IS あの空もきっと蒼い   作:AK74

8 / 11
 第七話

 ”英雄”クレア=インヒューマニティと織斑一夏の試合。

 その出来事はIS学園の中に留まることはなかった。

 クレア=インヒューマニティがマスコミに向けて発表したからだ。その情報は瞬く間に世界に広がった。

 試合が決まった次の日当たりにはニュースとして全世界で報道。世界はざわめきたつ。

 なにせ”英雄”と唯一の男性IS操縦者の試合。騒がないというのがおかしい。

 インタビューももちろん行われた。

 ソレでのクレア=インヒューマニティの発言は、まるで一夏をそこらへんの虫けらのようにしか思っていないようなもの。

 誹謗中傷は当たり前、挙げ句の果てには「どうせ私が勝つのだから試合をする意味がない」という発言まであった。

 しかし、誰もその発言に対してバッシングをする者はいない。なにせ、一夏が試合を挑んだということを馬鹿馬鹿しいを言い捨てる始末なのだから。

 バラエティー番組でもどちらが勝つかというもはや定番とも言える考察を行われたが、もちろんどの番組も一夏が勝つという結論には至らない。

 どう転ぼうともアリス=インヒューマニティが勝つと結論づける。

 多少のハンデをつけても焼け石に水だと付け加えて。

 

 対する一夏と言えば全てのインタビューを断り、ただISの調整をするだけだった。

 ソレを弱虫と、世界中が叩く。

 あまりにも世界は洗脳されきっていた。

 

 

 そして二人の試合は全世界生中継されることが決定。

 その会場は第一回モンドグロッソで使われた、一番最初のアリーナ。

 東京湾に建てられた建造物だ。

 

 

「悪くないな・・・・」

 

 試合直前のピットでホワイトグリントの最終確認を行う。

 機体との感覚のズレも0に近い程小さく、束に作ってもらっていたパッケージも問題ない。

 左腕には01―HITMAN (軽量高精度マシンガン)に右腕に07-MOONLIGHT(超高出力レーザーブレード)を装備している。07-MOONLIGHT が直撃すれは、例え無傷だったとしても一撃でエネルギー残量を大きく削りかねない威力だ。その分エネルギー消費は激しいが。

 そしてスラックガンKAMAL(背部用ショットガン)を攻撃力増強のために右肩へ、牽制用に反対にへとVTFミサイルDEARBORN03(近接信管ミサイル)を装備した。

 完全に近接戦闘のみに特化させた装備だ。調整も今までの中距離用から近接タイプに変えておいたために不足はない。

 

「・・・・・・あと少しか」

 

 時計で時間を確認してみればまだ幾らか余裕がある。

 ため息をつきつつ自分の体を眺めた。

 

(・・・・・・ゴツイな)

 

 俺の体はガッチリと締め付けてくるどこぞのパイロットが着てそうなスーツを着用しているからだ。 

 通常のISスーツよりもはるかに防刃性、防弾性に優れ、市販されているほどの刃物であれば傷付けることは不可能。マグナムの銃弾でも受け止めるほど強靭だ。

 そして極めつけは耐G性能の高さだ。コを身につければ戦闘機パイロットはGによる身体ダメージは一切なくなるというほどの性能を誇る。

 こんなのを何故きているかと言えば、ホワイトグリントの機能を万が一使った時のためだ。その機能をもし通常のISスーツでやろうものなら、確実に操縦者は死ぬ。

 体にかかるGに耐えられないためだ。一瞬の間に、しかも連続でありえないほどのGがかかる。

 ISスーツ程度の性能では耐えうることなど不可能だから。

 まぁ、原因はそれだけではないのだが。

 

”選手はアリーナへ出てください”

 

 放送が入る。

 俺はホワイトグリントを部分展開から完全に展開させる。

 システムスキャンが入り、しばらくの後オールグリーンという情報がモニターに映る。

 

「・・・叩き潰す」

 

 誰に言うまでもなくつぶやき、メインブースタをアクティブ。

 飛び立つ。アリーナへと。

 

 

 

 

 

 

 

 あっという間に倒せる。なんの苦労もないまま終わる。

 クレア=インヒューマニティはそう、試合前では思っていたのだが、

 

(・・・・・・・やけに耐えるわね)

 

 決定打を与えられずにもう5分近くの時間が経とうとしている。

 クレアのISは性能的には遠距離戦闘タイプの機体だ。ミサイル、チェーンガン(ACにおける背部用マシンガン)といった背中の武器で相手との距離ととりつつ、牽制。両手に持つスナイパーキャノンでの本命打を決めるといった戦法を取る。

