不滅の桜に捧ぐ、諸行無常の祈り   作:未来

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プロローグ①

地表が燃えている

 

世界が燃えている

 

文明らしきものはすべて踏みつぶされた

知性あるものは隷属さえ許されなかった

 

汚染された動物たちは苦しみ、巨大化し、走り続けた後に自壊した。

 

早すぎる、と予言者はおののいた

 

戦うのだ、と支配者はふるいたった

 

手遅れだ、と学者たちはあきらめた

 

でも、少しぐらいは残るだろう、とアナタたちは楽観した。

 

 

――――本当の脅威が、その姿を現すまでは。

 

 

 

 

遥か外来からの来訪者。

当時の人類の観測圏が、太陽系までであれば、太陽系の外である銀河の彼方から到来した、それは異世界からやってきた、来訪者ともいえただろう。

その来訪者が齎したのは、破壊。

略奪ですらない、一方的な破壊。地表を燃やし、世界を燃やした災悪でさえ、その前座でしかなかった。

突如現れた、巨神によって、あらゆるものは踏みつぶされた。

 

その正体は、あらゆる文明を破壊し収穫し養分とする、全知的生命体の敵。

暗黒の宇宙より来る箒星にて、あらゆる文明を終焉させる収穫の星、ヴェルバー。

そして、魔の流星より零れた涙の一滴こそ、世界を終焉へと導く巨神、セファール。

 

その超越した力は、一国を滅ぼす兵器も、根源に因を為す創世の神秘も、大自然への信仰により生まれた神々でさえ、成す術もなく破壊された。

 

最強の神である、軍神すらも破れ、終焉へと至る刹那の時、雄大なる桜の木の下、世界の危機に対し召喚された英霊が、巨神を見上げていた。

この文明において、遠き過去、世界を手中に収めた、最初で最後の女帝。

太陽の聖剣を振るい、万軍を討ち滅ぼし、神殺しを成した、最強の英霊でさえ、数多の英霊と同じ運命を辿ろうとしていた。

 

「軍神すらも敗れ去ったか。この戦、文明(われら)の敗北だな。

く、呵々々、余が破れるなど生前を含め、初めてのこと、敗北の味とはこうも苦々しい物とは、死して尚、死に切れぬ想いよ」

 

豪華絢爛、幾重にも着込んだ和装は、無残に破れ、女帝の宝具である太陽の聖剣も、半ばから折れていた。

それでも尚、膝を付くことなく、凛と佇むのは、女帝としての矜持ゆえ。

敗北の味をかみしめながら、終焉への至る刹那の時であっても、満開に咲き誇る桜に手を添えた。

 

「―――すまぬな。如何なる敵からも護ると誓ったが、どうやら余はここまでのようだ。

余が盟約を破るのもこれが初のことか……まったくもって、忌々しい奴よ」

 

それは、彼女が女帝として歩む、きっかけ。

幾度、厳しい冬を迎えても、春には力強く、満爛と咲き誇る、桜が何よりも好きだった。

しかし、時は戦乱の世、戦禍の火が桜の木へ及んだ時、彼女は立ち上がった。

今も昔も、彼女が剣を持つ理由はただ一つ。

 

「我が盟友よ、余の覇道の散り際、そこで看取ることを許すぞ」

 

既に一度は死した身、そもそも、現界しているその体は霊体故に、今更、死は恐れるものではない。

死して尚、千年を超え、叶え続けた彼女の覇道の証

 

その証が、今、終焉を迎えようとした時―――――極光が、巨神の身を貫いた。

 

 

その超越した力は、一国を滅ぼす兵器も、根源に因を為す創世の神秘も、大自然への信仰により生まれた神々でさえ、成す術もなく破壊された。

 

しかし、生きたいという人々の願い。大切な誰かを護りたいという祈りが、希望の光となりて、神々さえ破壊した巨神を討ち滅ぼしたのだ。

 

はらはらと、雪の様に舞い散る光の中で、死に損なった彼女は、大いに笑った。

 

「呵々々々々々――――――――ッ!

おお、巨神よ! ここまで、余を愚弄するか!」

 

敗れ去った覇道。その時こそが、彼女の最期だと、生前より誓っていた。

だというのに、最後の最後、誰ともわからぬ希望の光によって、勝手に消えていったのだ。

赦されない、赦せるはずがない。敗北を与えておきながら、その最期を与えずに敗れた巨神へ、大いなる憎しみを抱いた。

 

「覚えておくがいい、巨神よ!

余は、最初にして最後、世界を手中に収めた、桜の女帝、イクステリア・ギルシレン・ルーヴェンフォード!

貴様に、終焉を齎す者の名である! 次に、まみえるときこそ、我が不滅の覇道が貴様を飲み込んでくれる!

呵々々々々々――――――――ッ!」

 

怨嗟と再戦の誓いをここに、盟友にして覇道の証である桜に、半ばから折れた聖剣を突き刺し、光となって消えていった。

 

 

 

 

そして、1万4000年の時が過ぎ、遠き月において終結した聖杯戦争。

その勝者である、岸波白野の下、新生される『SE.RA.PH』に新たに作り出された未開領域に、薄紅色の刀身が埋め込まれた、雄大に咲き誇る桜が現れた。

 

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