私の名前   作:たまてん

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グランドオーダー二次創作です。
注意・新宿編ネタバレを含みます。
推奨はパーティ行ってから、です。
それでもよろしければどうぞよろしくお願いします
そして最後に、一言。

……ドレス姿のジャンヌに撃沈しました。


少女な彼

 

 

ーー人生、何が起こるかなんてわかったもんじゃない。

 

何せ必然ばかりで出来ることはないからだ。

 

偶然の積み重ねが、人生という物語を完成させてゆく。

 

だから常に、未来は人の予想を裏切るだろう……。

 

ーーしかし。

 

「……流石に、これは予想外だった」

 

そうマスターはため息をつく。

 

本当に、気だるげに。

 

すると、彼の傍らに立っていた白髪の紳士が「応とも」と朗らかに笑っていった。

 

「……人生とは奇々怪々の物語。予測できなぬこともまた一興。これが君の予想を裏切れたというのなら、私としても嬉しい限りだ。実際私も超楽しいからネ!」

 

「ーー確かに。『予測外』あってこその人生だと思うが。だからこその推理だとわかっているが……まさかその顔からそんな言葉を聞くとは思わなかった。ワトソンくんがいれば、もっと気の利いた言い回しをするのだろうが……単刀直入に言って寒気がする」

 

傍らに立つ名探偵のセリフに、「そうだね」とあっさり同意する新宿のアーチャー。

 

「言いながらものすごく違和感を私も感じるよ。だがまぁ仕方がない。何分素材が良すぎた。彼の衝撃も相当だが、私も電撃が走ったよ」

 

「……そうですね。本当、衝撃的過ぎます……」

 

言いながら、マスターは今一度鏡に映る己の体を見る。

 

そこに見えるのは、いつもよく見る少年の姿ではなく。

 

ーードレスを身にまとった、一人の少女の姿だった。

 

「ーーなんでこんなことに……」

 

仕方がないさ、と新宿のアーチャー、もといかの有名な犯罪紳士はマスターの肩を叩いた。

 

「新宿のアサシンに顔を覚えられた以上、変装はあって叱るべきだ。それに生半可なものではすぐバレてしまう……ならいっそ、性別ごとやってしまえ、ということさ。あら、実に合理的結論……付け加えるとだ、彼女たちには実に受けがいいようだな」

 

ちらりと、アーチャーは視線を残る二人に向ける。

 

「……ああ。よく似合っているぞ、マスター…フフ」

 

ーー黒く大きなリボンが特徴のドレスを纏ったアルトリアは、そう腕を組んで言った。

 

しかし、いつも無表情なその口元はヒクヒクと痙攣しており、声も震えていた。

 

笑うまいと、必死にこらえているのがまるわかりである。

 

……しかし、体裁を保とうとしていた彼女のほうがまだマシだったかもしれない。

 

「……もう、ダメ。笑いすぎて死ねる……」

 

残る一人は、それ以上にひどかった。

 

ドツボにはまりすぎた彼女ーージャンヌはソファに身を投げ出して 、先程から散々笑い転げている。

 

ーー彼女が纏うは、アルトリアような「少女」とは対照的に白い肌を惜しげもなく露にした大胆な「女」のドレス。

 

その大人びた肢体も相成って、魔女の名に相応しい妖艶さを醸し出していたが、今となっては形無しだ。

 

……最初この美女二人をエスコートできるとなって、男として少々浮き足だったマスターであったが、今はため息しかでない。

 

ーーまさか三人目の少女になるなんて、夢にも思わなかったのだから

 

「そう、気を落とすなマスター。よく似合っているぞ。私があと十年若ければ口説いていただろう……いやしまった。十年若返ってもアラフォーだ、私」

 

「それは同意しよう。私から見ても君は可憐な少女に見える。誇るといい、カルデアのマスターくん」

 

「何をですか……?」

 

むしろ誇りとか投げ捨てた姿じゃないのか、これ。

 

しかし、落ち込む彼の真意など気にも止めず、二人の紳士は「さて……」と話題を切り替えた。

 

「……そろそろパーティ会場に向かうとするか。我々も準備があることだし」

 

「然り。ではお嬢さん方、参りましょう」

 

しかし、促す彼らを待ちなさい、とジャンヌが制止する。

 

「……貴方たち甘すぎ。こんなで騙せるわけないでしょ?まだ足りないものがあるわ」

 

「ほう?それ何かね?」

 

アーチャーの言葉に、「それはねぇ……」とジャンヌは笑う。

 

……あ、これ絶対ろくでもないやつだ。

 

そして、マスターのその推察は正しかったのか、彼女はこれよ、と言って差し出す。

 

ーーその手には、白くそこそこ大きな二つのかたまり。

 

「……あの、ジャンヌさん。これはいったい……?」

 

恐る恐る、マスターは尋ねる。

 

すると、少女はこういうときに限って満面の笑顔を向ける。

 

「ーー何ってパットよパット。貴方のその貧相な胸じゃあ、すぐに男だってバレちゃうから。使い方わかる?」

 

 

ぶんぶんぶん!とマスターは首を横に振った。

 

わからないし、知りたくない。

 

てゆうか、使いたくない。

 

その反応を見て、ますますジャンヌの表情は歓びに満ちていく。

 

「しょうがないわねぇ……なら私が教えてあげるわ。仕方ないから、嫌々ながら教えてあげるわ」

 

ジャンヌはわきわきと指を動かしながら近づいてくる。

 

背後に後ずさったがガタリとすぐ後ろの鏡につかかった。

 

退路はない。

 

終わった、とマスターが思った瞬間だった。

 

斬、と空を切る音。

 

「……別に胸などなくても構わないだろう」

 

二人の間に黒剣を振りかざしながら、アルトリアがそう言った。

 

すると、ジャンヌは邪魔すんじゃないわよと彼女に毒づく。

 

「ある程度なきゃ不味いのは確かでしょうがーーああ、でも大丈夫か。元からマスターよりも絶壁な奴がいたからねぇ」

 

「黙れよホルスタイン女。それ以上口を開けば火薬燃料にしてやる……無駄にいい脂が乗っているからな。よく燃えるだろうさ」

 

「……殺んの?」

 

「殺る」

 

「やめて!私の(胸の)ために争わないで!?」

 

 

マスターの制止など聞くことはなく、狭い地下室でドンパチを繰り広げる二人。

 

「いやはや若い。私もあんな青春が送りたかった。渡り合えるライバル、なんとも結構。そうは思わないかホームズくん」

 

「お望みとあらばご一緒しよう。ところで教授。滝はお好きかね?」

 

「本当に私には容赦ないネ君はっ!!」

 

ーー大丈夫かな、この人たち。

 

これからやっていけるかな……?

 

行く先が不安で仕方ない、とか弱く悩む彼女(?)なマスターであった。

 

 

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