 シンプルゆえに強力な戦い方で、今まで何人もの操縦者を倒してきた。

 だが、今回ばかりは違った。

 通常通りの戦法を取るものの、上手く流れに持っていけないというのだろうか。ミサイル、チェーンガンは幾らか当たるものの、本命のスナイパーキャノンは確実に回避されてしまう。

 確実に削っているものの、ソレは向こうも同じだった。

 マシンガンをばら撒きつつ、背中のショットガンでダメージの上乗せ。距離を離せば、近接信管ミサイルらしきもので追撃。

 

(戦いにくい・・・・)

 

 たくみに直撃被弾だけは免れているものの、ショットガンの弾質的に完全回避は難しい。

 だが、それでも近接主体の一夏の機体についていっていることは流石世界トップクラスの実力というべきか。

 

「――――――――――――フッ!!」

 

 ズガン!!とクレアに握られたスナイパーキャノンが火を吹くも、短距離を瞬間的に動く、瞬時加速とは違った機動でよけられる。

 クレアが知る由もないが、ソレはクイックブースタと言われるものだった。ホワイトグリントにしかできない移動方法。

 

(・・・・・・・イライラする)

 

 一撃も入らない。

 たったこれだけのことがここまで精神的にくるとは知らなかった。

 

 現状でのエネルギー残量の差は大差はないものの、クレアが勝っていた。

 

(男のくせに・・・・。認めるか)

 

 気に食わない。男が専用機持ちなど認めない。

 

(最後に立っているのは私だ・・・・!!)

 

 クレアは背中のミサイルランチャーに残っていたミサイル――総数20発――を同時ロックオン、牽制にわざわざスナイパーキャノンを発射。

 予想通りにその弾丸をクイックブーストで避けた。

 

(狙い通り!)

 

 すぐさま全てのミサイルを一斉射出。連続発射されたソレは複雑な軌道を描きながら、目標の一夏に向かって飛ぶ。

 

「!」

 

 再度、そのミサイルをクイックブースタで避けるが、完全には避けきれず幾らか被弾。

 

(スキ有り)

 

 ニヤリと笑いたくなる衝動を抑え、あらかじめ狙いを定めていたスナイパーキャノンの引き金を引く。

 今度は避けられずに直撃。大きくエネルギーを減らした。

 

(ふぅん?そうゆうことねぇ・・・・)

 

「どうしたの?あの気合はどこに行ったのかしら?」

 

 戦いの流れを掴んだ。

 そんな気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――左腕部被弾。

 

 ホワイトグリントのコンピューターが無慈悲に被弾したことを伝えてくるが、体で理解している。

 それよりも深刻なのは、クイックブースタの弱点を見抜かれたことだ。

 瞬間的に短距離を移動するコレは、被弾率を高速移動ということにより下げることができるが、いいことずくめではない。

 瞬間的に、というのはたった一瞬の時間に急激なGが体に掛かる。

 近接戦闘用に調整された今のホワイトグリントなら、時速2500から2800のスピードだ。

 何もなくない訳が無い。いくら高性能のISスーツを着ているとは言え完全にGを防げるわけはない。

 そこをクレア=インヒューマニティに突かれた。

 

 そしてスナイパーキャノンの直撃。

 普段のPA(特殊バリアー)ならダメージは軽減できたが、今回ばかりは違う。機動性を重視するために、PAに対するエネルギーの大半をブースタ出力に振ったためにあまり効果をなさない。

 キツい戦いになりそうだった。

 

―――左腕残弾30%

 

 マシンガンをばら撒きながら戦っているとそんな警告が鳴る。

 

 ヤバイ。

 

 そう直感的に悟る。

 

 焦りを悟られないようにしつつ、パススロット内の武器を確認するも、プラズマキャノンSULTAN

アサルトライフルの04-MARVEと、弾数不足が目立ち始めた。

 

 牽制用のVTFミサイルはとうに打ち尽くした。スラックガンKAMALも散弾のために弾が少ない。10多く見積もっても10回がせいぜいだ。

 となれば07-MOONLIGHTを主力にしていくしかない。距離を詰めることがなかなかできなかったために使わなかったが、この際言ってられない。

 

「ほぉら!また当たった!」

 

 クイックブースタのダメージが響き、また直撃を受けてしまう。エネルギーはとうとうイエローゾーンに入る。

 

 オーバードブースタの起動コマンドを入力。甲高い音が響き爆発的な加速度を持って一瞬で3000キロを超えるスピードをたたき出す。

 体に掛かるGを歯を食いしばり耐え、07-MOONLIGHTにアクティブコマンド。

 

「この!!」

 

(まだだ!)

