サモンナイト 勇者と姫と越響者   作:玄武Σ

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日付が変わって5の発売日となりましたが、前々から考えていた4とDOGDAYSのクロスと行かせてもらいます。
ちなみにタグにもありますが、小説の新作であるU:Xの発表前から構想を練っていたので、矛盾が生じるかも知れません。
それでも良い方はどうぞ。


第1部
第1話 ようこそフロニャルドへ Welcome to Fronyald


~助けて…~

ん?

~誰か、助けて…~

誰だ、苦しんでいるのは?

~お願い。このままじゃ、何もかもが壊れてしまう…~

な、何だ? この人は何を言っているんだ?

~誰でもいい、この声が聞こえた誰か…~

~近いうちに、この祝福の輝きに包まれた世界に悲劇が起きようとしています…~

い、いきなり危なっかしいことを言うな…っていうか、リィンバウムってそんな呼ばれ方してたっけ?

~お願い。この世界を、フロニャルドを救って…~

フロニャルド? なんだそれ?

!?

 

 

 

 

「…パ。パパ、そろそろ時間だよ」

「ん?」

 

少年は不思議な夢から目を覚ます。瞼を開いた先にいたのは、少年をパパと呼ぶピンク色の髪の少女だった。

しかし、少女の頭には左右に角が生えており、スカートから尻尾が伸びた、人間とはかけ離れた特徴を持っていた。

 

「おはよう、パパ」

「おはよう、ミルリーフ」

 

少年は少女に目覚めの挨拶をする。

 

彼の名はライ。ここ、帝国領の宿場町トレイユで宿屋兼食堂「忘れじの面影亭」を切り盛りしている15歳の少年で、人間と【古き妖精】と呼ばれる特殊な妖精とのハーフ、響界種(アロザイド)ある。

少女の名はミルリーフ。ライが成り行きから育てることになった少女で、実は人間の姿に擬態した至竜と呼ばれる特殊な竜が、彼女の正体である。

 

この二人の出会いは、今から約半年前に遡る。

ミルリーフの親にあたる至竜は、ラウスブルグ(通称:隠れ里)という集落の守護竜だった。このラウスブルグは、はぐれ召喚獣という召喚されたあと、何らかの理由でリィンバウムから帰れなくなった召喚獣達が隠れ住む集落だ。そして同時に、至竜と古き妖精の力を合わせると異世界間を移動可能な船として使えるのである。この秘密を知ったギアンという召喚師の青年がラウスブルグを襲撃し、住んでいた召喚獣達にその秘密をばらして内乱を起こした。

ギアンは幻獣界メイトルパに住む【幽角獣】という幻獣の父と、召喚師の娘との間に生まれた響界種である。その血筋の所為で祖父から虐待を受け、その祖父から召喚された腹いせに父にあたる幽角獣に無理やり産まれさせられた、呪われた子だと教えられた。

やがて成長したギアンは祖父を殺し、父に復讐しようとラウスブルグの力でメイトルパに乗り込もうと企んでいたのだ。

しかし、偶然ラウスブルグを立ち寄ったライの父に介錯されて先代の守護竜は死亡、まだ卵だったミルリーフをトレイユの町に送り、それをライが拾ったことで二人は出会った。

その後は幼馴染をはじめとした仲間や、守護竜に仕える御使い達と共に戦い、ギアンを倒した。ギアンの方も、祖父に教えられた自身の出生が嘘だと知り、家名を捨て、自身が利用しようとしていた、同じく響界種の少女エニシアやライ達と和解、平和が戻ったのだ。

 

この日、店の方は昼までで、仕込みを終わらせた後は店を手伝っているエニシアや、幼馴染のリシェルとルシアン、その二人の世話係のポムニットといった面々が任せてくれるというので、好意に甘えてミルリーフと散歩に行っていたのだ。

その後、睡魔が襲ってきたので昼寝をしていたら、あの不思議な夢を見たのだ。

 

「どうしたのパパ? うなされていたみたいだけど」

「イヤ、ちょっと変な夢を見ちまってな」

 

帰路に就く途中でミルリーフと話していると、異常事態が起こった。

 

「な、なんだ!?」

 

突如、ライとミルリーフを不思議な光がつつみこんだ。光の色はピンク、だがミルリーフの髪の色とは違い、どちらかというと桜に近い色をしていた。

そして、異常はそれだけではなかった。

 

「な、なんだアリャ!? ミルリーフ、わかるか!?」

「魔法陣みたいだけど、あんなの見たことないよ!?」

 

二人の足元に魔法陣が出現した。先代の守護竜の記憶と知識を継承しているミルリーフは、膨大な量の知識を有しているのだが、そんなミルリーフでもこの事態については全く分からないのだという。

そうこうしている間に、二人は魔法陣に吸い込まれてしまう。

 

