司会「それでは、両者調理スタートです」
和希「スペシャリテか」
葉山「一ノ瀬どうかしたのか?」
和希「いや、この勝負のとりを飾るには最高なテーマだなと思ってな」
【観客席】
吉野「見て。司先輩の材料」
伊武崎「あれは、熊肉か?」
田所「熊肉って確か創真くんが・・・」
アルディーニ「葉山との食戟で使った材料だ」
新戸「癖が強い分扱いが難しい材料を選んできたというのか?」
一色「よっぽど自信があるんだろうな司先輩」
【メインステージ】
ベンチでは、えりなが落ち着かない様子で戦況を見つめる。
城一郎「えりなちゃん、やっぱり落ち着かないかい?」
えりな「いえ、そういうわけでは」
アリス「アンタが心配したってしょうがないでしょう」
えりな「分かってるわよ。でも・・・」
葉山「アリス嬢の言う通りだぜ。俺たちはあいつを見守ることしかできねえんだから」
えりな「でも、相手は司先輩よ。そう簡単に・・・」
和希「大丈夫だよ。創真は、同じ相手に二度もやられるタマじゃないから」
両者の作業に無駄がなく。一瞬の隙も感じられない。
司「幸平、以前の食戟より成長したみたいだね」
幸平「いいんすか司先輩、完璧主義のアンタが手より口を動かして」
司「相変わらず喰えない男だね君は。なら見せてあげるよ僕の真の力を」
司はメインの熊肉の調理に取り掛かった。その姿は包丁さばきからスパイスを扱う指先や調理器具を扱う手さばき、どれもが優美なまさに「美」を表現するかのような動きだ。そんな姿に会場の皆は魅了されていった。
黒木場「なんて涼しい顔で調理してやがる」
葉山「動きに無駄がねえ。これが彼の本当の実力なのか?」
アリス「それよりも要注意なのは彼の醸し出すオーラかもね」
えりな「司先輩の十八番よ。料理の味云々よりも精神的ダメージを与え戦意を奪うあの姿が」
葉山「並大抵の奴じゃ。戦意を失うってか」
みんなが不安げに創真を見つめる。しかし、創真はその光景に臆するどころかペロッと乾いた唇を軽く舐め、笑みを見せた。
和希「どうやら心配は無用かもね」
【スタンド】
伊武崎「今、幸平の奴笑わなかったか?」
榊「うん、私にもそう見えたけど
一色「どうやら心配はないみたいだね」
(そうだな。あのタフさは並大抵ではないだろう)
みんなの前に二人の大人がやってきた。
一色「いらしてたんですか・・・シャペル先生、汐見先生」
汐見「遠月の命運を変えた大一番を見逃すわけにはいかないでしょ」
シャペル「野暮用で遅れてしまったが間に合ってよかった」
丸井「野暮用ってなんですか?」
シャペル「まあ、見てれば分かるさ。その答えが」
【メインステージ】
司は、その場の空気に違和感を覚えた。創真が笑みを浮かべながら司と目を合わせたからだ。今まで、この完璧の光景で崩れ落ちた相手などいなかったのに
司「何がおかしいんだい?」
幸平「いやうれしんっすよ。司先輩が本気を出してくれて」
司「あまり調子に乗らない方がいいよ幸平」
幸平「調子になんか乗ってないっすよ。ただ、あんたを超えなきゃ越えられない壁があるだけで」
今後もよろしくお願いします