 

 OBを起動しながら、前に向けてクイックブースタを連続で使用する。

 距離という壁を一瞬で破りさり、ブレードを振り抜く。

 

「ああああああッ!!!」

 

 確かな手応えを感じそのまま脇をすり抜けるように突き抜ける。地面にぶつかる前にバックブースタを吹かし速度を幾らか緩和。サイドブースタを使い180回転、地面に両足を踏み抜く勢いで突き刺し、メインブースタも出力全開に。

 モニターを見ると相手のエネルギーは大きく減り、形勢逆転というところか。その分、体中が激痛だが。

 

「ふざけるな・・・・・・」

 

 そんな声が不意に聞こえた。

 

「ふざけるな!!男風情が、調子に乗ってんじゃないわよ!!!!!」

 

「・・・・・何なんだ」

 

 その声を発しているのは、俺がたった今切りつけたクレア=インヒューマニティだった。

 

「あはははははははははははは!!!!!」

 

 トチ狂ったのか、そう思ってしまうほどに狂っている。

 試合中ということも忘れて。

 

「ははははは・・・・・・!!!ああおかしい。なぁ、なんでお前が生きてる?”異能者”風情が。偽ってるようだけど無駄。お前のことはあの時見てるんだよ、IS相手に戦闘してるとこをなぁ!!」

 

「・・・・・・・ッ」

 

 コイツの目的はこれだったとのかもしれない。全世界生中継させたのもコレをどこかで言うつもりだったのだろう。そして俺をこの世界から消し去る。こんな事をされてしまえばどこにも居場所はなくなる。

「見ないうちに偉くなった」という言葉もあの時見られているなら納得がいく。

 

(コイツ・・・・・・!!)

 

 観客席は騒然としている。当たり前だ。俺が”異能者”と堂々と、しかも証言もきちんとある。コレだけは紛れもない真実。

 

「・・・・・・そうだ。俺は”異能者”だ。悪いか」

 

 腹を括った。

 

 もう、俺の居場所はこの世界にはどこにもないと知りながらも。

 

「”異能者”風情が!!!」

 

「アンタたちが居たせいで家族が死んだのよ!!」

 

「お父さんを返せ!!!」

 

 観客席からバッシングの嵐が巻き起こる。何十万と人が集まっている中のバッシングだ。とてつもないくらいうるさい。

 

「ははははは!!いいざまね!!私に楯突いたのが運の尽きよ」

 

 そう言われるもはっきり言ってしまえば聞き取ることはない。

 

 ここにいるやつら全員を殺したくなる衝動にかられる。”異能者”のことを何一つとして知らず、知ろうともしない。ただ自身に起きたことを真実と思い込み、誹謗中傷の言葉を投げつける。

 そんな奴らだと理解していたものの、やはり面と向かって言われると殺意を覚える。

 

 ISのチャンネルをオープンに変更し、音量を最大に引き上げる。

 

「黙れッッ!!!!!!」

 

 一瞬でアリーナが静まり返った。

 

「さっきから偉そうにポンポン言いやがって。いい度胸だな。やろうと思えば今ここにいる貴様ら全員殺せるぞ?」

 

「貴様・・・」

 

「貴様ら、ひとつ教えてやろう。三年前の”異能者”狩りの真実をな」

 

「な、なに?」

 

 誰かがポツリと呟いた。だが気にする余裕はない。

 

「一掃したとだけ伝えられているが本当はそんな生ぬるいものじゃない。虐殺だ。”異能者”99人はISを使われ、その操縦者に虐殺された。つまり、お前らが崇拝していた”英雄”とやらはただの人殺し、殺しを楽しむ快楽主義者だ」

 

「言ってくれるじゃない。誰が快楽主義者だ」

 

「お前以外の誰がいる?」

 

 静まり変えるアリーナの観客席は無視して、クズをバイザー越しに睨みつける。

 

「いいわ、殺す。そうすればその減らず口は二度と聞けないものね」

 

「・・・・・ふん。勝手に切れたのはお前だというのにな。実力で負けているのがそこまで悔しいか?」

 

「ムカつく。あの時の女のようだわ。年下のガキ抱きしめて昼ドラ見たくして。あぁ、そういえばあの時のガキはあんただったわね」

 

「・・・・・・そうか」

 

「んー?」

 

「そうか、貴様がアリスを殺したのか」

 

 見つけた。

 

 殺すのが一番簡単な復讐になる。

 だが、こんなやつと同じにはなりたくない。

 ならどうすればいい?

 

 簡単だ。

 

 叩きのめせばいい。

 

「ホワイトグリント、ワンオフアビリティーアクティブ」

 

―――ワンオフアビリティー機動準備完了。

 

「限界解除(リミッターリリース)起動」

 

 

―――ワンオフアビリティー起動コマンド確認。ホワイトグリントシャットダウン。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――全パイロット保護機能を全て停止状態での再起動開始。

 

 

 




戦闘描写がうまくいかない・・・・
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。