「「うわぁああああああああああああああ!?」」

 

二人の悲鳴が丘に響き渡り、やがては二人を飲み込んだ魔法陣は跡形もなく消えてしまった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

魔法陣をくぐった先は、黒い雲が広がり、時々紅い稲光が光る不気味な空間だった。

だが、その空間はすぐに通り過ぎてしまい、そこを抜けた先には見たこともない光景が広がってた。

 

「な、なんだココは…」

「島が浮いている…」

 

その先に広がっていた光景は、やや紫がかった空に、いくつもの宙に浮いている島、といったリィンバウムでも見られないような光景だった。今なお、二人は桜色の光に包まれながら落下しており、島の一つに向かっていた。

そして、そこで人気のない林に入り、地面に激突! と思われたが…

 

 

 

 

 

 

 

「あれ?」

「止まった…」

 

地面スレスレで停止、そのまま二人を包んでいた光ははじけ飛んだ。

 

「今の光って、召喚術か何かか?」

「たぶん。それも、リィンバウムとは別形式みたいだよ」

 

状況分析をしていると、林の外から歓声のようなものが聞こえた。気になったので覗いてみると…

 

 

『は、は、早いーーー!! 何をされたのかよくわかりませんが、撃墜スコアも続々加算! これはビスコッティ側の逆転となるか!?』

 

いきなり、無駄に大きな声が響いたので思わずライは仰け反った。気を取り直して辺りを見回すと、広大な平野で戦いが起きていた。

メイトルパの亜人のような、動物の耳と尻尾を生やした人間に近い何かが戦争をしていた。

さらに上空には、ロレイラルの技術を髣髴とさせる巨大スクリーンが映っており、そこには別の場所での状況が映されているようだ。そして、大声の主はそこに映っている人物の活躍に驚いているようだ。

その人物は少年で、ライよりも一つか二つほど年下のようである。赤と白を基調とした服に白いファー付のマント、青い鉢巻、そして手には煌びやかに装飾された、武器と思われる棒を持っていた。少年は俊敏な動きと驚異的な跳躍力を駆使して相手の攻撃を避け、迫っていた敵達を次々と倒していた。時折、後頭部や背中をタッチするだけで済ませていることもあったが、それらをされた者達や倒された者達に異変が起こった。

 

「な、なんだ!?」

「うわぁ、かわいい~!」

 

攻撃されたり背中をタッチされたりした敵達が、次々と猫耳と尻尾を生やした球体状の何かに変化するという謎の現象が起きていた。ちなみに、ミルリーフはその何かをぬいぐるみや愛玩動物を見るような眼で眺めていた。

その後、呆然としていたがすぐに復活、その場に留まっていても仕方がなかったので移動を開始した。

 

 

巻きこまれないように人気のない道を選んで進んでいると、ミルリーフが何かに気付いてその方向に指をさす。

 

「パパ、あそこ見て!!」

「……って、あいつ何やってんだ!?」

 

ミルリーフが指差した方向をライが見てみると、大軍勢の進行方向に緑の髪の少女がいたのだ。少女は他の戦士たちの様に犬の耳と尻尾を生やしているが、いわゆる垂れ耳になっているのが特徴だった。

そして、二本の短剣を構えているところから、あの軍勢を一人で迎え撃とうとしているようである。

 

「こうしちゃいられねぇ。行くぞ!」

「うん!」

 

ライ達は、そのまま少女の居る方に駈け出した。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「姫様の決断とはいえ、別に勇者などいなくても!!」

 

大軍勢を前にしていた少女は、一人でそんなことを叫びながら双剣を構えていた。しかしその直後、少女の背後に緑の光を放つ巨大な紋章が出現する。

そのまま何かの技を放とうとしたが…

 

「!?」

 

どこかからか矢が飛んできたので、少女はその矢を防ごうとする。

 

「しまった!?」

 

矢を防ぐのには成功したが、少女は持っていた武器を弾き飛ばされてしまう。

 

「今だ! あの騎士を討ち取れぇえ!!」

「「「「「「「おぉおおおーーーー!!!」」」」」」」

 

その隙をついて軍勢は少女に一斉に突撃していく。

 

(マズイ、このままでは…)

 

少女が諦めかけたその時……

 

 

「え?」

「な!?」

『なんだぁ? 親衛隊長エクレールが討ち取られそうになったと思ったら、謎の少年が出現。そのまま剣で攻撃を防いでしまったぞ』

 

少女と先頭に立っていた男が同時に声を上げた。

実況している声の主の言う通り、見覚えのない少年がいきなり躍り出て攻撃を防いだのだ。あまりにも突然すぎる出来事であったため、驚くのも無理はないだろう。ちなみに、少女の名はエクレールというらしい。

そして、少年の方は言わずもがなライである。

 

