二度目の転生は廃墟から……? 作:やっぱりイオは最高だよね俺っ娘最高っ!!
一日目・2
三十分ほど歩いたのだろうか。不気味な気配は動くことがなくその場所に向かっている身としては実に楽だった。
ただ歪な気配の方が反対にせわしなく動いていて、それと同時にどうしてか不気味な気配のほうに向かっているような気がする。気がする、程度なのだが正直歪な存在とはエンカウントしたくないし、でも不気味な存在の方は一目見てみたいし……うーん。嫌な予感がするなぁ……。具体的に言えば会った途端攻撃されそうな恐怖? ……やっべすごく行きたくなくなってきた。
でも見たいものは見たいし、そのために三十分も歩いたのだ。ここまでくれば……えっと、なんだ? 毒も食らわば皿まで、というやつだ。
それにぶっちゃけ襲いかかられても負ける気は毛頭ないし、逆に返り討ちにしてくれるわっ!! 戦闘人格がっ!!
……他力本願で悪かったな。元は一般市民なんだよ察せ……。
「……んー、このペースだとちょっと歪な気配のやつに先を越されそうだなぁ……。しょうがない、ペースを上げてちょっとダイナミックエントリーしてみるか」
これから起きるであろう事を考えながら自分でも分かるくらい口元を歪めて、足にグッと力を込める。それと同時にちょこっとだけフォトンの力を使うのも忘れない。これがあるかないかで本当にスピードが段違いになるのだ。……まぁ身体能力は化物に片足(全身)どっぷり浸かってるからフォトンを使わなくてもいいんだが、こういうのはノリだ。そして気分。
ちなみにだが、歩いてる途中に分かったことがある。それはアークスにいる頃よりもフォトン回復率がバカみたいに早いということ、そしてなんかレベルがバカみたいになっていることだ。さっき確認したら10e10とか書かれてたり。eの意味が分からなかったけどそれを除いても1010lvはあるという事だし。正直こんなところでゲームを再現するなと言いたくなるが、まあそれで自分の強さの目安がわかりやすかったから大助かりなんだ。さらに無駄な知識なんだが、他のアークスにはレベル表記がないっぽくて強さとかの判断はフォトン総量で判断してるらしい。とはいえ最近はフォトンがバカみたいに多い新人が腐る程出て来て無駄死にするバカが多くなってきたからこの判断基準は見直そうとかいう話が出てるってクーナが言ってたような……?
クラウチングスタートの要領で思いっきり地面を蹴り、不気味な気配の方向に向かって音速のスピードで
一瞬ソニックブームが出て周りのまだ形が残ってたような家まで壊したような気がしないでもないが、気にしない。うん、こんな廃墟だし、大丈夫でしょ? 多分。それに自分の周りに気配がないのは確認したし平気平気。
ぶっちゃけこんな炎上した場所で法律だなんだなんて関係ないよなっ!
さて、ソニックブームの事は気にしないことにした今、目下の問題は音速で跳びだした所為でどうやって止まればいいのかわからないくらいか。えっ? それを考えた上で音速で跳んだんじゃないかって? 馬鹿言うなよ。音速で跳ぶなんて普通する訳無いだろ。PSO2時代でも両手で数えられる程度しかしてないわ。大体止まることができず自然破壊してクーナとかマトイとか知り合い全員に怒られるんだが……。
とはいえこのままだと何時もの様に地面に熱烈なキスをすることになる。それだけは避けたい。だからといってフォトンを逆噴射して止まるのも正直メンドイ。……となると、まあやることは一つなわけで……。
「そこにいるなんか頭のネジ吹っ飛んでるような骸骨さんクッションになれやコラァッ!!!」
ヤケクソ気味に理不尽な怒鳴り声を上げながら、不気味な気配になぜか群がっていた気配のしない骸骨をクッションにすることにした。骸骨がクッションになるのとかそんなマジレスはしてはいけない。イケナイ。まぁ巫山戯た事抜きにして言えば不気味な存在が近くにいたからしょうがなくフォトンを逆噴射して速度を無理矢理落としたわけだ。
とはいえ、それでもかなりの速度を保っていた俺の体のクッションに哀れなってしまった骸骨は……うん、正直自分でやったにも関わらずなんというか可哀想なくらい粉々になってしまった。これならアサギリで木端微塵にしたほうが優しさがあった。……と思う。どちらにしろ木端微塵になることには変わりないが。
「うむ、結果的にとは言え助かった。貴様らがいなければ危うく地面に熱烈なキスをしたあと床ペロすることになってたわ。心の底から盛大な感謝をしよう」
心にもないことを粉々になってしまった骸骨と少しだけ陥没した地面の上で満面の笑みを浮かべながら言ってみる。不気味な気配の……えっと、女性――少女という年齢はもうすぎてるっぽいから女性でいいや――がぽかんとしたような表情で俺を見ていた。やだ、照れる。
いやそれにしても、この不気味な女性の姿、どっか引っ掛かりを覚えるなぁ。なんか、どこかで見たような気がしないでもない見た目。これは、もしかして前前世で見たことある可能性が微レ存……?
