―――――助けて。
あの日。
俺は地獄から救い出された俺は、それですべてが助かったんだとばかり思ってばかりいた。
だが、現実はそこまで甘くはないと身をもって経験することになった。
”異能者”
”異端者””能力者”とも言われるソレは、ISと呼ばれるパワードスーツによって立場を奪われた男たちが作り上げた、狂気の人体改造人間。
ISが女しか使えないという理由で作り上げられた極端な女尊男卑世界。
そんな世界には全てを失った男たちが五万といた。
その男が集まって作り上げたのが、先ほど言った”異能者”たち。
ただの人体改造を施されている訳ではない。
”異能者”に求められるのはただ一つ、
”ISを圧倒できるチカラを保持すること”
そのせいで沢山の人間が犠牲になり、やっとのことで完成した100近くの”異能者”
通常の物理法則を凌駕し、ISをもろともしない戦闘能力を持っている。
嘘にしか聞こえないかもしれない。
だが、それは紛れもない現実だ。
ISの開発者篠ノ之束の言葉、ISはISでしか勝てない、という常識となりつつあることを紙を破るよりも簡単に壊せる。
そして俺は、その”異能者”の一人だった。
世間で”異能者”は嫌われている存在でしかない。
当たり前だ。ISに勝てるモノを作り上げた男たちは、”異能者”の実力を見せつけるために中央アジアの国を一つ滅ぼしたのだから。
このせいでISのコアを2つ失っている。絶対数467個のISのコアが。
この事態を重く見たであろうIS委員会は、”異能者”狩りとのちに言われることを始めた。
内容など至って簡単だ。
残ったISのコア465をフルに使い、100人近くの”異能者”を殺す事。
それは奇襲をかけたこともあって、なすすべもなく”異能者”は借り尽くされていった。
”異能者”といっても実際は、未成年の子供が操られていただけの話。
操られなければ、ただパニックに陥るだけ。そうなれば相手からすれば簡単なこと。
そして俺も、本当なら殺されて今ここにはいないはずだった。
それはただの運だったのか、たまたまだったのか分からない。
みんなが殺されていって、呆然としていた俺の前に現れたのは俺の姉、千冬姉さんだった。
5歳の時に誘拐されて以来、二度と会えないと思っていた千冬姉さんが現れてくれた。
俺の名前を言ってくれて、”異能者”と知っていたのにISを解除して抱きしめてくれた時の嬉しさは今でも忘れることなんてできない。
そのあとはほとんど覚えていないが千冬姉さんの話から聞く限り俺は、普通の生き別れた弟と
して保護されたそうだ。
今でも、俺が”異能者”だということは千冬姉さん以外知らないが、禁句にはなっている。
冒頭に戻るが、救出されたといえそれで終わりというわけにはいかなかった。
実験体として誘拐さたのが5歳の時、救出されたのが12になったばかりの時だ。
つまり、俺はほとんど教育というものを受けていないということになる。
一応読み書き程度ならば普通にできるが、ほかの事なんてほとんど知らない。
読み書きなら年相応にできるが、ほかの事は小学生以上にできないということ。
今はどうにか追いついては来たが、やはり時間が圧倒的に足りず、世に言う落ちこぼれに近いと言った所か。
それだけではない。他人との関わり方、戸籍など沢山の問題が浮かび上がって来た。
それを全て片付けてくれた千冬姉さんには頭が上がらない。
千冬姉さんは何もできないような俺を、家族というには少なすぎるくらい大切にしてくれている。
だからこそ、千冬姉さんに言いづらいことが3年間言えないままだ。
―――――俺は長くは持たないなんて事は