「……気に入らねえな」

「え?」

「寄って集って一人を大勢で叩きのめす。その腐った根性が気に入らねえ!!」

「うわぁあ!」

 

ライは凄まじい怒気を放ちながら、そのまま目の前の男を押し倒す。

 

「ミルリーフ、いまだ!!」

 

ライが叫ぶと同時に、目の前の集団を目がけて何かが飛んで行った。

 

「な、なんだアレ?」

「丸い物体に、顔がある?」

 

飛んできた物体は球体状で、ペンギンのような顔がある。

そして、頭のてっぺんには導火線が付いており……

 

「!? アレって、まさか爆弾か!?」

「マジ!? みんな、逃げろーーーーー!!」

 

集団の何人かが飛んできた物体の正体に気付いて、叫ぶと同時に逃げ出そうとする。

飛んできたものの正体だが、正確には爆弾ではなくミルリーフが呼んだ召喚獣、ペンタ君である。

そして、逃げようにも時すでに遅しだった。

 

───ドッゴーーン

 

着弾と同時にペンタ君は爆発、それによって集団の半分以上が吹き飛ばされ、先程スクリーンに映っていたような謎の生物に変化した。

 

「残りはオレの手でブッ飛ばしてやる!」

「仲間の敵だ! あいつを討ち取れ!」

 

ライはそのまま剣を片手に集団の生き残り達に向かって駆け出し、敵の生き残り達もライを迎え撃とうとする。

まず、一人が斬りかかってきたがライはサイドステップで避け、そのまま斬り付ける。続けて近くにいた他の敵達に、的確に一撃ずつ攻撃を加えていく。

 

(速い。それに、動きに無駄もなく、攻撃の一発一発も重い。私も腕に自信はあるが、こいつは少なくとも私より強い…)

 

エクレールはライの戦いぶりに思わず見とれてしまう。そうこうしている内にライは敵を全滅させてしまった。

そして、ライが倒した敵達も謎の生物に変化したのだった。

 

「わぁあ! やっぱりかわいい!!」

 

ミルリーフが謎の生物に近寄ったと思うと、一匹を抱き上げてそのままモフモフし始めた。

ライはとりあえずミルリーフの好きにさせて、エクレールに話しかけることにした。

 

「えーっと、エクレールでいいのか? とりあえず、大丈夫か?」

「あ、ああ。助かった、礼を言う。ちなみに、エクレールで合ってるぞ。ところで、お前は何者だ?」

「オレはライ。こう見えて宿屋の店長やってんだ。あと、いきなりだけど質問いいか?」

「な、なんだ?」

 

そしてライは、真っ先にある質問をエクレールにぶつけた。

 

「この世界の名前って、リィンバウムか? あと、違うなら何て名前なんだ?」

 

ライは、まずここがリィンバウムかどうかの確認を取ることにした。そして、エクレールの答えは……

 

 

「リィンバウム? 聞いたことないな。あと、この世界はフロニャルドという名だ」

「フ、フロニャルド!?(夢で聞いた名前じゃねえか!)」

 

ライはエクレールの答えを聞いて驚いた。昼寝の時に見た夢の中で聞いた、悲劇が起きようとしている世界の名前と同じだったのだ。

そのままあの夢がただの夢でないことに気付いたライは、そのことについて考えようとする。だが……

 

 

 

「隙ありぃい!!」

 

突然、煙の中から生き残っていた兵士が飛び出してきて、ライに武器を振るう。

 

「パパ、危ない!!」

 

ミルリーフが叫ぶも、ライが振り返ったその時には、すでに兵は間近まで迫っていた。

避けられない、ライがそう思ったとき……

 

 

 

 

 

「勇者キーーーーーーーーック!!」

「ぐぼぉあ!!」

 

何処からともなく現れた少年が、謎の掛け声を上げながらライに襲い掛かって来た兵士に飛び蹴りを放つ。それを喰らった兵士は、先程倒した集団と同様に謎の生物に変化してノビていた。

ライは自分の窮地を救った少年に見覚えがあった。先程、空中スクリーンに映っていた少年だったのだ。

ライが仰天していると、少年の方から話しかけてきた。

 

「大丈夫?」

「あ、ああ。助かった」

「ふぅ、よかった」

 

少年に声を掛けられたライは、とりあえず礼を言う。すると、少年の方から自己紹介を始めた。

 

「僕はこのビスコッティに勇者として呼んでもらった、シンク・イズミです」

「シンクか、さっきはありがとうな。オレはライ」

 

少年はシンクという名らしく、自ら勇者を名乗り出した。

 

 

これが、後にフロニャルドを救うために共に戦うこととなる、超響者ライと勇者シンクのファーストコンタクトだった。

 




せっかくなのでカミングアウトします。
ミルリーフかわいいよ! ぶっちゃけヴ○○ィオより好きだよ!
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