だとしたらここゲームの世界という可能性が……えっ、だとしたら二度目の転生場所もゲームの世界ってこと? ……いや待てまだアニメという線が残ってる……ってそれも二次元の話じゃないですかやだー……。
「GuLUUu」
「あ、骸骨って音発するの? 初めて知ったわ」
敵に囲まれているど真ん中でそんなどうでもいいことを考察していると、どうやら周りの骸骨は突然やってきた俺という存在への困惑から漸く脱出したようで、警戒するように音を発した。どことなーくそれが惑星ナベリウス――アークスが行っている惑星の中では自然豊かな世界のこと――の原生種、ザウーダンというゴリラみたいな猿みたいな生き物の鳴き声に似ていてつい笑ってしまいそうになる。
「んー、正直、そこの不気味な女性のことを調べてみたいんだけど……まっ、それは貴様らを殺してからでもできることか」
とはいえ、そんなことで笑っている間に攻撃されるのも嫌だし、先手必勝ということでこちらから攻撃してみようと思う。
こんな骸骨がいくら徒党を組んでも負けるつもりも攻撃を食らう気も毛頭ないが、ほらどっかの偉い人が油断は禁物っていうし、ね? 後ろには未だ放心状態の不気味な女性がいるし。
「Gylu……?」
俺が纏っている雰囲気が変わったのを察知したのかなんかのか、骸骨にしては器用なことに困惑したような音を響かせる。それでも可愛げがないのは骸骨だからかなんなのか。これならザウーダンが啼いてる声の方がまだ可愛げがあるというものだ。まぁ正直そんなことはどうでもいいか。
「フォトンってさ、存外便利なものでな。自分が味方、もしくは攻撃したくないものには攻撃が当たらないように設定することもできるんだ。つまり――後ろにいるこの呆けた女性を対象外にして、貴様らを切り刻むのは容易いということ。……さて、時間は有限で貴様らに時間を割くのは非合理的だ。早く終わらせたいし、何やら数も多い。故にここは
――『カンランキキョウ』」
最初に即★殺した骸骨の時と同じように技名を宣言しながら腰に装着していたカタナを左手で持ち、瞬速で抜刀する。抜刀した時の勢いを殺さないように身体を右に回転させて、同時にフォトンの刃を形成し自分を中心に丸を描くようにして一閃した。
やったことはただそれだけ。しかし半径50m以内にいた骸骨は面白いぐらいに下半身と上半身をサヨナラして、空中に溶けるようにして飛散した。
骸骨が倒すと飛散する、という事実を初めて知ったのは三十分くらい歩き回ってる時に何度か殺したからだ。その時に一応人間で言う即死不可避なダメージを与えれば死ぬということも確認した。骸骨なんだからもっと気張れよと言いたいが、所詮木偶だしこんなものかとしょぼくれたのは記憶に新しい。
……ちなみにだが、俺が技名を一々口に出していうことに大して理由はなかったりする。口に出さずともPAは何一つ問題なく使えるからだ。ではなぜ出しているのかといえば……まぁ、普通にそっちのほうがかっこいいと思ったからだったりする。ゼノという知り合いが居るのだが、ソイツは俺のそれをリスペクトしてくれているらしく技名を叫んでから使っていた。……何気に俺よりサマになってるからちょこっとだけ嫉妬した。
取り敢えず周りに群がっていた骸骨を全部殺したあと、漸くといった感じで俺は不気味な女性の方に顔を向けた。
……うん、女性は状況が理解できていないのか俺をぼーっと見つめたまま小さく口を開けて硬直していた。恐らく惚けているんだろうけど、こういう状況に陥った人間って面倒くさいんだよなぁ……。
まず第一にこういう状況で呑気に呆けられるのは阿呆か極度のビビリと決まっているからだ(偏見)。そして不気味な女性は阿呆というわけでもなさそうだから極度のビビリということになる。つまり何が言いたいかというと――――
「……そんなにジロジロ見られても困るのだが……取り敢えず、ちょっとお話でもしようぜ?」
「ひっ……!?」
こうなるわけだ。
意識を再度切り替えて、戦闘用から通常モードに戻し不気味な女性になるべくビビらせないよう優しく言ったつもりなんだが、そんなことお構いなしに不気味な少女は見てるこっちが申し訳なくなるほどビビっている。瞳に涙貯めてるし……。畜生、そんなに俺の顔って怖いのかなぁ……。泣きたくなる……。
……なんだか、戦闘用とか通常モードとか言ってると自分が中二病を患っているようでちょっと落ち込みそうだ……。
とは言え、現状確認できる生命体(?)の内の一人だしもしかしたらこの惑星……というか世界の現状を知ってるかもしれないのだ。話は勿論聞きたいし……しょうがない、もう一度声を掛けよう。そう思って言葉を出そうとした瞬間……。
「あの……」
「所長から離れてくださいっ!!」
突然後ろから声が聞こえてきた。それもかなり敵意をもった感じの。
……あれ? 俺なにかしたっけ?
