだった。

 

えりな「バカ、心配したのよ」

 

えりなは、いつものように創真の静止を聞かずに襟元を掴んでブンブンと揺すった。たくさんの小言を交えて。しかし、創真は優しい顔つきで言った。

 

創真「わ、わりい。でも・・・」

 

創真が右手でピースサインをえりなに向ける。

 

創真「ちゃんと約束は守ったぞ」

 

すると、えりなは創真に思い切り抱き着いた。

 

えりな「何が約束を守ったよ。このバカ」

 

しかし、その表情には安堵と喜びが混じり合い。えりなの顔は幸せそうだった。

 

【一方】

 

司「負けた。この僕が負けた。・・・嘘だ。こんなのは嘘だー」

 

小林「司落ち着け」

 

司「うるさーい」

 

パチン!

 

司は竜胆を平手打ちにした。そして、頭を抱えながら喚きだした。

 

司「こんなの幻だ。俺が負けるはずがない」

 

和希「相変わらず惨めなもんだな」

 

そこには、和希と新戸の姿があった。

 

小林「一ノ瀬に新戸?」

 

和希「うぬぼれるのも大概にしろやこのアホが」

 

司「何だと?」

 

新戸「司先輩、確かに技術ではあなたの方が勝っていたでしょう。ですが、この戦いにおいて・・・いや、料理人として大切なモノをあなたは忘れてました」

 

司「一年が調子に乗るなよ」

 

司は、調理場の包丁を手に取った。普段の司からはありえない殺気を竜胆は感じていた。

 

小林「おい、一ノ瀬、新戸逃げろ」

 

司「一年が俺に説教するな」

 

司が包丁を振りかざす。しかし、それを和希は難なく腕を掴んで防いだ。

 

和希「新戸に包丁向けるとは、いい度胸してるじゃないですか先輩」

 

グッ・・・ゴキ・ボキ

 

司「ぐあーーー」

 

司は、腕を抑えてその場にうずくまった。ものすごく痛そうにしている。

 

和希「竜胆先輩すいません。軽く骨を折っちまいました。あとは頼みます」

 

和希は、司の横を通る際に一言残した。

 

和希「アンタが与えた痛みはこれ以上だぞ。本気で料理人としての心を取り戻したいなら痛みをこらえ、そして這い上がれ」

 

新戸は、和希についていこうとするが、その前に竜胆に言った。

 

新戸「すいません竜胆先輩。でも、あいつなりの先輩への思いやりなんです」

 

小林「ああ、分かってるよ。ありがとな新戸ちゃんもう行きなよ」

 

二人を見守りながら竜胆は、スッと司を抱きしめる。すると、司は痛みはあるもののいつもの優しい表情に戻った。

 

司「竜胆?」

 

小林「今は、何も言わなくていいよ」

 

そんな言葉に司は涙した。喜びと悔しさの入り混じった涙だった。

 

【創真たち】

 

アリス「やったわね幸平くん」

 

葉山「本当にお前には毎度驚かされるぜ」

 

黒木場「俺だったらもっとうまく作れるけどな」

 

田所「あれ? でも黒木場君試合に負けて・・・」

 

黒木場「ああん?」

 

田所「ひーごめんなさい」

 

そんな歓喜に暗く寒気を感じるオーラに創真は気づいた。えりなの父・薊だ。

 

薊「えりなは、渡さない。えりなはこの遠月の私の傑作。美食をしらない奴らに奪われてたまるか」

 

和希「懲りないねー、あのおっさん」

 

新戸「えりなさまお下がりください」

 

えりな「いえ、大丈夫よ」

 

えりなは、みんなを制して薊の下に近寄る。

 

えりな(私もけりをつけなくちゃ)

 

薊「えりな」

 

えりな「お父様。わたしは・・・」

 

ガシッ!

 

えりなが言葉を発しようとする前に彼女の手首を力いっぱい握る。

 

薊「よくも、よくも父さんに恥をかかせてくれたね。君には、もっと厳しい教育が必要なようだね」

 

えりな「ちょっと、離してお父様。私は勝ったんです。もうお父さんの操り人形にはならない」

 

その瞬間、薊の右手がえりなの頬をヒットする。

 

薊「父さんに口答えする気かえりな。私は、まだ負けてない。こんな奴らに負けてたまるか」

 

創真「てめーいい加減にしやがれ」

 

和希「勝負はついたんだ。何度やっても結果は同じだぞ」

 

薊「うるさい。分かってないなここは今や僕の城なのだよ。私こそ食の帝王・・・」

 

ガスン・・・

 

会場に鈍い音が響き渡る。そこに城一朗の姿があった。

 

薊「ち、血!」

 

城一朗「久々に俺も頭来たぜ中村」

 

薊「才波先輩!」

 

城一朗「てめーは、何一つわかっちゃいねえよ。料理のことも俺のことも創真のこともえりなちゃんのこともな」

 

薊「何ですって?」

 

仙左衛門「城一朗の言う通りじゃ」

 

えりな「おじいさま?」

 

仙左衛門は、えりなを起こしてくれた。そして、殴られた頬を優しく撫でた。

 

仙左衛門「よく、頑張ったな我が孫娘よ」

 

創真「薙切の爺さん」

 

創真が駆け寄ると仙左衛門がえりなをそっと創真の方へ送り出した。

 

仙左衛門「ここからはわしらの出番じゃ。幸平君よえりなを頼む」

 

創真は、えりなを支えるように抱き寄せた。

 

創真(分かってるよ。薙切の爺さん」

 

仙左衛門「薊よ、お前の野望もこれまでじゃ。即刻この学園から立ち去れ」

 

 

 

 

 




司に勝利し、中枢美食機関を下した創真たち。次週は遠月の行く末や創真たちの今後が明らかに

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