「え? いやあの……」
「……っ!! 敵影、離れる気配ありません……っ!! 先輩っ! 指示を!!」
思わず困惑した声で返すが、それに帰ってくるのはさらに敵意の篭った声ばかり。
……うん? 敵影って俺のこと? いやちょっと待って、俺この不気味な女性に話しかけようとしてるだけだよね? なんでそんな警戒されてるの……?
……よし、取り敢えず客観的に状況を考えてみよう。
左手に鞘、右手に抜き身のカタナをもった見知らぬ人物が、不気味な女性――敵意向けてきてる歪な気配の少女が所長って言ってたから知り合いなんだろう――の近くに立っている。不気味な女性は明らかに怯えたような表情で座り込んでいて――――あっ、なるほど。これは俺でも敵意向けるわ。ってか普通に事案発生だわ。
……俺のせいかっ!!
「マシュ! 取り敢えず敵を所長から離れさせるのが先決っ! 取り敢えず攻撃を仕掛けてどんな方法でもいいから所長から距離を取らせて!!」
「はいっ!!」
うっわ奴さんやる気まんまんだよどうしよう。さっきから冷や汗出まくってんだけど……。えっと、これは戦わなくちゃいけないパターン? えっ? うっそーん。俺はただ、お話がしたかっただけなのに……。
いやまて、まだそう考えるのは早い。まだ対話できる可能性は残ってるはずだ。こんな血湧き肉躍る戦闘にどっぷり浸かって染まってしまった俺でも人間は殺したくないという良識はある。……DF? あれ人間の形をしたゴミだろ。殲滅対象です。
「ちょっ、待ってくれ! 話を――――」
「問答無用です……っ!!」
俺の言葉なんて聞く耳を持たないという感じで歪な少女がその身の丈を超える大きな盾を使って叩き潰そうとしてくる。
……。うん、現状俺が明らかに悪いとは言え、敵意を向けられて攻撃をされたんだ。なら――――反撃しちゃっても、別に構わないよねぇ?
「――――遅い」
歪な少女の攻撃が当たる寸前に後の先……つまり簡単に言えば先手必勝の心得でもってマシュと呼ばれた少女の目の前に盾を回避しながら一瞬で移動して刀を振り下ろす。……とはいえ、もしこれで殺しちゃったらやばいのでしっかり峰打ちだ。流石にそのくらいの良識は攻撃されたとしても保つよ。……ごめん嘘。これが半分人間っぽい感じじゃなければすっぱり行ってた。偉い人は言ったんだ。目には目を、歯には歯をって!
「なっ……ッ!?」
少女は俺の行動に対応できなかったのか、右手にもった大きな盾のような物を防御に使うことも出来ず……思わず申し訳ないと思うほどに、刀の峰はいい音を立てて少女の脳天にクリーンヒットした。
そしてここではたと気づく。……攻撃されても回避して反撃せず、武装解除すればよかったんじゃないかって。……つい、反射的にとは言え、やっちゃった……。
駄文だ駄文だと自分でも思ってたけど、まさか一時間足らずで低評価をくらうとは思わなかった。解せぬ(´・ω・`)
2017/06/12 04:23
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